問題一覧
1
さびしさに やどをたちいでて ながむれば
いづこもおなじあきのゆふぐれ
2
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに
よしののさとにふれるしらゆき
3
わすらるる みをばおもはず ちかひてし
ひとのいのちのをしくもあるかな
4
ゆふされば かどたのいなば おとづれて
あしのまろやにあきかぜぞふく
5
ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて
あはれことしのあきもいぬめり
6
はるすぎて なつきにけらし しろたへの
ころもほすてふあまのかぐやま
7
あしびきの やまどりのをの しだりをの
ながながしよをひとりかもねむ
8
きみがため はるののにいでて わかなつむ
わがころもでにゆきはふりつつ
9
やへむぐら しげれるやどの さびしきに
ひとこそみえね あきはきにけり
10
うかりける ひとをはつせの はつおろしよ
はげしかれとはいのらぬものを
11
わすれじの ゆくすゑまでは かたければ
けふをかぎりのいのちともがな
12
あひみての のちのこころに くらぶれば
むかしはものをおもはざりけり
13
こころあてに をらばやをらむ はつしもの
おきまどはせるしらぎくのはな
14
つくばねの みねよりおつる みなのがは
こひぞつもりてふちとなりぬる
15
おほえやま いくののみちの とほければ
まだふみもみずあまのはしだて
16
ありまやま ゐなのささはら かぜふけば
いでそよひとをわすれやはする
17
たかさごの をのへのさくら さきにけり
とやまのかすみたたずもあらなむ
18
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに
しづこころなくはなのちるらむ
19
やまがはに かぜのかけたる しがらみは
ながれもあへぬもみぢなりけり
20
いまはただ おもひたへなむ とばかりを
ひとづてならでいふよしもがな
21
おくやまに もみぢふみわけ なくしかの
こえきくときぞあきはかなしき
22
こひすてふ わがなはまだき たちにけり
ひとしれずこそおもひそめしか
23
はなのいろは うつりにけりな いたづらに
わがみよにふるながめせしまに
24
みかきもり ゑじのたくひの よるはもえ
ひるはきえつつものをこそおもへ
25
たごのうらに うちいでてみれば しろたへの
ふじのたかねにゆきはふりつつ
26
あらしふく みむろのやまの もみぢばは
たつたのかはのにしきなりけり
27
あはれとも いふべきひとは おもほへで
みのいたづらになりぬべきかな
28
あけぬれば くるるものとは しりながら
なほうらめしきあさぼらけかな
29
よをこめて とりのそらねは はかるとも
よにあふさかのせきはゆるさじ
30
やすらはで ねなましものを さよふけて
かたぶくまでのつきをみしかな
31
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは
はなぞむかしのかににほひける
32
あらざらむ このよのほかの おもひでに
いまひとたびのあふこともがな
33
めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに
くもがくれにしよはのつきかな
34
かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ
さしもしらじなもゆるおもひを
35
あまのはら ふりさけみれば かすがなる
みかさのやまにいでしつきかも
36
しらつゆに かぜのふきしく あきののは
つらぬきとめぬたまぞちりける
37
わたのはら やそしまかけてこぎいでぬと
ひとにはつげよあまのつりぶね
38
あさぢふの をののしのはら しのぶれど
あまりてなどかひとのこひしき
39
これやこの ゆくもかへるも わかれては
しるもしらぬもあふさかのせき
40
すみのえの きしによるなみ よるさへや
ゆめのかよひぢひとめよくらむ
41
なつのよは まだよひながら あけぬるを
くものいづこにつきやどるらむ
42
こころにも あらでうきよに ながらへば
こひしかるべきよはのつきかな
43
もろともに あはれとおもへ やまざくら
はなよりほかにしるひともなし
44
たれをかも しるひとにせむ たかさごの
まつもむかしのともならなくに
45
やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける
ひとめもくさもかれぬとおもへば
46
いにしへの ならのみやこの やへざくら
けふここのへににほひぬるかな
47
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ
わがみひとつのあきにはあらねど
48
わびぬれば いまはたおなじ なにはなる
みをつくしてもあはむとぞおもふ
49
あふことの たへてしなくは なかなかに
ひとをもみをもうらみざらまし
50
たちわかれ いなばのやまの みねにおふる
まつとしきかばいまかへりこむ
51
しのぶれど いろにいでにけり わがこひは
ものやおもふとひとのとふまで
52
あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ
をとめのすがたしばしとどめむ
53
なにしをはば あふさかやまの さねかづら
ひとにしられでくるよしもがな
54
かささぎの わたせるはしに おくしもの
しろきをみればよぞふけにける
55
うらみわび ほさぬそでだに あるものを
こひにくちなむなこそをしけれ
56
ありあけの つれなくみえし わかれより
あかつきばかりうきものはなし
57
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ
すゑのまつやまなみこさじとは
58
ゆらのとを わたるふなびと かぢをたえ
ゆくへもしらぬこひのみちかな
59
みちのくの しのぶもぢずり たれゆえに
みだれそめにしわれならなくに
60
このたびは ぬさもとりあえず たむけやま
もみぢのにしきかみのまにまに
61
なにはがた みじかきあしの ふしのまも
あはでこのよをすぐしてよとや
62
きみがため をしからざりし いのちさへ
ながくもがなとおもひけるかな
63
あさぼらけ うぢのかはぎり たえだえに
あらはれわたるせぜのあじろぎ
64
いまこむと いひしばかりに ながつきの
ありあけのつきをまちいでつるかな
65
なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは
いかにひさしきものとかはしる
66
みかのはら わきてながるる いづみがは
いつみきとてかこひしかるらむ
67
おとにきく たかしのはまの あだなみは
かけじやそでのぬれもこそすれ
68
ふくからに あきのくさきの しをるれば
むべやまかぜをあらしといふらむ
69
かぜをいたみ いはうつなみの おのれのみ
くだけてものをおもふころかな
70
ちはやぶる かみよもきかず たつたがは
からくれなゐにみづくくるとは
71
あきのたの かりほのいほの とまをあらみ
わがころもではつゆにぬれつつ
72
をぐらやま みねのもみぢば こころあらば
いまひとたびのみゆきまたなむ
73
わがいほは みやこのたつみ しかぞすむ
よをうぢやまとひとはいふなり
74
たきのおとは たえてひさしく なりぬれど
なこそながへてなほきこえけれ
75
はるのよの ゆめばかりなる たまくらに
かひなくたたむなこそをしけれ