問題一覧
1
犯罪を共謀した者のうち、1人がその実行の着手前に、他の者に離脱の意思を表明しさえすれば、残余の者がこれを了承ず、犯罪を実行したとしても、離脱を表明した者は、共謀共同正犯の刑責を負わない。
×
2
窃盗を共謀して他人の住居に侵入し、1人が現実に金品を取した場合には、 他の1人が窃盗の着手前に犯行を思いとどまって逃走したとしても、2人に住居侵入罪及び窃盗罪の共同正犯が成立する。
○
3
甲と乙が、暴行の共謀をしたうえで共同して暴行し、甲は既に犯行が終了したと思い現場を立ち去ったが、乙がその後更に暴行を加えた場合、 甲の共謀の意思は立ち去った時点で終了すあるので、甲は、後の乙の暴行行為については責任を負わない。
×
4
殺人を企図した甲から青酸ソーダの入手を依頼された乙が、その情を知ってこれを入手し甲に手渡したところ、甲が殺人予備罪で逮捕された場合、 この行為は、同罪の幇助犯に当たるというのが判例の立場である。
×
5
1個の放火行為により現住建造物と非現住建造物とを焼損した場合には、 現住建造物等放火罪のみが成立する。
○
6
同一人が短時間のうちに同じ倉庫内から財物を同一方法で数回にわたって窃取した場合には、 数個の窃盗罪が成立する。
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7
夜間に、 人の住居に侵入する方法により窃盗を敢行する常習者が、夜間、人の住居に侵入して財物を窃取した場合には、住居侵入罪は別個に成立しない。
○
8
貴金属を窃取した者が、 情を知る第三者にその貴金属を売却した行為は、いわゆる不可罰的事後行為に該当しない。
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9
銀行預金通帳と印鑑を窃取した者が、これを使用し預金者に成り済まして、 銀行窓口で現金を払い戻す行為は、いわゆる不可罰的事後行為に該当し、別罪を構成しない。
×
10
1個の爆弾を投げ付けて同時に数人を殺害した場合には、殺害した人数だけの殺人罪が成立し、 観念的競合となる。
○
11
強盗目的で刃物を準備し、他人の住居に侵入したが、家人が不在であったため引き返した場合には、 強盗予備罪と住居侵入罪とは観念的競合となる。
○
12
観念的競合とは、1個の行為が数個の罪名に触れることをいい、例えば、保険金詐欺の目的で住宅に放火して焼損した後、失火を装って保険金をだまし取った場合には、 現住建造物等放火罪と詐欺罪は観念的競合となる。
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13
1個の行為が数個の罪名に触れる場合である観念的競合は、科刑上一罪として評価され、成立する数個の刑罰規定のうち、上限のみ最も重い法定刑を定めた規定を適用して処断される。
×
14
金品を窃取する目的で行われた住居侵入罪と窃盗罪とは 牽連犯となる。
○
15
行使の目的をもって、 偽造した有印私文書を行使した場合、有印私文書偽造罪と同行使罪は、牽連犯となる。
○
16
数個の犯罪が牽連犯となるためには、1つの犯罪とその後に行われたもう1つの犯罪が、類型的に犯罪の手段と結果という関係にあることを要し、 たまたま手段と結果の関係にあったというだけでは、牽連犯とはならない。
○
17
人を傷害する目的で行われた監禁罪と傷害罪とは、牽連犯となる
×
18
酒酔い運転中、過失により歩行者をはね、死亡させた場合の道交法 65条1項違反(酒酔い運転) の罪と過失運転致死罪との関係は、併合罪となる。
○
19
傷害を負わせた結果、 相手方が死亡し、 その後、 当該死体を遺棄した場合、 傷害致死罪と死体遺棄罪とは、観念的競合の関係にある。
×
20
単身居住者が保険金を詐取するため、 保険が掛けられている自己の住宅に放火し、 保険金を詐取した場合、 非現住建造物等放火罪と詐欺罪は、 併合罪の関係にある。
○
21
A罪、 B罪、 C罪、D罪、 E罪を順次犯した後、D罪を犯す前にC罪について禁錮以上の確定判決があった場合には、A罪B罪 C罪は1つの併合罪となり、 D罪 E罪も1つの併合罪となる。
○
22
靴で蹴る等した傷害事件について、靴を証拠品として押収した場合には、この靴を没収することができる。
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23
電柱にビラを無断で貼っていた甲を、 軽犯罪法1条33号(はり札) 違反の罪で現行犯逮捕した。 その際、 電柱に貼られた当該ビラ4枚及びそれに使用したはけ、のり在中のバケツ、これから貼ろうとして所持していたビラ35枚それぞれを証拠品と して押収した。 これら押収物は、全て没収の対象物に当たる。
×
24
心神耗弱者による行為は、その刑が必ず減軽される。
○
25
自首は、その刑が必ず減軽される。
×
26
行為者に情状酌量すべき事由がある場合には、その刑が必ず減軽される。
×
27
刑の執行猶予とは、刑を言い渡すに当たって、一定期間、その執行を猶予し、猶予期間を無事経過した場合には、刑罰権の消滅を認める制度をいう。
○
28
窃盗罪で「懲役1年6月、 4年間その刑の全部の執行を猶予する。」旨の判決を言い渡された者が、 その判決確定から3年9か月経過した後に、 再度窃盗罪で逮捕された場合、執行猶予の取消決定の確定が執行猶予期間経過後であれば、刑の言渡し の効力は失われ、 取消決定は執行不能となる。
○
29
過失により他人を負傷させる過失傷害罪は、 親告罪である。
○
30
わいせつ目的拐取罪は、 親告罪ではない。
○
31
事実を摘示することなく、 相手の外部的名誉を害し公然と人を侮辱する侮辱罪は、 親告罪である。
○
32
甲が、 妊娠している女性A及び胎児を殺害する目的で殺害行為を実行したところ、Aは胎児を死産したものの、Aは一命を取りとめた場合、 甲は、 胎児に対する殺人罪と女性Aに対する殺人未遂罪の刑責を負う。
×
33
高齢で病弱な父親と不仲になった息子が、 父親の死亡を企図して身動きのできない父親に食事や薬を与えずに死に至らしめた場合には、保護責任者遺棄致死罪ではなく殺人罪が成立する。
○
34
傷害を生じさせる方法としては、 通常、 暴行が用いられるが、暴行以外の無形的方法、あるいは不作為による場合でもよい。性病を感染させたり、人を恐怖に陥れて精神障害を起こさせたり、あるいは病気を悪化させることによる傷害罪が成立するには、暴行の故意があれば足りる。
×
35
複数人の暴行が意思の連絡なしに同一の機会に行われたことにより傷害の結果が発生し、 その傷害が誰の暴行によるか不明の場合には、暴行を行った全ての者が傷害罪の共同正犯として処罰されるところ、この同時傷害の特例は、 死亡の結果が生じた場合にも適用される。
○
36
凶器準備集合罪は、2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対して共同して害を加える目的で凶器を準備し、又はその準備があることを知って集合したときに成立するが、 既に一定の場所に集まっている複数の者がその場で共同加害の目的を有するに至って、凶器を準備した場合にも成立する。
○
37
保護責任者遺棄等罪は、被遺棄者の生命・身体に対する危険を生じさせる犯罪であるから、 例えば、 両親が病院に乳児を置き去りにした場合等、 生命に対する危険が生じていないときには、本罪は成立しない。
○
38
甲は、実子のA子 (1歳) を連れて車でパチンコ店に行き、同店の駐車場において、車に直射日光が当たっていたものの外気温が20度くらいであったため、 1時間程度なら放置しても危険がないだろうと安易に考え、 車内にA子を置いたまま車の 窓を閉め、エンジンを停止させてドアに施錠し、店内で遊技に興じていた。 1時間後に甲がA子の様子を見るために車に戻ったところ、A子は熱中症のため死亡していた場合、 甲には保護責任者遺棄致死罪が成立する。
×
39
監禁罪における監禁の方法は、不作為によることも可能であり、 例えば、倉庫の管理人が倉庫内に人がいるのに誤って鍵をかけ、その後、これに気付いたにもかかわらず、 そのまま放置していた場合には、不作為による監禁罪が成立する。
○
40
監禁を継続させる目的で行った暴行は、 監禁罪に吸収されるので暴行罪を構成しないが、被監禁者の言動等に憤慨して暴行が行われた場合には、 監禁罪に加えて暴行罪も成立する。
○
41
同一の場所に同時に数人を監禁した場合、 被害者の人数に応じた数の監禁罪が成立し、 それぞれの罪は観念的競合となる。
○
42
逮捕監禁罪は、人の身体、 行動の自由を拘束する犯罪でああるが、被害者が自由を拘束されていることを認識していることは、必ずしも要しない。
○
43
逮捕・監禁致死傷罪における死傷の結果は、 逮捕・ 監禁の手段としての行為から生じた場合に限られ、 被害者が不法な監禁状態から脱出するために自ら行った行為により死傷した場合には、逮捕・監禁致死傷罪は成立しない。
×
44
脅迫罪は、個人の意思決定の自由を保護法益とするものであるから、客体は自然人に限られ、 法人に向けて畏怖させるに足りる害悪を告知したとしても、 脅迫罪は成立しない。
○
45
脅迫罪は、害悪を通知しただけではなく、 被害者において害悪の告知を了知したときに初めて既遂に達するところ、電子メールを手段とする脅迫罪の既遂時期は、相手方のメールアドレス宛てに脅迫メールを送信し、それを相手方以外の第三者が了知しただけでは足りないが、 相手方が当該脅迫メールを直接閲読することは要せず、 害悪の内容を何らかの形で了知した時点である。
○
46
暴力団員甲は、 銀行員Aが不動産会社Bに対し不正融資をしているのを知り、Aに対して「不正融資をしていることを上司にばらされたくなかったら、100万円よこせ。」 と言ったところ、Aは甲に100万円を払う旨の契約書を交付した。 甲には、強要罪が成立する。
×
47
未成年者拐取罪は、犯罪の目的や動機のいかんを問わず成立するから、たとえ未成年者を保護・養育するためであったとしても、保護者等の意思に反して不法に自己又は第三者の実力的支配内に移せば、 本罪が成立する。
○
48
営利目的拐取罪にいう「営利の目的」とは、財産上の利益を得、又は第三者に得させる目的をいい、この利益には、被拐取者自身の負担によって得られる利益のほか、その者を第三者に引き渡して得られる利益も含まれる。
〇
49
公園で遊んでいる幼女に身代金目的で誘拐するために声をかけ、「自宅まで連れていく。」と偽って同女を自転車に乗せたが、約2キロメートル走ったところで警察官に発見されたため同女を解放した場合、身代金目的拐取罪は未遂にとどまる。
×
50
身代金目的拐取罪は、近親者その他被拐取者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、財物を交付させる目的で人を拐取することによって成立する犯罪であるから、財産上の利益を得る目的で人を拐取した場合には成立せず、その場合、営利目的拐取罪が成立する。
〇
51
強制わいせつ罪の主体は、 男性と女性の両方があり得るが、 客体については、強制性交等罪と同様に、 女性だけに限られている。
×
52
13歳未満の男女を客体とする強制わいせつ罪は、暴行・脅迫を用いることがなくても、わいせつな行為をすれば成立するところ、 13歳未満の者を13歳以上と誤信して、暴行・脅迫を用いることなく、わいせつ行為に及んだ場合であっても、 強制わいせつ罪が成立する。
×
53
強制性交等罪における暴行は、最狭義の暴行であり、強盗罪における暴行と同じく、 相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要する。
×
54
準強制性交等罪の実行の着手時期は、 性交等の行為を開始した時点であり、 性交等の行為をする目的で相手方の心身を喪失させる等の行為を開始した時点ではない。
×
55
監護者わいせつ罪にいう 「現に監護する者」 は、 生活全般にわたり、経済的・精神的観点から依存・被依存ないし保護・被保護の関係が継続的に認められていることを要し、 例えば、 被害者である生徒が通う学校の教師はこれに当たらない。
○
56
強制性交等致死傷罪は強制性交等罪の結果的加重犯であるが、強制性交等が未遂に終わっても、 強制性交等のための暴行の結果、死傷が生じた場合には、 本罪が成立する。
○
57
会社員甲は、同僚のA女を強制的に性交しようと企て、目出し帽をかぶって、 A女の住んでいるマンションに侵入し、A女を強制的に性交した。ところが、性交中にAが激しく抵抗したので、目出し帽がめくれ、甲であると知られたため、甲は、犯行の発覚を防ぎ、 性交を続けるには殺すしかないと考え、A女の首を絞めて殺害した。 この場合、 甲は強制性交等致死罪及び殺人罪の刑責を負う。
○
58
家主甲は、 家賃滞納のため賃借人との賃貸借契約を解除したが、その後も引き続き居住している賃借人を追い出すため、賃借人の意思に反してその家屋に立ち入った場合、当該行為の違法性は阻却され、 甲には住居侵入罪は成立しない。
×
59
正当な理由なく他人が居住する住居に侵入した者には、既に住居侵入罪が成立しているので、居住者が退去を求めたにもかかわらず居座った場合であっても、 不退去罪は成立しない。
○
60
名誉毀損罪が成立するためには、 人の社会的評価を低下させるおそれがある状態を生じさせれば足り、現実に人の社会的評価が害されたことは必要とされない。
○
61
Aは、同人と深い関係にあったB女に縁談が持ち上がったことを知り、これを妨害する目的で、B女との関係をはがきに書いてB女の両親に郵送した場合、 Aに名誉毀損罪が成立する。
×
62
威力業務妨害罪における 「威力」 とは、人の意思を制圧するに足りる勢力をいうところ、これは人の業務を妨害する手段として用いられなければならないが、必ずしも、直接、現に業務に従事している者に対して加えられる必要はない。
○
63
甲は、3か月にわたり、 夫婦でX医院を運営する内科医A 男と小児科医B女の自宅に対して、 深夜になると無言電話や同人らを中傷する嫌がらせ電話を繰り返し行い、その結果B女は不眠症等に陥り、小児科医を休みがちになるなど、医院運営を悪化させた。この場合、 威力業務妨害罪が成立する。
×
64
電子計算機損壊等業務妨害罪における 「損壊」 とは、電子計算機や電磁的記録を変更又は消去する等、 その効用を害することをいうが、電子計算機等に対して業務を妨害するに足りる程度の加害行為をすれば、 動作阻害という結果の発生を要しない。
×
65
いわゆる禁制品であっても、それを没収するには所定の手続によらなければならず、 占有者は一定の手続を踏まない限りその所持を奪われないという利益を有するから、 窃盗罪の客体となる。
○
66
甲は、映画館で隣席の見知らぬA女から 「電話をかけてくるので5分くらいバッグを見ていてください。」 と頼まれたところ、A女が離れた後にバッグの中の財布を抜き取りA女が戻る前に立ち去った。 甲には、 横領罪が成立する。
×
67
甲は、友人Aから車を借りて旅行中、 ダッシュボードの中から、現金在中の財布を発見し、 財布から現金を抜き取り、 自己の遊興費に充てた。 甲には、窃盗罪が成立する。
×
68
甲は、店員による店内の巡回や防犯カメラによる店内監視が行われているパチンコ店で遊戯中、 A女が店内で拾得した財布の落とし主を探していたので、 「私の財布です。」とうそをついて財布を受け取り立ち去った。 甲には、窃盗罪が成立する。
○
69
甲は、公園の植え込みに手提げバッグが置いてあるのを発見し、誰かが置き忘れたものと思い領得したが、 それは5分前にジョギングをしに来たAがその場所に置いたものだった。甲には窃盗罪が成立する。
×
70
賃貸借契約の終了後、 立退き要求を受けた賃借人が、 これに応じないで不動産に居座り続けている場合でも、賃借人に当該不動産についての占有が認められる。
○
71
会社員甲は、他の乗客Aが網棚にかばんを置き忘れて降車したのを確認し、これを持ち去った。甲は、 窃盗罪の刑責を負う。
×
72
甲女は、 預金残高のない自己名義の銀行口座に、 他人から50万円の振込みがあったことを知り、何らかの手違いであると思いながらも、これを幸いとして現金自動預払機からその現金を引き出して費消した。 甲女は、占有離脱物横領罪の刑責を負う。
×
73
仲間数人で倉庫の鍵をそれぞれが所持し、 共同保管している財物を、 共同保管者の1人が自己の単独所有に移した場合、 窃盗罪ではなく、横領罪が成立する。
×
74
封印を施し、又は梱包をした財物の保管を他人に委託した場合、その在中物の占有は依然として委託者にあるので、受託者が在中物を不法に領得したときには、 横領罪ではなく窃盗罪が成立する。
○
75
死者は、占有の意思や財物に対する事実上の支配を及ぼすことができないので、死者に占有は認められず、 占有者の死亡後に財物を奪っても占有離脱物横領罪が成立するにすぎないが、 人を殺 害した直後に領得の意思を生じて財物を取得した場合には、 被害者が生前有していた占有を保護する必要から、 他人の財物に対する占有を侵害したものとして、 殺人罪のほかに窃盗罪が成立する。
○
76
窃盗罪における窃取とは、他人の占有する財物を、その意思に反して自己又は第三者の占有に移すことをいうので、例えば、 書店内で本の内容をカメラ付携帯電話機で撮影しても、書店に対する占有侵害がないので、本罪は成立しない。
○
77
窃盗罪が成立するためには、主観的要件として不法領得の意思が必要であるから、 例えば、 元の場所に戻す意図の下に他人の自動車を一時使用した場合には、不法領得の意思が認められず、窃盗罪は成立しない。
×
78
すり犯人が被害者のポケット内に財布のあることを知り、これをすり取ろうとして被害者のポケットに触れた場合、 触れた時点で窃盗罪の実行の着手が認められる。
○
79
甲は、 深夜、 他人の住居に侵入し、 大型金庫があるのに気が付いて、金庫に近づいたところを家人に見付けられて取り押さえられた。 甲には、 窃盗未遂罪が成立する。
×
80
甲は、自動車のタイヤを盗もうと企て、 門扉のない出入りが自由な屋外駐車場に入り、 駐車してあった自動車のタイヤ4本を外して自己の車両に積み込もうとしたところを、所有者に発見されて取り押さえられた。 甲の行為は窃盗未遂罪に当たる。
×
81
財布を窃取した甲が、 当該財布に在中するキャッシュカードを使って銀行の現金自動預払機から現金を引き出した行為は、不可罰的事後行為とはならず、財布の窃取とは別に窃盗罪を構成する。
○
82
甲は、 サラ金の返済に窮したことから、 かつて勤務していたX工務店の資材置場の建築資材を自己の物のように装って誰かに売却し、借金の返済に充てようと企て、 知人の材木商Aに対して売却話を持ち掛け、Aに資材を見積もらせたうえ、 その場で現金20万円を受け取り、当該資材を持ち去らせた。 この場合、甲は、窃盗罪及び詐欺罪の刑責を負う。
○
83
伯父Aの家屋の一部を間借りしていて、 生計を別にしている甥の甲が、 Aの財物を窃取したときは、 親族相盗例が適用され、刑が免除される。
×
84
強盗罪における暴行・脅迫は、社会通念上一般に相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要するが、それによって相手方が現実に反抗を抑圧されたことは必要ない。
○
85
強盗罪における暴行は、人に向けられた有形力の行使であれば足り、物に対して有形力が行使された場合でも、 それが被害者の意思、行動の自由を制圧するものであれば、これに当たる。
○
86
強盗罪における「強取」 とは、暴行又は脅迫により、 相手方の反抗を抑圧して、財物を自己又は第三者の占有に移すことをいうところ、必ずしも被害者から奪取する必要はなく、 被害者から交付されたものであると、 被害者が気付かない間に財物を奪った場合でも、 「強取」 となる。
○
87
強盗罪の実行の着手時期は、相手方の反抗を抑圧するに足りある程度の暴行・脅迫を開始した時点であるから、強制性交の目的で被害者に暴行を加えた後、財物奪取の意思を生じ、 その抗拒不能に乗じて財物を奪取した場合には、 被害者に対して暴行を加えたときに強盗罪の実行の着手が認められる。
×
88
窃盗目的で財物を窃取した後、さらに暴行・脅迫を加えて財物を強取しようとしたが未遂に終わった場合は、 窃盗罪と強盗未遂罪は併合罪の関係になる。
×
89
2項強盗罪の成立には、 2項詐欺罪、 2項恐喝罪と同様、 被害者が債務免除の意思表示をするなど、何らかの財産的処分行為を行うことが必要である。
×
90
窃盗目的で人の住居に侵入した甲が、窃盗行為の着手前に家人に発見され、 逮捕を免れるために暴行をした場合には、事後強盗未遂罪が成立する。
×
91
甲は、通行中の女性のバッグをひったくり、 約200メートル逃走したところで、 何の事情も知らない、 警ら中のA巡査部長に呼び止められたため、 「捕まってはまずい」 と思い、 A巡査部長を突き飛ばして逃走した。 甲には、事後強盗罪が成立する。
×
92
甲は、老女から、ハンドバッグをひったくり逃走したが、 同女が大声で「どろぼう。」 と叫んだため、たまたま近くを通りかかった通行人Aが、 甲を逮捕するため、背後から抱きつこうとした。甲は逮捕を免れたい一心でとっさに前かがみになったところ、その勢いでAは路上に転倒し傷害を負った。 甲には、窃盗罪及び傷害罪が成立する。
○
93
無職の甲は、 遊興費欲しさに、ひったくりを思い立ち、 通行人のA女のハンドバッグに手を掛けたところ、 A女が悲鳴をあげたため、 何も盗らずに逃走しようとした。 その際、 何も知らずに現場近くを通行していた会社員Bと目が合い、 捕まると誤解した甲はBを突き飛ばして逃走した。 甲には事後強盗既遂罪が成立する。
×
94
行為者が性交の目的で相手方を昏酔させた後、財物奪取の意思を生じ、 昏酔に乗じて財物を奪った場合には、行為者に昏酔強盗罪が成立する。
×
95
昏酔強盗は、犯人が財物を盗取する目的で人を昏酔させることを必要とするので、他人が被害者を昏酔させたのに乗じたりして、その財物を奪取する行為は、単に窃盗罪を構成するにすぎない。 また、 本罪の実行の着手は、 例えば、 薬物を準備したり、それを飲食物に混入したりした時点で認められる。
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96
強盗致傷罪における致傷の結果は、 強盗の手段である暴行・脅迫から生じたものである必要はなく、 強盗の機会に生じたものであればよい。
○
97
強盗犯人が、殺意をもって人を殺害したときは、 強盗殺人罪を構成するが、殺害に至らず傷害を与えたにとどまったときには、 強盗致傷罪と殺人未遂罪が成立する。
×
98
強盗強制性交等罪の主体は、 強盗犯人に限られる。
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99
強盗・強制性交等罪の未遂は、 強制性交等が未遂であった場合にのみ認められるので、 強盗が未遂であっても強制性交等が既遂であれば、 強盗・強制性交等罪は既遂となる。
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100
強盗・強制性交等罪の犯人が、 強制的に性交する際に相手方に傷害を負わせた場合は、これに直接対応した規定はないので、強盗・強制性交等罪のみが成立し、致傷の結果については量刑の事情として考慮されることになる。
○