問題一覧
1
・労働衛生コンサルタントを受験した動機は?
私は内科医として糖尿病を専門としておりますが、労働環境を理由に生活習慣を改善する機会を持てない方や通院の継続が難しい方が沢山いらっしゃることを痛感しております。 ですので、将来的には労働衛生コンサルタントとして企業とは独立した立場で、職場環境の改善提案や治療と仕事の両立支援など労働者がより健康的な生活を送れるようにサポートしたいと考え、受験しました。
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・労働衛生の実績
産業医の資格はないのですが、コロナ禍の際に院内の感染対策委員を務めていました。 具体的な業務としては陽性患者さんのゾーニングや(動線管理の調整)、病棟スタッフへの個人防護具の装着法の指導を行いました。 実績としては担当する病棟では患者さん、スタッフともクラスターを起こさなかったことです。
3
・労働衛生コンサルタントとは?
労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じて報酬を得て、労働者の衛生の水準向上を図るために事業場の衛生について診断・指導する職業です
4
・労働衛生コンサルタントの根拠法は?
労働安全衛生法第81条に業務について定められています。労働安全衛生規則で資格や業務内容について詳細に定められています。
5
・労働衛生コンサルタントの義務は?
コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはなりません。コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはなりません。 コンサルタントでなくなった後も同様です。(安衛法86条)帳簿を備えて3年間保存義務あります。(コンサルタント則22条:)
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・労働衛生コンサルタントの禁忌は?
虚偽報告や報告書の内容の改竄などの法令違反行為、事業者との利益相反行為、従業員や事業所の情報漏洩などの守秘義務違反があります。
7
・労働衛生コンサルタントの独占性は?
労働衛生に関する専門的な助言・指導や第三者的立場からのコンサルティング業務です
8
・産業医とは?
事業場において労働者が健康で快適な環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師をいいます
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・産業医の業務は?
健康障害の予防と労働者の心身の健康保持・増進を目的としており、「1.総括管理」、「2.健康管理」、「3.作業管理」、「4.作業環境管理」、「5.労働衛生教育」の「5管理」に分類することが出来ます
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・働き方改革における産業医機能の強化について
①産業医・産業保健機能の強化 ●産業医に対する権限の具体化や独立性・中立性の強化 ●産業医活動と衛生委員会等との関係強化 ●産業医に対する健康管理などの必要な情報の提供の充実・強化 長時間労働者の状況や労働者の業務の状況など産業医が健康管理を適切に行うために必要な情報を提供する ●事業者への勧告ができる権限(労災が起きそうな時などの緊急事態に必要な措置を実行する) ●産業医における業務内容の周知 事業者は産業医の業務内容を労働者に周知する必要があることが定められている ②長時間労働に対する面接指導の強化
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・労働衛生コンサルタントと産業医の違いは?
産業医は組織の一員として健康管理を中心に5管理を行っていますが、労働衛生コンサルタントは企業外で独立した立場で5管理全般を幅広くかつ専門的な事柄について指導改善を行っています。 産業医は定期的な業務であることに対し、労働衛生コンサルタントは案件ごとに業務を行うのも特徴的です。
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・法律、政令、省令(規則)の違い
法律は国会により制定される法です。 政令は内閣が制定する命令で、法律の内容を具体化し実施するためのもの 省令(規則)は各大臣が制定する命令で、法律や政令の詳細な運用ルールです。 具体的には 法律は労働安全衛生法、作業環境測定法やじん肺法 政令は労働安全衛生法施行令(安衛令) 省令(規則)は労働安全衛生規則 特別規則として特定化学物質障害予防規則や鉛中毒予防規則、石綿障害予防規則、粉じん障害防止規則、
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・労働衛生に関する法令は?
労働者の労働の基準を定める基本的な法律として労働基準法があり、そこから分離独立する形で労働者の安全と衛生を確保するための労働安全衛生法が制定されました。それと別にじん肺法、作業環境測定法があります。
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・労働安全衛生法の目的は?
職場における労働者の安全と健康の確保をするとともに快適な職場環境の形成することを目的としています。
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・労働衛生管理体制とは? 法で規定されている義務は?
労働衛生管理体制とは事業場において労働衛生管理を円滑かつ効果的に推進するための組織のことです。 義務としては事業所の職種や規模に応じて総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医、安全衛生推進者、作業主任者などの責任者の選任と衛生委員会の設置です。
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・最近の労働衛生関係法令の改正は?
2024年4月1日に化学物質による労災防止のため、リスクアセスメントが義務付けられている化学物質の製造や取り扱いを行う事業場に「化学物質管理者」の選任が義務付けられ、労働者に保護具を使用させる場合は「保護具着用管理責任者」の専任が義務化されました。
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・特別安全衛生改善計画とは?
労働安全衛生法などの法令に違反して、一定期間内に複数の事業場で同様の重大な労働災害が発生した事業場に対して、厚生労働大臣が作成を指示する計画です。特別安全衛生改善計画の作成は、重大な労働災害の再発を防止するために必要とされ、計画には施設に関すること・安全衛生教育・安全衛生管理体制に関する事項・リスク低減措置などが含まれます
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・安全衛生改善計画書とは?
都道府県労働局長が安全衛生管理のための体制・職場の施設・安全教育などの面で総合的な改善を必要とする事業所を個別に指定し、労働安全衛生コンサルタントの診断(勧奨)を受け具体的な改善計画を作成させるものです
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・全国労働衛生週間のスローガンは?
推してます みんな笑顔の 健康職場
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・文書と記録の違い
文書(ドキュメント)は1つのユニットとして取り扱うことのできる、記述された情報 記録(レコード)は法的義務に従い組織または個人により証拠や情報として作成され、受領され、且つ維持される情報のこと
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・3管理、5管理とは?
3管理は作業環境管理、作業管理、健康管理です 5管理は3管理に労働衛生教育、統括管理を加えたものです。
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・作業環境管理とは?
作業環境中の有害因子を除いて良好な作業環境を確保することです。
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・作業環境管理の具体的対策は?
有害物質の製造・使用の中止、有害性の低い物質への転換、設備の密閉化・自動化・遠隔操作による有害工程の隔離、局所排気装置等による有害物質の拡散防止 や作業環境測定による管理状態のチェックなどがあります。
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・作業管理とは?
作業内容や作業方法を適切に管理し、労働者の負担や曝露を低減することです。
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・作業管理の具体的な対策は?
曝露が少なくなるような作業の手順や方法を定め、周知することや保護具の使用による人体侵入の防止などがあります
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・健康管理とは?
労働者の健康状態を健康診断等で把握して、適切な措置や保健指導を実施することで健康障害を未然に防ぎ、健康を増進するものです
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・健康管理の具体的な対策は?
定期健康診断による異常の早期発見と事後措置、保健指導 雇入れ時・特殊健康診断による適正配置の確保などがあります。
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・3管理の中で何が一番大切だと思いますか?理由と共に教えてください。
作業環境管理が最も重要だと考えます。有害物質が存在しない・低減された環境にすることで上流からハザードに対応できるからです。
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・労働衛生教育とは?
作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生管理体制についての正しい理解を深めるための教育のことです 雇い入れ時、作業内容変更時、危険有害業務に就かせるときなどに必ず行います
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・統括管理とは?
労働衛生管理体制の整備、管理計画の策定などです
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・4Sとは?それぞれ何のために必要なのか?
4Sは安全で健康な職場づくり、生産性の向上をめざす活動で、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)を行う事をいいます。 しつけ(Shitsuke)を加えて5Sも普及しています。 整理とは必要なものと不要なものを区分し不要なものを取り除くこと 整頓は必要なものを決められた場所に安全に配置し、容易に取り出せるようにしておくことです 清掃はゴミやほこりなどきれいに清掃し、仕事をやりやすく、問題点が分かるようにすることです 清潔は整理、整頓、清掃を繰り返し衛生面を保持し快適な状態を実現すること しつけは4Sが徹底され、適切に実行されるよう教育することです。
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・4Kとは何? 実践するためには衛生委員会でどのような取り決めが必要?
4kとは決意表明、高所対策、管理活性化、教育強化です 「令和4年度年末年始Safe Work推進強化期間」において、年末年始の死亡災害撲滅を目指して東京労務局が唱えた標語です。
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・KY活動とは,どうして必要なのか? KYTとは
危険予知活動の略で労働災害の発生原因となる「不安全状態」や「不安全行動」を事前に確認し、作業者自身が対策を考えて実行し労働災害を防ぐことを目的としています。 KYTは危険予知トレーニングで①職場や作業中の危険要因をチーム全員で話あい意見を出し合います。次に②最も重大で起こる可能性の高い項目を1つに絞り込み、その③危険項目について実行可能な対策を全員で出し合います。 出された対策の中で④最も有効かつ実行可能なものをチームで実施する目標として設定、設定された目標を実践行動として身につけるため⑤指差し呼称項目を設定します
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・K Y活動とリスクアセスメントの違いは?
KY活動は、個々の作業の危険予測に焦点を当てた現場作業者主体の活動であり、リスクアセスメントは、職場全体のリスクを包括的に評価し、改善策を計画する組織的な活動です。 両者は、安全衛生管理において重要な役割を果たしており、連携して実施されることで、より効果的な安全衛生管理が実現します。
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・KY活動がマンネリ化している対策は?
危険予知訓練は訓練内容が固定化されており形式的になってしまいやすいので、実施者が定期的に内容を更新し作業者が積極的に参加できる環境づくりが重要と考えます。また、訓練後にフィードバックを行い、改善点を共有することで次回に活かせる学びを得ることができます。
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・ヒヤリハット活動とは
ヒヤッとしたりハットしたりした危険情報を取り上げ、災害防止に活用する安全衛生活動のことです。危険情報を共有し解決を図ることが目的であり、当事者の責任を追及するためではないので、労働者を責めないという取り決めをして実行することが重要です。
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・フールプルーフとは?
作業者が誤った操作をしても安全装置が働き操作ができないようにした仕組みのこと。「愚か者にでも使える」という意味があり、どんな人でもミスをしない設計を意味します。フールプルーフの設計では、特定の操作を制限する機能や警告で注意を促すことで、誤操作を防いだり、誤操作に気づくことができるようにします 例えば、労働現場では加工機械をフールプループ化することで労災の予防、加工物を投入するための開口部がある機器に、内部に手が届かないよう固定ガードを設置するなどです。
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・フェイルセーフとは?
機械の故障や危険行動があっても、システムが正常に機能し続け、安全に停止できるように設計された機能や仕組みのことです。 工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドラインにおいては、システム又はこれを構成する要素が故障しても、これに起因して労働災害が発生することがないように、あらかじめ定められた安全側の状態に固定し、故障の影響を限定することにより、作業者の安全を確保する仕組みをいうとしています。
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・就業規則とは?作成義務は?
経営者からのメッセージであり、事業場のルールブックです。 労働者10人以上の事業場で作成義務があります
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・職長とは?
作業中の労働者を直接指導又は監督するもの(作業主任者を除く)をいいます。
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・AI 技術が発展しており、労働衛生の場でも利用が進むと思われます。それについてどう対処しますか?
対策をとる上で、ヒントを得たり漏れがないことを調べるツールの一つとして用いるが、個々の事例においてそのまま活用はできないので最終的に AI だけで判断しないようにする
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・作業環境測定とは
作業場における有害物質の濃度を測定し、評価を行うことです。 A測定、B測定、個人サンプラーを用いて行うC測定、D測定があります。
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・作業環境測定の手順は?
デザイン、サンプリング、分析、管理区分の決定です デザインとは測定対象、実施方法(A/B/C/D)、日時、測定する単位作業場所等について検討することです。 サンプリングは作業環境中の有害物質を試料として採取する事です。 分析とは試料に応じた分析手法を用いて、分析・評価する事です 管理区分の決定とは分析結果をもとに管理区分を決定する事です。
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・作業環境測定の実施率?
やるべき事業所のうち、実施しているのが80%-90% 9割がた管理区分1だが、管理区分3も3~6%存在している 粉じんが特に管理区分3が多くなっている
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・作業環境測定の具体的な方法は?
A・B測定を行います A測定では第1,2評価値を、B測定ではB測定値を求め、有害物質の管理濃度と比較して管理区分を決定します
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・A 測定とは?
単位作業場所における有害物質濃度の平均的分布を把握する測定です。
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・A測定の測定方法は?
6m以内の等間隔の平行線の交点から5箇所以上(20~30箇所が目安)を選択し10分以上の継続した時間で測定します
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・A測定の第1評価値とは?
A測定での単位作業場所の有害物質濃度のうち上位5%に当たる濃度です
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・A測定の第2評価値は?
A測定での単位作業場所における有害物質濃度の算術的平均値です
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・B測定とは?B測定の測定方法は?
B測定とは有害物質の発生源の近くで最高濃度を知るための測定です。 作業者の曝露が最大と思われる箇所を測定点として選択し10分間の継続した時間で測定します A B測定ともに高さは床上50cm以上150cm以下(騒音は120~150cm)
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・個人サンプリング法? C測定、D測定とは?
作業者に個人サンプラー(呼吸域)を装着して作業場所の試料採取を行い作業環境測定を行う方法です ベリリウムやマンガン、インジウムなどの低管理濃度特定化学物質や鉛、(特別)有機溶剤で発散源が一定しない作業について行います。 C測定は単位作業場所における気中有害物質の平均的な状態を把握するための測定で、A測定に変えて5人以上の作業者の体に個人サンプラーを装着し、全作業時間(最低2時間以上)試料を採取することで行う D測定は有害物質の発散源に近接する場所における作業について15分間試料空気測定を行う。
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・屋外における作業環境測定はどのように行う?
屋外作業場では個人サンプラーを用いて測定します。アクティブサンプリングはポンプで集めるため高価ですが、パッシブサンプリング(拡散式捕集方式)は吸着剤の表面に拡散することでサンプリングします。作業の開始と1年以内に1回定期に行います。ただし原料・作業工程や方法・設備の変更時にも行います。5人以上の呼吸域に装着し測定点とし、気中濃度が最大となる時間帯の10分間以上測定、管理濃度と比較します。 *屋外におけるリスクの見積もりとして、個人サンプリング法で個人曝露濃度を評価する場合は、曝露限界値と比較します。比較する基準値が異なることに注意
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・屋外において1つ以上の測定点で管理濃度を超えた場合は?
① 労働者に有効な呼吸用保護具を着用され、②健康に必要な措置を行い③施設・設備・作業工程や方法などの点検を行い、その結果に基づき改善策を講じる。
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・管理区分の決定方法は?★記述
第1管理区分はA測定で第1評価値が管理濃度未満かつB測定値が管理濃度未満の場合です 第3管理区分はA測定で第2評価値が管理濃度を超えているか、もしくはB 測定値が管理濃度の1.5倍を超えている場合です。 いずれにも該当しない場合は第2管理区分になります
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・管理濃度とは?
作業環境の良否を評価する管理区分を決定するための指標です。 管理濃度の根拠は厚労省が定めている「作業環境評価基準」で、法的拘束力があります
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・それぞれの管理区分はどういう状態か
第1管理区分はほとんどすべての場所において気中の有害物質濃度が管理濃度を超えない状態です。 第2管理区分は気中有害物質濃度の平均が管理濃度を超えない状態。第3管理区分は気中有害物質濃度の平均が管理濃度を超える状態です。
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・第1,2管理区分のそれぞれ構ずべき措置とは?
第1管理区分は現状維持に努めます 第2管理区分では施設・設備・作業工程または作業方法を点検し、作業環境の改善に必要な措置を行う努力義務があります。
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・第3管理区分の構ずべき措置とは?
直ちに施設・設備・作業工程または作業方法を点検しそれらの改善措置、有効な呼吸用保護具の着用、適切な健康診断の実施義務があります。
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・第3管理区分を改善しない場合の処罰はどのようなものがあるか?
刑事的責任として労働安全衛生法違反で書類送検され、罰金や懲役などの刑事罰が課される可能性があります。 また、労働者に健康被害が生じた場合には民事責任の安全配慮義務違反として損害賠償が求められることもあります 社会的責任としては行政指導を受ける可能性もあります
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・作業管理区分1の作業場で健康障害が起きた場合は何を考える?
測定方法やサンプリングポイントが適切であったか、保護具の使用状況、一時的な濃度の上昇があったかを確認します
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・曝露限界とは?
作業者が有害物質に曝露された際に、健康に悪影響を及ぼさないとされる濃度の限界値のことです。 許容濃度やTLV-TWAがあります。
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・許容濃度とは?
許容濃度は曝露限界の指標であり 「労働者が1日8時間、週40時間程度、普通程度の労働強度で有害物質に曝露される場合、労働者のほとんどが健康障害を生じない平均曝露濃度」のことです 許容濃度の根拠は日本産業衛生学会による勧告で、管理濃度と異なり法的拘束力はありません。
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・許容濃度と管理濃度の違いは?
許容濃度は「個人の健康障害を予防するための指標」であり、管理濃度は管理区分を決定するための作業環境の指標という点で異なります。 また、許容濃度には法的規制はありませんが、管理濃度は第3管理区分で改善がなされない場合は行政指導の対象となります。
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・許容濃度が身体的に激しくない労働強度という前提があるがなぜか
労働強度が上がると呼吸量や代謝率も増加し、有害物質の吸収量が増えるためです。これにより、激しい労働では同じ許容濃度でも健康へのリスクが高まる可能性があるため、基準値は中程度の労働環境に基づいて設定されています。
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・TLV(Threshold Limit Value)とは?
曝露限界に用いられる指標であり、アメリカ産業衛生専門家会議(ACGIH)が設定する基準で3種類があります: TWA(時間加重平均濃度): 1日8時間,週40時間繰り返し曝露しても影響のない加重平均濃度 Time-Weighted-Average 主に慢性中毒の対策に有効 STEL(短時間曝露限界値): 15分間の短時間で許される濃度。 C(Ceiliing天井値): 一瞬でも超えてはならない濃度 急性中毒の対策に有用(塩化水素、ニトログリセリンなど)
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・環境モニタリングとは?
特定の地域において、環境の状態を測定・調査し、その環境が人や他の対象物に与える影響を監視することです。
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・健康サーベイランスとは?
健康危機を早期に検知するために、さまざまな情報源を活用して公衆衛生を監視する活動のことです。感染症サーベイランスシステム、院内感染サーベイランスシステムなどがあります。
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・労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)とは何ですか?
Occupational Safety and Healthy Management Systemの略です。 ①事業者が労働者の協力のもと、②自主的に職場の安全衛生上の問題点についてリスクアセスメントを行い、③PDCAサイクルを繰り返すことによって④事業場の安全衛生水準を継続的、体系的に推進するための仕組みです。
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・ 労働安全衛生上のPDCAサイクルとは?
Plan 危険性や有害性の調査、安全衛生目標の設定 Do 安全衛生計画の実施 Check 安全衛生計画の進歩の点検、評価 Action 評価に基づく改善 これらの手順を明文化して継続できるようにします。PDCAサイクルを繰り返すことにより職場の労働衛生水準をスピンアップしていきます
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・OSHMSはなぜ必要か?
事業者が体系的に労働災害や業務上疾病のリスクを管理し、労働者の安全と健康を守るためです。効果としては労災発生率が3割減ったと言われています
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・労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)のメリットは何ですか?
各事業者のリスクに合わせた個別の労働衛生対策ができることや、事業者が主体となることで継続的・体系的に対策できること、PDCAを繰り返すことで対策のフィードバックができることです。
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・OSHMSに関する指針の改正について
R元年に改正があり、①OSHMSを運用する単位について、法人が同一である場合は複数の事業場を併せて1つの単位とすることが可能となりました ② また、健康保持増進のための活動や健康教育に関する事項を安全衛生計画に含められることが求められました。
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・JIS Q 45100とは
OSHMSの国際規格であるISO45001を和訳した日本版マネジメント規格であるJIS Q 45001Iに、4SやKY活動を取り入れた本邦独自のものです。
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・ハザードとは?リスクとは?
ハザードとは危険性・有害性そのもののことです。(発生確率の評価はされていません。)。具体例は特定化学物質、有機溶剤、鉛、粉じんといったものです。 一方、リスクとは危険性・有害性による被害が起こる確率とその重大性の組み合わせです。
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・リスクの見積もりで留意しなければいけないこと
負傷や疾病の対象者及び内容を明確に予測すること,リスクは最も重篤な場合の状況を想定し評価すること
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・リスクアセスメントとは?
職場の潜在的な危険性又は有害性をみつけ出し、これを低減・除去するための手法のことです。
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・リスクアセスメントはどのように行いますか?★記述
まず①労働者の就業に関わる危険性・有害性の特定を行います ②次に特定された危険性・有害性ごとにリスクの見積もりを行い、その結果に基づき③リスクごとにリスク低減の優先度の設定及び措置内容を検討します。 その後④優先度に応じリスク低減措置を実施します。 「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」では上記 「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」では上記に加え、結果の労働者への周知を行います。
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・リスク低減措置の実施順位は?
まずは①法令事項の確実な遵守を行います。 次に本質的な対策として②危険性または有害物質の除去や、危険性や有害性の低い物質への代替検討します。 その後③衛生工学的対策(換気装置設置、安全装置の二重化)→④管理的対策(作業手順の整備、立ち入り禁止等)→⑤有効な個人用保護具の使用の順で行います。
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・リスクアセスメントを行わなければいけない時は?
建築物を設置・移転・変更・解体するとき(「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」) 原材料や設備を新規に採用または変更する時(「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」) 作業方法や手順を新規に採用・変更するとき 労働者の入れ替わりや労災が発生したとき 新たな安全衛生の知見の集積があったとき
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・なぜリスクアセスメントが必要なのか?
様々な化学物質や機械設備の導入でハザードが多様化しており、事業場に潜むハザードを事前に見つけ出し、排除することで労働災害の防止につながるからです。
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・リスクアセスメント対象物質はどのように調べる?
➀安衛法57条3のリスクアセスメント対象物か調べます。 ➁SDSからCAS番号を入手して、「職場のあんぜんサイト」、「ケミサポ」や国内外における化学物質の法規制・有害性情報等を提供しているNITE-CHRIP,NITE-Gmiccsを使い化学物質についてWeb検索し情報を収集します。 ➂メーカーへの問い合わせをして情報収集します。
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・化学物質のリスクのアセスメントにはどのようなものがある?
定量的評価法として作業場の化学物質の気中濃度を測定し、曝露限界値と比較する方法 定性的評価法として濃度測定をすることなく重篤度と可能性から見積もる、コントロール・バンディングやCREAT-SIMPLEがあります。 (通常リスクアセスメントとしてその他マトリクス法、数値化による方法、枝分かれ図を用いた方法)
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・リスクアセスメント対象物健康診断とは
健康障害発生リスクが高いと判断された労働者に対して行う健康診断です。 リスクアセスメントの結果、健康障害発生リスクが許容される範囲を超えた場合や、曝露基準値を超えて有害物質に大量曝露した労働者を対象とし健康診断を速やか行う必要があります。 化学物質の自律的管理の一環です。
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・コントロール・バンディングとは?
化学物質の健康有害性について簡易的なリスクアセスメントの手法の一つです。 「化学物質の有害性(GHS区分)」、「取扱量」、「揮発性/飛散性(液体/固体)」の項目を入力することでリスクの程度を4段階に区分分けし、リスクアセスメントが評価でき低減対策も表示されます。
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・コントロールバンディングのメリット、デメリット
メリットは入力項目が少ないため専門家がいない事業所でもリスクアセスメントを容易に行うことができます。 デメリットはリスク過大評価されやすい、工学的対策(局排など)が考慮されない、気体状態の物質が評価できないなどです。
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・CREAT-SIMPLEとは?
化学物質のリスクアセスメントツールの1つです。 化学物質の取扱量、含有量、換気条件、作業時間、保護具といった化学物質の取扱い条件から推定した曝露濃度と、曝露限界値とを比較します. コントロール・バンディングより詳しい情報を記入することでより詳細なリスクアセスメントが可能です。
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・CREAT-SIMPLEのメリット、デメリットは?
メリットは各パラメータを操作することでリスクが変化するため、リスクアセスメント実前後でリスクを比較できます。 極少量から大量の化学物質にも対応できます。また、経皮吸収にも対応しています。 デメリットは何らかの利用により曝露が大きくなるような作業ではリスクを過小評価する可能性があります。
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・濃度測定をした化学物質(実測法)におけるリスクアセスメントの方法は?
実測法では、屋内と屋外で異なります。屋内では作業環境測定による気中濃度と曝露限界値と比較してリスクを見積もります。 屋外では、個人サンプラーを用いて個人曝露濃度測定を行い、曝露限界値と比較しリスクを見積もります。