問題一覧
1
動物の体の仕組みと働きに関する記述のうち正しいものを選べ。 ①哺乳類が呼気中から酸素を取り込み、不要になった二酸化炭素を呼気中に放出する仕組みを内呼吸という。 ②肺胞の毛細血管に取り込まれた酸素は、血液中の血小板と結合して全身の組織に供給される。 ③哺乳類の心臓の左心室から送り出された血液は、全身をまわって最初に右心房に戻る。 ④脊椎動物の心臓は、いずれも2心房2心室の構造となっている。 ⑤一般に大型の動物ほど安静時の心拍数は多い。
③
2
動物の体の仕組みと働きに関する、正しいものを選べ。 ①動物の生命活動には、体内への空気中の窒素の取り入れが不可欠である。 ②肺と心臓が入っている胸腔と、胃腸、肝臓、腎臓などが入っている腹腔とをへだてる筋肉の仕切りを横隔膜という。 ③鳥類には横隔膜はないが、気管支の一部がふくらんだ肺嚢がある。 ④肺がしぼむのは空気を吸うときである。 ⑤空気は気管支を通って奥へと送り込まれ、最後は気嚢に送り込まれる。
②
3
動物の体の仕組みと働きに関する、正しいものを選べ。 ①内蔵器官の働きは、内分泌腺から分泌されるホルモンによってのみ、支配されている。 ②脳下垂体からのホルモン分泌は、視床下部から分泌されるホルモンに影響される。 ③副腎髄質からはアドレナリンが、副腎皮質からはインスリンが分泌されている。 ④甲状腺ホルモンの主な作用は、代謝を抑えて酸素消費や熱発生を低下させることである。 ⑤血液中の血糖値は、インスリンによって上昇し、グルカゴンによって下降する。
②
4
動物の体の仕組みと働きに関するうち、正しいものを選べ。 ①神経系は大きく中枢神経と末梢神経に分けられる。 ②呼吸運動を調整する呼吸中枢は中脳に位置している。 ③神経細胞(ニューロン)の情報伝達の仕組みには、電気的な信号と物理的な信号の2種類がある。 ④大脳には、体の平衡を保持したり、さまざまな筋肉を協調させたりする運動機能の中枢が存在する。 ⑤脳から筋肉に指令を伝える運動神経への情報は脊髄の背側を通る。
①
5
動物の体の仕組みと働きに関するうち、正しいものを選べ。 ①血液は、リンパ管系を介して体組織に物質運搬や調整を行う組織である。 ②赤血球は、鳥類では核がなく、円盤状の形をしているが、哺乳類では核が存在する。 ③白血球には、顆粒球、血小板およびリンパ球がある。 ④白血球は、赤血球と同様に、延髄で産生される。 ⑤リンパ球は骨髄で産生された後、胸腺で分化・成熟したものが、Tリンパ球になる。
⑤
6
動物の遺伝に関するうち、正しいものを選べ。 ①親から子に伝えられ遺伝情報は、細胞核内のRNAという遺伝物質に記されている。 ②哺乳動物には、約1万〜1万5千個の遺伝子があると考えられている。 ③身体の細胞がもつ染色体の数(2n)は、人も犬も猫も皆同じく2n=42である。 ④雌がつくる配偶子は卵子、雄がつくる配偶子は精子といい、精子と卵子が受精して受精卵となる。 ⑤鳥も哺乳類と同様、相同染色体を2本ずつ並べると、雄では大きさの異なる2本の染色体が残る。
④
7
動物の遺伝に関するうち、正しいものを選べ。 ①メンデルの法則において顕性遺伝子をA、潜性遺伝子をaとしたとき、AAの場合にのみ顕性の性質が現れる。 ②メンデルの法則によれば、ある常染色体顕性遺伝子形質が子に認められた場合、少なくとも一方の親に同じ形質が認められる。 ③猫にはA型、B型などの血液型があるが、犬には明確な血液型はない。 ④ 品種に偏って認められる病気は、すべてが遺伝病である。 ⑤犬の遺伝病には、眼疾患や血液疾患などが知られているが、心臓疾患や血管異常はないと考えられている。
②
8
犬の繁殖生理に関するうち、正しいものを選べ。 ①雄の子犬では、精巣の陰嚢内への下降が完了するのは生後1ヶ月を過ぎてからである。 ②犬の精液は、3つの分画精液に分けられ、3番目に出る精液(第3分画精液)にのみ精子が含まれる。 ③犬の陰茎には、猫やフェレットのうおうな陰茎骨は存在しない。 ④交配にもっとも適した時期は、雌犬の発情出血が始まってから5〜6日頃であり、これを交配適期という。 ⑤雌犬の妊娠期間は、約90日である。
①
9
猫の繁殖生理に関するうち、正しいものを選べ。 ①雄猫の性成熟が完了するのは、およそ5ヶ月齢のことである。 ②雄猫の1回の射精精液量は雄犬(ビーグル)の0.1mlと比較すると相当多く、10〜30mlである。 ③雌猫の性成熟が完了するのは、通常6〜10ヶ月齢であるが、長毛種はそれより遅いこともある。 ④猫の妊娠期間は、犬より長く、約80日である。 ⑤猫は、交尾刺激により排卵が起こる交尾排卵動物であり、交尾後2〜3時間で排卵が起こる。
③
10
ウサギの繁殖生理に関するうち、正しいものを選べ。 ①ウサギでは,いかなる場合にも食殺や育子放棄がみられることはない。 ②ウサギの交尾は、比較的長時間を要し、交尾開始から通常20〜30分で射精する。 ③ウサギは、床に子を産み落とすので巣箱は必要ない。 ④雌ウサギは、通常1日1回(ときに2回)の授乳時以外は巣に近づかない。 ⑤子ウサギは、離乳前の時期に新しい飼い主に引き渡すのがよい。
④
11
ハムスターの繁殖生理に関するうち、正しいものを選べ。 ①雄の睾丸が降りる前の幼いハムスターの雌雄を判別することは、不可能である。 ②ゴールデンハムスターとジャンガリアンハムスターの妊娠期間は、同じ日数である。 ③ハムスターを繁殖させる場合、雌は2〜5ヶ月齢くらいに交尾させて出産させるようにするのがよい。 ④雌のハムスターが巣作りをしたら出産の前兆と考えてよい。 ⑤ハムスターは、通常3〜4ヶ月齢で性成熟する。
③
12
モルモットの繁殖生理に関するうち、正しいものを選べ。 ①モルモットの雌雄識別は、雄では尿道口と肛門とが小文字のiに似た形に見えることから区別する。 ②モルモットの妊娠期間は、犬や猫のほぼ半分の30日間である。 ③モルモットは、出産のために丁寧に巣を作る。 ④モルモットの子は、生後約10日間で目や耳が開く。 ⑤モルモットは、初産が遅いと難産の確率が高くなるので、繁殖する場合は遅くとも7ヶ月齢までは交配しなくてはならない。
⑤
13
フェレットの繁殖生理に関するうちか正しいものを選べ。 ①フェレットは、周年繁殖動物であり、1年中何度も発情が起こる。 ②フェレットは、ウサギや猫と同様にごく短時間で交尾が終了する。 ③フェレットの妊娠期間は、平均60日間で、1回に産む子の数は決まって1頭である。 ④出産させる予定のない雌のフェレットは、持続発情が原因で起こるエストロゲン起因性の貧血を防ぐために、不妊手術が有効である。 ⑤外見からフェレットの雌雄を判別することはできない。
④
14
鳥類の繁殖に関するうち、正しいものを選べ。 ①鳥類の卵巣は、一対の卵巣のうち左側だけが発達し、右側は退化している。 ②卵子は、卵巣で卵白や卵殻が形成されたのち輪卵管漏斗部に入り、輪卵管をゆっくり下って卵として産み出される。 ③ニワトリの鶏冠(とさか)やちシチメンチョウの肉垂の発達は、精巣から分泌されるエストロゲンに起因する。 ④すべての雄鳥は、明確な陰茎をもち、これにより交尾を行う。 ⑤鳥の求愛行動は種によりさまざまであるが、主に雌が雄に対して行動する。
①
15
動物行動学に関するうち、正しいものを選べ。 ①「動物の愛護及び管理に関する法律」の第2条では、動物の習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならないとされている。動物行動学ではこの「習性」は研究しない。 ②行動学において、学習とは生得的な行動が経験によって変化することがある。 ③2020年2月現在、行動学に関するノーベル賞の受賞者はいない。 ④動物の行動学の進化は、爬虫類(恐竜)の前肢が鳥類の翼に進化したというような自然選択による進化の仕方とは異なる。 ⑤行動は、「生まれつき(生得性)」か「学習の結果」かという「氏か育ちか」論争は、近年の遺伝子研究の急速な進展によって、すべて遺伝子の結果であるという論争になった。
②
16
動物行動学に関するうち正しいものを選べ。 ①捕食者が襲ってきたときにどうにも逃げられない状況になって、やみくもに攻撃してくる距離を 「逃走距離」という。 ②「個体距離」とは、同種の他個体からこれ以上離れていると孤立感や不安を感じ、近づいていこうとする距離をいう。 ③「個体距離」と「社会距離」は種によって生得的に組み込まれており、状況や季節などに影響を受けることはない。 ④ミツバチは紫外線が見えたり、ハブなどの一部のヘビは赤外線を感知する感覚器を持っていたりする。したがって、動物はそれぞれの種ごとに、環境をまったく違うように見ているといえる。 ⑤行動学では、動物の行動とは、形態とまったく同じようにその種に遺伝的に備わっているもので、それが特有の「鍵刺激」を含んだ「解発因」によって解発されると考える。このようにして行動が起こる仕組みを「習得的解発機構」という。
④
17
個体維持行動に関するうち正しいものを選べ。 ①犬は短い捕食行動を1日に何度も繰り返す本能が残っているため、少量ずつ何回も摂食する行動様式を示す。 ②子犬の時期に、さまざまな物をなめる、口に入れる、かじるなどの異常な行動を見つけたら、無理をしてでも物を取り上げるようにすると、悪化を防止することができる。 ③猫は、互いに平和に摂食行動を行うために、社会行動が発達した。 ④幼少期に母親から受けるグルーミング刺激は、子ども脳の発達に重要な役割を果たすと考えられている。 ⑤犬は、暑いときに口を開けて、パンティングと呼ばれる深くてゆっくりした呼吸をして体温を下げる。
④
18
犬の問題行動に関するうち正しいものを選べ。 ①問題行動は、病気ではないので薬物治療を行う必要はない。 ②「咬む」「吠える」「飛びつく」「引っ張る」など、犬にとって正常な行動が、しばしば人にとって困った行動になることがある。 ③問題行動の治療では、体罰を使用することもやむを得ない。 ④犬の問題行動は、すべてが遺伝によるものである。 ⑤問題行動の治療は、専門家が動物を預かり、治療を行う以外に解決できない。
②
19
犬の問題行動に関するうち正しいものを選べ。 ①雄の排泄行動の失敗は、すべてマーキング行動によるものである。 ②飼い主が留守中に起こるすべての犬の問題行動は、犬の嫌がらせやいたずらによるものである。 ③見慣れない人や犬、場所などに恐怖を感じて攻撃的になる原因の一つに、社会化の不足がある。 ④問題行動を予防するために、生まれた直後に母犬から引き離し、人間が育てるようにするとよい。 ⑤自転車やバイクなど、動くものを追いかけて咬みつくという行動は、獲物を捕まえるための本能的な攻撃性によるものなので、予防することはできない。
③
20
犬の問題行動に関するうち正しいものを選べ。 ①遊びの最中に興奮が高まり、遊んでいる相手を攻撃するのは正常行動なので、問題にする必要はない。 ②自分のなわばりに見知らぬ人などが侵入した場合に過剰に反応し、攻撃的になる行動は、雄だけでなく雌にも見られる。 ③犬は病気やケガが原因で攻撃的になることはない。 ④攻撃性の予防には早期母子分離が有効である。 ⑤雷恐怖症の犬に対して効果的に雷の音に慣らすには、録音した雷の音を雷シーズン中に大音量で聞かせるとよい。
②
21
猫の問題行動に関するうち正しいものを選べ。 ①猫に排泄の失敗がみられたときには、まず、単にトイレの失敗なのか、身体的な病気が原因なのか、あるいは不安が原因となった問題行動なのかを検査する必要がある。 ②猫の尿マーキングは、雌や去勢された雄では起こることはない。 ③猫は、環境の変化や家族構成の変化を好むことから、このことをきっかけに問題行動を引き起こすことはない。 ④ほかのネコ科の動物とは違い、イエネコは十分に家畜化された動物であるので、どんな猫でもハムスターなどの小動物と仲良く暮らすことができる。 ⑤体の同じ部分を被毛が抜けるほどなめ続ける常同障害は、ホルモン異常から起こるものであり、精神的ストレスはまったく関連しない。
①
22
行動診療に関するうち正しいものを選べ。 ①行動診療では、質問票に書かれている飼い主の主観的情報をもとに診断をくだすのがよいとされている。 ②問題行動が発現する際の情動や動機づけを検討することは、行動修正法の選択の根拠となる。 ③洪水法は、動物に接する人にとっても動物にとっても非常に効果的で、問題行動のアプローチとして最も推奨される方法である。 ④非対立行動分化強化とは、問題行動以外の行動すべてを強化する方法である。 ⑤行動療法による改善よりも、薬物療法による改善により問題行動が完治することが望ましい。
②
23
栄養素とその機能に関するうち正しいものを選べ。 ①エネルギー源になる栄養素は、糖質、脂質、タンパク質である。 ②エネルギー源になる栄養素は、糖質、ビタミン、ミネラルである。 ③体の機能を調節する栄養素は、ビタミン、ミネラル、糖質である。 ④体の構成成分となる栄養素は、ビタミン、ミネラル、脂質である。 ⑤体の構成成分となる栄養素は、糖質、ビタミン、脂質である。
①
24
エネルギーに関するうち正しいものを選べ。 ①動物に与えられた食物自体が持つエネルギーを「正味エネルギー」という。 ②食物の持つ「総エネルギー」から「糞,尿、ガスに含まれるエネルギー」を差し引いた残りのエネルギーを「代謝エネルギー」という。 ③セルロースとでんぷんは、どちらも、グルコースが多数連なった多糖質であるので、「代謝エネルギー値」は同じである。 ④体重の異なる成犬が1日に必要とする「維持エネルギー」要求量を決める際には、エネルギー要求量は体重に比例するため、その犬の体重に決められた係数を乗じればよい。 ⑤エネルギーの単位としては、国際的な取り決めで「カロリー」のみを用いることになっている。
②
25
タンパク質に関するうち正しいものを選べ。 ①タウリンは、タンパク質合成に必要なアミノ酸ではないが、犬の健康に必須なアミノ酸(アミノスルホン酸)で、食事として摂取する必要がある。 ②タンパク質は、消化管でタンパク質分解酵素により糖質に分解され、吸収される。 ③動物は、生合成できないアミノ酸を食物から必ず摂取しなければならない。このアミノ酸を「可欠アミノ酸(非必須アミノ酸)」という。 ④タンパク質は、アミノ酸が多数つながってできたものである。 ⑤動物が生合成できないアミノ酸は、動物種によってその数は異なるが、2種類程度である。
④
26
炭水化物に関するうち正しいものを選べ。 ①炭水化物は、一般に炭素(C)、水(H2O)が結合した形のため、Cm(H2O)nという一般式で表される。 ②食物繊維には、水に溶けるものはない。 ③犬や猫は、食物中の糖質を効率的に利用できない。 ④オリゴ糖とは、単糖が数個つながったもので、主な効果は腸内でタンパク質の消化率を改善することであり、多糖類に分類される。 ⑤ショ糖(砂糖)は、ブドウ糖と乳糖とが結合した二糖類である。
①
27
食物繊維に関するうち正しいものを選べ。 ①食物繊維は、消化管の活動を活発にして、有害な物質の排泄をさせ、また便秘を防ぐ。 ②食物繊維には、オリゴ糖や乳糖などがある。 ③食物繊維の量が多すぎると、食物の消化管通過時間が長くなり、糞の量や回数が減少する。 ④食物繊維は、グルコースやフルクトースなどの単糖類が結合した物質で、消化されやすい。 ⑤食物繊維は、ペットフードの成分表示に表示されている粗繊維とまったく同じものである。
①
28
脂質に関するうち正しいものを選べ。 ①油脂を構成する不飽和脂肪酸は、二重結合の数が多くなるにつれて安定する。 ②脂肪は、消化酵素(リパーゼ)により脂肪酸とモノグリセリドに分解される。 ③成犬は、リノール酸とアラキドン酸を生成合できない。 ④魚油は、不飽和脂肪酸が多いが。特に酸化に注意する必要はない。 ⑤脂肪は、常温で液体のものを「脂」といい、常温で個体のものを「油」という。
②
29
犬と猫のビタミンに関するうち正しいものを選べ。 ①ビタミンDは鉄や亜鉛の吸収に関与する。 ②ビタミンは、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンとに分けられる。水溶性ビタミンにはA、Eなどがあり、B1、ナイアシン、ビオチンなどは脂溶性ビタミンである。 ③すべてのビタミンは体内に蓄積されるので、多く摂取しすぎると過剰症が現れる。 ④ビタミンCは、人には必要であるが、犬や猫では生成合できる。 ⑤猫は、緑黄色野菜に含まれるカロテンを体内でビタミンAに転換できるので、ビタミンAを食事としてとる必要はない。
④
30
犬と猫のミネラルに関与するうち正しいものを選べ。 ①カルシウムとリン、カルシウムと亜鉛など、ミネラルはバランスが大切であるが、多く摂取しすぎても過剰性骨疾患などの害はない。 ②体内に含まれるミネラルの総量は、体重の10%ほどである。 ③動物体に最も多いミネラルは、亜鉛と銅である。 ④ミネラル類の働きは、骨格や歯など、体の構成成分となるほか、体の重要な生理機能に関係する。 ⑤鉄は、皮膚、被毛などの上皮組織に存在し、また、各種酵素の活性化に必要なミネラルである。
④
31
水に関するうち正しいものを選べ。 ①犬や猫の水分要求量は、食物のタイプ、環境温度、運動量、授乳期などの生理的状態などの諸要因によって変わる。 ②体に入る水分と体から出る水分が差し引きされて、正常な状態では、体内の水分含量は常に変動する。 ③成長中の子犬が飲む水の量は、成犬と比べて食事量あたり少なくてよい。 ④動物の体は、貯蔵脂肪のように水分を余分に蓄積しておくことができるので、常に水を摂取する必要はない。 ⑤水分は、成犬や成猫の体成分の40〜50%をしめる。
①
32
犬や猫の消化器官に関するうち正しいものを選べ。 ①大腸の主な働きは、ミネラルと水分の吸収で、小腸で消化吸収されず大腸に送られた成分の一部を腸内微生物が発酵する場でもある。 ②犬や猫は、ウサギやウマに比べて消化管に占める胃の容積の割合が小さいので、肉食性であることを示している。 ③犬と猫を体長に対する腸管の長さの比で比較すると、猫の方が犬よりも大きく、このことは肉食性の傾向を示している。 ④食物の消化は、主に小腸で行われ、膵臓から各種の消化酵素が小腸に分泌される。この消化生成分は大腸において吸収される。 ⑤猫の唾液には、でんぷん分解酵素などの消化酵素(アミラーゼ)が含まれている。
①
33
カロリーベースを同一にした場合、犬と猫と人の食事の比較に関するうち正しいものを選べ。 ①犬の食事は、猫や人の食事と異なり、必要量のタウリンを含有していることが必要である。 ②犬と猫では、人の食事よりタンパク質の多い食事が望ましい。 ③犬と猫では、人の食事よりビタミンA、D、Eなどの脂溶性ビタミンが少ない食事でも構わない。 ④猫の食事は、犬や人の食事と異なり、アラキドン酸を必ずしも含有していなくても構わない。 ⑤犬も猫も、人と同様に、食事中にビタミンCを含有されていることが必要である。
②
34
犬と猫の妊娠・授乳期の体重変化に関するうち正しいものを選べ。 ①母犬は、妊娠5週目ぐらいまで体重が急激に増加するが、分娩が近づくにつれて体重はあまり増加しなくなる。 ②母犬の体重は、妊娠初期と分娩直前に増加する。 ③母猫は、妊娠5週目ぐらいまでは体重増加はわずかで、分娩が近づくにつれて体重が急速に増える。 ④母犬は、分娩後でも体重の減少はほとんどなく、分娩時の体重を維持している。 ⑤母犬の体重は、分娩が近づくにつれて急速に増加し維持期の140〜150%になる。
⑤
35
犬と猫の乳汁に関するうち正しいものを選べ。 ①子犬や子猫の健康な発育には、初乳を十分飲ませることが重要である。 ②初乳は、タンパク質、脂肪などの濃度が高く、免疫抗体を多く含み、分娩後1週間後から分泌される。 ③子犬や子猫は、初乳を飲むことで免疫抗体は1年間持続する。 ④子犬や子猫の消化機能が高まれば、それだけ免疫抗体も吸収しやすけなる。 ⑤犬や猫の乳汁は牛乳に比べてタンパク質や脂肪が少なく、エネルギーも少ない。
①
36
子犬・子猫の成長と食事に関するうち正しいものを選べ。 ①子犬の成長の速さは、犬の種類によって異なり、小型犬より大型犬のほうが成犬時体重に達するのは速い。 ②大型犬は、12ヶ月齢では成犬時体重の80〜90%ほどであるので、成犬の代謝エネルギーの80〜90%に相当する食事の量が望ましい。 ③子犬や子猫は、生後7〜8週齢になると母親の食事に興味を持ち始め、離乳が始まる。 ④子猫は、40週齢ころまでを成長期とし、体重あたりの代謝エネルギー要求量も成長とともに低くなり、40週齢の体重(Kg)あたりの代謝エネルギー要求量は80kcalである。 ⑤子猫は、体重あたり成猫と同じ代謝エネルギーを必要とする。
④
37
犬や猫の高齢期の栄養に関するうち正しいものを選べ。 ①高齢期は、タンパク質の消化・吸収が低下するので、良質なタンパク質を与え、維持期よりもやや高いタンパク質量の食事が必要である。 ②高齢期には、食物繊維の多い食事をとると栄養不足になりがちになるので、食物繊維の少ない高カロリー食をとる必要がある。 ③高齢期には、脂肪や必須脂肪酸の量は少なくすることが必要である。 ④老化したからといってエネルギー要求量が低下することはない。 ⑤高齢期には、骨が弱くなるもでカルシウムは制限なく与えるとよい。
①
38
ペットフードに関するうち正しいものを選べ。 ①ドライフードは、水分含量が25〜35%程度で膨化していないタイプが多い。 ②ドライタイプは、製品の栄養素量の調節がむずかしく、簡便性に劣るが、嗜好性が最も高いフードである。 ③ウェットフードには、缶詰、アルミトレー、レトルトパウチ詰、プラスチックカップ詰などの製品がある。 ④ウェットフードは、高水分なので変質しやすく未開封の缶詰製品でも長期保存はできない。 ⑤セミモイストフードは、柔らかくて食べやすく、放置しておいても固くならない。
③
39
ペットフードの総合栄養食に関するうち正しいものを選べ。 ①「総合栄養食」と表示ができるのは、犬または猫に必要な栄養を満たすとAAFCO(米国飼料検査官協会)が認めた場合である。 ②成犬期と成猫期のフードにのみ総合栄養食の表示が可能である。 ③総合栄養食とは、総合ビタミン剤を添加したももをいう。 ④総合栄養食と認定されるには、第三者機関による認定が必要である。 ⑤総合栄養食と表示するためには、栄養素分析で栄養基準を満たしているか、あるいは定められた方法により給与試験を行い、良好な飼育結果が得られることが必要になる。
⑤
40
療法食に関するうち正しいものを選べ。 ①療法食は、医薬品を配合したフードである。 ②療法食は、病気を予防するために与えるもので、すべて「総合栄養食」に分類される。 ③療法食は、対応疾患に合わせて、各種栄養素を増減させ、素材の種類を特定して、特定の疾病に対応して利用するものである。 ④療法食は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(旧称:薬事法」により承認された医薬品のフードである。 ⑤療法食は、治療薬の一種であるため農林水産省の承認審査が必要である。
③
41
ペットフード安全法におけるペットフードのラベル表示に関するうち正しいものを選べ。 ①ペットフードの名称、賞味期限、原材料名、内容量、事業者および住所の5項目の表示を義務づけている。 ②ペットフードの名称、賞味期限、原材料名、原産国名、事業者および住所の5項目の表示を義務づけている。 ③ペットフードの名称、賞味期限、原材料名、原産国名、目的および用途の5項目の表示を義務づけている。 ④ラベル表示は、日本語でも外国語でもよいと定められている。 ⑤ペットフードの名称(商品名のこと)は、犬用または猫用であることがわかるように記載する必要はないと定められている。
②
42
犬と猫の栄養状態の評価法に関するうち正しいものを選べ。 ①ペットにとって良好な栄養状態は、生活の質を向上させて、寿命をのばす効果があることから、ペットの健康維持に欠かせない。 ②BCS(ボディ・コンディション・スコア)の評価法として、一般的には5段階や10段階の基準が設けられている。 ③体脂肪率の測定により、肥満度の判定だけでなく、適正な水分摂取量の算出も可能となる。 ④筋肉質で脂肪がバランスよくついていても、体重が重ければ肥満である。 ⑤猫の体脂肪率を簡単に測る方法として、猫用MCS(筋肉コンディションスコア)がある。
①
43
肥満の弊害と減量プログラムの作成法に関するうち正しいものを選べ。 ①適度な運動を欠かさないだけで、犬や猫の肥満は予防できる。 ②犬や猫において、肥満が寿命に影響することを示した研究報告はない。 ③肥満が原因で発症する病気には、尿路結石、糖尿病、膵炎、関節炎、心不全がある。 ④犬や猫の肥満傾向は、遺伝的な体質が主な原因である。 ⑤マナー教育などのためにオヤツを利用する場合は、1日の摂取カロリーの20%以内に抑えるとよい。
③
44
さまざまな疾患時の食事療法に関するうち正しいものを選べ。 ①慢性心機能低下に対応した「療法食」では、その重要な栄養特性として、カリウムの量が制限されている。 ②糖尿病に対応した「療法食」では、その重要な栄養特性として、急速にグルコースを遊離するタンパク質を制限している。 ③高脂血症のコントロールは食物中の糖質を制限する食事療法が基本となる。 ④甲状腺機能亢進症に対応した「療法食」では、その重要な栄養特性として、亜鉛を制限している。 ⑤肥満に対応した「療法食」では、その重要な栄養特性として、低エネルギー密度に設計されている。
⑤
45
療法食の特徴や役割に関するうち正しいものを選べ。 ①療養食の対象動物には、特定の疾病または健康状態のエキゾチックアニマルが含まれる。 ②療法食は食事療法に利用する主食のペットフードに限定される。 ③療法食の給与方法の指導に、獣医師が関与することはない。 ④サプリメントや飲用水は療法食には含まれない。 ⑤「機能性フード」は療法食の代用品となる。
④
46
産業動物のウシ、ヒツジ、ヤギに関するうち正しいものを選べ。 ①ウシ、ヒツジ、ヤギは3つの胃を持ち、飼料に含まれるセルロースなどの植物繊維を第三胃の微生物の働きで分解・吸収する反芻動物である。 ②ヒツジは繁殖に季節性のない周年繁殖動物であり、ウシは春から夏の長日期に繁殖する季節繁殖動物である。 ③ヤギはヒツジより群居性が高く、常に群れで固まって行動するので、採食時に個別につなぐことはしてはいけないとされている。 ④ウシの乳用種であるホルスタイン種は、性成熟に達した雌は交配しなくても自然に泌乳を始めるように品種改良されている。 ⑤ヤギは乾燥した場所や高所を好む習性があるので、畜舎の床は乾燥した状態を保ち、運動場などに小高い遊び場や道具を配置する。
⑤
47
産業動物のブタ、ニワトリ、ウマに関するうち正しいものを選べ。 ①ニワトリの卵巣は左右1対あり、成熟した卵胞を左右交互に排卵することにより、数日間の連続した産卵が可能となっている。 ②ブタは生理的にあ未発達な状態で生まれるため、母豚の免疫グロブリンは胎児のうちに胎盤を通して獲得される。 ③肉用鶏は一般的に2〜4ヶ月齢で体重増加のピークとなり、体重が3,000g程度になる8ヶ月齢で出荷される。 ④ウマの消化管の特徴として、大腸の微生物による食物繊維の発酵を行うこと、胆汁を貯蔵する胆のうがないことがあげられる。 ⑤一般的に育成肥育豚で用いられる群飼方式は、ブタの社会的な行動は制約されるが、個体管理が行いやすい特徴がある。
④
48
飼育動物と野生動物に関するうち正しいものを選べ。 ①飼育動物とは、人が飼育管理をしている動物のうち「家庭動物」のみのことをいう。 ②日本で見られる鳥類の約80%は「留鳥」である。 ③地球上の生物は「階層」を使って分類されており、上から順に界・門・綱・目・科・属・種に階層分類される。 ④生物多様性には、「生息環境の多様性」と「生存競争の多様性」の2つのレベルの多様性がある。 ⑤外来種とは、人の活動にともなって意図的に入ってきた動物のみのことをいう。
③
49
野生動物の保護に関するうち正しいものを選べ。 ①「種の保存法」では、絶滅の危機に瀕した種の保存を定めているが、生息地の保護は定めていない。 ②動物園や水族館の社会的な役割や目的は①種の保存、②調査・研究、③教育・環境教育、の3つに限定されている。 ③鳥獣害は「農林業被害」「人の生命や財産への被害」「公衆衛生上の問題」の3つの被害に大別される。 ④「鳥獣保護管理法」では、狩猟免許の取得者に対しては、すべての鳥獣の捕獲が認められている。 ⑤ワイルドライフ・マネージメントでは、「個体数調整」という行為が行われることはない。
③
50
展示動物の意義と動物園等の役割に関するうち正しいものを選べ。 ①動物園の主な役割は、珍しい動物を眺めることができる娯楽施設としての楽しみを提供することである。 ②動物園の役割には野生動物の保全もあるが、動物園が貢献できるのは生息域内保全に限定されている。 ③動物園では、動物の生息環境の再現を図り、本来の行動や習性を発揮させて、展示することが大切である。 ④動物を展示するための囲いには、鉄製の檻を使用することが望ましい。 ⑤動物の展示にあたっては、良く見えるように上から動物を見下ろせるように施設を整備したほうがよい。
③
51
動物園や水族館における個体管理・群管理に関するうち正しいものを選べ。 ①動物園や水族館は、動物の生態・習性・生理に配慮し、飼育環境を豊かなものにすることが重要である。 ②動物園における動物の飼育では、個体管理を考慮する必要はあるが、群管理を考慮する必要はない。 ③野生では群れを形成して生育する動物であっても、動物園では単独で個体飼育しなければいけない。 ④動物園での繁殖は、近親交配を中心として行うべきであるとされている。 ⑤動物園や水族館の展示は、利用者の便宜を図るために、できるだけ長い時間の展示にあうることが望ましい。
①
52
「獣医師法」と「獣医療法」に関するうち正しいものを選べ。 ①「獣医師法」では、獣医師の果たすべき任務は、飼育動物の診療と保健衛生の指導などにより、動物の保健衛生の向上・畜産業の発達・公衆衛生の向上に寄与することであるとされている。 ②「獣医師法」では、オウム科・カエデチョウ科・アトリ科の鳥類は、獣医師以外の者でも診療することができるとされている。 ③「獣医師法」では、獣医師以外の者が「獣医師」という名称を使用することを禁じているが、「動物医」などのような名称を使用することまでは禁じていない。 ④「獣医療法」では、動物病院の診療に関する広告には、そこで働く獣医師の技能・療法・経歴がわかるように明記しなければならないこととされている。 ⑤「獣医療法」では、政令都市以外の人口密度の低い地域において獣医師が診療施設を開設する場合は、関係行政機関への診療施設の開設届出の実施義務が免除されている。
①
53
愛玩動物看護師法に関するうち正しいものを選べ。 ①愛玩動物看護師法の目的は、「愛玩動物看護師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるよう規律し、もって愛玩動物の適正な飼養に寄与すること」とされている。 ②愛玩動物看護師法の定義では、「愛玩動物」とは犬や猫であると規定されている。 ③愛玩動物看護師の免許を受ければ、獣医師の指示の有無にかかわらず、診療の補助を行うことができる。 ④愛玩動物看護師の免許は、農林水産大臣および環境大臣から交付される。 ⑤「愛玩動物看護師」の名称の使用についての制限はなく、免許をもっていない者であっても自由に使用することができる。
④
54
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に関するうち正しいものを選べ。 ①この法律の目的は、「感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって社会文化の発展に寄与すること」である。 ②プレーリードッグ、イタチアナグマ、タヌキ、ハクビシン、コウモリ、ヤワゲネズミは、指定動物とされ、輸入が原則として禁止されている。 ③すべての動物の輸入にあたっては、種類や数量などを記載した届出の提出が義務づけられている。 ④輸入届出が必要な動物の輸入にあたって義務づけられている届出書には、一類・二類・三類感染症にかかっていないことを証明できる診断書の添付が必要とされている。 ⑤獣医師や動物等取扱業者が、特定の感染症に感染または感染した疑いのある動物を診断・発見したときは、関係行政機関に対する届出が努力目標とされている。
②
55
「家畜伝染病予防法」に関するうち正しいものを選べ。 ①主な目的は、家畜の伝染性疾病(寄生虫病を含む)の発生を予防し、まん延を防止することにより、人の健康と安全を守ることである。 ②対象動物は、哺乳類と鳥類であり、昆虫は除外されている。 ③高病原性鳥インフルエンザや口蹄疫は対象疾病であるが、狂犬病は除外されている。 ④使用する家畜が、この法律によって定められた伝染性の疾病にかかった場合(患畜となった場合)、所有者は「患者・擬似患畜」の隔離や畜舎等の消毒などが義務づけられる仕組みが設けられている。 ⑤家畜伝染病のまん延を防止するための措置の中には、「移動禁止」はあるが、「殺処分」はない。
④
56
「検疫」に関するうち、正しいものを選べ。 ①犬の国内への持ち込みは、狂犬病の発生している国からについては認められていない。 ②「検疫法」に基づく検疫は、主に人を対象として行うものであり、家畜伝染病予防法や狂犬病予防法に基づく検疫は、主に動物を対象として行うものである。 ③検疫法」に基づく検疫の対象となる感染症は、家畜伝染病予防法と狂犬病予防法に基づき検疫の対象として定められた感染症であるとされている。 ④動物の輸出入検疫は、生きた動物が対象であり、動物の死体・骨・皮などは除外されている。 ⑤「検疫法」の規定によれば、外国から飛来した航空機は、事前に届出を行った場合は、日本のすべての飛行場に着陸することができる。
②
57
「と畜場法」に関するうち、正しいものを選べ。 ①目的には、獣畜のと殺や解体の適正化と獣畜の死体の焼却や埋却処理の適正化による「周辺の環境汚染の防止」がある。 ②「獣畜」には、牛、馬、豚、めん羊、山羊の他、イノシシや鹿も含まれている。 ③獣畜のと殺・解体は、原則としてと畜場で行わなければならないこととされている。 ④獣畜のと殺・解体にあたっては「と畜検査員」の検査が必要であるとされているが、と畜場で行う場合にあっては免除される仕組みが設けられている。 ⑤「と畜検査員」は、都道府県等の職員で薬剤師の資格を持っている者の中から任命される。
③
58
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「薬剤師法」に関する法うち正しいものを選べ。 ①医薬品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の対象であるが、化粧品と医薬部外品は除外されている。 ②「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によれば、医薬品は、誰でも自由に販売ができないように規制がされているが、動物用の医薬品については、この規制から除外されている。 ③「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によれば、動物用医薬品については、使用対象動物の制限はあるが、用法・用量の制限は設けられていない。 ④「薬剤師法」では、医薬品の調剤に関する規制をしているが、獣医師が交付した処方せんに基づき、その獣医師が動物病院において 調剤を行う場合は、薬剤師でなくても調剤ができることとされている。 ⑤「毒物及び劇物取締法」によれば、毒物は、専用の鍵のかかる堅固な設備で保管しなければならないが、劇物は鍵がかからない保管庫で保管してよいこととされている。
④
59
「動物の愛護及び管理に関する法律(旧法を含む)」の制定と改正の経緯に関するうち、正しいものを選べ。 ①当初の名称は「動物の保護に関する法律」であり、以前は総理府(現在の内閣府)が所轄していたが、現在は環境省と厚生労働省が共同で所轄している。 ②日本で初めての動物の愛護と管理に関する総合的な法律として、1973(昭和48)年に制定された。制定される前は、狂犬病予防法において、動物への虐待や動物による危害の発生の防止についての措置が定められていた。 ③1999(平成11)年の法改正は、法律の名称変更が主な改正内容であった。 ④時代の趨勢に合ったものとするため、定期的に法改正が行われており、現在は、概ね10年ごとに見直しを行うことが義務づけられている。 ⑤制定の気運が高まった背景には、動物愛護団体や獣医師の団体による署名活動や、動物の愛護に関する法律が制定されていないことに対する海外からの強い批判の存在があった。
⑤
60
法律の制定と改正の手順に関するうち、正しいものを選べ。 ①「動物の愛護及び管理に関する法律」の2012(平成24)年の法改正における国会審議の流れは、「<衆議院環境委員会→参議院環境委員会>⇨<衆議院本会議→参議院本会議>」であった。 ②法律案を内閣が国会に提出して制定することを「議員立法」といい、国会議員が提出して制定することを「内閣立法」という。 ③成立した法律の効力が発動することを「公布」といい、法律案の可決から180日以内に行うことが義務づけられている。 ④パブリックコメントとは、国の行政機関が政令や省令などを決めようとする際に、行政手続法に基づき、案の公表や意見などの聴取を行う「意見公募手続」のことである。 ⑤附帯決議とは、衆議院や参議院の本会議における法律案の採決のときに付けられる決議のことで、法案はこの附帯決議に基づく修正が加えられてから採決されることとなる。
④
61
「動物の愛護及び管理に関する法律」の「基本指針」と「動物愛護管理推進計画」に関するうち正しいものを選べ。 ①「基本指針」と「動物愛護管理推進計画」の策定制度が設けられた意義や役割は、動物愛護管理行政を長期的な見地から計画的に推進することである。 ②「基本指針」は内閣総理大臣が策定し、「動物愛護管理推進計画」は環境大臣が策定することとされている。 ③「動物愛護管理推進計画」には、基本指針の点検・見直しの方法と秘密保持に関する事項が記載されている。 ④「基本指針」には、合意形成の考え方も盛り込まれており、「動物の愛護や管理の基本的考え方は、世界共通の普遍的なものであり、欧米を見習うべきであること」などと記載されている。 ⑤「基本指針」と「動物愛護管理推進計画」は、「動物の愛護及び管理に関する法律」に基づき制定されるものであることから、見直しの時期は、法改正が行われたときであると定められている。
①
62
「動物の愛護及び管理に関する法律」の「産業動物と実験動物の福祉」関するうち、正しいものを選べ。 ①「動物の愛護及び管理に関する法律」では、動物実験に使われた動物については、治療や延命措置を行って終生飼養することを義務付けている。 ②環境大臣は、家庭動物・展示動物・実験動物・産業動物などの飼育動物をできる限り苦痛を与えないで殺す方法として、「動物の殺処分方法に関する指針」を定めている。 ③「動物の愛護及び管理に関する法律」では、将来的には動物実験をなくす観点から、「動物の命を救う気持ちを大切にして、適正な飼養保管や科学的実験の妥当性の確保を図る」といった考え方が示されている。 ④古くから畜産業が盛んであった欧州では、産業動物の福祉の導入によって、畜産物の価格国際競争力の飛躍的な向上効果がみられたといわれている。 ⑤イギリスの家畜福祉協議会(FAWC)が提唱した「3Rの原則」は、産業動物の福祉の考え方の基本になると考えられている。
②
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「動物の愛護及び管理に関する法律」の「虐待・遺棄等とその原則」に関する法うち正しいものを選べ。 ①虐待や遺棄などの禁止と罰則を定めた法第44条の保護法益は、動物のみだりな殺傷などを禁止することによって、動物の生命や身体の安全そのものを守ることであると考えられている。 ②飼育動物のみだりな殺傷や虐待行為の禁止対象動物は、欧米諸国の動物愛護関連法律と同じになっている。 ③犬やいえうさぎは、人が占有していない場合であっても、虐待や遺棄などの禁止と罰則を定めた法第44条の「愛護動物」に該当することとなる。 ④主な刑罰をその重さの順に並べると、「死刑・懲役・罰金・勾留・科料・禁錮」になる。 ⑤遺棄などの禁止と罰則を定めた法第44条の「遺棄」とは、飼っていた動物を野外に放つことであり、放った場所がどこであるかは問題にされないと考えられている。
③
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「日本における飼養動物の法的地位」に関する法うち正しいものを選べ。 ①動物は、「動物の愛護及び管理に関する法律」において「命あるものである」と規定されているが、人ではないことから「不動産」として扱われている。 ②動物には、憲法上、人に認められている基本的人権の保障がないことから、法律上、権利義務の主体になることはできないとされている。 ③自分の飼い犬が他人を咬んでケガをさせた場合、飼養者は「刑事責任」と「民事責任」を負う必要があるが、動物取扱業者ではないため「行政責任」を負うことはない。 ④「行政責任」とは、他人の権利や利益を侵害した場合に負うこととなる損害賠償などの責任である。 ⑤「刑事責任」とは、営業停止などの処分が科される責任である。
②
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「刑法」と「軽犯罪法」に関するうち、正しいものを選べ。 ①公園や公道などの公共施設において、飼い犬の糞やブラッシングをして抜けた毛をそのまま放置した場合、「軽犯罪」として罰せられることがある。 ②公共の場所で迷っている犬を無断で連れ去って飼育した場合、「窃盗罪」になることはあるが、「遺失物等横領罪」になることはない。 ③刑法に違反した場合は、原則として「勾留」や「科料」が科せられ、「懲役」や「罰金」が科せられることはない。 ④「器物損壊罪」は、被害者からの告訴(親告)の有無にかかわらず成立する。 ⑤他人の飼い犬に対して自分の犬をけしかけても、「軽犯罪」として罰せられることはない。
①
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「遺失物法」等に関するうち、正しいものを選べ。 ①遺失物法に規定された「逸走の家畜」には、愛玩目的で飼われる動物も含まれる。 ②遺失物法に規定された「物件」には、「遺失物」「埋蔵物」「準遺失物」があり、逸走の家畜は「遺失物」に該当する。 ③「所有者不明の犬や猫」を拾得した場合は、遺失物法が適用されることとなり、動物の愛護及び管理に関する法律の「所有者不明の犬猫の引き取り措置」が適用されることはない。 ④遺失物法に基づき警察署長に提出された物件は、公告をしてから「1ヶ月」を過ぎても所有者が判明しない場合は、警察署の所有物になるとされている。 ⑤犬や猫などの小動物以外の動物に限っての措置であるが、犬や猫以外の一般的でない動物は警察署での保管に費用と労力がかかるため、5日過ぎても所有者が判明しない場合は、適切な者への譲渡などができることとされている。
①
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「民法」に関するうち、正しいものを選べ。 ①民法における「動物の占有者」には、「動物の愛護及び管理に関する法律」の「占有者」と同じように、「動物の所有者」である飼い主は含まれない。 ②飼い主である両親に頼まれて子どもが犬の散歩をさせている場合に、犬が他人に咬みついてケガをさせたときは、子どもが責任を問われることはない。 ③飼い犬が他人にケガを負わせた場合、加害者が被害者に支払う賠償の範囲は、治療費や休業損害のほかに、精神的な苦痛を補償するための慰謝料も含まれることがある。 ④動物による損害については、被害者に過失があっても、損害賠償のー「過失相殺」が考慮される仕組みは設けられていない。 ⑤高齢者が散歩中の犬に驚いて転倒してケガをした場合は、直接飼い犬が高齢者に咬みついたのではないため、犬を散歩させていた飼い主の責任が問われることはない。
③