問題一覧
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3ー3 国際テロリスト財産凍結法 (問)「国際連合安全保障理事会決議第千ニ百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別搭置法 (以下、「国際テロリスト財産凍結法」という)」に関する次の記述のうち、 最も不適切なものはどれか。 1)国際テロリスト財産凍結法は、テロリストに対する制限が不十分であるというFATF第3次対日相互審査の指摘やFATFの声明を受けて制定された。 2)国際テロリスト財産凍結法は、公告国際テロリストを規制対象としており、 公告国際テロリストを相手として取引を行う場合は、 公安委員会の許可が必要となる。 3)国際テロリスト財産凍結法は、 10万円超の金銭等、 政令として定める規制対象財産の贈与を「一定の取引」として制限している。 4)国際テロリスト財産凍結法は、 政令として定める規制対象財産の貸付や売却を「一定の取引」として制限している。
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3-4 テロ資金提供処罰法 (問)「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律(以下、「テ口資金提供処罰法」という)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)テロ資金提供処罰法は、米国同時多発テロ事件の発生を契機として、 テロ資金供与行為自体の犯罪化を要求したFATF勧告に応じて施行された。 2 ) テロ資金提供処罰法は、テロリスト等に対するテロ資金提供の禁止を規定しているが、テロリスト等の範囲に、 テロ行為の協力者は含まれない。 3) テロ資金提供処罰法は、土地や建物、物品、 役務等による利益提供もテロ資金提供の対象としており、 直接の利益提供を行った者に加えて、間接的に利益提供した者も処罰の対象となっている。 4) テロ資金提供処罰法は、テロリスト自身によるテロ行為のための資金獲得活動の禁止も規定されている。
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3-5 テロ等準備罪 (問)「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律 (以下、「テロ等準備罪」という)」に関する次の 記述のうち、 最も不適切なものはどれか。 1)テロ等準備罪は、 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するために設けられたものであり、テロ等準備罪の成立要件として挙げられるすべての要件について、「故意」であることが必要となる。 2) テロ等準備罪の成立には、「組織的犯罪集団」の関与が必要であり、組織的犯罪集団とは、重大な犯罪等を行うことを目的とするテロ集団や暴力団、薬物密売組織等を指す。 3) テロ等準備罪の成立には、計画した犯罪の「実行準備行為」が必要であり、実行準備行為とは、犯罪を実行するための資金の準備などが挙げられる。 4) テロ等準備罪の成立には、犯罪の実行を単独または複数で「計画」することが必要であり、計画とは、犯罪を行うことについての具体的かつ実現可能性のある計画であることが必要となる。
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3-6 国際組織犯罪防止条約 (問)「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(国際組織犯罪防止条約。 以下、「TOC条約」 という)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) TOC条約は、 国際連合加盟国の大半が締結しているが 日本は、先進国のなかで唯一、条約を締結していない国となっている。 2) TOC条約の締結により 、 テロ等の組織犯罪に関する情報収集について、 条約締結国と情報交換を行うなど、 国際社会と連携 (情報交換)することが可能となっている。 3) TOC条約の締結により、 日本に潜伏する他国のテロ集団構成員を拘束して、その国(締結国に限る)に引き渡すなど、 犯罪人引渡し(逃亡犯罪人の引渡し)の実効性が高まる。 4) TOC条約の締結により、日本の捜査·刑事裁判で用いる証言や証拠物などを、外交ルートに頼ることなく、捜査· 司法当局間で直接やりとり(捜査共助)することが可能となる。
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3-7 外為法 《問》「外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」という)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 銀行法で定める金融機関等は、日本から外国に向けた支払に係る「為替取引」を顧客と行う際、当該取引の額にかかわらず、 外為法等に基づく本人特定事項の確認(本人確認)を行わなければならない。 2) 銀行法で定める金融機関等は、 自然人と「特定為替取引」を行う際は、氏名、 住所または居所および生年月日を、法人と「特定為替取引」を行う際は、名称および主たる事務所の所在地を確認しなければならない。 3) 銀行法で定める金融機関等は、本人特定事項の確認(本人確認)を行った場合、 当該本人確認の記録を作成し、当該取引が終了した日 、その他の財務省令で定める日から、7年間保存しなければならない。 4) 銀行法で定める金融機関等は、 顧客等が本人特定事項の確認(本人確認)に応じない場合、 当該取引に係る義務の履行を拒むことができる。
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3-8マネロン·テロ資金供与対策に係る国内法規制 (問)マネロン·テロ資金供与対策に係る国内法規制に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)資金決済に関する法律(資金決済法)は、 資金移動業の登録制度を定めており、銀行等の免許を有し、事前に内閣総理大臣の登録を受けた資金移動業者に限り、1回当たり200万円以下の為替取引を行うことができる。 2) 金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律(本人確認法)は、金融機関等による顧客の本人確認記録等の作成を義務付けており、現在もマネロン· テロ資金供与対策に関する国内法規制として、効力を有している。 3) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)は、組織犯罪対策要綱で定める「暴力団等」と同様の対象者を規制しており、暴力団が行う暴力的要求行為等に対する規制を目的としている。 4) 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取縮法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)は、薬物犯罪から得られた収益への対策を主眼に施行されている。
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3-9 金融庁によるマネロンテロ資金供与対策への形組 (問) 金融庁によるマネロン· テロ資金供与対策への取り組みに関する記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1)金融庁ガイドラインでは、 金融当局が金融機関等に立入検査を行う際のマネロン、テロ資金供与対策に関する具体的な手法が示されている。 2) 金融庁が公表した「コロナを乗り越え、活力ある経済社会を実現する金融システムの構築へ(2021事務年度 金融行政方針」では、マネロン·テロ資金供与対策として、外部コンサルタント等の人材を 集め、多角的に対応できるようにすることを求めている。 3) 金融庁が公表した「報道公表 (2018年2月2日)」では、FATF審査への対応に関する企画· 調整や国際的な業務を展開する金機関等のマネロン·テロ資金供与対策に関する業務についてのモニタリングの企画等のため、同庁内に「マネーローンダリング·テロ資金供与対策企画室」 を設置することが示されている。 4) 金融庁が公表した「コロナを乗り越え、 活力ある経済社会を実現する金融システムの構築へ(2021事務年度 金融行政方針)」では、マネロン· テロ資金供与への対応を取り上げ、ルールベース・アプ ローチによる管理態勢の高度化を促進することが示されている。
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3-10 金融庁による金融機関等に対するモニタリング (問)金融庁ガイドラインにおける、金融庁による金融機関等に対するモニタリングに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 金融庁は、 「疑わしい取引の届出件数(国·地域別、顧客属性別等の内訳)」のヒアリング等を行うことで、リスクベース·アプローチの実効性の向上を図るとしている。 2) 金融庁は、「内部監査や研修等 (関係する資格の取得状況を含む)の実施状況」のヒアリング等を行うことで、リスクベース·アプローチの実効性の向上を図るとしている。 3) 金融庁は、「特定事業者作成書面等」のヒアリング等を行うことで、 リスクベース·アプローチの実効性の向上を図るとしている。 4) 金融庁は、「外部専門家の採用状況」のヒアリング等を行うことで、リスクベース·アプローチの実効性の向上を図るとしている。
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3-11 金融庁ガイドライイン 【問】金融庁ガイドラインにおける、マネロン・テ口資金供与対策に係る基本的な考え方に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1)金融庁ガイドラインでは、リスクベース・アプローチによるマネロン・テロ資金供与に対するリスク管理態勢の構築・維持は、 FATF勧告の中心的項目であり、 金融機関等は、 ガイドラインが求める対応を可能な範囲で実施することが望ましいとしている。 2)金融庁ガイドラインでは、金融当局のマネロン・テロ資金供与対策のモニタリングにあたり、金融機関等の指針となるよう「対応が求められる事項」「対応が期待される事項」 「対応が禁止されている事項」を明確化している。 3) 金融庁ガイドラインでは、海外送金等の業務を行う金融機関等は、当該送金業務等に関して、国内当局ではなく、 外国当局による監督を重視し、 国際的な 動向を踏まえて対応することが重要であるとしている。 4)金融庁ガイドラインでは、 金融機関等が講ずべきマネロン· テロ資金供与対策は、時々変化する国際情勢などの動向やリスクの変化等に機動的に対応し、 リスク管理態勢を有効性のあるかたちで補持していく必要があるとしている。
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3-12 金融庁ガイドライン② 【問】マネロン·テロ資金供与対策における、金融庁ガイドラインの位置付けおよび金融機関等に求めている取組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1 )金融庁ガイドラインでは、マネロン·テロ資金供与に対するリスク管理態勢の構築·維持にあたって、関係法令やガイドラインを遵守することを最も重視し、管理部門を中心とした法令違反等の有無を形式的にチェックすることが重要であるとしている。 2) 金融庁ガイドラインでは、マネロン·テロ資金供与対策に関する取組みを全役職員に浸透させるため、業績評価においてマネロン·テロ資金供与対策を勘案するなど、金融機関等の経営陣の積極的な姿勢やメッセージを示すことが重要であるとしている。 3) 金融庁ガイドラインは、犯罪収益移転防止法2条2項で規定されている、すべての特定事業者を対象としている。 4) 金融庁ガイドラインは、金融当局によるモニタリング等を通じて「対応が期待される事項」に係る措置が不十分である場合、金融当局が必要に応じて、報告徴求·業務改善命令等の法令に基づく行政対応を行い、金融機関等の管理態勢の改善を図るとししている。
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4ー1 リスクベース·アプローチの枠組み 《問》リスクベース·アプローチの枠組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 「グローバル」な枠組みとして、 FATF勧告に基くリスクベース·アプローチが挙げられる。FATFはマネロン·テロ資金供与対策に関する基準を策定し、各国単位でのリスクベース·アプローチの推進を求めている。 2) 「各国単位」の枠組みとして、関連省庁が取り組むべきリスクベース·アプローチが挙げられる。関連省庁はFATF勧告に従い、国内の法規制等を整備し、マネロン·テロ資金供与対策の規制対象業者である個別金融機関等を監督することが求められている。 3) 「個別金融機関等単位」の枠組みとして 、 各金融機関等が行うリスクベース·アプローチが挙げられる。各金融機関等は国内法規制等に従うとともに、 犯罪収益移転危険度調査書等を参考に自社のリスク評価を実施して特定事業者作成書面等を作成し、これに基づいた疑わしい取引の届出等の義務を履行することになっている。 4)「個別金融機関等単位」のマネロン・テロ資金供与対策において各種監督指針等では、 リスクベース·アプローチを含むマネロン・テロ資金供与対策に関する態勢整備を努力義務として、各金融機関等に対策を求めている。
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4ー2 リスクベース·アプローチの3要素 《問》金融庁ガイドラインにおける、リスクベース·アプローチの3要素に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1 ) リスクベース·アプローチとは、リスクを定量化して想定損失を見定め、リスクの高い事業や業務のみに「リソース(資源)」を一括集中して、リスク管理を行うという考え方である。 2) 金融機関等が自ら提供している商品·サービス、取引形態、取引に係る国·地域、顧客の属性等のリスクを踏まえて評価項目を設定し、マネロン·テロ資金供与対策に係るリスクを把握する方法は「リスクの特定」と呼ばれ、リスクベース ·アプローチの出発点と位置付けられている。 3) 金融機関等が特定したマネロン·テロ資金供与対策に係るリスクが、 当該金融機関等にとどの程度存在しているのかを把握する方法は「リスクの評価」と呼ばれ、リスクベース·アプローチにおいては、 リスクの特定を踏まえて実施するべきものである。 4) 金融機関等がリスクの特定をし、リスクの評価を行ったうえで、当該リスクが許容範囲に収まるように、適切な指置を講じることが「リスクの低減」であり、リスクベース·アプローチに基づくマネロン·テロ資金供与対策の実効性を決定付けるものとなっている。
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4-3 FATFにおけるリスクベース·アプローチ (問)FATF勧告の解釈ノートにおける、リスクベース·アプローチに関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1)FATF勧告の解釈ノートでは、 金融機関等は、リスクベース·アプローチにおいて、リスクが低い場合の 対応を行う際にも、簡素化された措置が許容されることはないとしている。 2) FATF勧告の解釈ノートでは、金融機関等は、リスクべース·アプローチにおいて、マネロン·テロ資金供与のリスクを特定、評価、監視、 管理および低減するための適切なプロセスを有するべきであるとしている。 3)FATF勧告の解釈ノートでは 、 金融機関等は、リスクべース·アプローチにおいて、マネロン·テロ資金供与のリスクが存在する事業等が存在することを発見し、それらの事業等が金融機関等の定義に入っていない場合であっても、マネロン·テロ資金供与の義務をそのようなセクターへ適用することを検討する必要はないとしている。 4) FATF勧告の解釈ノートでは、金融機関等は、リスクベース·アプローチにおいて、マネロン·テロ費金供与のリスクが低く、かつきわめて限定的な環境であった場合でも、勧告の一部を適用しないことはできないとしている。
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4ー4 金融庁ガイドラインにおけるリスクベース·アプローチ (問)金融庁ガイドラインにおける、 リスクベース·アプローチに関する次の記述のうち、 最も不適切なものはどれか。 1) 金融庁ガイドラインにおいて、マネロン·テロ資金供与対策におけるリスクベース·アプローチとは、金融機関等が、自らのマネロン·テロ資金供与リスクを特定·評価し、これをリスク許容度の範囲内に実効的に低減するために、リスクに見合った対策を講じることであるとしている。 2) 金融庁ガイドラインにおいて、リスクベース·アプローチでは、マネロン·テロ資金供与リスクへの対応をリスクの特定·評価· 低減等の段階に便宜的に区分するなどして、順を追って検討していくことが重要であるとしている。 3) 金融庁ガイドラインにおいて、金融機関等が行うマネロン·テロ資金供与対策におけるリスクベース·アプローチは、海外の手法等を模倣するのではなく、日本独自のマネロン·テロ資金供与対策を考慮して、独自の手法を考案すべきであるとしている。 4) 金融庁ガイドラインにおいて、金融機関等は、マネロン·テロ資金供与リスクを適切に特定·評価し、これに見合った態勢の構築·整備等を優先順位付けしつつ、機動的な対応を行っていく必要があるとしている。
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4-5 国際的なリスクベース·アプローチの要請を踏まえた犯罪収益移転防止法等の規定 (問)FATF勧告等の国際的なリスクベース·アプローチの要請を踏まえた犯罪収益移転防止法等の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 特定事業者は、リスクの程度にかかわらず、顧客との取引において統括管理者による承認を得ることが必要であり、加えて、情報の収集·分析を行った結果を保存するよう努めなければならない。 2) 特定事業者は、疑わしい取引の届出の要否において、 当該取引に係る取引時確認の結果や当該取引の態様、その他の事情のほか、犯罪収益移転危険度調査書等を勘案して判断しなければならない。 3) 特定事業者は、犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して、自らが行う取引について調査·分析したうえで、その結果を記載した書面等を作成し、 必要に応じて見直すよう努めなければならない。 4) 特定事業者は、 犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して、 必要な能力を有する従業員を採用するために必要な措置を講じるよう努めなければならない。
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4-6 リスクの特定において対応が求められる事項 (問)金融庁ガイドラインにおける、「リスクの特定」に関する次の記述のうち、 最も不適切なものはどれか。 1) リスクの特定において、 新たな商品·サービスを取り扱う場合は、当該商品·サービス等の提供後にそのリスク状況について詳細な分祈を行い、マネロン·テロ資金供与対策を検証することが求められている。 2)リスクの特定において、取引に係る国·地域の検証を行う場合は、FATFや内外の当局等から指摘を受けている国·地域も含め、包括的に、直接·間接の取引可能性を検証し、リスクを把握することが求められている。 3) リスクの特定において、マネロン·テロ資金供与リスクの具体的な検証を行う場合は、自らの営業地域の地理的特性や事業環境等の個別具体的な特性も考慮することが求められている。 4) リスクの特定において、マネロン·テロ資金供与リスクの包括的かつ具体的な検証を行う場合は、経営陣が主導性を発揮して 、 関係するすべての部門の連携· 協働を確保したうえで検証を行うことが求められている。
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4-7 リスクの特定において考慮すべき事項 《問》金融庁ガイドラインにおける、「リスクの特定」 に関する次の記述のうち、 最も不適切なものはどれか。 1)リスクの特定においては、取引形態について考慮する必要があり、具体的には「非対面取引」 「現金取引」 等について犯罪収益移転危険度調査書に記載のないリスクも踏まえて抽出し、特定すべきである。 2) リスクの特定においては、取引条件について考慮する必要があり、具体的には「金利条件」「手数料条件」等について犯罪収益移転危険度調査書に記載のないリスクも踏まえて抽出し、特定すべきである。 3) リスクの特定においては、顧客属性について考慮する必要があり、具体的には「反社会的勢力」「外国PEPs」等について犯罪収益移転危険度調査書に記載のないリスクも踏まえて抽出し、特定すべきである。 4) リスクの特定においては、 国·地域について考慮する必要があり、具体的には「国際テロリスト活動地域」「イラン·北朝鮮等の特定地域」等について犯罪収益移転危険度調査書に記載のないリスクも踏まえて抽出し、特定すべきである。
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4-8 リスクの評価において対応が求められる事項 《問》金融庁ガイドラインにおける、「リスクの評価」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) リスクの評価においては、その過程について経営陣が関与し、リスク評価の結果を経営陣が承認することが求められている。 2) リスクの評価においては、その評価の結果を文書化し、これを踏まえてリスク低減に必要な措置等を検討することが求められている。 3) リスクの評価においては、その評価の全社的方針や具体的手法を確立し、当該方針や手法に則って、 具体的かつ客観的な根拠に基づき「リスクの特定」で特定されたリスクについて評価を実施することが求められている。 4) リスクの評価において、 一度定めた評価を見直すことは、その後の評価に影響を及ぼすことがあるため、見直すことがないよう具体的かつ客観的な根拠に基づき評価を実施することが求められている。
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4-9 リスクの評価において考慮すべき事項 (問)金融庁ガイドラインにおける、「リスクの評価」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)リスクの評価においては、評価の独立性について考慮する必要があるため、経営陣の関与は極力排除すべきである。 2) リスクの評価においては、客観的な根拠に基づく評価について考慮する必要があり、具体的には、評価を10段階に分けて行い、目安として、高リスク取引は全体の取引量の1%以内に収めるべきである。 3) リスクの評価においては、マネロン·テロ資金供与リスクは常にゼロとする必要があるため、残存リスクが完全になくなるまで対策を講じるべきである。 4) リスクの評価においては、各金融機関等の事業環境や経営戦略の特徴等に考慮する必要があり、当該特徴等に則って、全社的方針や具体的手法を確立すべきである。
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4-10 リスクの低減において対応が求められる事項 《問》金融庁ガイドラインにおける、「リスクの低減」に関する次の記述のうち、 最も不適切なものはどれか。 1)リスクの低減においては、自らが特定·評価したリスクを前提に、個々の顧客や取引の内容等を調査し、その結果を当該リスクの評価結果と照らして、講ずべき実効的な低減措置を判断·実施することが求められている。 2) リスクの低減においては、自らのリスク評価結果に基づく個別顧客のリスクを定量的·類型的に提えてリスク格付を実施し、 リスクの高い顧客には四半期に1回の定期的な接触を図り、 継続的に顧客管理を行うことが求められている。 3) リスクの低減においては、個々の顧客や取引のリスクの大きさに応じて、方針や手続、 計画等を行い、 マネロン· テロ資金供与リスクが高い場合には、より厳格な低減措置を講じることが求められている。 4) リスクの低減においては、金融庁ガイドラインの記載事項のほか、業界団体等を通じて共有される事例や内外の当局等からの情報等を参照しつつ、直面するリスクに見合った低減措置を講じることが求められている。
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4-11 リスクの低減措置としての「顧客管理(CDD)」① (問)金融庁ガイドラインにおける、「顧客管理(CDD)」 に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 「顧客管理」とは、個々の顧客に着目し、自らが特定·評価したリスクを前提として、顧客情報や当該顧客が行う取引内容等を調査し、調査結果をリスク評価の結果と照らして、講ずべき低減措置を判断·実施する一連の流れをいう。 2 ) 「顧客管理」とは、犯罪収益移転防止法等で定める「顧客管理措置」に該当し、リスク低減措置の実効性を確保する手段であるとともに、法律上の義務として実施すべきものである。 3 ) 「 顧客管理」は、取引開始時、継続時、終了時の各段階に区分することができ、それぞれの段階において、個々の顧客やその行う取引のリスクの大きさに応じて調査し、講ずべき低減措置を的確に判断·実施する必要がある。 4) 「顧客管理」は、リスク低減措置の中核的な項目であり、一連の顧客管理の過程で確認した情報、自らの規模·特性や業務実態等を総合的に考慮して、すべての 顧客について顧客リスク評価を実施する ことが求められている。
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4ー12 リスクの低減措置としての「顧客管理(CDD)」 ② (問)金融庁ガイドラインにおける、「顧客管理(CDD)」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 顧客管理においては、リスクが高いと思われる顧客 ·取引とその対応を具体的に判断できるよう、顧客の受入れに関する方針を定めることが求められており、同方針の策定は、犯罪収益移転防止法等においても明確に要請されている。 2) 顧客管理においては、実質的支配者の本人確認事項や取引目的等の調査において、信頼に足る証跡を残すことが求められており、「信頼に足る証跡」は、必ず書面によることを要する。 3 ) 顧客管理においては、実質的支配者の本人確認事項や取引目的等の調査において、信頼に足る証跡を残すことが求められており、「実質的支配者」は、 犯罪収益移転防止法等で定めている実質的支配者と同義語である。 4) 顧客管理においては、マネロン·テロ資金供与リスクが高いと判断した顧客との 取引において、上級管理職の承認を得ることが求められており、「上級管理職」とは、犯罪収益移転防止法等における統括管理者と同一人物でなければならない。
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4-13 リスクの低減措置としての「顧客管理(CDD)」③ (問)金融庁ガイドラインにおける、「顧客管理(CDD)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) マネロン· テロ資金供与リスクが高いと判断した顧客には、資産·収入の状況、取引目的、職業、資金源等について、リスクに応じた追加的な情報を入手すること等によるリスクに応じた厳格な顧客管理(EDD)が求められている。 2 ) マネロン·テロ資金供与リスクが低いと判断した顧客には、FATFが挙げる、少額·日常的な厳格な顧客管理を要しない個人取引等を参考に、リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)による取引引に配慮することが求められている。 3) マネロン·テロ資金供与リスクが高いと判新した顧客には、リスクに応じて当該顧客が行う取引に係る敷居値の厳格化等の取引モニタリング強化等による、リスクに応じた厳格な願客管理(EDD) が求められている。 4)マネロン·テロ資金供与リスクが低いと判断した顧客には、当該顧客との取引の実施等につき、上級管理職の承認を得ることによって、リスクに応じた簡素な顧客管理 (SDD) による取引に配慮することが求められている。
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4-14 リスクの低減措置としての「取引モニタリング·フィルタリング」 (問)金融庁ガイドラインにおける、「取引モニタリングおよび取引フィルタリング」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 取引モニタリングとは、取引前やリストが更新された場合等に、取引関係者や既存顧客等について反社会的勢力や制裁対象者等のリストとの照合を行うことなどを通じて、反社会的勢力等による取引を未然に防止することで、リスクを低減させる手法をいう。 2 ) 取引フィルタリングとは、過去の取引バターン等と比較して異常取引の検知、調査、判断等を通じて疑わしい取引の届出を行いつつ、当該顧客のリスク評価に反映させることを通じてリスクを低減させる手法をいう。 3 ) 取引モニタリングおよび取引フィルタリングは、個々の顧客に着目する顧客管理と組み合わせて実行し、リスク低滅措置の実効性を高めていくことが重要である。 4) 近年では、ITを活用した取引モニタリングおよび取引フィルタリングが増えている結果、金融機関等の営業店窓口職員によるモニタリングおよびフィルタリングは、これらのシステムに代替されるようになり、その重要度は低くなっている。
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4-15 リスクの低減措置としての「記録の保存」 (問)金融庁ガイドラインにおける、「記録の保存」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 取引モニタリングおよび取引フィルタリングの目的は、金融機関等に求められる「疑わしい取引の届出」のためであるため、その結果としての記録の保存も、疑わしい取引として届け出た取引のみを対象としている。 2) 金融機関等が保存する確認記録や取引記録等は、自らの顧客管理の状況や結果等を示すものであるほか、金融当局への必要なデータの提出や疑わしい取引の届出の要否の判断等にも有用な情報である。 3) 記録の保存にあたっては、本人確認資料等の証跡のほか、顧客との取引·照会等の記録など、適切なマネロン·テロ資金供与対策の実施に必要な範囲の記録を保存することが求められている。 4) 記録の保存方法については、必ずしも書面等の写しを保存することまでは求められておらず、電磁的記録による保存方法も含まれる。
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4ー16 リスクの低減措置としての「ITシステムの活用」 【問】金融庁ガイドラインにおける、「ITシステムの活用」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) ITシステムを活用した疑わしい取引の検知は、 基準が一定であり、かつ、検知精度のばらつきを防ぐことが重要であることから、シナリオや敷居値は頻繁に変えるべきではない。 2) ITを活用した取引モニタリング·システムや取引フィルタリングシステムは、専門的な技術が要求されることから、当該システムがマネロン·テロ資金供与リスクに見合ったものとなっているかについての検証は、システム部門やシステム開発会社が主導し、責任を持って関与すべきである。 3) 自らの業務規模·特性等に応じたITシステムの早期導入の必要性を検討することが求められている。 4) 取引モニタリングおよび取引フィルタリング関連システムは、導入段階での入念なユーザテストを実施することが求められており、その後も管理部門とシステム部門が連携して継続的な検証を行う必要があるため、 当該システム自体に関する監査は不要である。
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4-17 リスクの低減措置としての「データ管理」 金融庁ガイドラインにおける、「データ管理」に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1)マネロン·テロ資金供与対策のデーク管理において、 必要に応じて金融当局等に提出できる態勢を構築しておく必要がある情報には、例えば、疑わしい取引の届出件数、内部監査や研修等 (関係する資格の取得状況を含む)の実施状況、リスク管理の経営陣への報告状況などが含まれる。 2)データを活用する前提として、 取引モニタリングについてはリスト自体が最新かつ適切であるか、 取引フィルタリングについては、 シナリオが適切であるか、という観点の検証も求められる。 3) マネロン·テロ資金供与対策のデータ管理においては、 確認記録や取引記録のほか、リスクの評価や低減措置の実効性の検証等に用いることが可能な情報を把握·蓄積することが求められているが、 実際の分析にあたり、 どのようなかたちでデータを整理すると分析可能となるかの検討·管理までは求められていない。 4) ITシステムに用いられる顧客情報、確認記録·取引記録等のデータについては、網羅性·正確性の観点で適切なデータが活用されているかを定期的に検証することが求められるが、この定期的な検証は必ずコンプライアンス部門が行わなければならない。
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4ー18 リスクの低減措置としての「FinTech等の活用」 金融庁ガイドラインにおける、「FinTech等の活用」に関する次の記事のうち、最も適切なものはどれか。 1)AI(人工知能)は、サイバー犯罪に悪用されたり、実務適用が未熟であったりする可能性が高いため、マネロン·テロ資金供与対策として活用を検討することは時期尚早といえる。 2)RPAとは、人工知能を活用した新技術であり、マネロン·テロ資金供与対策の分野においては、疑わしい取引に該当するかといった判断を完全自動化することが期待されている。 3) 暗号資産(仮想通貨)の不正流出問題などを考えると、ブロックチェーンは確立されていない部分のある脆弱な技術であるため、現段階において、金融機関での利用は検討すべきでない。 4) FinTechと呼ばれる新技術は、その有効性を積極的に検討し、新技術導入に係る課題の有無なども踏まえつつ、マネロン·テロ資金供与対策の高度化の観点から、活用の余地を有効性も含めて必要に応じ検討することが期待されている。
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4-19 海外送金等を行う場合の留意点 《問》金融庁ガイドライン等における、「海外送金等を行う場合の留意点」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)金融機関等がコルレス契約を締結している場合、マネロン·テロ資金供与リスクの低減措置の実効性は、コルレス契約の相手方のリスク管理態勢によらざるを得ない面があるため、当該金融機関等は、コルレス契約の相手方におけるマネロン·テロ資金供与リスクの管理態勢を適切に監視することが求められている。 2 ) 金融機関等が他の金融機関等に海外送金を委託する場合、当該海外送金に係るマネロン·テロ資金供与対策のリスクの特定·評価·低減等の措置は、海外送金を実行する金融機関等が行うため、委託した金融機関等には、リスクの特定·評価·低減等の措置を講じることは求められていない。 3) コルレス契約先が架空銀行であった場合やコルレス契約先がその保有する口座を架空銀行に利用されることを許容していた場合、金融機関等は、当該コルレス契約先との契約を維持しないことが求められている。 4) 金融庁の「金融機関等における送金取引等についての確認事項等について」では、 送金取引を受け付けるにあたって、顧客の年齢や職業·事業内容等に照らし、送金日的や送金金額に不合理な点がないかについて、 営業店等の職員が顧客に対し、 確認·調査することを求めている。
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4-20 海外送金等を行う場合の実務対応 (問)金融庁ガイドラインにおけるリスクベース·アプローチに照らしX銀行Y支店が海外送金等を行う場合の実務対応に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1) 遠隔地の別支店に口座を有する順客がY支店に来店し、多額の現金による海外送金を依頼した。本人確認資料等により当該顧客がX銀行の既存顧客であることが確認されたため、依頼に沿って海外送金を受け付けた。 2) 顧客が2,000万円の現金をY支店に持ち込み、海外送金を依頼した。当該顧客はX銀行の既存顧客であること、職業は大学生と登録されていることを確認し、本人確認ができたため、海外送金を受け付けた。 3) 顧客から海外送金を依頼され、X銀行の既存顧客であることが確認できたため、送金を受け付けた。その後も10日間にわたり当該顧客から海外送金依頼があったが、初回と同様の取引時確認のみを行って対応した。 4) 顧客が4,000万円の現金をY支店に持ち込み、仕入代金の支払であるとの説明とともに、海外送金を依頼した。当該顧客はX銀行の既存顧客であること、職業は自営業であること、口座は生活資金口座として登録されていることを確認したが、送金の目的が口座開設時の取引目的と齟齬が認められたため、顧客に聞き取りを行った。
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4-21 特定事業者作成書面等① 《問》特定事業者作成書面等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 特定事業者作成書面等とは、金融機関等の特定事業者が取引時確認等を的確に行う措置の一環として作成する書面である。 2) 特定事業者作成書面等には、金融機関等が自ら行った調査や分析した取引について、犯罪による収益の移転の危険性の程度等が記されている。 3) 特定事業者作成書面等の記載内容は、金融庁ガイドラインで定められている関係部分を必ず記載するとともに、 必要に応じて金融機関等が個別に有するリスク要因を加味して作成する必要がある。 4) 特定事業者作成書面等では、金融機関等の特定事業者が実際に行っていない取引については、 リスク評価の対象となっていない。
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4-22 特定事業者作成書面等② (問)特定事業者作成書面等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)特定事業者作成書面等は、特定事業者が実際に行っていない取引も含めて調査·分析し、リスク評価の対象として記載·記録する必要がある。 2) 特定事業者作成書面等では、「新たな技術を活用して行う取引その他新たな態様による取引」も調査対象取引となっており、 新たな情報通信技術を用いた取引等であってマネー· ローンダリングに悪用されるおそれのある取引などを調査する必要がある。 3) 特定事業者作成書面等については、事業者の業態や規模、リスク等にかかわらず、 国内の金融機関等において一律の記載方法とする必要がある。 4)特定事業者作成書面等は、 2016年に改正された犯罪収益移転防止法等によって作成が義務付けられており、 施行から1年6カ月以内に整備することが求められている。
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5-1 マネロン·テロ資金供与対策に係る管理態勢 (問)マネロン·テロ資金供与対策に係る管理態勢に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 金融機関等としてのマネロン·テロ資金供与対策は、FATF審査対応が最重要な課題であり、FATF動告が定める基準に沿った方針·手続·計画を策定することが主な目的である。 2) 全社的な内部管理態勢の構築のためには、外部のコンサルタント会社から、マネロンテロ資金供与対策に係る責任·権限を有する者を任命する等、 強固なガバナンス態勢を構築する必要がある。 3 ) マネロン·テロ資金供与対策の実効性は、 担当役員のみの理解に依拠することに留意が必要である。 4) 金融機関等としてのマネロン·テロ資金供与対策は、継続的な取組みとして位置付けるべきであり、方針· 手続·計画の策定とその運用·実施に加えて、策定内容等の実効性を検証し、不断に見直しを行っていく必要がある。
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5-2 マネロン·テロ資:金供与対策に係る方針·手続·計画等の策定·実施·検証·見直し(PDCA) 【問】金融庁ガイドラインにおける、マネロン·テ口資金供与対策に係る方針·手続·計画等の策定·実施· 検証·見直し(PDCA)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)マネロン·テロ資金供与対策として、自らの業務分野や営業地域、マネロン·テロ資金供与に関する動向等を踏まえた方針·手続·計画等を策定し、顧客受入れに関する方針や記録保存等の具体的な手法を全社的に適用することが、金融機関等に求められている。 2) マネロン·テロ資金供与対策として、リスク低減措置を講じてもなお残存するリスクを評価し、当該リスクの許容度や金融機関等への影響に応じて、取扱いの有無を含めたリスク低減措置の改善や更なる措置の必要性について検討することが、金融機関等に求められている。 3) マネロン·テロ資金供与対策として、自らの規模や特性、業容等を踏まえ、所管する専担部室を設置することが、金融機関等に養務付けられている。 4) マネロン·テロ資金供与対策として、内部情報や内部通報、職員からの質疑等の 情報も踏まえて、リスク管理態勢の実効性の検証を行うことが、金融機関等の内部監査部門および管理部門に求められて いる。
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5-3 マネロン· テロ資金供与対策に係る経営陣の関与理解① 【問】金融庁ガイドラインにおける、マネロン·テロ資金供与対策に係る経営陣の関与·理解に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 経営陣の関与として、各営業店において、犯罪収益移転防止法等で規定される管理職レベルのマネロン·テロ資金供与対策の担当者(統括管理者)を少なくとも1名選任し、 配置することが求められている。 2) 経営陣の関与として、マネロン·テロ資金供与対策に係る責任者を役員のなかから任命し、必要な情報を提供することで、当役員がマネロン·テロ資金供与対策を内外に説明できるような態勢を構築することが求められている。 3) 経営陣の関与として、マネロン·テロ資金供与対策がFATF審査対応の一環であることを理解し、それぞれの金融機関等がどのようなレベルで対応すべきかについて、金融当局から具体的な手法等を聴取し、内部で周知することが求められている。 4) 経営陣の関与として、営業部門や管理部門、内部監査部門でのマネロン·テロ資金供与対策の責任·権限を明確にするとともに、その後の意識向上のための研修等については、各部門に権限を委譲し、それぞれの権限に基づき実施させることが求められている。
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5ー4 マネロン·テロ資金供与対策に係る経営陣の関与·理解② 【問】金融庁ガイドラインにおける、マネロン·テロ資金供与対策に係る経営陣の関与·理解に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1 ) 金融機関等の経営陣として、マネロン·テロ資金供与対策に係る責任者を役員のなかから任命し、 職務をまっとうするに足る必要な権限等を付与することが求められている。 2) 金融機関等の経営陣として、マネロン· テロ資金供与対策に係る役員·部門間での連携の枠組みを構築することが求められている。 3 ) 金融機関等の経営陣として、 マネロン·テロ資金供与対策の重要性を踏まえ、 専門性を有する人材の所管部門への配置および必要な予算の配分等を行うことが求められている。 4) 金融機関等の経営陣として、マネロン· テロ資金供与対策の遵守・取組状況等を適切に勘案して、全役職員における対策の貢献度を加味した人事制度·報酬制度を構築することが義務付けられている。
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5-5 マネロン·テロ資供与対策に係る経営管理(3つの防衛線) 【問】金融庁ガイドラインにおける、 マネロン·テロ資金供与対策に係る「3つの防衛線」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1 )マネロン·テロ資金供与対策における経営管理は、 第1の防衛線である営業部門、第2の防衛線である管理部門、 第3の防衛線である内部監査部門という3つの防衛線の概念で整理することができる。 2) マネロン·テロ資金供与対における第1の防衛線である営業部門は、取引時確認や疑わしい取引の届出等を 単なる事務と捉えず、顧客と直接対面している立場から、リスクに対し最初に直面し、これを防止する役割を担っているという認識を持つ必要がある。 3) マネロン·テロ資金供与対策における第2の防衛線は、 営業部門における事務やコンプライアンス、リスクを統括する管理部門に加えて、取引モニタリングシステムを所管するシステム部門や専門性を有する人材の育成·確保を担う人事部門も含まれる。 4) マネロン·テロ資金供与対策における第3の防衛線である内部監査部門は、厳しい独立性が求められていることから、第1の防衛線である営業部門や第2の防衛線である管理部門との情報連携や意見交換は極力避け、公正な監査業務に専念する必要がある。
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5-6 マネロン·テロ資金供与対策に係る経営管理(第1の防衛線) 《問》金融庁ガイドラインにおける、 マネロン·テロ資金供与対策に係る「第1の防衛線」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 第1の防衛線では、属するすべての職員が、自らの部門·職務において必要なマネロン·テロ資金供与対策に係る方針·手続·計画等を十分理解し、リスクに見合った低減措置を的確に実施することが求められている。 2) 金融機関等は、マネロン·テロ資金供与対策に係る方針·手統·計画等を整備·周知し、 研修等の機会を設けて徹底を図るなど、 第1の防衛線が行う業務に応じて、マネロン·テロ資金供与リスクの理解の促進等に必要な措置を講じることが求められている。 3) マネロン·テロ資金供与対策に係る方針·手続·計画等の整備·周知は、第2の防衛線である管理部門に任せ、 第1の防衛線は、管理部門より示された手続のみに専念することが求められている。 4) 第1の防衛線では、 取引時確認等が求められる顧客と接点を持つ窓口担当者に限らず、そこに属する管理職等を含むすべての職員が、マネロン·テロ資金供与リスクを正しく理解し、リスクの度合いに応じた業務運営を行うことが求められている。
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5ー7 マネロン·テロ資金供与対策に係る経営管理(第2の防衛線) (問)金融庁ガイドラインにおける、マネロン·テロ資金供与対策に係る「第2の防衛線」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 第2の防衛線では、第1の防衛線におけるマネロン·テロ資金供与対策に係る方針·手続 ·計画等の遵守状況の確認や低減措置の有効性の検証等により、マネロン·テロ資金供与リスクの管理態勢が有効に機能しているか、監視等を行うことが求められている。 2) 第2の防衛線では、第1の防衛線に対し、 マネロン·テロ資金供与に係る情報の提供や質疑への応答を行うほか、具体的な対応方針等について協議をするなど、十分な支援を行うことが求められている。 3)第2の防衛線では、マネロン·テロ資金供与対策の主管部門にとどまらず、マネロン·テロ資金供与対策に関係するすべての管理部門の責務を明らかにし、それぞれの部門の責務について認識を共有するとともに、主管部門と他の関係部門が協働する態勢を整備し、密接な情報共有·連携を図ることが求められている。 4) 第2の防衛線では、 第1の防衛線に対し、マネロン· テロ資金供与対策に係る適切な知識および専門性等を有する職員を法令等で定める人員等に配慮して配置することが求められている。
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5-8 マネロン·テロ資金供与対策に係る経営管理(第3の防衛線) 《問》金融庁ガイドラインにおける、マネロン·テ口資金供与対策に係る「第3の防衛線」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 第3の防衛線では、リスクが高いと判断した業務以外については監査対象から除外し、リスクが高い業務に特化して、その 頻度や深度を適切に調整して監査を行うなどの対応を行うことが求められている。 2) 第3の防衛線では、マネロン· テロ資金供与対策に係る方針·手続·計画等の適切性に関する監査計画を策定し、適切に監査を実施することが求められている。 3) 第3の防衛線では、マネロン·テロ資金供与対策に係る方針·手続·計画等を遂行する職員の専門性や適合性等を監査計画に策定し、 適切に監査を実施することが求められている。 4) 第3の防衛線では、マネロン·テロ資金供与対策に係る検知基準の有効性等を含むITシステムの運用状況を監査計画に策定し、 適切に監査を実施することが求められている。
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5-9 マネロン·テロ資金供与対策に係るグループベースの管理態勢① 《問》金融庁ガイドラインにおける、マネロン·テロ資金供与対策に係るグループベースの管理態勢に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 金融機関等がグループを形成している場合、 マネロン· テロ資金供与対策の対象となるグループ会社の範囲は、犯罪収益移転防止法等における特定事業者に該当する会社のみとなる。 2) 金融機関等がグループを形成している場合、 マネロン· テロ資金供与リスクはグループ各社の業容や提供サービスによって異なるため、 マネロン·テロ資金供与対策に係る方針·手続· 計画等は 、 それぞれの自主的な対応に委ねるべきである。 3) 金融機関等がグループを形成している場合、マネロン· テロ資金供与対策の対象となるグループ会社の範囲は、日本国内の会計上の連結子会社や持分法適用会社といった基準によって定義される。 4) 金融機関等がグループとして一貫したマネロン·テロ資金供与対策に係る方針·手続·計画等を策定し、業務分野や営業地域等を 踏まえながら、顧客の受入れに関する方針、 顧客管理、 記録保存等の具体的な手法等について、グループ全体で整合的なかたちで、これを実施することが求められている。
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5-10 マネロン·テロ資金供与対策に係るグループベースの管理態勢② 《問》金融庁ガイドラインにおける、マネロン·テロ資金供与対策に係るグループベースの管理態勢に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) グループべースの管理態勢として、 マネロン·テロ資金供与対策における情報共有態勢の整備が求められているが、犯罪収益移転防止法等に基づく疑わしい取引の届出は、 個人情報の保護に関する法律で定める「個人データの第三者提供の制限」の例外には該当しないため、 必ず本人の同意を得たうえで共有を図る必要がある。 2) グループベースの管理態勢として、 マネロン·テロ資金供与対策における情報共有態勢の整備が求められているが、金融商品取引法上、グループ内において顧客等に関する非公開情報を授受することは原則として制限されているため、必ず本人の同意を得たうえで共有を図る必要がある。 3) グループベースの管理態勢として、 外国金融グループの在日拠点は、グループ全体としてのマネロン· テロ資金供与リスクにおける管理態勢および日本の金融機関等との取引状況等について、 日本の金融当局等に説明責任を果たすことが求められている。 4) グループベースの管理態勢勢として、 海外拠点を有する 金融機関等のグループは、 各海外拠点で適用されるマネロン·テロ資金供与対策に係る法規制等を遵守する必要があるが、海外拠点が属する国· 地域の法規制等が日本の法規制等よりも厳格でない場合であっても、当該国·地域の法規制等を遵守することが求められている。
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5-11 マネロン·テロ資金供与対策に係る職員の確保·育成 【問】金融庁ガイドライン等における、マネロン·テロ資金供与対策に係る職員の確保·育成に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)管理部門(第2の防衛線)は、マネロン·テロ資金供与対策についての理解を深めるための研修を実施する必要があるが、研修を受けた営業部門(第1の防衛線)の職員の理解度や研修によって現場での対応が徹底されたかについては、営業部門自身が責任を持って検証すべきである。 2) 管理部門 (第2の防衛線)は、取引時確認等を含む顧客管理の具体的方法について、職員が役割に応じて的確に理解することができるよう、わかりやすい資料等を用いて周知徹底を図るほか、適切かつ 継続的な研修等を行うことが求められている。 3) マネロン·テロ資金供与対策の研修の目的は、金融庁ガイドラインを含めた関連法規制の知識の付与に限られる。 4) 特定事業者である金融機関等は、使用人に対する教育訓練の実施および取引時確認等の的確な実施に必要な能力を有する者を特定業務に従事する職員として採用することが求められており、これらは、犯罪収益移転防止法等および各監督指針のいずれにおいても「義務」とされている。
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5-12 確認記録の記載事項に関する態勢整備 《問》取引時確認を行った場合に作成する「確認記録」の記載事項等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 確認記録には、顧客が自然人である場合、 氏名や住居、生年月日等の本人特定事項や、取引を行う目的、職業等を記載しなければならない。 2) 確認記録には、本人確認書類の名称や記号番号等、その他本人確認書類を特定するに足りる事項等の本人特定事項の確認のためにとった措置等を記載しなければならない。 3) 確認記録には、顧客が日本に住居を有しない短期在留者であって、上陸許可の証印等により在留期間の確認を行った場合、上陸許可の証印等の名称や日付、番号、その他当証印等を 特定するに足りる事項を記載しなければならない。 4) 確認記録には、顧客等が外国PEPsまたは国内PEPsに該当するときは、その旨およびPEPsと認めた理由を記載しなければならない。
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5-13 取引記録等に関する態勢整備 《問》取引記録等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)金融機関等の特定事業者は、顧客と特定業務に該当する取引を行った場合、直ちにその取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から7年間保存しなければならない。 2) 金融機関等は、顧客と行う取引が特定業務に該当するかどうかにかかわらず、特定事業者であれば、取引記録等の作成および保存の義務を負っている。 3) 取引記録等には、 口座番号その他の顧客等の確認記録を検索するための事項(確認記録がない場合は、氏名その他の顧客等または取引を特定するに足りる事項)を記載しなければならない。 4) 取引記録等には、取引の日付や取引の種類、 取引に係る財産の価額等を記載しなければならない。
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5-14 各監督指針等で求められるマネロン·テロ資金供与に係る管理態勢 《問》犯罪収益移転防止法等および各監督指針で求められるマネロン·テロ資金供与に係る管理態勢に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)犯罪収益移転防止法等で規定される、マネロン· テロ資金供与対策に係る「取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な監査その他の業務を統括管理する者の選任」は、 努力義務とされているが、各監督指針上では態勢整備の義務とされている。 2) マネロン·テロ資金供与対策において、適切な従業員の採用方針や顧客の受入れに関する方針を策定することは、犯罪収移転防止法等では態勢整備の義務とされているが、 各監督指針上では努力義務とされている。 3) 取引時確認等の措置を含む顧客管理方法について、 マニュアル等の作成·従業員に対する周知を行うとともに、従業員に対し、 その適切な運用が可能となるよう適切かつ継続的な研修を行うことは、犯罪収益移転防止法等および各監督指針上で努力義務とされている。 4) 取引時確認や疑わしい取引の届出を含め、職員が発見した組織的犯罪による金融サービスの濫用に関連する事案についての適切な報告態勢を整備することは、 犯罪収益移転防止法等および各監督指針上で態勢整備の義務とされている。
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6-1 顧客管理における特定取引 《問》犯罪収益移転防止法等における、特定取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 金融機関等の特定事業者が行う取引のうち、預貯金口座等の開設や200万円を超える大口現金取引、10万円を超える現金送金は「特定取引」に該当し、当該特定事業者は取引時確認を行わなければならない。 2) 金融機関等の特定事業者が行う取引のうち、なりすましの疑いがある取引や取引時確認事項を偽っている疑いがある取引に該当する場合、 当該特定事業者は厳格な取引時確認を行わなければならない。 3) 金融機関等の特定事業者が行う取引のうち、200万円以下の現金取引や外貨両替、10万円以下の現金送金は「顧客管理を行う上で特別の注意を要する」取引であっても、「特定取引」に該当しないため、当該特定事業者は取引時確認を行う必要はない。 4) 金融機関等の特定事業者が行う特定取引のうち、 資産や収入に見合っている取引ではあるが、一般的な同種の取引と比較して高額な取引である等により、 顧客管理を行ううえで特別の住意を要する取引に該当する場合は、当該特定事業者は取引時確認等に加え、 統括管理者等による疑わしい点があるかどうかの確認および承認が必要となる。
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6-2 顧客管理における取引時確認義務(自然人との取引) 《問》犯罪収益移転防止法等で定められている、自然人との取引における取引時確認に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 自然人について確認すべき取引時確認事項は、本人特定事項(氏名、 住居、 生年月日)、 取引を行う目的、職業であるが、これらの確認はすべて申告によらず、書類または写しの提出·送付をもって行わなければならない。 2) 自然人の本人確認書類として、健康保険被保険者証(顔写真がない本人確認書類)は、対面の場合のみ、顔写真付きの本人確認書類と同様に、提示のみで本人特定事項の確認が終了する。 3) 自然人の本人確認書類として、 国民年金手帳は、国民年金法により基礎年金番号の告知を求めることが禁止されているため、本人特定事項の確認の際に用いることができない。 4) 自然人の本人確認書類として、 個人番号(マイナンバー)カードは、運転免許証等と同様に写真付き証明書である本人確認書類として認められている。
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6-3 顧客管理における取引時確認義務(法人との取引) 《問》犯罪収益移転防止法等で定められている、法人との取引における取引時確認に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 法人について確認すべき取引時確認事項は、本人特定事項(名称、主たる事務所等の所在地)、取引を行う目的および事業内容をすべて書面で確認するとともに、 実質的支配者の有無、実質的支配者および取引担当者(代表者等) の本人特定事項の確認が必要となる。 2) 対面取引による法人の本人特定事項は、提示を受ける日前1年以内に作成された登記事項証明書または印鑑登録証明書、 官公庁から発行·発給された書類等で法人の名称および本店または主たる事務所の所在地の記載があるものの提示を受けることで確認する必要がある。 3) 非対面取引による法人の本人特定事項は、法人および取引担当者(代表者等)の本人確認書類等の送付を受けるとともに、本人確認書類に記載されている法人の本店等所在地宛に取引に係る文書を書留郵便等により転送不要郵便物等として送付し、到着したことを確認することにより行う方法がある。 4) 対面取引による法人の取引時確認事項では、取引担当者(代表者等)が正当な取引権限を有していることを確認する必要があり、具体的な取引担当者 (代表者等)の確認方法としては、当該法人が発行している身分証明書(社員証等)の提示によって確認することが認められている。
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6-4 顧客管理における取引時確認義務(取引時確認消みの顧客) 《問》犯罪収益移転防止法等で定められている、取引時確認済みの顧客との取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)取引時確認を行ったことのある顧客との取引において、当該取引が特定取引に該当せず、かつ、厳格な取引時確認を要する取引にも該当しない場合、通常の取引時確認を行う必要がある。 2)取引時確認を行ったことのある顧客との取引において、当該取引が特定取引に該当し、かつ、厳格な取引時確認を要する取引にも該当する場合、 厳格な取引時確認を行う必要がある。 3) 取引時確認を行ったことのある顧客との取引において、当該取引が特定取引には該当するが、厳格な取引時確認を要する取引には該当しない場合、取引時確認済顧客に行う確認方法を行っていれば、取引時確認は完了する。 4) 取引時確認を行ったことのある顧客との取引において、当該取引が特定取引には該当するが、 厳格な取引時確認を要する取引には該当せず、 取引時確認済顧客に行う確認方法を行っていない場合、通常の特定取引として取引時確認を行う必要がある。
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6-5 顧客管理における本人特定事項の確認方法 (問) 犯罪収益移転防止法等で定められている、 本人特定事項の確認方法に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1) 本人特定事項の確認を行う場合において、顧客または代表者等の現在の住居が本人確認書類と異なる場合、他の本人確認書類や公共料金領収書(領収日付の押印または 発行年月日の記載があり、その日 付が提示等を受ける日前1年以内のものに限る) 等の補完書類の提示等を受け、住居等を確認する必要がある。 2) 対面で行う個人顧客との通常の特定取引における本人特定事項の確認の際に、「個人番号の通知カード」の提示を受けた場合、個人番号の通知カードに記載されている住居宛に、取引に係る文書を書留郵便等により転送不要郵便物等として送付する方法により確認を行う必要がある。 3)対面で行う個人顧客との継続的な契約に基づく取引に際して、契約の締結に際して行われた取引時確認に偽りの疑いがある場合における本人特定事項の確認方法は、当該継続的な契約に際して確認した書類に加え、別の本人確認書類または補完書類の提示等を受ける必要がある。 4) 対面で行う個人顧客との通常の特定取引における本人特定事項の確認の際に、「運転免許証の写し」の提示を受けた場合、当該本人確認書類は犯罪収益移転防止法等で求められる要件を満たすものであるため、追加の確認書類等の提示を受ける必要はない。
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6-6 顧客管理措置 (問)犯罪収益移転防止法等で求められる、顧客管理措置に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)犯罪収益移転防止法等では、「取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置」と「内部管理態勢の整備」を法的な義務として特定事業者に求めている。 2) 犯罪収益移転防止法等における顧客管理措置に関する規定は、FATF第3次対日相互審査報告書における指摘に基づき創設された。 3) 犯罪収益移転防止法等において、特定事業者が講じる「取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置」の例として、単発の取引を含む特定取引を最新の内容とするために行う「調査」が挙げられる。 4) 犯罪収益移転防止法等において、特定事業者は「取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置」として、顧客から「定期的な報告」を受けて情報を取得することが求められている。
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6-7 顧客管理措置における内部管理態勢の整備① (問)犯罪収益移転防止法等で求められている、顧客管理措置における内部管理態勢の整備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 犯罪収益移転防止法等では、取引時確認等の的確な実施のために、特定業務に従事するにあたり、必要な能力を有する者を採用することが規定されており、金融機関等は、同法等で定められている「一定の資格」を有する者を採用することが求められている。 2) 犯罪収益移転防止法等では、取引時確認等の的確な実施のために、必要な監査その他の業務を統括管理する者(統括管理者)を選任することが規定されており、金融機関等は、各営業店に必ず1名の統括管理者を置くことが求められている。 3) 犯罪収益移転防止法等では、取引時確認等の的確な実施のために、必要な監査の実施が規定されており、金融機関等は、 各年度1回以上の外部による監査を実施することが求められている。 4) 犯罪収益移転防止法等では、取引時確認等の的確な実施のために、取引時確認等に関する規程の作成が規定されており、金融機関等は、取引時確認等の措置の実施手順や対応要領等を定めた規程や社内規則 、社内マニュアル等を作成することが求められている。
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6-8 顧客管理措置における内部管理態勢の整備② (問)犯罪収益移転防止法等で求められている、 顧客管理措置における内部管理態勢の整備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 犯罪収益移転防止法等では、取引時確認等を的確に行うために、 使用人に対する教育訓練の実施を規定しており、 金融機関等は、使用人等に対して同法等の内容やマネロン· テロ資金供与対策に関する社内規則等を周知させることが求められている。 2) 犯罪収益移転防止法等では、特定事業者作成書面等を作成し、必要に応じて見直しを行い、変更を加えることを規定しており、金融機関等は、同法等で定められている作成時期や保存期間、管理方法に従った特定事業者作成書面等の運用を行うことが求められている。 3) 犯罪収益移転防止法等では、特定事業者作成書面等の内容を勘案し、確認記録および取引記録等を継続的に精査することを規定しており、金融機関等は、 取引が終了している顧客も含め、 取引履歴のある全顧客に係る確認記録等を継続的に精査することが求められている。 4) 犯罪収益移転防止法等では、 特定業務に係る高リスク取引に該当する場合に、 取引が発生する都度、 統括管理者の承認を受けさせることを規定しており、金融機関等の統括管理者は、取引が発生する都度、 必ず取引前に承認することが求められている。
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6-9 顧客管理措置における内部管理態勢の整備③ (問)犯罪収益移転防止法等で求められている、顧客管理措置における内部管理態勢の整備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 犯罪収益移転防止法等では、特定業務に係る高リスク取引に関する情報を収集·整理·分析した結果を記載した書面等を作成し、確認記録·取引記録等とともに保存することを規定しており、金融機関等は、確認記録·取引記録等を、それぞれ取引の終了後5年間保存することが求められている。 2) 犯罪収益移転防止法等では、取引時確認等の的確な実施のために、必要な監査その他の業務を統括管理する者(統括管理者)の選任を規定しており、選任された統括管理者は、自らが有する権限を他の者に委任することが禁止されている。 3) 犯罪収益移転防止法等では、特定事業者作成書面等の内容を勘案し、取引リスクの高低に応じて、必要な情報の収集や整理·分析を行うことなどが求められている。 4) 犯罪収益移転防止法等では、特定事業者作成書面等を作成し、必要に応じて見直しを行い、変更を加えることを規定しているが、金融機関等は、特定事業者作成書面等の作成の際、これまで行ったことのない新たな技術や態様による取引については勘案する必要がない。
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6-10 外国PEPsの顧客管理① 《問)犯罪収益移転防止法等で定められる、外国PEPsに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 外国PEPsには、 自然人のほか、 その者が実質的な支配者である法人も含まれる。 2) 外国PEPsには、外国PEPs本人に加えて、 その家族および近しい間柄にある者も含まれる。 3) 外国PEPsには、 外国の政府や中央銀行の役員だけでなく、 国連やIMF、FATF、 OECD等の国際機関の職員も含まれる。 4) 外国PEPsには、日本が国として認めていない、 いわゆる未承認国家の政府や中央銀行の役員は含まれない。
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6-11 外国PEPsの顧客管理② 《問》犯罪収益移転防止法等で定められる、外国PEPsに関する 次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1)外国PEPsに該当するかどうかの確認は、 日本が公表する外国PEPsリストとの照合によって行われる。 2) 外国PEPsとの取引は 、 マネロン·テロ資金供与リスクが 高いことから、 取引成立前に必ず確認を完了させなければならない。 3) 外国PEPsとは、外国人が対象であるため、顧客が 日本人である場合に外国PEPsに該当するかどうかの確認を行う必要はない。 4) 外国PEPsには、予算について国会の議決を経、または承認を受けなければならない法人の役員が含まれ、当該役員はその任を終えた後も外国PEPsに該当する。
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6-12 実質的支配者の顧客管理① (問)犯罪収益移転防止法等で定められている、法人の実質的支配者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 法人の実質的支配者とは、法人の事業経営を実質的に支配することが可能な関係にある者をいい、どのような者が該当するかについては、法人の性質に従って定められており、議決権その他の手段により当該法人を支配する自然人にまで遡って確認することとなっている。 2) 法人の実質的支配者を確認する際は、 当該法人が資本多数決法人であるか資本多数決法人以外の法人であるかによって判断方法が異なっている。 3) 法人の実質的支配者を確認する際は、原則として取引時点での実質的支配者の該当性を判断することとなるが、直近の株主総会開催時等の合理的な範囲で近接した時点での状況により判断することも認められている。 4) 法人の実質的支配者を確認した結果、該当する自然人が複数いた場合は、当該法人に、複数人の自然人のうち1名を実質的支配者として定めてもらう必要がある。
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6ー13 実質的支配者の顧客管理② (問) 犯罪収益移転防止法等で定められている、法人の実質的支配者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)法人の実質的支配者を確認する際、通常の特定取引と厳格な取引時確認を要する取引のいずれであるかにより、本人特定事項の確認方法が異なり、通常の特定取引である場合は、当該法人の代表者等から実質的支配者の本人特定事項について申告を受ける方法で確認することになる。 2) 法人と厳格な取引時確認を要する取引を行う際に実質的支配者の確認を行う場合、 法人の株主名簿(資本多数決法人の場合)や登記事項証明書(資本多数決法人以外の法人の場合)等の書類を確認し、かつ、実質的支配者の本人特定事項について当該法人から申告を受ける方法で確認することになる。 3) 法人の実質的支配者を確認する際に判断する「資本多数決法人」 とは 、 株式会社、 投資法人、持分会社(合名会社、 合資会社および合同会社)、 特定目的会社等が該当する。 4) 法人の実質的支配者を確認する際に判断する「資本多数決法人以外の法人」とは、 一般社団·財団法人、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、特定非営利法人等が該当する。
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6-14 実質的支配者の顧客管理③ 《問》犯罪収益移転防止法等で定められている、法人の実質的支配者に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 資本多数決法人の実質的支配者を確認する際に、 議決権の10%を保有する自然人がいる場合、当該自然人が事業経営を支配する意思または能力を有していないことが明らかなときを除き、実質的支配者となる。 2) 資本多数決法人の実質的支配者を確認する際に、出資· 融資·取引その他の関係を通じて事業活動に実質的な影響力を有すると認められる自然人がいるときは、当該自然人が保有する議決権の割合にかかわらず、実質的支配者となる。 3 ) 資本多数決法人以外の法人の実質的支配者を確認する際に、 法人の収益総額の30%の配当を受けている自然人がいる、または、 出資·融資·取引その他の関係を通じて事業活動に実質的な影響力を有すると認められる自然人がいる場合、当該自然人が事業経営を支配する意思または能力を有していないことが明らかなときを除き、 実質的支配者となる。 4) 資本多数決法人以外の法人の実質的支配者を確認する際に、法人の収益総額の25%超の配当を受けている自然人が存在しない場合にのみ、 出資· 融資·取引その他の関係を通じて事業活動に実質的な影響力を有すると認められる自然人を確認し、存在するときは、当該自然人が実質的支配者となる。
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6-15 顧客管理の実務事例 (取引目的や職業に虚偽の疑いがある場合) (問)金融機関の窓口担当者は、 顧客から預貯金口座開設の申込みを受けた際、本人特定事項の確認に加え、口座開設申請書に取引目的および職業の記載を求めたところ、取引目的は「給与受取」としながら、職業は「無職」 と記載があった。当該事例に関する次の対応のうち、 最も不適切なものはどれか。 1) 取引目的および職業に虚偽の疑いも考えられるため、申告のみによる確認だけではなく、会社員であれば社員証等、失業中であれば離職票等の提示を求めて預貯金口座開設の目的等を再度確認すべきである。 2) 顧客が本人特定事項等を確認する際に証明書等の提出等に応じない場合、 預貯金口座開設の謝絶をする必要はないが、疑わしい取引の届出の提出は検討すべきである。 3) 金融庁ガイドラインでは、 顧客の本人特定事項や取引目的等の調査には、 信頼に足る証跡を求める必要があるとしているため、 マネロン·テロ資金供与リスクが高いと判断した場合は、当該顧客や取引に関する実態を確認·調査して、 追加的な証跡を求めるべきである。 4) 犯罪収益移転防止法等に照らすと、当該取引は疑わしい取引に該当する可能性もあるため、顧客に対して質問等による調査を行ったうえで、統括管理者等に当該取引が疑わしい取引に該当するかを確認すべきである。
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6-16 顧客管理の実務事例(外国人顧客の本人確認) (問)金融機関の窓口担当者は、来店した外国人顧客(いわゆる一見取引)から500万円の現金振込の依頼を受けた。当該事例に関する次の対応のうち、最も適切なものはどれか。 1) 「外国人顧客との取引については、住民登録をしていないと行うことができない」旨を伝え、 当外国人顧客に対して住民登録をしているかどうかの確認を行った。 2) 当該外国人顧客に住民登録の確認を行ったところ、住民登録があることの自己申告を口頭で受けたため、 健康保険被保険者証の提示を受けて本人特定事項の確認を行い、 現金振込を受け付けた。 3) 当該外国人顧客は日本に住居を有していない観光客(短期在留者)であることが確認され、 パスポート記載の当該外国人がする国の住居も確認できなかったため、「取引ができない」旨を伝えた。 4) 当該外国人顧客に住民登録の確認を行ったところ、住民登録がなかったため、「日本の居住者の本人確認書類に準ずるもの(住居や生年月日の記載があるものに限る)が本人確認書類となる」旨を伝え、パスポート等の提示を求めて本人特定事項の確認を行った。
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6-17 顧客管理の実務事例(外国PEPsの確認) 《問》金融機関の窓口担当者は、来店顧客に対する取引時確認において外国PEPsの申告を依頼したところ、「日本人なので回答しない」と申告に応じてもらえなかった。当該事例に関する次の対応のうち、最も適切なものはどれか。 1)顧客から外国PEPsであるかどうかの申告に応じてもらえない場合、警察庁が公表する外国PEPsリストとの照合または公刊情報の活用のいずれかの方法によって確認することになる。 2) 顧客に対する外国PEPsの確認において、 再度の要請にもかかわらず回答を得られなかった場合、最終的な確認がなされるまでは、いっさいの取引に応じることはできない。 3) 顧客が外国PEPsであることが 判明した場合であっても、取得すべき情報をどの程度まで取得するかについては、当該顧客の自己申告に委ねるべきである。 4) 日本人であっても、 外国PEPsの配偶者·親族等に該当する可能性があることを伝えて、申告してもらうようにする必要がある。
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6-18 顧客管理の実務事例 (なりすましが疑われる顧客との取引) (問)金融機関の窓口担当者は、「Aさん」を名乗る者からAさん名義の預貯金300万円の全額払戻しの依頼を受けた。窓口担当者は、Aさんのことを知っており、窓口で払戻しをしようとしている者が別人であるとの疑いを持っている。当該事例に関する次の対応のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 犯罪収益移転防止法等における「継続的取引である特定取引について、なりすましの疑いがある場合」に該当する可能性があるため、厳格な取引時確認を行う必要がある。 2) Aさんを名乗る者に対して質問をする、または、取引時確認で確認した事項の追加情報を収集するなどの調査を行うとともに、 統括管理者等に当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認してもらう必要がある。 3 ) 当該取引引は、 犯罪収益移転防止法等で定める「100万円を超える財産の移転」に該当するため、Aさんを名乗る者に対し、 必要な範囲で源泉徴収票や預貯金通帳等による「資産および収入の状況」の確認を行う必要がある。 4) Aさんになりすましている疑いがある者との 取引に際しては、 最初の取引時確認の際に求めた本人確認書類や補完書類等に加え、 別の本人確認書類·補完書類等を求めて確認を行う必要がある。
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7-1 疑わしい取引の届出制度 (問) 疑わしい取引の届出制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)疑わしい取引の届出は、犯罪収益移転防止法等で定められた法律上の義務であり、同法等で定められているすべての特定事業者は、疑わしい取引の届出を行う義務を負っている。 2)金融機関等の特定事業者は、特定業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いが認められる場合に、疑わしい取引の届出を行う義務を負っている。 3)金融機関等の特定事業者は、顧客等が特定業務に関し、組織的犯罪処罰法10条の罪もしくは麻薬特例法6条の罪に当たる行為を行っている疑いが認められる場合に、疑わしい取引の届出を行う義務を負っている。 4) 金融機関等の特定事業者は、殺人や強盗、恐喝、許欺などの犯罪や暴力団等の資金源となる犯罪、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律(テロ資金提供処罰法)で規定するテロ資金についても、 疑わしい取引の届出を行う義務を負っている。
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7-2 疑わしい取引の届出の実務 《問》疑わしい取引の届出の実務等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 金融機関等の特定事業者が行政庁に対し疑わしい取引を報告する際は、電子申請システムまたは電磁的記録媒体のいずれかの方法で届け出る必要がある。 2) 金融機関等の特定事業者が行政庁に対し疑わしい取引を報告する際は、犯罪収益移転防止法等で定められた様式および記載事項に沿って届け出る必要がある。 3) 金融機関等の特定事業者が行政庁に対し疑わしい取引を報告する際の届出書は、原則として、顧客等ごとに作成する必要がある。 4) 金融機関等の特定事業者が行政庁に対し疑わしい取引を報告する際の届出書には、 特定事業者として知り得た対象取引に係る取引時確認に関する事項を記入する必要がある。
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7ー3 疑わしい取引に関する情報の活用 《問》疑わしい取引に関する情報の活用に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)金融機関等の特定事業者が疑わしい取引を届け出る際は、 特定事業者ごとに届出先行政庁が定められており、銀行や信用金庫、信用組合、農業協同組合(信用·共済事業)、 保険会社の届出先は、金融庁(長官)となっている。 2) 金融機関等の特定事業者から届出のあった疑わしい取引に関する情報は、各行政庁から国家公安委員会に集約されることになり、国家公安委員会は、これらの情報を整理·分析して、捜査機関等に対し疑わしい取引に関する情報を提供している。 3) 国家公安委員会は各行政庁から集約された疑わしい取引に関する情報を「犯罪白書」としてまとめ、 特定事業者が行う疑わしい取引の届出の要否の判断材料に資する情報として提供している。 4) 国家公安委員会で整理·分析した疑わしい取引に関する情報は、捜査機関等に提供することによって活用され、当該情報は捜査記録や司法書類に適切に記録されている。
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7ー4 国の捜査機関等による疑わしい取引に関する情報の活用 《問》国の捜査機関等による疑わしい取引に関する情報の活用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 検察庁では、疑わしい取引に関する情報を全国の検察庁で共有しており、内偵捜査に活用しているほか、被疑者および関係者の供述の裏付け、余罪や共犯者等の洗い出しなど、犯罪の事実解明に活用している。 2) 厚生労働省地方厚生局麻薬取締部等では、不正薬物密売に係る被疑者の人定情報の把握をはじめとした各種薬物事犯捜査等に疑わしい取引に関する情報を活用している。 3) 証券取引等監視委員会では、虚偽有価証券報告書等の提出 (粉飾決算)や内部者取引 (インサイダー取引) 等、金融市場の公正を害する行為に対する犯則調査に疑わしい取引に関する情報を活用している。 4) 国税庁では、疑わしい取引に関する情報をデータベース化して全国で情報共有しており、疑わしい取引に関する情報と個別に入手した各種情報との照合等を行うことにより、 関税法違反の犯則調査に活用しており、国民の安全·安心を脅かす物品等密輸の水際阻止に一層の強化を図っている。
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7ー5 疑わしい取引の届出状況 (問)警察庁が発表している「犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和3年)」における、疑わしい取引の届出状況等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 2021年中の疑わしい取引の届出の受理件数は、疑わしい取引の届出制度が創設された1992年以後、初めて40万件を超えた。 2 ) 2021年中の疑わしい取引の届出に関する情報を端緒として都道府県警察が検挙した事件(端緒事件)のなかで、 最も多い犯罪種別は「マネー·ローンダリング事犯」であり、全体の端緒事件数の過半数を占めている。 3) 2021年中の疑わしい取引の届出の受理件数を届出事業者の業態別にみると、銀行等が最も多く、全体の受理件数の90%強を占めている。 4) 2021年中に組織的犯罪処罰法に係る「マネー·ローンダリング事犯」 を前提犯罪別にみると、 最も多い前提犯罪は「詐欺」であった。
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7-6 組織的犯罪処罰法 《問》組織的犯罪処罰法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 組織的犯罪処罰法では、犯罪による収益の隠匿および収受ならびにこれらを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰対象としている。 2) 組織的犯罪処罰法で定める団体とは、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法) で定める指定暴力団を指し、例えば、半グレ勢力や組織が明確でない団体(グループ)は含まれない。 3) 組織的犯罪処罰法において、 犯罪行為となるのは、日本においてなされた行為が対象となり、 海外での行為は処罰の対象とはならない。 4) 組織的犯罪処罰法において、犯罪行為となるのは、テロ行為そのものであり、テロ行為に向けた計画やそのための下見などは犯罪行為とはならない。
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7ー7 疑わしい取引の届出の前提となる可能性のある行為 《問》疑わしい取引の届出の前提となる可能性のある行為に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。 1) 偽造カードによって現金自動預払機から資金を引き出す者を助け、引き出された現金の一部を報酬として受け取る行為は、 不正行為に直接関与していないため、 疑わしい取引の届出の前提となる可能性のある行為には該当しない。 2) 第三者名義を用いて不動産を購入しようとする行為は、疑わしい取引の届出の前提となる可能性のある行為に該当し、特定事業者がマネー·ローンダリングの疑いを持ち、 それを理由に取引を断った場合であっても、疑わしい取引の届出は検討しなければならない。 3) 盗品である自動車を他人名義で契約した倉庫内に保管する行為は、隠匿の対象が資金ではないことから、疑わしい取引の届出の前提となる可能性のある行為には該当しない。 4) テロ資金を供与する行為は、疑わしい取引の届出の前提となる可能性のある行為に該当するが、当該資金を供与する行為が未遂に終わった場合は、 疑わしい取引の届出を検討する必要はない。
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7ー8 疑わしい取引の届出の判断等 《問》疑わしい取引の届出の判断等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)特定業務に係る高リスク取引においては、通常の取引で求められる疑わしい取引の判断に加えて、顧客に対して質問を行ったり、取引時確認で確認した事項の追加情報を収集したりするなどの調査を行うとともに、当該取引に疑わしい点があるかどうかを統括管理者等に確認させることが求められている。 2 ) 疑わしい取引の届出においては、金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」のいずれかの項目に該当しているかだけを判断基準として、届出の要否を判断する必要がある。 3) 過去に取引を行ったことのない顧客との取引 (いわゆる一見取引)においては、当該取引の態様と他の顧客との間で通常行う取引の態様との比較のみによって、届け出るかどうかの判断を行う必要がある。 4) 過去に取引を行ったことがある顧客との取引 (既存顧客との取引)においては、犯罪収益移転危険度調査書の内容のみを判断基準として、 届け出るかどうかの判断を行う必要がある。
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7-9 金融庁ガイ ドラインにおける疑わしい取引lの届出① 《問》 金融庁ガイドラインにおける、「疑わしい取引の届出」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 金融機関等の特定事業者は、顧客属性や取引時の状況、その他金融機関等が保有する具体的な情報を総合的に勘案したうえで、 疑わしい取引の該当性について適切な検討·判断が行われる態勢を整備し、法律に基づく義務を履行することが求められている。 2 ) 金融機関等の特定事業者は、業務内容に応じて、 ITシステムやマニュアル等も活用しながら、疑わしい顧客や取引等を的確に検知·監視·分析する態勢を構築することが求められている。 3) 金融機関等の特定事業者は、疑わしい取引の該当性について、 国によるリスク評価の結果や疑わしい取引の参考事例等も踏まえて、顧客が行っている事業等に照らした取引金額·回数等の取引態様等を考慮することが求められている。 4) 金融機関等の特定事業者は、疑わしい取に該当すると判断した場合、 疑わしい取引の届出を直ちに行う態勢を構築することが求められており、過去のFATF相互審査の結果事例等を踏まえると、取引日からおおむね1カ月以内に届け出るべきである。
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7-10 金融庁ガイドラインにおける疑わしい取引の届出② 《問》金融庁ガイドラインにおける、「疑わしい取引の届出」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)金融機関等の特定事業者は、 既存顧客との継続取引や一見取引等の取引区分に応じて、疑わしい取引の該当性の確認および判断を適切に行うことが求められている。 2 ) 金融機関等の特定事業者は、実際に疑わしい取引の届出を行った取引について、リスク低減措置の実効性を検証し、必要に応じて同種の類型に適用される低減措置を見直すことが求められている。 3) 金融機関等の特定事業者は、犯罪収益の発見、組織犯罪対策等に活用される「保守的な報告」をできる限り多く届け出ることが奨励されている。 4) 金融機関等の特定事業者は、疑わしい取引の届出を契機にリスクが高いと判断した顧客について、顧客リスク評価を見直すとともに、当該リスク評価に見合った低減措置を適切に実施することが求められている。
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7ー11 疑わしい取引の参考事例 (現金の使用形態に着目した事例) 《問》金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」における、現金の使用形態に着目した事例に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 顧客の収入·資産等に見合わない現金による高額の入出金取引や送金·自己宛小切手での取引が相当と認められるにもかかわらず現金で行われる多額の取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 2) 敷居値を下回る取引を除き、短期間のうちに頻繁に行われる取引で、現金または小切手による入出金の総額が多額である取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 3) 外貨を含む多量の少額通貨による入金または両替を行う取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 4) 夜間金庫への多額の現金の預入または急激な利用額の増加に係る取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
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7-12 疑わしい取引の参考事例 (真の口座保有者を隠匿している可能性に着目した事例) 《問》金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」における、真の口座保有者を隠匿している可能性に着目した事例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)疑わしい取引に該当する可能性のある取引事例として、多数の口座を保有していることが判明した顧客に係る当該口座を使用した入出金が挙げられており、例えば、屋号付名義等を利用して異なる名義で多数の口座を保有している顧客等については、注意を払う必要がある。 2)疑わしい取引に該当する可能性のある取引事例として、架空名義口座や借名口座であるとの疑いが生じた口座を使用した入出金が挙げられているが、現金自動預払機で、複数のキャッシュカードを使用して入出金を繰り返しているが、操作に不審な点がみられない顧客に関しては、特に注意を払う必要はない。 3) 疑わしい取引に該当する可能性のある取引事例として、自宅や勤務先、通勤経路から当該支店で取引をすることに明らかな理由がない顧客に係る口座を使用した入出金が挙げられているが、事例と同様の顧客ではあるが、 本人特定事項等に問題のない顧客との取引に関しては、特に注意を払う必要はない。 4) 疑わしい取引に該当する可能性のある取引事例として、住所と異なる連絡先にキャッシュカード等の送付を希望する顧客に係る口座を使用した入出金が挙げられているが、事例と同様の希望を持つ顧客とのやりとりにおいて、 結果的に口座開設を断念したような場合は、その後の対応を検討する必要はない。
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7ー13 疑わしい取引の参考事例 (口座の利用形態に着目した事例) 《問》金融庁が公表している 「疑わしい取引の参考事例」における、口座の利用形態に着目した事例に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 多数の者に頻繁に送金を 行う口座で、送金を行う直前に多額の入金が行われる取引は、 疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 2) 口座開設後、多額かつ頻繁な入出金が短期間で行われ、その後、解約された口座に係る取引は、既に口座が存在しないことから、疑わしい取引に該当する可能性は低く、 その後の対応を検討する必要はない。 3) 通常は資金の動きがないにもかかわらず、 突如多額の入出金が行われる口座に係る取引は、 疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 4) 口座から現金で払戻しをし、直後に払い戻した口座の名義人と異なる者を送金依頼人として現金を送金する取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
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7-14 疑わしい取引の参考事例 (外国との取引に着目した事例) (問)金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」における、外国との取引に着目した事例に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 多額の信用状の発行に係る取引のうち、輸出国や輸入数量、輸入価格等について合理的な理由が認められない情報を提供する顧客との取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 2) 金融庁が監視を強化すべきとして指定した、マネー· ローンダリング対策に非協力的な国·地域に拠点を置く者との間で顧客が行う取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 3) 経済合理性のない目的のために他国へ多額の送金を行う取引や経済合理性のない多額の送金を他国から受ける取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 4) 日本国内の非居住者である日本人への送金を除き、 送金先や送金目的、送金原資等について合理的な理由があると認められない情報を提供する顧客との取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
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7-15 疑わしい取引の参考事例 (保険商品の販売等) 《問》金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」における、保険商品の販売等に係る事例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 保険契約のうち、保険料の支払方法を月払いとする取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 2)保険料の支払方法を年払いから、月払いへ突然変更する取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取」として注意を払う必要がある。 3)多額の保険金支払において、 電信送金による支払を求める顧客との取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 4) 多額の保険料の支払が必要となる保険に突然変更する取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
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7ー16 疑わしい取引の参考事例(投資商品の販売等) 《問》金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」における、投資商品の販売等に係る事例に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1)多額の債券の買付けにもかかわらず、保護預り制度の利用を求める顧客との取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 2)退職金等の裏付けがないなど、顧客の属性にかんがみて、不釣合いに高額な投資商品を繰り返し購入しようとする顧客との取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 3) 投資効果や資産ボートフォリオ、商品の期待リターン等に関心を示さず、顧客の属性にかんがみて、投資性向に合致しない商品を繰り返し購入しようとする顧客との取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 4) 明らかに投資商品に関心がなく、第三者からの送金によって機械的に投資商品を買おうとしている顧客との 取引は、疑わしい取に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
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7-17 疑わしい取引の参考事例(その他の事例①) 《問》金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1)3人組の一見のグループが同時に来店し、別々の店頭窓口で多額の外国為替取引を依頼したが、それぞれの店頭窓口で顧客ごとに適切な取引時確認を実施した場合、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要はない。 2) 金融機関等の役職員は、マネロン·テロ資金供与対策の重要性を十分認識していることから、疑わしい取引の監視対象人物には該当しない。 3) 偽造通貨や盗難通貨によって入金が行われた取引で、当該取引の相手方が、当該通貨が偽造·盗難されたものであることを知っている疑いがあると認められる場合、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。 4)疑わしい取引の届出を行わないように強要する、または買収するなどの手段を図った顧客との取引は、 疑わしい取引を届け出るべきかを検討する対象となりうるが、単に疑わしい取引の届出を行わないように依頼するだけでは、疑わしい取引に該当する可能性のある取引とはならない。
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7ー18 疑わしい取引の参考事例(その他の事例②) 《問》金融庁が公表している「疑わしい取引の参考事例」等に照らした、疑わしい取引への対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 毎日、 同じ同行者と貸金庫を利用している貸金庫契約者は、その同行者から指示を受けているように見受けけられたが、契約上、貸金庫に預けているものを確認することはできず、 また、 顧客に関する本人特定事項の確認は適切に完了していることから、特段の対応は行わなかった。 2) 既に預金口座を持つ公務員が来店し、新たに別の口座開設を申し出た。取引目的は、既存口座と同じ「給与受取」と記載があったが、特段不審なところは感じなかったため、本人特定事項の確認等を行い、預金口座を開設した。 3) 海外からの実習生が預金口座を開設したが、実習終了後の帰国時に当該預金口座を解約せず、不法に第三者に譲渡するケースが認められた場合、その後の同様の事例については、一律に口座開設を謝絶することなく、母国語による資料等を活用し、預金口座の譲渡が不法行為であることなどを預金口座開設時に説明するよう努めた。 4) 顧客の預金口座において頻繁な入出金が発見され、 当該顧客に確認したところ、知人に頼まれて口座をしていた事実が 判明したため、当該顧客に対して、注意の意味も含め、 疑わしい取引に該当することおよび疑わしい取引の届出を行った旨を伝えた。
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