問題一覧
1
第1世代の定型抗精神病薬と比べて、第2世 代の非定型抗精神病薬では、錐体外路症状が 少なく、治療効果が優れており広く使用され ている。一方、プロラクチン値上昇、体重増 加、脂質代謝異常、血糖値上昇などの副作用 が出やすく、オランザピン、クエチアピンは糖尿病を合併する人には禁忌である。
◯
2
緊張病(カタトニア)とは、香迷、カタレプシー、蝋屈症、無言症、拒絶症、姿勢保持、常動症など、周囲と活動的つながりのない特殊な臨床像を示すもので、統合失調症のほか神経発達症、双極症、抑うつ症にも見られ、さらに、せん妄、肝性脳症、脳炎など他の医学的疾患にも見られる。
◯
3
統合失調症では、思考、知覚、自我意識など、もっぱら精神面の障害がある一方、不注意、社会的認知などの認知面や、爽快、抑うつなどの感情面は障害されることはない。
×
4
統合失調症では、大脳前頭葉皮質、側頭葉皮質などの灰白質体積滅少、加齢に伴う脳体積減少が同年齢の人より強い。しかし、統合失調症と診断された人の大部分の人は精神病の家族歴がない孤発の症例である。
◯
5
改訂されたICD-11では、統合失調症について、妄想型、破瓜型、緊張型などの病型は廃止され、代わりにこの疾患が1年間以上続いた後に、経過を示す3つの群、つまり、初回エピソード、複数回エピソード、および持続性に分類される。
◯
6
同僚からひどい扱いを受けていると確信しているが、会社には出勤してきており日常業務は出来ており、行動も目立って奇妙ではない人が産業医から専門医に対診されるよう依頼があった。統合失調症と診断するには不十分であるが、妄想性障害の疑いは残る。
◯
7
統合失調症の人を入院治療させる場合、社会的に不適切な行為への対応、自発性の回復への期待、病識の獲得、の3つが要点である。 病識が欠如している人には「精神保健福祉法」に従い、家族の同意を得て治療する「医療保護入院」がある。しかし、オープンドアシステムと自発的入院、つまり「任意入院」が最良の結果を得る。
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8
自殺企図や他者に危害を加えるような社会的に不適切な行為があり、警察官通報(法第23条)により2名の精神保健指定医が診察して入院治療が必要で保護する必要があると意見が一致した場合には、「精神保健福祉法による措置入院」となる。
◯
9
統合失調症に広く用いられる抗精神病薬には、定型抗精神病薬のハロペリドールの他、非定型抗精神病薬ではリスペリドン、ブロナ ンセリンのようなドパミン(D2)遮断作用の強いものが幻覚と妄想に有効であるが、錐体外路症状とプロラクチン値上昇を起こしやすい。
◯
10
30歳の独身女性が、幻聴および被害妄想を2か月経験した後に、かなしい気分、快感消失、および自殺念慮を伴う抑うつエピソードが3カ月持続したという。抑うつエピソードは治療により消失したが、精神病症状が消失するまでさらに1か月持続した。この場合に最も適切な診断は短期精神病性障害である
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11
抗精神病薬の有害事象として、医薬品誘発性運動症がいくつかあり、中でもパーキンソン病にような筋強剛、無動、振戦を示すパーキンソニズムは最も多い。これを予防するため予め抗パ剤を併用するのが良い。
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12
ICD-11の統合失調症スペクトラム障害とは、統合失調症の他、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性障害、統合失調症様障害、統合失調感情障害を包括した一群である。
◯
13
精神機能が完成する前の12歳までに発症した小児期発症の統合失調症は、20歳以降に発症し妄想幻覚状態を示す成人の統合失調症と比べて、徐々に発症し顕著な陰性症状を示す予後不良のものと類似する傾向がある。
◯
14
夜害妄想と誇大妄想が1か月間続いており、入学してから5月病のようでここ3カ月大学の授業を理由なく欠席している場合、統合失調症の診断を下すことができる。
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15
統合失調症の人の約5〜6%の人が自殺によって死亡する。統合失調症の人の中で、若年、男性、および物質乱用は自殺の危険性を増大させる要因である。
◯
16
抗うつ薬は、セロトニン、ノルアドレナリンなど神経伝達物質のトランスポーターの再取り込み阻害により効果が発現する。パロキセチン、エスシタロプラム(SSRI)は選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ミルナシプラン、デュロキセチン(SNRI)は選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬である。
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17
月経前不快気分障害というカテゴリーは、DSM-5では採用されているが、ICD-11では気分症群の中の独立した疾病カテゴリーとは認められていないで、産・人科の疾患群に登録され、狭い意味の定義、つまり月経直前数日間の体調の変化をいう。
◯
18
世界保健機関(WHO)によると、うつ病はすべての疾患中2番目に経済的損失をもたらすという。したがって、早期察知と対応が大切であるが、身体症状もあるので患者自身がまず内科クリニックを受診し身体疾患と診断されて治療が遅れたりするものが多い。不十分な治療によって病気が長引き自殺に至る例も多い。
◯
19
双極症、統合失調症、不安症の一部、抑うつ症の人にアルコール使用障害が多い。双極症をもつ女性には、一般人口の女性よりアルコール使用障害が高い頻度で見られるので注意が必要である。
◯
20
自殺行動は双極症をもつ人に最も多くみられ、その3人に1人に何らかの自殺企図歴がある。自殺行動はこのほか、うつ病、統合失調症、不安症、アルコール使用障害、境界性パーソナリティ障害、摂食障害などにも多い。
◯
21
症状が診断基準を満たしているならば、愛する人の死後に起っているという心理的要因があっても、その抑うつ症状を抑うつエピソードと診断してよいが、自殺念慮のあることが必要である。
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22
ベックの認知療法とは、幼児期よりの否定的自動思考を訂正するもので、もともと、うつ病患者の治療に用いられてきたものである。 患者が自己観察により問題点を見直し、治療者の指示によりそれを修正することにより治療を行う。構造化、指示的、現在の適応状況の修正、の3つが特徴である。
◯
23
うつ病の有病率は、60代では18~29歳と比べて約3倍である。青年期以降では女性の有病率は男性の1.5〜3倍である。
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24
出産は軽躁病エピソードの特別な誘因となることがあり、女性の10-20%に出現する可能性がある。典型的には産褥期初期に見られ、産後のうつ病の険要因である。
◯
25
双極症2型の有病率は0.3%で双極症1型 0.6%の半分であるが、2型は発症時の年齢が少し遅く、抑うつエピソードから初発するものが大多数で、一生涯のエピソード数は1型より多い傾向があるので、うつ病エピソードの診断をされることが多いので治療上注意しなければならない。
◯
26
躁病エピソードを鎮静させるには、リチウム、バルプロ酸などの気分安定薬のほか、ハロペリドールなどの定型抗精神病薬、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬が治療薬として保険適応と認められている。
◯
27
双極症の既往歴のある患者が、この1週間気分が高揚し開放的であると訴えている。この患者が躁病ではなく軽躁病エピソードを体験していることを示唆していると考えられる証拠として「仕事の生産性の増加」がある。
◯
28
うつ気分を訴えてくる人の大多数は「適応症、抑うつを伴うもの」であるが、抑うつが長期にわたって持続、不満や他罰的態度が特徴的である場合は、気分変調症と呼ばれており、抗うつ薬だけでなくカウンセリングを併用するのが良い。
◯
29
悲嘆と抑うつエピソードの違いに関して、悲嘆では無価値感と自己嫌悪が一般的であるに対して、抑うつエピソードでは自己評価は一般的に保たれている。
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30
躁病エピソードの人は、気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易的となる。そのため他人の注意も聞かず、制御のきかない行動に走り、自分自身または他人に害を及ぼし入院が必要であるほど重篤である場合、つまり「病識欠如」の場合、入院の処遇は「医療保護入院」か「措置入院」となる。
◯
31
皮がむけ荒れた手をした52歳の男性が、1日に4時間を費やして、清浄剤と熱湯を使って繰り返し手を洗っている。このやり方でなければ重病になると確信している。医学的検査では何も特別な結果はなく、何の治療も受けてこなかったという。最も適切な診断は、次のうちどれか。
強迫症、病識が欠如したもの
32
仕事や学業で、出来事または活動ついての過剰な不安と心配が起る日の方が起らない日より多い状態が少なくとも6ヶ月間にわたる人は、全般不安症である。緊張感、疲労のしやすさ、集中困難、易怒性、筋緊張、睡眠障害などの症状を伴っている。
◯
33
ICD-11によれば、過酷な拷問やキャプ、幼少期のひどい虐待経験などの強い心的外傷後に、回復不能のパーソナリティ変化や感情反応の低下を持続しているものを「複雑性PTSD」と呼ぶことになった。この疾患は薬物療法には反応せずカウンセリングの効果が期待されている。
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34
パニック発作とは、激しい恐怖または強烈な不快感が、突然起こり、だんだんひどくなりそのピークは数時間も続き、動悸、発汗、息切れ感など交感神経症状と、不安感を伴っているものである。
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35
醜形恐怖症は10~12歳で発症し、有病率は約2%にも上るとされ美容整形科、歯科、口腔外科、皮膚科患者の約10%に上る。その反復行動は外見のみに集中しているが、基本的には強迫症の強迫観念や強迫行動と類似している。
◯
36
重症の広場恐怖、場面恐怖症には、薬物療法よりも認知行動療法(CBT)が最も効果があり、中でも嫌悪療法やフラッディングが良い。
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37
分離不安症は、いろんな類型の不安症の原型と考えられ、家または愛着を持っている人物からの分離に関する、過剰な恐怖または不安がある。小学生では登校拒否さらに学業困難に至るものもあり、社会的孤立を招くことがある
◯
38
場面恐怖症(限局性恐怖症)は通常小児期早期に始まる。恐怖刺激は動物、自然環境、血液・注射・負傷がほとんどであり、その対象または場面に遭選するとほとんどいつも恐怖が起こる。4人の中3人に複数の対象への恐怖が見られる。
◯
39
心的外傷後ストレス障害のトラウマ要因として、6歳以前に心的外傷に暴露されたこと、低い社会経済的状態、養育者に身体的暴力をうけたこと、などがある。
◯
40
社交不安症(社交恐怖)は、小学校上級から中学校の年齢で初発し、他者に注視されるかもしれない社会的状況についての強烈な恐怖または著しい不安がある。このため、十分主張できない、過度に従順である人が多い。
◯
41
強迫観念には、反復的持続的な思考(例:汚染に関するもの)、イメージ(例:暴力的または恐ろしい場面)、衝動(例:誰かを突き刺す)などがふくまれる。強迫行為は、強迫観念によって引き起こされた苦痛の軽減を中和する目的で行われる。
◯
42
パニック症では、抑制力を失う、心臓発作が起るなどさらなるパニック発作またはその結果についての持続的な憂慮があり、運動や不慣れな状況を回避するといった、パニック発作を避ける様な行動が3ヶ月以上続いている。
×
43
適応反応症とは、ストレス因があって3カ月以内に情動面または行動面の症状が現れ、その症状が6ヶ月以上持続している。その人自身もストレス因に強くこだわり勝ちであり、症状もストレス因とは不釣り合いな程度に著しい苦痛がある。
×
44
社交不安症(社交恐怖)は、正常な内気と区別が困難であるものも多いが、しかし、ひどい恐怖のために家から外出もできず、社会的または職業的機能の不全をひき起こしているような人はいない。
×
45
注意欠如・多動症をもつ子どもは、それを持たない子どもよりも、青年期に素行症に、成人期に反社会性パーソナリテイ障害を発症する可能性が高く、その結果、物質使用障害の可能性が高い
◯
46
身体の異常とそれが原因で知的発達症を伴っている人は二重の重荷を負って生まれてきた不幸な人である。その代表的原因として、染色体異常(ダウン症、クラインフェルター症候群、ターナー症候群)、代謝異常(フェニルケトン尿症、メイプルシロップ尿症)母斑症(スタージ・ウェーバー病、レックリングハウゼン病)クレチン病(甲状腺機能低下)内水頭症などがあり、これらはすべて難病に指定されている。
×
47
知能検査で55(または50)未満の人、つまり、標準偏差3σ以下の人は理論的には約1000人に1人(0.13%)いるが、知能テストにはそれぞれの適用範囲があるので必ずWISCを実施する。緑の手帳のB判定に相当しており、中等度知的能力障害と診断される。
×
48
自閉スペクトラム症の治療は療育が中心となる一方、注意欠如・多動症ではドパミン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬のメチルフェニデート塩酸塩(リタリン、コンサータ)などの精神刺激薬が注意集中を良くして有効な場合があり、さらに選択的α2Aノルアドレナリン受容体作動薬(インチュニブ)も使用されるようになった。
◯
49
多くの正常発達中の年少の子どもは、反復的に強い興味を抱き、それを楽しむため、未就学児では自閉スペクトラム症の診断特徴である限定された反復的な行動から識別するのが困難となることがある。
◯
50
自閉スペクトラム症の症状は典型的には生後2年目(月齢12~24カ月)の間に気づかれる。一方、自閉的症状は通常5~6歳まで目立たないで対人的相互反応の欠陥が残っていて成人しても職業的にうまくやってゆけない人を「発達障害」とよぶことがあるが、必ずしも自閉スペクトラム症とは限らない。
◯
51
児童虐待への関心が高まっており、身体的外傷、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待などがあり「臨床的関与の対象となることのある他の状態」として記録されるが、その原因が精神疾患ではないものをいう。
◯
52
コミュニケーション症群には、言語症、語音症、小児期発症流暢症(吃音)、社会的コミュニケーション症が含まれ、後者の場合、学校の遊びと教室でのしゃべり方を変える、相手によって話し方を変える,などの能力が欠けているので、自閉スペクトラム症が疑われることもある。
◯
53
自閉スペクトラム症のうち、適切な支援がないと社会的コミュニケーションの欠陥がめだつ機能障害を引き起こすものは、重症度はレベル1で、比較的予後が良い。自閉スペクトラム症は変性疾患ではなく、生涯を通じて学習や代償をし続けることが一般的である。
◯
54
注意欠如多動症の危険性が極低出生体重児(1,500g未満)では2~3倍になる。また、妊娠中の喫煙とも関連していると言われる。母親の飲酒による子宮内のアルコール曝露との関連は不確実で、それはむしろ、軽度知的能力障害の原因と考えられている。
◯
55
カナーは知的発達症をもつ人の中に社会的コミュニケーションと行動面の欠陥のある人を初めて見出した。したがって、自閉スペクトラム症と知的発達症との区別は難しいが、社会的コミュニケーション技能とその他の知的技能の水準の両者が同様に障害されていれば自閉スペクトラム症が適切な診断となる。
×
56
知的発達症(知的能力障害)は、IQ70未満つまり、標準偏差2σ以下で定義され、100人中約2人の人が該当するが、もっとも大切なことはその人が生活にうまく適応できないこと、および個人の自立に関する社会的規範をいかにうまく立証できるかということである。
◯
57
自閉スペクトラム症は男児に4倍多いが、環境要因としては両親の高年齢、低出生体重が、遺伝要因としては双生児一致率の高さがあるが完全浸透でない。最初は言語発達の遅れであることが多く、加えて、社会的関心の欠如または普通でない対人相互反応があるため、選択的緘黙、社会的コミュニケーション症、知的能力障害などと誤られる。
◯
58
中等度、重度の知的発達症を除いても、人口の約2%に知的能力障害があり、注意欠如・多動症は成人の約2.5%にも残っていると言われる。これらは学校教育上大きな問題であるし、また、いわゆる大人の発達障害と言われるものの一部であり社会的不適応の原因の一つである。
◯
59
注意欠如・多動症は12歳以前に出現し、子どもの約5%もいる。成人しても社会への適応がわるく、不注意、多動性、衝動性のある人の場合、欲求不満、関心欠如、集中不足などが認められると容易にそれが原因だとは診断できない。
◯
60
選択性緘黙の発症は5歳未満で子どもの1%以下の目立たない存在であるが、社会的孤立と引きこもりを招き、まといつきやかんしゃく、さらに反抗的行動が見られることもある。学校でトイレ使用を申し出ないでしくじる、いじめを受ける、などの深刻な機能障害も見られることがある
◯
61
6歳以下の子どもの心的外傷後ストレス障害の特徴は、成人と比べて、障害が3ヶ月以上と長く続き、離人感や現実感消失などの解離症状が強く表れる点である。
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62
気分変調症(持続性抑うつ障害)で小児期青年期に発症した場合、慢性の経過をたどるので子どものメンタルヘルスで重要な一群である。しかし、成人の場合と比べて回復する可能性が高い。
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63
反抗挑発症とは就学前に始まり、しばしばかんしゃくを起こすなど怒りっぽい気分、権威ある人物や大人と口論する挑発的行動、いじわるで執念深いことという3つの特徴が、過去6ヶ月間に少なくとも2回あった人である。20人に1人という多数の子どもがこの問題を抱えている。
×
64
反抗挑戦症の環境要因として、過酷で一貫性を欠きネグレクトのある子育ての家庭によく見られる。一方、神経生物学的マーカーの皮膚電気抵抗の低さ、前頭前野や扁桃核の異常などは不確定である。
◯
65
チックの発症は通常4~6歳の間で、10~12歳が重症度のピークであり、青年期には減少する。単純性運動チックだけでは自分で気づかない人もいるが、他の人の運動のチック様のまね(反響動作)、聞いた言葉や音節の繰り返し(反響言語)、さらにわいせつな言葉などの発言(汚言)がある人では機能が著しく障害される。
◯
66
チック症は小児期によくみられ、突発的、急速、非律動性の運動または発声である。この中、トウレット症は多彩な運動チックおよび音声チックの両方があるもので、不安や興奮によって悪化する。注意欠如・多動症を併存することが多い。
◯
67
神経性やせ症の3つの必須の診断的特徴は、「低い自尊心」「体重または体型に関する自己認識の障害」「持続性のカロリー制限」であるが、体格指数(BMI)が 18.5 未満でなければこの診断は下されない
◯
68
ICD-11(およびDSM-5〉で神経性やせ症の診断について変更された点は、初潮後の女性の場合、無月経すなわち「月経開始が連続して少なくとも連続3回欠如する」という基準が削除された点である。無月経は、ひどいるい痩の結果に過ぎないからである。
◯
69
神経性やせ症の人によく見られる臨床検査上の異常は、血液中の尿素窒素上昇、トリヨードサイロニン低下、エストロゲンの低値、徐脈、骨塩量減少、などがあり、さらに、心電図異常、脳波の徐派化もある。過食・排出型では嘔吐の結果の低Cl,低K血症も見られる。
◯
70
神経性過食症の3つの診断的特徴は「反復する過食エピソード」「体重増加を防ぐための不適切な代償行動の反復」「体型および体重により過度に影響を受ける自己評価」である。
◯
71
過食性障害と診断するには、過去3か月間にわたって少なくとも週1回の過食エピソードが必要である。また、神経性過食症には不適切な代償行動、例えば、自己誘発性嘔吐、緩下剤や利尿薬などの乱用、過剰な運動が見られるが、過食性障害にはそれがない。
◯
72
過食は体重を減らすためのダイエットから始まることが多い。それがストレスの強い出来事を経験することによって神経性過食症に発展する。神経性過食症から神経性やせ症への移行は時に見られるが、10人に1人程度の少数である。
◯
73
小児期に強迫傾向を示したり不安症群の疾患を発症したりする女性が、青年期の始まりにストレスの強い人生上の出来があると神経性やせ症を発症することが多い。かつては母親の過干渉が原因と考えられて家族療法が推奨されたが、5%もの人が自殺や身体合併症で死亡するため、今日では、入院治療で先ず体重をなんとか回復させ身体合併症にも対応すると、そのほとんどが5年以内に寛解する。
◯
74
ICD-11では、体格指数(BMI)14以下を独立したカテゴリーとして重症の神経性やせ症という疾患の危険性を強調した。このようなやせのひどい人には、直ちに強力な精神分析療法を開始して、心の傷をいやすようにすべきである。
×
75
抑うつ、興奮、暴行、徘徊など、認知症の周辺症状のある場合、抗認知症薬だけでは効果が見られない。行動制限や抗精神病薬、抗うつ薬などの投薬が必要になる。
◯
76
68歳の循環器科医師が、この数カ月、心電図判読で多くの誤りをした。6か月前に妻に先立たれてから、悲嘆の苦痛が波のように繰り返し、不眠による睡眠薬とアルコール乱用、自殺念慮、悲哀感情を打ち明ける。家計の維持、買い物、食事準備などは出来ている。長谷川式スケールは24点である。診断は次のうちどれか。
うつ病
77
レビー小体認知症の中核的特徴は、幻視が出現することに加えて、認知機能の低下の進展よりも少なくとも1年前に起こる自然発生的なパーキンソニズムがある
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78
認知症をもつ人の長谷川式簡易知能検査(HDSR)では20点以下は認知症が疑われるが、個別式の神経心理学検査では、同年齢の人と比べて検査成績がパーセンタイル10%以下、つまり、標準偏差1以下になっている
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79
ICD-11の「他の医学的疾患による認知症」にはさまざまな病理が挙げられているが、このうち多くみられる疾患名を列挙すると、続発性脳腫瘍、正常圧水頭症、硬膜下血腫、心不全による低酸素症、サイアミン欠乏症などの栄養疾患、甲状腺機能低下症、神経梅毒、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、がある
◯
80
認知症と軽度認知障害は、認知と機能の障害の連続体の上に存在している。この両者を区別するための重要なポイントはどれか。
認知障害が日常生活動作を自立して遂行することを阻害している。
81
進行したアルツハイマー病による認知症は、介護認定で要介護3以上となり、施設での介護が主になる。更に進行すれば、食事、排せつ、更衣、なども自立できなくなる。全経過は約10年である。
◯
82
軽症の認知障害の人にはコリンエステラーゼ阻害薬のドネペジル塩酸塩(アリセプト)やNMDA受容体アンタゴニストのメマンチン塩酸塩(メマリー)が広く用いられるが、その効果は一時的なものである。
◯
83
軽度認知障害にある人を「アルツハイマー病の疑いがある」と診断するために必要なのは次のうちどれか。
遺伝子検査または家族歴にアルツハイマー病の原因となる遺伝子疾患の証拠がある。
84
52歳の肥満男性が日中の眠気を訴えており、妻は彼が夜間睡眠中にいびきをかき、鼻を鳴らし、喘いでいることを認めている。閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸が疑われるが、その診断を確立するためには、ポリソムノグラフィで睡眠中の呼吸停止を確認し、睡眠1時間あたり少なくとも5回の無呼吸または低呼吸のエピソードの証拠が必要である。
◯
85
妊娠34週の28歳女性が、過去数週間、睡眠時間の始まりに落ち着きのなさと入眠困難があり、昼間は疲労していた、と報告する。対診の結果、変形性膝関節炎、下肢の浮腫、末梢の虚血、下肢けいれんなどは否定された。最も示唆される睡眠疾患はレム睡眠行動障害である。
×
86
ナルコレプシーでは、反復する睡眠発作に加え、数時間続く情動脱力発作が少なくとも週1回起り、脳脊髄液検査でヒポクレチンの欠乏の存在がある。
×
87
不眠症と診断するためには、入眠困難、睡眠維持困難、早朝覚醒があり再入眠できないことの3つのうち1つが少なくとも1週間に3夜起り、少なくとも3ヶ月間持続することである。
◯
88
80歳の男性が、8年前に冠動脈バイパス手術を受けたが、週3回テニスをし、おおむね生活を楽しみ、日常生活動作もすべて自立している。しかし、過度に朝早く目が覚めてしまうと訴えている。午後9時に入眠し、夜間はよく眠れている。朝5時に起床したいのに3時半に覚醒してしまう。日中の眠気は認めていない。最も可能性のある診断は何か
健康な短時間睡眠者
89
65歳の男性で、重度の不眠が股関節置換術の日から2日間続いている。患者は、手術の前日まで大量に飲酒し、自律神経系の不安定、錯乱、振戦を伴っている。この不眠は、術後疼痛と手術に対しての不安などの情動反応であろう
×
90
50歳の看護師が午後の時間を自由に楽しむため、日勤の勤務を夜勤専門に変更した。しかし、勤務後の朝には、眠ることが困難で、午後も気力がなく、夜勤も疲れてしまう。最も可能性のある診断は何か
概日リズム睡眠・覚醒障害
91
物質使用が続くと不眠などいろいろな睡眠・覚醒障害が起ることも忘れてはならない。鎮静薬・睡眠薬・抗不安薬の乱用のほか、アルコール依存、各種ドリンクに含まれているカフェインの大量使用、医療関係者のオピオイド使用、なども重要である。
◯
92
大麻は中枢神経抑制作用が弱いため、アルコールの様に長期間使用して深入りしてしまう傾向がある。大麻は目標指向的な社会活動を低下させ、その結果、学業不振や職業上の問題を生じさせる。これを無気力症候群と呼ぶ。
◯
93
オピオイド使用障害とは、オピオイドの問題となる使用様式で、臨床的に意味のある障害や苦痛が生じているものをいい、耐性つまり著しく増大した量のオピオイドが必要と なっていることが必要条件となる
◯
94
末期がん患者の鎮痛などに広く使用されるオピオイドは医療従事者の中で誤った使用におちいることが多い。オピオイド離脱と鎮静薬・睡眠薬・抗不安薬離脱はよく似た症状を引き起こすことがあるので、区別をすることが難しいが、嘔気または嘔吐、あくび、が診断に役立つ
◯
95
すべての物質使用障害に共通して設定された基準とは「その物質を意図していたよりもしばしば大量に、または長期間にわたって使用する」「その物質の使用を減量または制限することに対する積極的な欲求または努力の不成功がある」「その物質を得るために必要な活動、その使用またはその作用が回復するのに多くの時間が費やされる」の3点である。
◯
96
物質使用障害とギャンブル障害が共通している点は、物質またはギャンブルによって脳の機能低下と侵襲が起ってくることである。
×
97
ベンゾジアゼピン系などの「鎮静薬、睡眠薬、または抗不安薬」は、医師の処方する多くの医薬品に含まれており、その購入、保管には法律によって厳重な管理の対象となっている。また、多剤併用を防ぐための特別な講習を受けることが医師に要求されている。
◯
98
古来ほとんどの文化において、アルコールは最も広く使用される中毒性物質である。障害調整生命年(YLDs: Years Lived with Disability)の調査された328疾患のうち、精神疾患ではうつ病(5位)、不安症(9位)、統合失調症(15位)の3疾患が最も上位にあるが、物質使用障害ではオピオイド(19位)、アルコール22位が上位にある
◯
99
アルコールは食文化と結びつきが強い物質であり、通常量では中枢神経抑制作用が弱いため長期間大量使用されることになる。アルコール使用を長く続けた人の中でアルコール離脱症状を発症しても、重度の自律神経系過活動、振戦、せん妄、小動物視などを経験する人は10%以下で、強直間代発作を起こす人は3%以下である。
◯
100
アルコール中毒、吸入剤中毒、および鎮静薬・睡眠薬・または抗不安薬中毒に共通する徴候や症状はどれか。
眼振