一般法は特別法に優先的に適用され、特別法は一般法に規定のないものについて補充的に適用される

任意組合は商法に、匿名組合は民法に、それぞれ規定された契約である

任意組合には法人格があるが、匿名組合には法人格がない。

会社法の中で、もっともボリュームのある編は「株式会社」である

会社法上の会社には、株式会社と合同会社との2つの類型がある

法人とは、法律的に人間として扱われるという意味であって、自然人と対比される表現である

会社法が商行為の主体である商人全般に適用されるのに対し、商法は会社のみに適用されることがある。

会社法は従来の商法から会社に関わる部分を独立した法体系として整備したものである。

すべての株式会社は、株主総会と取締役会が必要。

非取締役会設置会社の株主総会は、株式会社の組織、運営、管理その他、一切の事項について決議することができるため、所有と経営が分離した会社である

取締役会は独任制の会議体であるので、取締役会のメンバー（取締役）は各自業務執行権及び代表権を有する

常務取締役は対外的業務執行権限を有し、対内的業務執行についても権限を有する。

監査役の監査範囲は、原則として会計監査に限定される。

監査役は業務執行者を監視監督することを主たる任務とするが、従業員を兼任することができる

監査役は、株主総会の決議によって任期満了を迎える前にいつでも解任することができる

監査役会は独任機関であるため、複数の監査役がいる場合であっても、各自が独立して監査権限を行使することができる。

監査等委員会設置会社には取締役会、執行役、指名委員会、監査委員会、および報酬委員会がおかれる。

監査役会設置会社では、監査役は3人以上で、かつその半数以上は社外監査役でなければならない

取締役と会社の関係は委任契約関係であるため、取締役は会社に対して善良な管理者に期待されるべき注意義務を負う

株式会社はそれぞれ機関構造が異なり、取締役の任務も異なる。

取締役と会社の間に利害関係が生じたとしても、取締役は、会社の利益になるよう努める必要があり、自己の利益を優先させてはいけない。

取締役は忠実義務を負うため、株主の承認があっても、取締役は利益相反行為をしてはいけない。

善管注意義務又は忠実義務に違反した取締役は会社に対する損害賠償責任を負わなければならない

執行役は取締役ではないため、株式会社の取締役と同様に、善良な管理者の注意をもってその職務を行わなくても責任を負わない。

取締役会設置会社では、競業取引をしようとする取締役は株主総会の承認を得なければならない。

取締役が取締役会の事前承認を得ることなく会社の「事業の部類に属する取引」をしたとしても、その取引自体は有効である

会社の事業の部類に属する取引とは、会社が実際にその事業において行なっている取引と、目的物と市場（地域、流通段階など）が競業する取引である

承認を受けない間接取引の相手方に対して会社は取引の無効を主張できない。

取締役会設置会社では取締役会、非取締役会設置会社では株主総会が利益相反取引の承認を行う

利益相反取引の承認は事前に受けなければならないが、事後の承認には取引を有効にする効果を認める。

取締役が自分の報酬等を自分で好きに決めてしまうことを防ぐために、取締役の報酬については、定款または株主総会の決議によって一定の事項を定めなければならない

株主総会は報酬の総額を定めて、個々の取締役の報酬については、総額の範囲内において取締役会に一任することができる

一旦、取締役の報酬額を決めた後は、任期中に取締役の同意を得られなくても、無報酬化することができる。

承認を受けない間接取引の相手方に対して会社は取引の無効を主張できない

取締役の「報酬等」とは、取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益すべてである

定款と株主総会決議のいずれの定めもないのに取締役に報酬等が支払われても、それは無効である

取締役は、その任務を怠った時は、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

取締役の経営判断について、当該判断の過程に誤りがなければ、判断の内容に不合理なものがあっても、当該取締役に善管注意義務違反または忠実義務違反を認定すべきでない

任務懈怠とは、法令・定款に違反した場合や取締役が会社との委任関係に基づいて、取締役が会社に対して負う善管注意義務・忠実義務に違反した場合をいう

株主全員の同意がなければ、善管注意義務を違反した取締役の責任の一部を免除することができない

責任限定契約を締結した代表取締役の任務懈怠責任は一定の要件を充たす場合、一部を免除することができる。

取締役会に上程された事項について取締役は監視義務を負うが、取締役会に上程されなかった事項について監視義務を負わない。

取締役、執行役、監査役等はその職務を行うについて悪意または重大な過失があり、それにより第三者に損害を与えたときは、その第三者に損害賠償責任を負うとされている。

複数の役員が会社法429条責任を負う場合、それらの者の責任は、連帯責任である。

名目的取締役は実際に取締役の職務を行っていないため、会社法429条１項責任（役員等の第三者に対する責任）を負わない

特定の書類や登記・公告等の虚偽の記載・記録があった場合には、虚偽記載等の行為をした者は、その無過失を立証しない限り、この責任を負う

補償契約・役員等賠償責任保険契約について、株主総会参考書類や事業報告書に一定の事項を記載しなければならない

補償契約・役員等賠償責任保険契約の内容を決定するには、取締役会設置会社では株主総会の決議（普通決議）、非取締役会設置会社では取締役会によらなければならない

会計監査人とは、株式会社との委任契約に基づき、その株式会社の計算書及びその付属明細書、その他の計算書類を監査する専門職業人のこと

会計監査人は、公認会計士または監査法人でなければならない

会社役員の意思決定や行動等により会社に対して損害を与えたにもかかわらず、会社がその責任を追及しない場合、株主が所定の手続を経たうえで会社に代わってその会社役員の責任を追及する訴訟を提起することができる。

如何なる場合であっても、株主は株主代表訴訟を提起する前に、まず会社に役員等の責任を追及する訴えを提起するよう請求する必要がある

株主は不正な利益を図り、または会社に損害を加えるため、株主代表訴訟を提起することができない。

株主代表訴訟で勝訴した場合、損害賠償金は提訴した株主に支払われる

株式会社には、定時株主総会の招集・開催が義務付けられている。

定時株主総会は一年に一回必ず行うものと会社法で定められていることに対して、臨時株主総会は、定時株主総会の他に、必要な時に開催するものである

議決権を行使することのできる株主の過半数が株主総会の目的である決議事項について書面又は電磁的記録によって同意することで、当該事項について株主総会決議があったものとみなされる

議決権の100分の1以上、または300個以上の議決権を6カ月前から所有する株主は株主総会が開かれる8週間以上前に取締役に対して書面で議案を提出できる

取締役会設置会社の株主のみ株主総会の招集権を行使して議題の提案、もしくは議案の提出が可能である。

株主はすでに株主総会の議題とされている事項について、賛成ないし反対の判断の対象となる具体的な提案を提出することを請求できる。

株主総会は、原則として、取締役会設置会社においては、取締役会の決定に基づいて、代表取締役が招集するが、会社法では、例外的に株主が招集する場合を規定している

少数株主から株主総会の招集請求を受ける会社が招集手続をとらない場合、当該少数株主は裁判所の許可を得て、自ら株主総会を招集することができる。

株主に株主総会出席の機会と、議事・議決に参加する準備の機会を与えるため、株主総会の招集通知は書面によらなければならない。

株主から株主総会出席の機会と、議事・議決に参加する機会を奪うことは禁じられるため、株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることはできない

株主総会の運営を円滑に行うため、事前に通知があった質問事項について議案の審議に入る前に、全て回答するという方法(一括回答)が採られている

株式会社は定款によって代理人による議決権行使を禁止することができる。

株主以外の第三者によって株主総会の秩序が撹乱されることを防止し、会社の利益を保護するため、議決権行使の代理人資格を株主に限定することができる。

株主が当日出席した場合には、議決権行使書による事前の議決権行使は効力を失い、当日の議場での議決権行使が優先される

株主総会の普通決議は、法令または定款に別段の定めのある場合のほか、出席した議決権のある株主の議決権の過半数をもって決する

株主総会の特別決議は、議決権を行使することが出席した株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって決する。

株主総会の特殊決議とは、株主総会において議決権を行使できる株主の半数以上が賛成し、なおかつ株主の議決権の３分の２以上の賛成で成立する決議である。

取締役会設置会社である会社においては、 全ての業務執行の決定を取締役に委任することができる

取締役会の招集は、原則として各取締役が行うことができるが、定款や取締役会によって代表取締役などの特定の取締役を招集権者と定めたときには、その取締役のみが取締役会の招集を行うことができる

会社法上、取締役は、代理人によって議決権を行使することが認められている。

取締役会の決議の内容・手続に瑕疵がある場合、その決議は無効であり、原則として誰から誰に対して、いついかなる方法でも無効を主張できる

取締役は会社のために忠実に職務を執行する義務を負っていることから、決議の公正を期する必要上、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができないとされている