問題一覧
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No.1 行政法の法源に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
2. 条約は、その内容が国内行政に関し、自力執行性のある具体的定めを含んでいる場合には、それが公布・施工されることによって国内法としての効力をもち、行政法の法源となる。
2
No.2 行政法の法源に関する記述として、妥当なのはどれか。
3. 命令は、法律の委任に基づく委任命令と法律を執行するための細目について規定する執行命令に限られ、行政機関によって制定される内閣府令や省令も行政法の法源となる。
3
No.3 行政法の法源に関する記述として、妥当なのはどれか。
5. 命令は、行政権によって定立される法であって、行政法の法源となり、日本国憲法の下では、委任命令か執行命令に限られる。
4
No.4 行政法の法源に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
5. 慣習法とは、長年行われている慣習が法的ルールとして国民の法的確信を得ているものをいい、公式令廃止後の官報による法令の公布はその例である。
5
No.8 行政法学上の行政行為の効力に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
3. 行政行為の不可争力とは、一定期間を経過すると、私人から行政行為の効力を争うことができなくなるという効力をいい、不服申立期間又は出訴期間の限定による結果として認められるものであるが、これらの期間経過後に行政庁が職権により行政行為を取り消すことは可能である。
6
No.9 行政行為に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。 ア. 行政行為は、たとえ違法であっても、当該行政行為が当然無効と認められるものを除いて、適法に取り消されない限り完全にその効力を有するものであり、裁判所も当該行政行為が有効であることを前提として判断しなければならない。 イ. 行政行為は、一定期間経過すると行政行為の効力を裁判上争うことができないという不可争力が生じるから、特別の規定がない限り、一定期間経過後に、当該行政行為を行った行政庁が自らこれを取り消すことはできない。 ウ. 行政行為が違法であることを理由として国家賠償の請求をする場合、あらかじめ当該行政行為につき取消し又は無効確認の判決を得なければならない。 エ. 行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向かって取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のない限り、当該取消しによる土地使用権喪失についての補償を求めることができる。 オ. 書面によって表示された行政行為は書面の作成によって成立し、当該行政行為が、行政機関の内部的意思決定と相違していても、正当の権限ある者によってなされたものである限り、当該書面に表示されたとおりの行政行為があったものと認められる。
2. ア、オ
7
No.10 行政行為(行政庁の処分)の効力に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
4. 特定の公務員の任免のような行政庁の処分の効果が発生するのは、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時、すなわち、辞令書の公布その他公の通知により、相手方が現実にこれを了知し、又は相手方の了知し得べき状態に置かれた時とするのが判例である。
8
No.11 行政法学上の行政行為の効力に関する記述として、妥当なのはどれか。
4. 行政行為の公定力は、違法な行政行為によって損害を被ったことを理由とする損害賠償請求訴訟には及ばないので、裁判所が判決で行政行為を違法として損害賠償を認めても、行政行為の効力は存続する。
9
No.12 行政法学上の行政行為の分類に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
5. 特許とは、人が本来有しない権利や権利能力等を特定人に付与する行為をいい,河川の占用許可、公益法人の設立の認可、公有水面埋立の免許がこれにあたる。
10
No.13 行政法学上の行政行為の分類に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
4. 認可とは、第三者の行為を補充して、その法律上の効果を完成させる行為であり、農地の権利移転の許可や河川占有権の譲渡の承認がこれにあたる。
11
No.14 行政法学上の行政行為の分類に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
4. 確認とは、特定の事実又は法律関係の存否について公の権威をもって判断する行為で、法律上、法律関係を確定する効果の認められるものをいい、当選人の決定や市町村の境界の裁定がこれにあたる。
12
No.15 行政行為の分類に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 特許とは、命令的行為の一つであり、法令等によって一般的に禁止されている行為を解除する行為のことである。例としては、酒類の製造免許が挙げられる。特許は、本来自由であるはずの行為が法令により規制されているのであるから、行政庁が裁量により特許を付与しないことは原則として許されない。 イ. 認可とは、形成的行為の一つであり、私人相互間の法律行為の効果を完成させる行為である。例としては、農地の権利移転の許可が挙げられる。認可を要件としているにもかかわらず、認可を得ないで行われた契約等は、原則としてその効力を生じない。 ウ. 許可とは、形成的行為の一つであり、国民が一般的には取得し得ない特別の能力又は権利を設定する行為である。例としては、河川や道路の占用許可が挙げられる。その法的効果は行政庁の意思に左右されるため、行政庁の広い裁量が認められ、附款を付すことができる。 エ. 確認とは、準法律行為的行政行為の一つであり、特定の事実や法律関係の存否を認定し、これを対外的に表示する行為で,法律上一定の法的効果の発生と結び付けられているものをいう。例としては、建築確認が挙げられる。 オ. 公証とは、準法律行為的行政行為の一つであり、特定の事実や法律関係の存在を公に証明する行為で、行政庁の効果意思によって法的効果が発生するものをいう。例としては、当選人の決定が挙げられる。
4. イ、エ
13
No.20 行政法学上の行政行為の附款に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
5. 負担とは、相手方に特別の義務を命ずる附款であり、法令に規定されている義務以外の義務を課すことになるが、負担に違反しても本体たる行政行為の効力が当然に失われることはない。
14
No.21 行政行為の附款に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 附款は行政庁の裁量権行使の一環であるため、裁量権行使についての制約がかかることになり、明文の規定がなくとも、平等原則や比例原則に違反する附款は許されない。 イ. 条件とは、行政行為の効力・消滅を発生確実な事実にかからしめる附款をいう。 ウ. 附款は、あくまで主たる意思表示に付加された行政庁の従たる意思表示にすぎないから、本来の行政行為による効果以上の義務を相手方に課す負担を付す場合であっても、法律の根拠は不要である。 エ. 行政行為を撤回するためには、あらかじめ撤回権を留保する附款を付さなければならない。 オ. 附款は主たる意思表示に付加された行政庁の従たる意思表示であることから、附款のみを対象とする取消訴訟を提起することはできない。
1. ア
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No.22 行政行為の附款に関するア〜オの記述のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 条件とは、行政行為の効力の発生・消滅を発生不確実な事実にかからしめる附款をいい、条件の成就により行政行為の効果が発生するものを解除条件といい、条件の成就により行政行為の効果が消滅するものを停止条件という。 イ. 負担とは、法令に規定されている義務以外の義務を付加する附款をいい、附款が履行されない場合、本体たる行政行為の効力は失われることとなる。 ウ. 撤回権の留保とは、行政行為をするに当たって、撤回することがあることをあらかじめ宣言しておくことを内容とする附款をいい、撤回権の留保を付すことにより、当該行政行為は無条件に撤回することができる。 エ. 法律上附款を付すことができる場合であっても、当該法律の目的以外の目的で附款を付すことは許されず、例えば、都市景観の見地から、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の適用に当たって、風俗営業の設備のネオンの色彩を附款により指定することは許されない。 オ. 附款に瑕疵がある場合、附款も行政行為の一部であるから、附款だけの取消訴訟を提起することができるが、その附款がなければ当該行政行為がなされなかったと客観的にいえるようなときは、当該附款だけでなく行政行為全体が瑕疵を帯びるものと解され、当該附款だけを対象とする取消訴訟は許されない。
5. エ、オ
16
No.23 行政法学上の行政行為の附款に関する記述として、妥当なのはどれか。
1. 条件は、行政行為の効力の発生、消滅を発生不確実な事実にかからしめる附款で、成就により効果が生ずる停止条件と成就により効果が失われる解除条件がある。
17
No.24 行政法学上の行政行為の附款に関する記述として、妥当なのはどれか。
5. 法律効果の一部除外とは、法令が一般にその行政行為に付した効果の一部を発生させないこととする附款であり、法律の認めた効果を行政庁の意思で排除するものであるから、法律効果を除外するには法律の根拠が必要である。
18
No.25 附款に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 条件とは、相手方に特定の義務を命ずる附款であり、運転免許に付された眼鏡使用等の限定や道路占用許可に付された占用料の納付はこれに当たる。 イ. 期限とは、行政行為の効力の発生・消滅を発生確実な事実にかからしめる附款をいうが、地方公務員の期限付任用について、最高裁判所は、地方公務員法に明文の規定がない限り許されないとしている。 ウ. 負担に対する違反は、行政行為の効力に直接関係するものではなく、行政行為の撤回事由となるにとどまる。 エ. 行政行為の撤回権を明文で留保する附款を撤回権の留保というが、明文の根拠がなくても一定の利益考量の下で行政行為の撤回は可能であり、抽象的に撤回できる旨の条項を設けても確認的な意味合いを持つにとどまる。 オ. 附款は、本体たる行政行為に裁量が認められれば、当然に付すことができ、行政上の法の一般原則である比例原則に反しない限り、その内容に制限はない。
4. ウ、エ
19
No.26 行政法学上の行政行為の附款に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
5. 附款なしでは行政行為がなされなかったであろうと客観的に解され、附款が行政行為本体と不可分一体の関係にある場合は、当該附款だけでなく行政行為全体が瑕疵を帯びるため、附款だけの取消訴訟は許されない。
20
No.27 行政行為の瑕疵に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
1. 違法行為の転換とは、ある行政行為が本来は違法ないし無効であるが,これを別個の行政行為として見ると、瑕疵がなく適法要件を満たしていると認められる場合に、これを別個の行政行為として有効なものと扱うことをいう。
21
No.28 行政行為の瑕疵に関する記述として、妥当なのはどれか。
1. 行政行為が無効とされるのは,行政行為に内在する瑕疵が重要な法規違反であることと、瑕疵の存在が明白であることとの2つの要件を備えている場合である。
22
No.29 行政行為の瑕疵に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
5. 条例所定の接道要件を満たしていない建築物について、同条例に基づく安全認定(注)が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定の違法を主張することは許されるとするのが判例である。 (注)建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める処分。これがあれば条例の接道要件に関する規定は適用しないとされている。
23
No.30 行政法学上の行政行為の瑕疵に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。
4. 課税処分に課税要件の根幹に関する内容上の過誤が存し、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合には、当該処分は、当然無効と解するのが相当であるとした。
24
No.31 行政行為の取消し及び撤回に関するア〜エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政行為の取消しとは、行政行為がその成立時から瑕疵を有することを理由として、当該行政行為の効力を消滅させる行為をいい、瑕疵ある行政行為は行政機関が職権で取り消すことができるが、その際、法律による特別の根拠が必要である。 イ. 旧優生保護法により人工妊娠中絶を行い得る医師の指定を受けた医師が、医師法違反等により有罪判決を受けたため、当該指定の撤回により当該医師の被る不利益を考慮しても、なおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合、法令上その撤回について直接明文の規定がなくとも、指定権限を付与されている医師会は、当該指定を撤回することができるとするのが判例である。 ウ. 旧農地調整法に基づく農地賃貸借契約の更新拒絶について、知事がその権限に基づいて許可を与えれば、それによって単に申請者だけが特定の利益を受けるのではなく、利害の反する賃貸借の両当事者を拘束する法律関係が形成されるため、たとえ申請者側に詐欺等の不正行為があったことが顕著であったとしても、知事は当該許可処分を取り消すことはできないとするのが判例である。 エ. 行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要性に基づき将来に向かって取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のない限り、当該取消しによる土地使用権喪失についての補償を求めることはできないとするのが判例である。
4. イ、エ
25
No.32 行政行為の撤回に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。 ア. 撤回は、それ自体が新たな侵害的行政行為となる可能性もあるため、法律の根拠がなければ、撤回をすることはできない。 イ. 撤回は、既存の法律関係の消滅が前提となるから、公務員の免職処分など法律関係を形成させない行政行為については、これを撤回する余地はない。 ウ. 撤回は、後発的事情を理由に行われるものであるが、職権による取消しと同様に、行政行為の効力をその成立時に遡って失わせる遡及効が認められる。 エ. 撤回は、行政行為を行った行政庁のみが権限を持つものであり、当該行政庁の上級行政庁は、撤回の権限を有しない。 オ. 行政財産である土地の使用許可が公益上の必要に基づき撤回された場合、当該使用許可に基づく使用権は借地権に類似するものであるから、それが期間の定めのないものであっても、原則として損失補償を要する。
2. イ、エ
26
No.33 行政法学上の行政行為の撤回に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。
1. 最高裁判所の判例では、都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向って取り消されたとき、使用権者は、特別の事情のない限り、当該取消による土地使用権喪失についての補償をもとめることはできないとした。
27
No.34 行政法学上の行政行為の取消し又は撤回に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。
4. 最高裁判所の判例では、旧優生保護法により人工妊娠中絶を行い得る医師の指定を受けた医師が,実子あっせんを行ったことが判明し、医師法違反等の罪により罰金刑に処せられたため、当該指定の撤回により当該医師の被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合に、指定権限を付与されている都道府県医師会は、当該指定を撤回できるとした。
28
No.35 行政行為に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政行為の効力が発生するのは、特段の定めのない限り、行政行為が相手方に到達した時、すなわち、相手方が現実に了知し、又は相手方の了知し得べき状態に置かれた時であると一般に解されている。 イ. 行政行為の取消しは、行政の適法性の確保を目的とするものであり、法的秩序維持の要請は個人の利益の保護を目的とする私法上取消しよりも強く働くことから、その効果は遡及効を有さず、行政行為は将来に向かって取り消されると一般に解されている。 ウ. 行政行為の撤回は、公益に適合することから、撤回権者の範囲は広く認められ、処分庁のみならず監督庁もこれを行うことができると一般に解されている。 エ. 違法行為の転換とは、ある行政行為が法令の要件を充足していないにもかかわらず、別の行政行為としてみるとこれを充足しているような場合に、その別の行政行為であるとしてその効力を維持するこという。 オ. 取消訴訟の排他的管轄に服するのは、取消し得べき行政行為であり、無効の行政行為は、取消訴訟の排他的管轄に服しない。
4. ア、エ、オ
29
No.36 行政行為に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 外国人の在留期間の更新の判断については、更新事由の有無の判断が法務大臣の裁量に任せられており、その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものとして違法となる。 イ. 児童遊園の設置の認可処分が、児童遊園の周囲の一定範囲では個室付浴場の営業が許されていない状況において、私人による個室付浴場の営業の規制を主たる動機、目的として行われたものであるとしても、それが住民の生活環境を保全するためである場合は、行政権の濫用には該当せず、違法性はない。 ウ. 裁決庁が行う裁決は、実質的に見れば法律上の争訟を裁判するものであっても、行政機関がするのであるから、行政処分に属し、裁決庁は、当該裁決を不当又は違法なものであると認めるときは、自らこれを取り消すことができる。 エ. 法令が毒物及び劇物の輸入業等の登録の許否を専ら設備に関する基準に適合するか否かにかからしめており、毒物及び劇物がどのような用途の製品に使われるかについては直接規制の対象としていない場合であっても,輸入しようとする劇物を使用した製品において、その用途によっては人体に対する危害が生ずる危険性が予測されるときは、当該危険性を理由に輸入業の登録を拒否することができる。 オ. 課税処分に課税要件の根幹に関する内容上の過誤が存在し、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に当該処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められる場合には、当該処分は当然無効となる。
2. ア、オ
30
No.37 行政行為に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。 ア. 行政処分は、たとえ違法であっても、その違法が重大かつ明白で当該行為を当然無効ならしめるものと認めるべき場合を除いては、適法に取り消されない限り完全にその効力を有する。 イ. 行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合には、当該行政行為が違法であることを理由として国家賠償請求をするに際して、事前に当該行政行為について取消し又は無効確認の判決を得なければならない。 ウ. 行政行為によって命じられた義務を私人が履行しない場合には、強制執行自体についての独自の根拠法がなくとも、裁判所の関与なしに、行政庁が自ら義務者に強制執行し、義務内容を実現することができる。 エ. 行政行為の成立時には瑕疵がなく、その後の事情の変化により、その行政行為から生じた法律関係を存続させることが妥当でなくなった場合であっても、法令上、撤回について直接明文の規定がないときは、当該行政行為を撤回することはおよそ許されない。 オ. 負担とは、行政行為を行うに際して、法令により課される義務とは別に課される作為又は不作為の義務であり、附款の一種であるが、行政行為の相手方が負担によって命じられた義務を履行しなかった場合には、当該行政行為の効果は当然に失われる。
1. ア
31
No.38 行政行為に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。
4. 行政庁が行う行政行為が基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであっても、具体的事案に応じ行政上の比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でなく、行政庁が、当該行政行為の名宛人と、同人と対立する住民との間で実力による衝突が起こる危険を回避するために、一定の期間、当該行政行為を留保することは、当該行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまり、国家賠償法第1条第1項の定める違法性はない。
32
No.39 行政手続法に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
2. 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名宛人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
33
No.40 行政手続法上の申請に対する処分に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めなければならない。 イ. 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。 ウ. 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、原則として、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。 エ. 行政庁は、申請書に必要な書類が添付されていないなど、法令に定められた形式上の要件に適合しない申請については、申請者に対し、当該申請の受理を拒否しなければならない。 オ. 行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けなければならない。
3. イ、ウ
34
No.41 行政手続法に規定する不利益処分に関する記述として、妥当なのはどれか。
2. 行政庁は、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするときは、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、聴聞の手続を執らなければならないが、公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、当該手続を執ることができないときは、意見陳述手続の適用が除外されている。
35
No.42 行政手続法における不利益処分に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。 ア. 不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者に対して直接に義務を課し、又はその権利を制限する処分であり、申請により求められた許認可等を拒否する処分も含まれる。 イ. 行政庁には、審査基準と同様に、不利益処分の基準を定め、これを公にしておく法的義務がある。 ウ. 行政庁は、許認可を取り消す不利益処分をしようとするときは聴聞を行わなければならないが、名宛人の資格を直接に剥奪する不利益処分をしようとするときは弁明の機会を付与しなければならない。 エ. 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面を提出して行い、その際、証拠書類等を提出することができる。 オ. 行政庁は、不利益処分を行う場合、原則として、その名宛人に対して処分と同時にその理由を示さなけれはならない。
5. エ、オ
36
No.43 行政手続法に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 不利益処分に関する基準については、できる限り具体的な基準を定め、これを公表することが行政庁の義務とされているが、申請に対する処分に関する基準については、その策定・公表は行政庁の努力義務にとどめられている。 イ. 不利益処分をする行政庁は、処分をする前に処分予定者の意見を聴かなければならず、許認可の取消しなど重大な不利益処分をする場合は「弁明の機会の付与」を、それ以外の不利益処分をする場合は「聴聞」を経ることとされている。 ウ. 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨や内容、責任者を明確に示さなければならないこととされている。 エ. 行政庁は、事務所に到達した申請が、申請書に必要な書類が添付されていないなど、申請の形式上の要件に適合しないものであるときは、申請を受理せず、申請書を申請者に返戻することとされている。 オ. 行政手続法は、申請拒否処分に付記すべき理由の程度については規定していないが、例えば、旅券法が求める一般旅券発給拒否通知書に付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用したのかを、申請者が記載自体から了知し得るものである必要があるとするのが判例である。
4. ウ、オ
37
No.44 行政手続に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 地方公共団体の機関が法律や条例に基づいて行う処分については、当該地方公共団体において行政手続法の趣旨にのっとり必要な措置を講ずるよう努めることとされ、行政手続法の適用が除外されている。 イ. 申請により求められた許認可等を拒否する処分は、行政手続法上、申請に対する処分とされ、不利益処分とされていないため、行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する場合、申請者に対し、その処分の理由を示さなくともよい。 ウ. 行政庁は、許認可等を取り消す不利益処分や名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、聴聞の手続を執らなければならないが、例外的に、聴聞の手続を要しない一定の場合も行政手続法上認められている。 エ. 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨・内容及び責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。 オ. 行政処分に手続違反があった場合、当該手続違反は、その行政処分の取消事由ないし無効事由とはならないが、当該手続違反を理由に国家賠償請求をすることはできるとするのが判例である。
4. ウ、エ
38
No.45 行政手続法に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 行政手続法の目的は、行政運営における公正の確保と透明性の向上のための手続及び公法上の権利関係に関する訴訟の手続を定め、もって公法上の権利関係の保護に資することである。 イ. 行政手続法は、処分に関する手続について、申請に対する処分と不利益処分に区分し、それぞれについてその手続を規定している。 ウ. 行政手続法は、処分を行う場合の手続に関し、処分の名あて人の意見を聴く手続として、聴聞と弁明の機会の付与の二つの手続を定めているが、不利益処分を行う場合には、必ず聴聞を行わなければならないこととしている。 エ. 行政手続法は、処分、行政指導及び届出に関する手続に関して規定しているものであり、府省令又は規則を定める際の意見公募に関する手続については規定していない。 オ. 地方公共団体の機関が行う処分のうち、その根拠となる規定が条例又は地方公共団体の規則に置かれているものについては、行政手続法に定める手続は適用されない。
3. イ、オ
39
No.46 行政手続法に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 行政庁が許認可等を取り消す不利益処分を行おうとするときは、公益上、緊急に不利益処分をする必要がある場合であっても、必ず当該不利益処分の名あて人に対して聴聞の手続をとらなければならない。 イ. 行政庁は、申請を認容する処分又は申請を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。 ウ. 行政庁又は聴聞の主宰者が行政手続法の聴聞に関する節の規定に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。 エ. 聴聞の当事者又は参加人である者が聴聞を主宰することができないだけでなく、当事者の補佐人又は参加人の補佐人も聴聞を主宰することができない。 オ. 聴聞の通知があった時から聴聞が終結するまでの間、当事者は、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書等の閲覧を求めることができ、さらに、聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧をも求めることができる。
5. ウ、エ、オ
40
No.47 行政手続法においては、行政庁又は命令等制定機関に課されている義務として、行為義務と努力義務がある。ア~オの義務のうち、行為義務として課されているもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 申請により求められた許認可等をするかどうかを法令の定めに従って判断するために必要とされる審査基準を定めること。 イ. 申請を受けてから処分するまでに通常要すべき標準的な期間を定めること。 ウ. 不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについて法令の定めに従って判断するために必要とされる処分基準を定め、これを公にすること。 エ. 不利益処分をする場合に、当該不利益処分の理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要があるときを除き、名あて人に対し、同時に、その理由を示すこと。 オ. 意見公募手続を実施して命令等を定める場合に、当該意見公募手続の実施について周知するとともに、その実施に関連する情報を提供すること。
1. ア、エ
41
No.48 行政手続法に関するア〜エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政手続法は、行政手続に関する一般法であり、その目的として、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することに加えて、国民の行政の意思決定への参加を促進することについても規定している。 イ. 行政手続法は、処分に関する手続について、申請に対する処分と不利益処分とに区分し、それぞれの手続について規定している。 ウ. 行政手続法は、行政庁が不利益処分をしようとする場合における処分の名あて人の意見陳述のための手続として、聴聞と弁明の機会の付与の二つを規定しており、許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、原則として聴聞を行わなければならないとしている。 エ. 行政手続法は、処分、行政指導及び届出に関する手続に関し、共通する事項を規定しているが、法律に基づく命令等を定めようとする場合の意見公募手続については規定していない。
4. イ、ウ
42
No.49 不利益処分の手続に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 不利益処分とは、行政庁が法令に基づき特定の者を名あて人として直接にこれに義務を課し又はその権利を制限する処分をいう。申請により求められた許認可等を拒否する処分も、申請者に不利益をもたらすものであるから、行政手法上の不利益処分に当たる。 イ. 行政手続法は、不利益処分の手続として聴聞と弁明の機会の付与を定めており、行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、いずれかの手続を執らなければならず、公益上緊急に不利益処分をする必要があるときを除いて、例外は認められていない。 ウ. 行政庁は、不利益処分の判断に必要な処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。また、行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らして、できる限り具体的なものとしなければならない。 エ. 聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰するが、手続の公正や処分内容の適正を担保するため、行政手続法は、聴聞に係る不利益処分を行う行政庁の職員は聴聞の主宰者となることができないと規定している。 オ. 行政庁は、不利益処分をする場合には、原則としてその名あて人に対して同時に処分の理由を示さなければならないが、処分基準が公にされており、その基準も明確であって、どのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのか明らかであるときは、その名あて人の求めがあったときに処分の理由を示せば足りる。
2. ウ
43
No.50 行政上の義務履行確保に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 行政庁は、義務者に課された代替的作為義務の履行を、他の手段によって確保することが容易にできる場合であっても,不履行を放置することが著しく公益に反するときには、第三者にその履行をさせ、要した費用を当該義務者から徴収することができる。 イ. 強制徴収は、行政上の金銭給付義務が履行されない場合、強制的に義務者の財産を差し押さえて換価することにより義務が履行されたのと同一の状態を実現する手段であり、常に国税通則法を直接の根拠として行われる。 ウ. 即時強制については、行政代執行法第1条が「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」と規定していることから、条例により根拠規定を設けることはできないと一般に解されている。 エ. 地方公共団体たる水道事業者が私人に当該地方公共団体の指導要綱を遵守させるため行政指導を継続する必要がある場合には、水道法第15条第1項にいう「正当の理由」があるといえるため、当該水道事業者がそのことのみを理由として当該私人との給水契約の締結を拒否することも許されるとするのが判例である。 オ. 法人税法に基づく追徴税(当時)は、納税義務違反の発生を防止し、納税の実を挙げる趣旨に出た行政上の措置であって、刑罰としてこれを課す趣旨でないことは明らかであり、同法に基づく追徴税と罰金の併科は憲法第39条に反するものではないとするのが判例である。
2. オ
44
No.51 行政上の義務履行確保に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
2. 直接強制は、義務者が義務を履行しない場合に、直接、義務者の身体又は財産に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであるが、直接強制について一般法は制定されておらず、個別法の定めによっている。
45
No.52 行政上の義務履行確保等に関する記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政代執行法に基づき代執行をなし得るのは、他人が代わってなすことのできる代替的作為義務が履行されない場合のほか、営業停止や製造禁止といった不作為義務が履行されない場合も含まれる。 イ. 法人税法が定めていた追徴税(当時)は、単に過少申告・不申告による納税義務違反の事実があれば、同法所定のやむを得ない事由のない限り、当該納税義務違反の法人に対し課せられるものであり、これによって、過少申告・不申告による納税義務違反の発生を防止し、もって納税の実を挙げようとする趣旨に出た行政上の措置と解すべきであるから、同法の定める追徴税と罰金とを併科することは、憲法第39条に違反しないとするのが判例である。 ウ. 即時強制とは、相手方の義務の存在を前提とせずに、行政機関が人又は物に対して実力を行使する事実行為をいう。即時強制は、緊急の危険から私人を保護することや、公共の秩序や民衆に危険が及ぶことを防止することを目的としており、その実施の判断は行政機関の裁量に委ねられる必要があるため、原則として即時強制を実施するための根拠規定は不要である。 エ. 国税徴収法は、国税債権の徴収に関わる手続を定めているが、同法に定められている厳格な手続は、国税債権以外の行政上の金銭債権の徴収にも広く適用されるべき一般的手続である。このため、国税債権以外の行政上の金銭債権の徴収に当たり、国税徴収法の定める徴収手続を適用する場合には、個別の法律において国税徴収法の定める徴収手続を適用するための明文の規定は不要である。
1. イ
46
No.53 行政上の義務履行確保に関する次の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政代教行の手続として、履行義務について相当の期限を定め、期限までにその義務が履行されない場合に代執行が行われる旨を戒告した上で、義務者がなお義務を履行しないときに代執行令書により代執行をなすべき時期等を通知する必要があるが、これらの戒告や通知は取消訴訟の対象となると一般に解されている。 イ. 直接強制は、緊急の場合や義務を命ずることによっては目的を達成しがたい場合に、相手方の義務の存在を前提とすることなく、行政機関が直接に身体又は財産に対して実力を行使することにより、行政上望ましい状態を実現する制度である。 ウ.執行罰は、義務を履行しない義務者に対して過料を課す旨を通知することで心理的圧迫を与え、義務を履行させる制度であり、一般法として行政代執行法の適用を受ける。また、砂防法をはじめ執行罰を認める個別法が数多く存在する。 エ. 執行罰は,代替的作為義務又は非代替的作為義務の不履行に対して適用することはできるが、不作為義務の不履行に対して適用することはできない。 オ. 行政刑罰は、刑法以外の法律に規定された犯罪に科される制裁であるが、懲役や罰金など刑法に刑名のある罰を科すものであるから、原則として刑事訴訟法の規定の適用がある。
2. ア、オ
47
No.54 行政代執行法に規定する第執行に関する記述として、妥当なのはどれか。
3. 行政庁は、国税滞納処分の例により、代執行に要した費用を徴収することができ、その代執行に要した費用については、国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権を有する。
48
No.55 行政代執行法に規定する代執行に関する記述として、妥当なのはどれか。
2. 行政庁は、法律により直接に命ぜられた行為を義務者が履行しない場合、不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときであっても、他の手段によってその履行を確保することが困難でなければ、代執行はできない。
49
No.56 行政法学上の執行罰又は直接強制に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
4. 直接強制は、義務者の身体又は財産に対し、直接に実力を加え、義務が履行された状態を実現させる強制執行制度であり、個別法で特に定められた場合にのみ認められる。
50
No.57 行政法学上の行政強制に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。
5. 最高裁判所の判例では、農業共済組合が組合員に対して有する農作物共済掛金の債権について、行政上の強制徴収の手段を与えられながら、強制徴収の手段によることなく、一般私法上の債権と同様に訴えを提起し、民事訴訟法上の強制執行の手段によって実現を図ることは許されないとした。
51
No.58 行政強制に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 直接強制とは,行政上の義務を義務者が履行しない場合に、行政庁が義務者の身体又は財産に直接実力を加え、義務が履行されたのと同一の状態を実現することをいう。 イ. 即時強制とは、あらかじめ課された義務の存在を前提とせず、行政上の目的を達するため、直接身体又は財産に対して有形力を行使することをいう。 ウ. 即時強制は、時間的に切迫した状況で行われることから、いかなる場合であっても、裁判官の令状が権限発動の要件とされることはない。 エ. 行政代執行の対象となる行政上の義務は、法律によって直接に命ぜられたものだけではなく、法律の委任に基づいて制定される条例による義務の場合も、行政代執行法に基づく代執行を行うことができる。 オ. 地方公共団体は、条例に基づき行政庁により命ぜられた行為を義務者が履行しない場合に備えて、直接強制の規定を条例に置くことができる。
4. ア、イ、エ
52
No.59 市内に住むYは、建築物甲の建築を計画し、X市に置かれている建築主事に対し、建築確認の申請を行ったが、甲の建築計画は建築関係規定に適合していたかったため、建築確認を受けることができなかった。しかし、Yはそのまま甲の建築に着手したため、X市長は、建築基準法第9条第1項に基づく工事施工停止命令を出した。それにもかかわらず、Yは、その命令を無視して建築を続けたため、同法第98条第1項により、罰金刑に処せられた。その後、Yは、完成した甲について、同法第9条第1項に基づき除却を命ぜられたが、これにも従わずにいたため、行政代教行法の定めるところに従い、甲は代執行により除却された。この事例に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア.X市長は、工事施工停止命令を行政代執行法に基づいて実現できる。 イ. X市長は、建築基準法第9条第1項を根拠に、直接強制によって、工事施工停止命令を実現できる。 ウ. 甲の除却に要した費用は、民事訴訟を提起することなく、Yから徴収することができる。 エ. 工事施工停止命令に反したことを理由として科される罰金刑は執行罰に当たり、停止命令に従うまで何度でもYに科すことができる。
3. ウ
53
No.66 行政法学上の法規命令に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
3. 法規命令のうち委任命令は、法律の委任に基づいて法律事項を定めた命令であり、法律による個別的で具体的な委任がある場合には、委任命令に罰則を設けることができる。
54
No.67 行政法学上の法規命令に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
1. 法規命令は、公布されること及び施行期日が到来することによってその効力を生じ、規則の形式をとることもある。
55
No.68 行政立法に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政庁がその裁量に任された事項について裁量権行使の準則を定める場合、国民の権利義務に影響を与えることから、その設定には法律の根拠が必要である。 イ. 法律上、被勾留者との接見が原則として許されているにもかかわらず、当該法律の委任を受けた規則において14歳未満の者に原則として接見を許さないと規定していることは、法律の委任の範囲を超えており、当該規定は無効であるとするのが判例である。 ウ. 従来非課税措置が採られていた物品に、通達を契機として課税処分がされた場合には、当該通達の内容が法律の正しい解釈に合致するとしても、当該課税処分は、法律に基づく処分と解することはできないため、無効であるとするのが判例である。 エ. 行政手続法上、命令等を定める機関が命令等を定めようとする場合には広く一般の意見を求めなければならないとされており、意見提出をすることができる者も当該命令等の利害関係者に限定されていない。 オ. 行政手続法上、命令等を定める機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならないとされている。
5. イ、エ、オ
56
No.69 行政立法に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 明治憲法においては、議会と関わりなく天皇が自ら規範を定立することができたが、現行憲法においては、国会が「国の唯一の立法機関」とされているため、国会と無関係に行政機関が法規命令を制定することはできない。 イ. 法律を執行するために定められる執行命令については、その執行の手続の適正を担保するため、たとえ権利・義務の内容を新たに定立するものではなくとも、具体的な法律の根拠が必要であると一般に解されている。 ウ. 委任命令を制定する行政機関は、委任の趣旨に従って命令を制定することになるところ、委任の趣旨をどのように具体化するかについては、法の委任の趣旨を逸脱しない範囲内において、当該行政機関に専門技術的な観点からの一定の裁量権が認められるとするのが判例である。 エ. 告示は、行政機関の意思決定や一定の事項を国民に周知させるための形式の一つであり、法規としての性質を有するものはないとするのが判例である。 オ. 通達を機縁として課税処分が行われたとしても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、当該課税処分は、法の根拠に基づく処分と解され、租税法律主義に反しないとするのが判例である。
4. ア、ウ、オ
57
No.70 行政立法に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 法規命令は国民の権利義務にかかわる行政立法であり、その制定には法律の授権が必要とされるが、必要とされる授権の程度は委任命と執行命令とで異なり、委任命令の制定は法律の一般的授権で足りる一方、執行命令の制定には具体的な法律の根拠が必要とされる。 イ. 法規命令は、政令、府省令、規則の形式をとるのが通例であるが、このうち政令は、内閣総理大臣が独自の判断で制定できるものであり、閣議における合意を要しない。 ウ. 行政の統一性を確保するための、法令解釈の基準である解釈基準の定立権は、上級行政機関の有する指揮監督権に当然含まれると解されており、このような解釈基準としての通達は、下級行政機関を拘束する。 エ. 行政の統一性を確保するための、法令解釈の基準である解釈基準が設定され、かつ、行政機関がこれに則って行政処分をしたときは、当該処分が適法か否かについての司法の審査は、まず、その解釈基準に不合理な点があるかどうかについてなされることになる。 オ. 行政機関は、法規命令を制定しようとする場合は行政手続法上の意見公募手続を行わなければならないが、許認可に当たっての審査基準や不利益処分についての処分基準を定めようとする場合に当該意見公募手続を実施するか否かの判断は、各機関の長に委ねられている。
2. ウ
58
No.71 墓地、埋葬等に関する法律には、墓地等の管理者が埋葬の求めを受けたときは、「正当の理由」がなければ埋葬等を拒んではならないと規定され、これに違反した場合の罰則も定められている。この「正当の理由」の解釈について、「埋葬の依頼者が他の宗教団体の者であることのみを理由としてこの求めを拒むことは、『正当の理由』には該当しない」旨の通達が発せられている。この通達に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。 参考)墓地、埋葬等に関する法律 第13条 墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。
1. この通達は国民の権利義務に具体的直接的な影響を及ぼすような行政処分等ではないことから、国民はこれに対する取消訴訟を提起することはできないとするのが判例である。
59
No.72 行政契約に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 国の契約等を規律する会計法では、入札参加者を限定しないで競争入札を行い、予定価格の範囲内で国にとって最も有利な価格を提示した者を落札させる一般競争入札が原則となっていたが、不誠実な者が落札する場合が増加していることに鑑み、同法が改正され、現在では、不誠実な者を排除し、信頼性の高い者を選択することができることが長所とされる指名競争入札が原則となっている。 イ. 行政契約は、行政作用の一形態であるため、行政事件訴訟法上の「行政庁の公権力の行使」に当たると一般に解されている。このことから、行政契約に対して不服のある者は、民事訴訟ではなく、抗告訴訟で争うこととなる。 ウ. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律には、処分業者による事業の廃止、処理施設の廃止については、知事に対する届出で足りる旨が規定されているものの、処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることではなく、その結果、同法に基づく知事の許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったときは、知事の専権に属する許可権限を制約することになり、同法に抵触するとするのが判例である。 エ. 行政契約には、基本的には民法の契約法理が適用されるが、その契約が私人間で一般的に用いられている売買契約であったとしても、契約自由の原則がそのまま貫徹されるわけではなく、平等原則等の行政法の一般原則が適用される。 オ. 行政契約は、契約や協定の当事者のみを拘束するのが原則であるが、建築基準法上の建築協定や、都市緑地法上の緑地協定等のように、私人間で協定を締結し、行政庁から認可を受けることにより、協定の当事者以外の第三者に対しても効果を持つものがある。
3. エ、オ
60
No.73 行政法学上の行政契約に関する記述として、最高裁判所の判決に照らして、妥当なのはどれか。
5. 産業廃棄物処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、知事の許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあっても、廃棄物処理法に何ら抵触するものではなく、当該協定中の期限条項の法的拘束力を否定することはできないとした。
61
No.74 行政契約に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
3. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく都道府県知事の許可を受けた処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、同法に何ら抵触するものではないとするのが判例である。
62
No.75 行政契約に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
3. 行政契約は、契約や協定の当事者のみを拘束するのが原則であるが、建築基準法上の建築協定や、景観法上の景観協定のように、私人間で協定を締結し、行政庁から認可を受けることにより、協定の当事者以外の第三者に対しても効力を有するものがある。
63
No.79 行政指導に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政指導は、行政行為と異なり事実行為である表示行為とされるので、行政指導が違法であるとしても、相手方はその取消しを求めて取消訴訟を提起することは原則として認められないと一般に解されている。 イ. 行政指導は事実行為であり、相手方にはこれに従うべき法的義務がないため、行政指導に従ったことにより損害が発生した場合には、それが違法な行政指導であったとしても、損害賠償請求は認められないとするのが判例である。 ウ. 行政手続法上、行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の内容等を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、原則としてこれを交付しなければならないとされている。 エ. 行政手続法上、行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の内容及び責任者を明確に示さなければならないが、当該行政指導の趣旨については示さなくてもよいとされている。 オ. 行政手続法上、申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならないとされている。
4. ア、ウ、オ
64
No.80 行政指導に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
5. 建築主が、建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐって生じた付近住民との紛争につき、地方公共団体の行政指導に応じて住民と協議を始めた場合でも、その後、建築主事に対し、申請に対する処分を留保されたままでの行政指導には協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明して申請に対し直ちに応答すべきことを求めたときは、行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで建築主事が申請に対する処分を留保することは、違法であるとするのが判例である。
65
No.81 行政指導に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なのはどれか。
5. 地方公共団体が、地域の生活環境の維持、向上を図るため、建築主に対し、建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行った場合において、建築主が、建築主事に対し、建築確認処分を留保されたままでは行政指導に協力できないという意思を真摯かつ明確に表明し、建築確認申請に対し直ちに応答すべきことを求めたときは、特段の事情が存在しない限り、それ以後の、当該行政指導が行われていることのみを理由とする建築確認処分の留保は違法となる。
66
No.82 行政指導に関するア〜エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 建築確認申請に対して応答を留保した上で行政指導をした場合において、建築主が行政指導に不協力・不服従の意思を表明しているときには、建築主が受ける不利益と行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量し、建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情が存在しない限り、行政指導による確認処分の留保は違法になる。しかし、建築主がいったん行政指導に応じた場合には、行政指導を理由とする確認処分の留保が違法となることはない。 イ. 市が、建設業者から受けた給水契約の申込みに対し、当該業者が指導要綱に基づく行政指導に従わないことを理由に当該契約の締結を拒否することは、それが公序良俗違反を助長することとなるような事情がない限り、水道法に基づき給水契約の締結を拒むことができる「正当の理由」があるといえるため、適法である。 ウ. 法律に直接の根拠を持たない製品価格に関する行政指導であっても、これを必要とする事情がある場合に、これに対処するため社会通念上相当と認められる方法によって行われ、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという独禁法(注)の究極の目的に実質的に抵触しないものである限り、違法とはいえない。 エ. 市がマンションを建築しようとする事業主に対して指導要綱に基づき教育施設負担金の寄付を求めた場合において、当該指導要綱の内容が、これに従わない事業主には水道の給水を拒否するなどの制裁措置を背景として義務を課するもので、市が当該負担金の納付を求めた当時、これに従うことのできない事業主は事実上建築等を断念せざるを得なくなっており、現に指導要綱に従わない事業主が建築したマンションについて水道の給水等を拒否していたときは、市が当該負担金の納付を求める行為は行政指導の限度を超え、国家賠償法第1条第1項の違法な公権力の行使に当たる。
5. ウ、エ
67
No.83 行政手続法に規定する行政指導に関する記述として、妥当なのはどれか。
4. 許認可等をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。
68
No.84 行政手続に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
1. 申請により求められた許認可等を行政庁が拒否する処分をする際に求められる理由付記の程度については、単に処分の根拠規定を示すだけでは、当該規定の適用の基礎となった事実関係をも当然知り得るような場合は別として、不十分であるとするのが判例である。
69
No.85 行政指導に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 行政手続法は、行政指導の内容はあくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであり、行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない旨を定めている。 イ. 行政手続法は、行政指導に携わる者は、その相手方に対し、書面で当該行政指導の趣旨、内容及び責任者を明確にしなければならない旨を定めており、口頭で行政指導を行うことは認められない。 ウ. 行政手続法上、同一目的で複数の者に対し行政指導をしようとするときに行政機関が定めることとされている行政指導指針は、意見公募手続の対象となる「命令等」に含まれない。 エ. 行政指導は事実行為であるが、行政目的達成のための手段として用いられているのであるから、法律による行政の原理との関係から、行政指導は、一般に法律の具体的根拠に基づく必要があるとするのが判例である。 オ. 地方公共団体の機関が行う行政指導には、行政手続法の行政指導に関する章の規定は適用されないが、同法は、地方公共団体に対し、適用除外とされた手続について、同法の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないとしている。
2. ア、オ
70
No.86 行政手続法に規定する行政指導に関する記述として、妥当なのはどれか。
5. 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関はあらかじめ事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。
71
No.87 行政指導に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 行政指導は事実行為であり、相手方に対する直接の強制力を有するものではないが、私人の権利利益を侵害する場合もあることから、行政指導には原則として法律の具体的根拠が要求されるとするのが判例である。 イ. 行政指導として、一定規模以上の宅地開発を行おうとする事業主に対して教育施設の充実のための寄付金の納付を求めることは、その目的が乱開発から生活環境を守るためという正当なものである場合は、事業主に事実上当該寄付金の納付を強制するものであっても、違法ということはできないとするのが判例である。 ウ. 地方公共団体が継続的な施策を決定した後に社会情勢の変動等により施策が変更された場合、当該決定が特定の者に対し特定内容の活動を促す勧告・勧誘を伴い、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金等に相応する効果を生じ得る性質のものである等の事情があるときであっても、その者との間に当該施策の維持を内容とする契約が締結されていないときは、当該変更によりその者に損害が生じた場合であっても、地方公共団体の不法行為責任は生じないとするのが判例である。 エ. 地方公共団体が、地域の生活環境の維持、向上を図るため、建築主に対し、建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行った場合において、建築主が、建築主事に対し、建築確認処分を留保されたままでは行政指導に従わないという意思を真しかつ明確に表明し、建築確認申請に対し直ちに応答することを求めたときは、特段の事情がない限り、それ以後の行政指導を理由とする建築確認処分の留保は違法となるとするのが判例である。 オ. 行政指導が仮に違法であるとしても、行政指導は直接の法的効果を持つものではなく、行政庁の処分に当たらないので、相手方がその取消しを求めて取消訴訟を提起することは原則として認められないと一般に解されている。
5. エ、オ
72
No.88 行政指導に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
3. 何人も、法令に違反する事実があり、その是正のためにされるべき行政指導がされていないと思料する場合は、当該行政指導の根拠となる規定が法律に置かれているときに限り、当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導をすることを求めることができる。
73
No.89 国家賠償法に規定する公務員の公権力の行使に係る損害賠償責任に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。
5. 裁判官がした争訟の裁判につき国の損害賠償責任が肯定されるためには、その裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず、当該裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする。
74
No.90 国家賠償法に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。
1. 税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法第1条第1項にいう違法があったとの評価を受けるものではない。
75
No.91 国家賠償法第1条に関するア〜エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し、実務上の取扱いも分かれていて、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に、公務員がその一方の見解を正当と解してこれに立脚して公務を執行したときは、後にその執行が違法と判断されたからといって、直ちに当該公務員に国家賠償法第1条第1項にいう過失があったものとすることは相当でない。 イ. 警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故により第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為が国家賠償法第1条第1項の適用上違法であるというためには、追跡が現行犯逮捕、職務質問等の職務の目的を遂行する上で不必要であるか、又は逃走車両の走行の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無・内容に照らして追跡の開始、継続若しくは方法が不相当であることを要する。 ウ. 保健所に対する国の嘱託に基づいて公共団体の職員である保健所勤務の医師が国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行った場合、当該医師の行った検診行為は国の公権力の行使に当たる公務員の職務上の行為と解すべきであり、当該医師の行った検診に過誤があったため受診者が損害を受けたときは、国は国家賠償法第1条第1項の規定による損害賠償責任を負う。 エ. 国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合において、当該被用者の行為が国又は公共団体の公権力の行使に当たるとして国又は公共団体が被害者に対して国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償責任を負うときであっても、同項は組織法上の公務員ではないが国家賠償法上の公務員に該当する者の使用者の不法行為責任まで排除する趣旨ではないから、使用者は民法第715条に基づく損害賠償責任を負う。
1. ア、イ
76
No.92 国家賠償に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 国家賠償法第1条第1項にいう「公権力の行使」について、公立学校は国又は公共団体に該当せず、公立学校における教師の教育活動は公権力の行使には含まれないため、市立中学校において体育の授業中に教師の注意義務違反により生じた事故は、国家賠償の対象とはならない。 イ. 裁判官がした争訟の裁判について、国家賠償法第1条第1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには、上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでなく、当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官に付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認められるような特別の事情が必要である。 ウ. 国会議員は、立法に関し、国民全体に対する政治的責任のみならず、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務も負っていることから、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行ったというような特別の事情がなくても、法律の内容が違憲である場合は当該立法が違法となるため、国会議員の立法行為は原則として国家賠償の対象となる。 エ. 税務署長が行った所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、直ちに国家賠償法上違法とはならず、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定・判断する上で、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認められるような事情がある場合に限り、違法の評価を受ける。 オ. 犯罪の被害者が公訴の提起によって受ける利益は、公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないから、被害者は、検察官の不起訴処分の違法を理由として、国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求をすることはできない。
5. イ、エ、オ
77
No.93 国家賠償法に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 国会議員は、立法に関しては、国民全体に対する関係で政治的責任を負っており、また、立法行為を通して個別の国民の権利に対応した関係での法的義務も負っているから、国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している場合には、国家賠償法第1条第1項の規定の適用上、違法の評価を受ける。 イ. 税務署長が行う所得税の更正は、課税要件事実を認定・判断する上において、必要な資料を収集せず、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような場合は当然のこと、所得金額を過大に認定し更正処分を行った場合においては、そのことを理由として直ちに国家賠償法第1条第1項にいう違法の評価を受ける。 ウ. 宅地建物取引業法における免許制度は、宅地建物取引業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止等を直接的な目的とするものではなく、こうした損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられているというべきであるから、知事等による免許の付与ないし更新それ自体は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者の不正な行為により損害を被った取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法第1条第1項にいう違法な行為に当たるものではない。 エ. 国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為が存在しなければ、被害が生じることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、これによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、加害行為の不特定を理由に国家賠償法上の損害賠償責任を免れることができない。 オ. およそ警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のある者を停止させて質問し、現行犯人を現認した場合には速やかにその検挙又は逮捕に当たる職責を負っていることから、警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故により第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為の違法性を判断するに当たっては、その目的が正当かつ合理的なものであるか否かについてのみ判断すれば足りる。
3. ウ、エ
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No.95 国家賠償に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 保健所に対する国の嘱託に基づいて地方公共団体の職員である保健所勤務の医師が国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行った場合において、当該医師の行った検診又はその結果の報告に過誤があったため受診者が損害を受けたときは、国は、国家賠償法第1条第1項による損害賠償責任を負う。 イ. 国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合であっても、当該被用者の行為が国又は公共団体の公権力の行使に当たるとして国又は公共団体が国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償責任を負うときは、使用者は民法715条に基づく損害賠償責任を負わない。 ウ. 裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによって当然に国家賠償法第1条第1項のいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任の問題が生じるものではないが、国の損害賠償責任が肯定されるために、当該裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認められるような特別の事情があることまで必要となるものではない。 エ. 国会議員の立法行為又は立法不作為は、その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国家賠償法第1条第1項の適用上、違法の評価を受ける。 オ. 行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするためには、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではないが、当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としている場合には、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるときであっても、取消訴訟等の手続を経ることなく国家賠償請求をすることはできない。
2. イ、エ
79
No.96 国家賠償法に規定する公の営造物の設置又は管理の瑕疵に基づく損害賠償請求に関するA〜Dの記述のうち、最高裁判所の判例に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。 A. 道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努める義務を負うため、故障した大型貨物自動車が87時間にわたって放置され、道路の安全性を著しく欠如する状態であったにもかかわらず、道路の安全性を保持するために必要とされる措置を全く講じていなかった場合には、道路管理に瑕疵があり、当該道路管理者は損害賠償責任を負うとした。 B. 工事実施基本計画が策定され、当該計画に準拠して改修、整備がされた河川は、当時の防災技術の水準に照らして通常予測し、かつ、回避し得る水害を未然に防止するに足りる安全性を備えるだけでは不十分であり、水害が発生した場合において、当該河川の改修、整備がされた段階において想定された規模の洪水から当該水害の発生の危険を通常予測することができなかった場合にも、河川管理者は損害賠償責任を負うとした。 C. 校庭内の設備等の設置管理者は、公立学校の校庭開放において、テニスコートの審判台が本来の用法に従って安全であるべきことについて責任を負うのは当然として、幼児を含む一般市民の校庭内における安全につき全面的な責任を負うため、通常予測し得ない行動の結果生じた事故についても、当該設置管理者は損害賠償責任を負うとした。 D. 国家賠償法の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態であるが、営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合も含み、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれも含むため、国際空港に離着陸する航空機の騒音等による周辺住民の被害の発生は、当該空港の設置、管理の瑕疵の概念に含まれ、当該空港の設置管理者は損害賠償責任を負うとした。
3. A.D
80
No.97 国家賠償法に規定する公の営造物の設置又は管理の瑕疵に基づく損害賠償請求に関するA〜Dの記述のうち、最高裁判所の判例に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。 A. 道路の安全性を著しく欠如する状態で、道路上に故障車が約87時間放置されていたのに、道路管理者がこれを知らず、道路の安全保持のために必要な措置を全く講じていなかったというような状況のもとにおいても、道路交通法上、道路における危険を防止するために、違法駐車に対して規制を行うのは警察官であるから、当該道路管理者は損害賠償責任を負わない。 B. 国家賠償法にいう公の営造物の管理者は、必ずしも当該営造物について法律上の管理権ないしは所有権、賃借権等の権原を有している者に限られるものではなく、事実上の管理をしているにすぎない国又は公共団体も同法にいう公の営造物の管理者に含まれる。 C. 未改修である河川の管理についての瑕疵の有無は、河川管理における財政的、技術的及び社会的諸制約の下でも、過渡的な安全性をもって足りるものではなく、通常予測される災害に対応する安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきである。 D. 幼児が、公立中学校の校庭内のテニスコートの審判台に昇り、その後部から降りようとしたために転倒した審判台の下敷きになって死亡した場合において、当該審判台には、本来の用法に従って使用する限り、転倒の危険がなく、当該幼児の行動が当該審判台の設置管理者の通常予測し得ない異常なものであったという事実関係の下では、設置管理者は損害賠償責任を負わない。
5. B.D
81
No.98 国家賠償法に規定する公の営造物の設置管理の瑕疵に関する記述として、妥当なのはどれか。
3. 最高裁判所の判例では、高知落石事件において、国家賠償法の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、これに基づく国及び公共団体の賠償責任については、その過失の存在を必要としないとした。
82
No.99 国家賠償法第2条に関する次の記述のうち、判例に照らし、最も妥当なのはどれか。
3. 未改修河川又は改修の不十分な河川の安全性としては、河川の管理に内在する諸制約の下で一般に施行されてきた治水事業による河川の改修、整備の過程に対応する過渡的な安全性をもって足り、河川管理についての瑕疵の有無は、諸制約の下での同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認し得る安全性を備えているかどうかを基準として判断すべきである。
83
No.100 国家賠償法が定める公の営造物の設置又は管理の瑕疵責任に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。 ア. 国家賠償法第2条第1項にいう「公の営造物」には、不動産だけでなく、動産も含まれうると解されている。 イ. 国家賠償法第2条第1項にいう「公の営造物」には、道路等の人工公物だけでなく、河川等の自然公物も含まれる。このうち、道路等の人工公物については、供用開始行為により供用が始まることから、使用開始決定がなされていることが、公の営造物となるための必須の要件であると解されている。 ウ. 国家賠償法第2条第1項にいう「管理」は、国又は公共団体の法律上又は条例上の管理権ないしは所有権、賃借権等の権原に基づく管理に限られ、国又は公共団体の事実上の管理は含まれないとするのが判例である。 エ. 国家賠償法第2条第1項上、「営造物の設置又は管理に瑕疵があった」とされる安全性の欠如とは、当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によって一般的に他人に危害を生ぜしめる危険性がある場合のみならず、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合も含み、また、その危害は、当該営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するものも含むと解すべきであるとするのが判例である。 オ. 公の営造物の設置又は管理に瑕疵があるため国又は公共団体が国家賠償法第2条第1項の規定により責任を負う場合において、当該営造物の設置又は管理に当たる者とその設置又は管理の費用の負担者とが異なるときは、その双方が損害賠償責任を負うこととなるが、当該営造物の設置費用につき補助金を交付する者も、当該営造物の設置費用の負担者に含まれることがあるとするのが判例である。
3. ア、エ、オ
84
No.101 国家補償に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 国家賠償法第1条は、公務員が「その職務を行うについて」と規定し、公務員による侵害行為が「職務行為」であることを要件とする。したがって、警察官が非番の日に制服を着用し、銃で人を射殺した場合、その行為は同条にいう「職務行為」には含まれず、国及び公共団体は損害賠償責任を負わない。 イ. 国又は公共団体に属する一人又は数人の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、当該一連の行為のうちのいずれかに故意又は過失による違法行為があったのでなければ被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、これによる被害につき専ら国又は公共団体が国家賠償法上又は民法上賠償責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、加害行為の不特定の故をもって損害賠償責任を免れることはできない。 ウ. 国家賠償法第2条第1項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵があったとみられるかどうかは、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して判断すべきものであり、道路のガードレール上で遊んでいた子供が転落してけがをした場合、当該ガードレールには本来有すべき安全性に欠けるところがなく、それが当該ガードレールの通常の用法に即しない行動の結果生じたものであっても、営造物の設置又は管理に瑕疵があったとして、その設置管理者は損害賠償責任を負う。 エ. 国家賠償法第2条第1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態をいい、その営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によって危害を生ぜしめる危険性がある場合を指すが、その営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合は含まれない。 オ. 財産上の犠牲が単に一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超え、特別の犠牲を課したものである場合には、これについて損失補償に関する規定がなくても、憲法第29第3項を直接の根拠にして、補償請求をする余地がないわけではない。
3. イ、オ
85
No.102 国家賠償法に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。 ア. 外国人が被害者である場合には、国家賠償法1条では、相互の保証があるときに限り、国又は公共団体が損害賠償責任を負うが、同法2条の責任については、相互の保証がないときであっても、被害者である外国人に対する国家賠償責任が生ずる。 イ. 国又は公共団体の不作為は、国家賠償法1条の「公権力の行使」とはいえないが、権限の不行使が著しく不合理と認められる場合は、民法上の不法行為責任を免れるものではない。 ウ. 国家賠償法第1条第1項にいう公務員は、公務員法制(国家公務員法・地方公務員法等)によってその法的身分が定められている身分上の公務員に限定されず、公権力の行使を委ねられている者を含むと解釈されており、民間人が公務を委託されているような場合にも、国家賠償法の適用があり得る。 エ. 国家賠償法2条の「公の営造物」には、不動産だけでなく動産も含まれ、同条に基づく賠償請求権の成立については故意・過失の存在は必要とされないが、不可抗力又は回避可能性のない場合は免責される。 オ. 国道が通常有すべき安全性をいていたとしても、安全性を確保するための費用の額が相当の多額にのぼり、予算措置が困難である場合は、国又は公共団体が当該道路の管理の瑕疵によって生じた損害の賠償責任を負うことはない。
4. ウ、エ
86
No.103 国家賠償法に関するA〜Dの記述のうち、判例、通説に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。 A. 最高裁判所の判例では、検察官がした公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示であり、検察官の心証は、判決時における心証と異なり、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるから、刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに違法となるものではないとした。 B. 最高裁判所の判例では、警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故によって第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為が国家賠償法の適用上違法であるというためには、追跡が現行犯逮捕等の職務を遂行する上で不必要であるか、又は予測される被害発生の具体的危険性の有無・内容に照らして追跡の開始、継続若しくは方法が不相当であることを要するとした。 C. 国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、重大な過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体はこれを賠償しなければならないが、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有しない。 D. 日本国憲法の基本的人権は外国人にも保障されるので公務員の不法行為による被害者が外国人であるときは、いかなる場合であっても国家賠償法の規定は適用される。
1. A.B
87
No.104 国家賠償法に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 公権力の行使に当たる公務員の職務行為による損害につき、国が国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償責任を負う場合において、被害者が違法行為を行った公務員個人に対して直接損害の賠償を請求することは、当該公務員に故意又は重過失があるときに認められる。 イ. 知事が宅地建物取引業者に対して宅地建物取引業法所定の免許の付与ないし更新をしたところ、当該業者が不正な行為を行ったことにより個々の取引関係者が損害を被った場合、当該免許の付与ないし更新が同法所定の免許基準に適合しないときであっても、当該免許の付与ないし更新それ自体は、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法第1条第1項にいう違法な行為に当たるものではない。 ウ. 裁判官がした争訟の裁判については、その裁判内容に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、上訴等の訴訟法上の救済方法が存在するため、当該裁判官の主観のいかんを問わず、国家賠償法第1条第1項が適用されることはない。 エ. 国家賠償法第2条第1項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうが、そこにいう安全性の欠如とは、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、また、その危害は、当該営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含む。 オ. 国家賠償法第3条第1項所定の設置費用の負担者とは、公の営造物の設置費用につき法律上負担義務を負う者のみを意味するため、公の営造物の設置者である地方公共団体に対して営造物の設置費用に充てるための補助金を交付したにすぎない国は、同項に基づく公の営造物の設置費用の負担者としての損害賠償責任を負わない。
4. イ、エ
88
No.105 国家賠償法に関する記述として、妥当なのはどれか。
5. 最高裁判所の判例では、厚生大臣が医薬品の副作用による被害の発生を防止するために薬事法上の権限を行使しなかったことが、副作用を含めた当該医薬品に関するその時点における医学的、薬学的知見の下、薬事法の目的及び厚生大臣に付与された権限の性質等に照らし、その許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、国家賠償法の適用上、違法となるとした。
89
No.106 国家賠償法に関するA〜Dの記述のうち、最高裁判所の判例に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。 A. 第一次出火の際の残り火が再燃して発生した火災については、消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠った過失がある以上、消防署職員の重大な過失の有無を判断することなく、国又は公共団体は、国家賠償法により損害を賠償する義務があるとした。 B. 市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に損害を与えた場合、当該教諭の給料その他の給与を負担する都道府県が国家賠償法に従い当該生徒に対して損害を賠償したときは、当該中学校を設置する市町村が国家賠償法にいう内部関係でその損害を賠償する責任ある者であり、当該都道府県は、賠償した損害の全額を当該市町村に対し求償することができるとした。 C. 都道府県による児童福祉法の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設において、国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合であっても、当該被用者の行為が国又は公共団体の公権力の行使に当たるとして国又は公共団体の被害者に対して国家賠償法に基づく損害賠償責任を負う場合には、被用者個人のみならず使用者も民法に基づく損害賠償責任を負わないとした。 D. じん肺法が成立した後、通商産業大臣が石炭鉱山におけるじん肺発生所止のための鉱山保安法に基づく省令改正権限等の保安規制の権限を直ちに行使しなかったことは、保安措置の内容が多岐にわたる専門的、技術的事項であるため、その趣旨、目的に照らし、著しく合理性を欠くものとはいえず、国家賠償法上、違法とはいえないとした。
4. B.C
90
No.107 国家賠償法に関するア〜オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。 ア. 非権力的な行政活動については、民法の規定により賠償が可能であることから、国家賠償法第1条第1項にいう「公権力の行使」とは、権力的な行政活動のみを指し、公立学校における教師の教育活動等は含まれない。 イ. 国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において、他人に被害を生じさせたが、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができない場合、国又は公共団体は加害行為の不特定を理由に損害賠償責任を免れることができないが、このことは、当該一連の行為の中に国又は同一の公共団体の公務員の職務上の行為に該当しない行為が含まれている場合も同様である。 ウ. 国家賠償法第2条にいう「公の営造物の設置又は管理」とは、国等が法令所定の権限に基づき設置・管理を行うことをいい、国等が、法令に基づかず事実上管理を行っていたにすぎない場合には、同条の責任を負うことはない。 エ. 河川による水害の損害賠償請求における河川管理の瑕疵の有無については、道路の管理等の場合とは異なり、過去に発生した水害の規模、発生の頻度、改修を要する緊急性の有無等諸般の事情を総合的に考慮し、河川管理の特質に由来する財政的、技術的及び社会的諸制約の下での同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして、是認し得る安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきである。 オ. 公の営造物の設置・管理の瑕疵により、国又は公共団体が損害賠償責任を負う場合において、営造物の設置・管理者と費用負担者とが異なるときは、被害者は、設置・管理者と費用負担者のいずれに対しても、賠償請求をすることができる。
3. エ、オ
91
No.108 国家賠償に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 宅地建物取引業法(昭和55年法律第56号による改正前のもの)に基づく知事等による宅地建物取引業者への免許の付与又は更新は、同法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法第1条第1項にいう違法な行為に当たるものではない。 イ. 国家賠償法第1条の責任について、同条にいう職務を行った公務員個人に故意又は重大な過失があった場合は、国又は公共団体と連帯して当該公務員個人もその責任を負う。 ウ. 国家賠償法第1条が適用されるのは、公務員が主観的に権限行使の意思をもって行った職務執行につき違法に他人に損害を加えた場合に限られるものであり、客観的に職務執行の外形を備える行為であっても、自己の利益を図る意図をもって行った場合は、国又は公共団体は損害賠償の責任を負わない。 エ. 営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りにおいてはその施設に危害を生じさせる危険性がなくても、これを超える利用によって利用者又は第三者に対して危害を生じさせる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて、当該営造物には国家賠償法第2条第1項の営造物の設置又は管理の瑕疵がある。 オ. 国家賠償法第3条第1項は公の営造物の設置管理者と費用負担者とが異なるときは双方が損害賠償の責任を負うとしているが、同項にいう費用負担者とは、当該営造物の設置費用につき法律上負担義務を負う者に限られ、当該営造物の設置費用の一部につき補助金を交付した者は含まれない。
3. ア、エ
92
No.109 国家賠償法に関するア〜オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 国家賠償法第1条第1項にいう「公権力の行使」とは、国家統治権の優越的な意思の発動たる作用を指すため、非権力的行為である行政指導や公立学校における教師の教育活動は「公権力の行使」に当たらない。 イ. 国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合であっても、当該被用者の行為が国又は公共団体の公権力の行使に当たるものとして、国又は公共団体が、被害者に対して国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償責任を負うときには、被用者個人が民法第709条に基づく損害賠償責任を負わないのみならず、その使用者も同法715条に基づく損害賠償責任を負わない。 ウ. 国又は公共団体の公務員らによる一連の職務上の行為の過程において人に被害を生ぜしめた場合において、その一連の行為のうちいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ当該被害が生ずることはなかったであろうと認められるときは、その一連の行為の一部に国又は公共団体の公務員の職務上の行為に該当しない行為が含まれる場合であっても、国又は公共団体は、加害行為の不特定を理由に国家賠償法上の損害賠償責任を免れることはできない。 エ. 税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法第1条第1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、同項にいう違法があったとの評価を受ける。 オ. 国家賠償法第1条第1項は、公権力の行使によって私人の身体・財産に作為的に危害が加えられる場合にのみ適用され、いわゆる規制権限の不行使については、その権限を定めた法令の趣旨・目的等に照らし、その不行使が著しく合理性を欠くと認められる場合であっても、同項は適用されない。
4. イ、エ
93
No.110 国家賠償に関するア〜エの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのある場合は判例の見解による。 ア. 国家賠償法第1条第1項の規定により国又は公共団体が損害賠償責任を負う場合において、公務員の選任又は監督に当たる者と、公務員の給与その他の費用を負担する者とが異なるときは、当該費用を負担する者もまた被害者に対して損害賠償責任を負う。 イ. 県が執行する国立公園事業の施設の設置管理の瑕疵により事故が発生した場合、当該施設の設置費用について補助金を交付した国は、当該施設の瑕疵による危険を効果的に防止し得る立場にあるため、補助金の額の多少にかかわらず、公の営造物の設置費用の負担者として、損害賠償責任を負う。 ウ. 失火ノ責任ニ関スル法律は失火者個人の保護を目的とするところ、その趣旨は、公務員個人への求償が故意又は重過失の場合に制限されている国家賠償請求には妥当しないため、消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した場合における公共団体の損害賠償責任については、失火ノ責任二関スル法律は適用されない。 エ. 国家賠償法は,何人も公務員の不法行為により損害を受けたときは国又は公共団体にその賠償を求めることができると定めているから、外国人が被害者である場合であっても、日本人と異なることなく国家賠償を請求することができる。
1. ア
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No.111 国家賠償法に関するA〜Dの記述のうち、最高裁判所の判例に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。 A. 町立中学校の生徒が課外のクラブ活動中の生徒とした喧嘩により左眼を失明した事故について、課外のクラブ活動が本来生徒の自主性を尊重すべきものであることに鑑みれば、何らかの事故の発生する危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情のある場合は格別、そうでない限り、顧問の教諭としては、個々の活動に常時立会い、監視指導すべき義務までを負うものではないとした。 B. 公立図書館の職員である公務員が、閲覧に供されている図書の廃棄について、著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたとしても、当該図書の著作者は、自らの著作物が図書館に収蔵され閲覧に供されることにつき、何ら法的な権利利益を有するものではないから、本件廃棄について国家賠償法上違法となるということはできないとした。 C. 在留資格を有しない外国人に対する国民健康保険の適用について、ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し、実務上の取扱いも分かれていて、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に、公務員がその一方の見解を正当と解しこれに立脚して公務を遂行したときは、後にその執行が違法と判断されたからといって、直ちに上記公務員に過失があったものとすることは相当ではないとした。 D. 都道府県による児童福祉法の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設において、国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合、当該被用者の行為が公権力の行使に当たるとして国又は公共団体が国家賠償法に基づく損害賠償責任を負うときは、被用者個人は民法に基づく損害賠償責任を負わないが、使用者は民法に基づく損害賠償責任を負うとした。
2. A.C
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No.112 国家賠償法に関する記述のうち、妥当なのはどれか。
4. 国家賠償法第2条第1項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうが、そこにいう安全性の欠如とは、当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によって一般的に危害を生ぜしめる危険性がある場合のみならず、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、また、その危害は、当該営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むとするのが判例である。
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No.113 行政法学上の損失補償に関するA〜Dの記述のうち、最高裁判所の判例に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。 A. 国の道路工事により地下道がガソリンスタンド近隣に設置されたため、給油所経営者が消防法の位置基準に適合させるために行った地下貯蔵タンク移設工事費用の補償を請求した事件では、道路工事の施行の結果、警察違反の状態を生じ、工作物の移転を余儀なくされ損失を被ったとしても、それは道路工事の施行によって警察規制による損失がたまたま現実化するに至ったものにすぎず、このような損失は道路法の定める補償の対象には属しないものというべきであるとした。 B. 鉱業権設定後に中学校が建設されたため、鉱業権を侵害されたとして鉱業権者が損失補償を請求した事件では、公共の用に供する施設の地表地下とも一定の範囲の場所において鉱物を掘採する際の鉱業法による制限は、一般的に当然受認すべきものとされる制限の範囲をこえ、特定人に対し特別の財産上の犠牲を強いるものであるため、か憲法を根拠として損失補償を請求することができるとした。 C. 戦後の農地改革を規律する自作農創設特別措置法に基づく農地買収に対する不服申立事件では、憲法にいうところの財産権を公共の用に供する場合の正当な補償とは、その当時の経済状態において成立することを考えられる価格に基づき、合理的に算出された相当な額をいうのであって、必ずしも常にかかる価格と完全に一致することを要するものでないとした。 D. 福原輪中堤の文化的価値の補償が請求された事件では、土地収用法の通常受ける損失とは、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象としていないが、当該輪中堤は江戸時代初期から水害より村落共同体を守ってきた輪中堤の典型の一つとして歴史的、社会的、学術的価値を内包し、提防の不動産としての市場価格を形成する要素となり得るような価値を有しているため、かかる価値も補償の対象となり得るというべきであるとした。
2. A.C
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No.114 行政法学上の損失補償に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
4. 公共の用に供するために財産権を収用ないし制限された者には、法律に補償の規定がなくても、日本国憲法で定めている財産権の保障の規定に基づいて損失補償請求権が発生する。
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No.115 行政法学上の損失補償に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。
4. 戦争損害はやむを得ない犠牲なのであって、その補償は、憲法の全く予想しないところで、憲法の条項の適用の余地のない問題といわなければならず、平和条約の規定により在外資産を喪失した者は、国に対しその喪失による損害について補償を請求することはできないとした。
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No.116 損失補償に関するア〜エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。 ア. 道路工事の施行の結果、警察法規に違反する状態が生じたため、ガソリンの地下貯蔵タンクの所有者が、当該警察法規の定める技術上の基準に適合するように当該地下貯蔵タンクの移転等を余儀なくされ、これによって損失を被った場合、当該損失は、道路工事の施行を直接の原因として生じた損失であり、道路法の定める補償の対象となる。 イ. 土地収用法に基づく収用の対象となった土地が経済的・財産的価値でない学術的・文化財的価値を有している場合には、当該価値が広く客観性を有するものであると認められるときに限り、土地収用法にいう通常受ける損失として補償の対象となる。 ウ. 河川附近地制限の定める制限は、河川管理上支障のある事態の発生を事前に防止するための一般的な制限であって、何人もこれを受忍すべきものであり、また、当該制限について損失補償に関する規定もない以上、その補償を請求することはできない。 エ. 行政財産たる土地につき使用許可によって与えられた使用権は、それが期間の定めのない場合であれば、当該行政財産本来の用途又は目的上の必要を生じたときはその時点において原則として消滅すべきものであり、使用権者は、特別の事情がない限り、使用許可の取消しによる土地使用権喪失についての補償を請求することはできない。
2. エ
100
No.117 損失補償に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なのはどれか。
5. 都有の行政財産である土地につき建物所有を目的とし期間の定めなくなされた使用許可が、当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向かって取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のない限り、当該取消しによる土地使用権喪失についての補償を求めることはできない。