問題一覧
1
DNA複製の際に生じる相補的ではない塩基対合(ミスマッチ)を修復する機能は、MMR機能と呼ばれる。
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2
MMR機能が保たれている状態をMMR deficient(dMMR)、機能が保たれていない状態をMMR proficient(pMMR)と表現する。
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3
MMR機能が欠損する(dMMR)と、DNA複製時のエラーが修復されず、マイクロサテライトが通常と異なる反復回数を示す。これはマイクロサテライト不安定性(MSI)といわれる。
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4
pMMRにより、がん化に関与する遺伝子に存在する反復配列領域に変化が起こりやすくなり、これらの遺伝子異常の蓄積によりがんの発生、増殖に関与すると考えられている。
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5
MMR欠損(dMMR)癌の患者の割合が最も高い癌種は子宮頸癌である。
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6
海外において32種類の癌患者12,019例を対象に次世代シーケンサーを用いてdMMR癌の割合をそれぞれの癌で解析した結果、特定できた24種類の癌においては、子宮体癌、胃腺癌、結腸・直腸腺癌、小腸癌の順でdMMR癌の割合が高かった
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7
dMMR判定検査にはMSI検査,MMRタンパク質(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)に対する免疫組織化学染色(IHC)検査、次世代シーケンシング(NGS)検査がある。
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8
MMR IHC検査は、MMRタンパクの消失、MSI検査はその結果として起こるマイクロサテライトの変化をみている。
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9
MMRタンパクの発現消失とMSI-Highは原因と結果の関係にあるが、MSI-Highとなるためには多数回の細胞分裂を経る必要があるため、結果に乖離がみられない。
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10
成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドラインでは、ICIの適応を判定するためのdMMR判定検査法として、MSI検査、IHC検査、NGS検査の実施がいずれも強く推奨されている。
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11
MSI検査とIHC検査については、偽陰性・偽陽性の理由が想定可能な場合や検査精度・結果に疑問が残る場合には、もう一方の検査を追加実施することを検討、とされている。
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12
MSI判定の分析学的妥当性が確立されたNGS検査によってMSI-Highと判定された患者に対し、MSI検査やIHC検査での再確認は科学的には不要である、とされている。
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13
海外のガイドラインでは、dMMR判定検査におけるMMR-IHC検査の位置づけはMSI検査よりも低い。
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14
ASCOは、子宮体癌においてはMMR-IHC検査のみが推奨されるという米国病理学会(CAP)ガイドラインを支持している。
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15
MSI検査キット及びMMR IHC検査の結果によりMSI-High固形がんに対する適応を判断する。
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16
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)のMSI-High固形がん(子宮体癌を含まない)の適応を判定するためのコンパニオン診断薬が承認されている。
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17
キイトルーダのコンパニオン診断薬として、MSI検査キット(FALCO)や、MMR IHC検査(ベンタナ OptiView)が承認されている。
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18
ロシュ MMR IHCパネルは、4つの製品[ベンタナ OptiView MLH1(M1)/PMS2(A16-4)/MSH2(G219-1129)/MSH6(SP93)]から構成される。
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19
IHCによりがん組織中のミスマッチ修復に関与する4つのタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2、MSH6)を検出することで、dMMR判定検査として用いられる。
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20
MMRタンパクの発現は、核への明瞭なジアミノベンジジン(DAB)染色の有無に基づき、「保持」または「消失」と判定される。
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21
MMRタンパク発現の「消失」は、内部陽性コントロール細胞の核への染色と同等またはそれ以上の強度で、腫瘍細胞の核に明瞭な染色を示す状態を指す。
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22
MMRタンパク発現の「保持」は、腫瘍細胞の核において、検出可能なDAB染色シグナルがまったく存在しない状態を指す。
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23
腫瘍細胞において1種類以上のMMRタンパクが正常に作動していればpMMRであることを示す。
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24
子宮体癌は、分子遺伝学的にPOLE(ultramutated)、MSI(hypermutated)、copy-number low、copy-number highの4型に分けられる(TCGA分類)。
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25
予後との関連などから分子遺伝学的分類の臨床的価値は高いと考えられているが、実施にはNGS検査などが必要であり、臨床導入にはハードルがあるのが現状である。
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26
Proactive Molecular Risk Classifier for Endometrial Cancer (ProMisE)は、診断アルゴリズムの一部をIHCに置き換え、日常診療として実施しやすくした分類法であり、はじめにMMR IHC検査を行うことになっている。
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27
ProMisEはIHC検査を重視した分類で、実臨床に適し、簡便であるがコストがかかる。
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28
WHO分類 第5版では、類内膜癌をPOLE-ultramutated、dMMR、p53-mt、no specific molecular profile(NSMP)とする分子遺伝学的分類が採用された。
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29
POLEのシーケンスをルーチン化することが一般的な施設では困難であることから、子宮体癌取扱い規約病理編 第5版では紹介にとどめられている。
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30
子宮体癌の分子遺伝学的分類別の予後は、POLE(ultramutated)群が最も不良であり、copy-number high(漿液性)群が予後良好である。
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31
FIGO進行期分類(FIGO2023)では、すべての子宮体癌患者において、分子遺伝学的(分子サブタイプ)分類を実施することが推奨されていない。
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32
分子分類により、Ⅰ期及びⅡ期でp53異常またはPOLE変異状況が明らかになった場合、病期のアップステージまたはダウンステージが行われる
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33
POLE変異例を予後良好群、dMMR及びNSMP例を予後中間群、p53変異例を予後不良群とし、I-II期の患者のうちPOLE変異を有する患者は全例がIA期に、p53変異を有する患者は全例がIIB期に分類することとされた。
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34
リンチ症候群とは、MMR遺伝子に生まれつき変異があるため、一般の人よりも大腸がんや子宮体がんをはじめ、さまざまな悪性腫瘍が発症しにくい状態である
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35
リンチ症候群は類内膜がん(子宮体がん)のリスクを上昇させる
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36
変異遺伝子によってリスクには幅があるが、リンチ症候群の女性の約2~6割が生涯に子宮体がんを発症する。3,4) 子宮体がんの2~6%はリンチ症候群に関連する(諸外国データ)。
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37
子宮体癌のハイリスクな遺伝性疾患として、カウデン症候群がある。
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38
MSI検査、IHC検査によりリンチ症候群が疑われた場合、確定診断としてMMR遺伝子の遺伝学的検査を実施することが推奨されている。
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