問題一覧
1
・ウサギキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes cunicu)感染による。 ・ウサギの耳の上皮に寄生。 ・掻痒感が強烈。充血、痂皮形成、悪臭のある分泌液 ・診断は直接鏡検。 ・殺ダニ剤(ベンジル安息香酸など)で治療
ウサギ耳疥癬
2
糞線虫(Strongyloides属)の第3期フィラリアの経口・経皮感染。 殆どのサルに感染できる。 皮膚炎、呼吸器症投、腸炎、重症で肺出血、気管支肺炎 ・駆虫薬(サイアベンダゾール)などが有効。
サル糞線虫
3
Oesophagostomum 属線虫の幼虫の経口感染 マカク属、ヒヒ属、類人猿まで広く感染。 ・結腸に寄生 ・漿膜内や粘膜下組織に結節を形成→大きくなると腸閉塞 ・糞便の虫卵検査で診断 駆虫薬(フェノサイアジン、サイアベンダゾール)を使用。
サル腸結節虫症
4
ICLASカテゴリーE ・盲腸に寄生する蟯虫でSyphaci属に属する。マウスはネズミ盲腸虫 (Syphacia obvelata)、ラットはラット蟯虫(Syphaciamurisが感染する。 ・病原性はほとんどない。 肛門周囲に産卵するのでセロファンテープ法で柿の種状の虫卵を検出。
盲腸蟯虫
5
ICLASカテゴリーE ・原虫Trichomonasmurisなどによる。 ・栄養型の経口摂取により感染。 病原性はない。:施設の清浄度の確認に用いられる。 ・齧歯類にいるが、ウサギにはいない。 3〜5本の前鞭毛、1本の後鞭毛、後部が尖っている。波動膜をもつ。 盲腸、結腸に寄生 ・腸内容物の直接鏡検で検出か、培養。
腸トリコモナス症
6
ICLASカテゴリーC 線虫であるネズミ大腸蟯虫 (Aspiculurisetrapier)感染による。 結腸の肥厚をもたらす。下痢、死亡は無い。免疫不全動物では重症化。 肛門周辺に産卵しないのでセロファンテープ法は不可。糞便中の虫卵を検 出。
ネズミ大腸蟯虫
7
ICLASカテゴリーC ・原虫Giardamuri感染による。 ・数子型と栄養型(下図)の2形態がある。 ・嚢子型の経口感染 マウス、ラット、ハムスター、スナネズミを宿主とする。 十二指腸に寄生 急性では下痢、食欲不振、体重減少、腸絨毛の萎縮、ときに死亡 糞便、腸内容物からの検出。
ネズミジアルジア症
8
・原虫Encephalitozoon cuniculi 感染が原因となる。 ・胞子(sporeスポア)の経口感染 ウサギで多いがマウス、ヒトも感染例あり。 不顕性が多い。 脳炎による運動失調、麻痺、 斜頸、痙攀 プドウ膜炎、白内障などの眼疾患 尿沈渣の胞子検出、抗原検査
エンセファリトゾーン症
9
Eimeria stiedai感染が原因となる。 ・無性・有性生殖を経て糞便に排出されたオーシストの経口感染 ・感受性宿主はウサギのみ ・成熟個体の場合、不顕性が多い。 肝コクシジウム:体重減、食欲不振、黄痘、死 腸コクシジウム:下痢、粘血便 ・診断:糞便中のオーシストを塗抹法または浮遊集卵法で検出 ・サルファ剤が有効
ウサギコンクジウム症
10
・ICLASカテゴリーB(免疫不全動物に限る) ・感染宿主ごとに種が異なる:Pnemocystismrina(マウス),P.carini,p wakefieldiae(ラット),P.orctolagi(ウサギ),P.jiroveci(ヒト) ・栄養型(アメーバ状)と費子(シスト)の2形態を持つ。 エアロゾル感染 ・免疫不全動物では重篤な肺炎で死亡する。 病理所見:肺胞内に囊子・栄養型が充満。間質性肺炎。 ・肺乳剤のトルイジンプルーO染色で嚢子観察。PCR。抗原検査。
ニューモシスティス症
11
・グラム陰性桿菌Acromonas/ydophila 感染による。 ・実験動物で問題になるのはカエル 水槽の水を返して伝播する。ストレスで悪化。 カエルの皮膚・内臓で増殖し、敗血症。 ・後肢・腹部の点状出血・漬瘍、腹水、神経症状 肝細胞壞死、脾臓充血、全身性血栓 ヒトの食中毒の原因となる。
赤肢病
12
・病原性大腸菌(Escherichiacoli)による。血清型015,0109, 0132,142,0145,0153などによる。 幼若ウサギで発症することが多い。 経口感染 ①新生児下痢、 2離乳期下痢(高死)、3離乳期下痢(低死亡) 回腸~結腸肥厚、粘膜の漬瘍、腸絨毛の萎縮・消失 菌分離→菌体・鞭毛抗原で血清型を調べる。
ウサギ大腸菌病
13
ICLASカテゴリーD ・グラム陽性球菌Staphylococcusresによる。 マウス、ラットなど多くの哺乳類の皮膚や粘膜に存在し、汚染率も高い。 通常不顕性の日和見感染菌。 咬傷などによる化膿性皮膚炎、漬瘍性皮膚炎 免疫不全動物の場合、膿瘍やフレグモーネ ・マンニット食塩培地(マンニット分解能)、エッグヨーク食塩培地(卵 黄反応)で分離する。コアグラーゼ産生能も指標となる。
黄色ブドウ球菌病
14
ICLASカテゴリーD ・グラム陰性桿菌Pseudomonasegn感染症。 緑色色素ピオシアニンを作る。 土壌・河川にいて、多くの動物から検出される。 ・実験動物施設ではヒトから水を介して感染(SPFでより顕著) 通常不顕性。感染マウスは中耳炎起こし旋回。 ・免疫不全動物で菌血症 診断:病変部、盲腸、糞、飲水NAC培地で培養。線香臭がする。 ・塩酸添加水(5-10ppm)を給与で除菌
緑膿菌病
15
・グラム陰性短桿菌Pasteurellamulocdaによる。 .直接接触、空気、間接接触(汚水) ・鼻炎(スナッフル)が顕著→鼻汁 ·皮下膿瘍、斜頸、肺炎、子宮膿腫、敗血症 ・診断:臨床所見とクリンダマイシン加培地/改良K-B培地
パスツレラ症
16
・ICLASカテゴリーC ・グラム陰性桿菌Cirobacter rodeniumの感染症 経口感染 ・感受性宿主はマウス ・水様性下痢、被毛の汚れ、直腸脱、死亡(生後2~3週齢) 直腸で微絨毛を消失。粘膜が肥厚。 DHL寒天McConkey培地など腸内細菌用培地で分離
マウス腸粘膜肥厚症
17
ㆍICLASカテゴリーC ・2016に同定されたFilobacterium rodeniumが気管支粘膜に感染する疾患 ・菌培養できない ・問題となるのはラット ・直接接触により感染 異常呼吸音、無気肺、化膿性気管支肺炎 .血清診断、PCR、病理診断(Warthin-Starry染色)
カーバチルス病
18
マウスが含まれない ICLASカテゴリーC グラム陰性短桿菌のBordetellabronchsepicによる 哺乳類広範(ラット、モルモット、ウサギ、フェレット、イヌ、ネコ、 プタ、サル)に感受性宿主とするが、ブタ、モルモットは感受性が高い。 ・プタは姜縮性鼻炎の原因菌の一つ。 モルモットは気管支肺炎、膿性鼻汁、発咳、削痩、衰弱、死亡。 ・鼻腔粘膜のふき取り材料を血液寒天培地、DHL培地で培養し分離する
気管支敗血症菌病
19
ICLASカテゴリーC グラム陽性球菌の肺炎双球菌Streptococcuspneumoniaeによる ラット、モルモットの感受性が高い。 ・鼻孔周囲の汚れ、目やに、鼻汁、くしゃみ、食欲減退、斜頸、流産、死 .病理所見:肺の大葉性線維素性肺炎、心外膜炎、胸膜炎、中耳炎、子宮 内膜炎 マウスの自然感染例はほとんどない。 サルやヒトも大葉性肺炎になる ・血液寒天培地ではa溶血。血清学的検査も行う。
肺炎双球菌
20
グラム陽性球菌の溶連菌 Steptococcusqusubsp.cooepidemic感染症 実験動物の分野で問題になるのはモルモット 頸部リンバ節の"クルミ状"の腫脹 全身のリンパ節で炎症 肺、肝、脾、皮下、筋、脳など全身で炎症・膿瘍を形成 リンバ節、結膜・鼻粘液、目やにをウマ血液寒天培地で培養 血液寒天上で溶血を示す。
溶血連鎖球菌病
21
グラム陽性桿菌であるCorynehacierium kuscheriが原因菌 ・自然宿主はマウス・ラット ・経口感染。通常は不顕性。 ・ステロイド投与、 放射線照射、ストレスなどで免疫活性が落ち ると肺、肝、腎に膿瘍を形成する。 不類住個体:口腔や盲腸→FNC寒无培地で選択。 顕性個体:口腔や盲腸→血液寒天培地で培養
ネズミコリネ菌病
22
空気(飛沫)感染。多くは不顕性。 症状はラット>マウス ・感染初期、クック、カッカという特徴音のある呼吸音 ・慢性化すると鼻汁、 気管支炎、 呼吸困難、不活動。 ・病理:肺の肝変化、無気肺→気管支に沿った結節病変 .菌分離:PPLO培地 血清診断、PCR診断も行う。
肺マイコプラズマ病
23
・家伝法の届出伝染病 ・検疫対象の疾患 ・ポックスウイルス科 ・全身皮下に膿瘍→鼻汁→結膜 炎.失明→発熱.食欲不振 細菌の二次感染で死亡 強毒株の場合突然死
ウサギ粘液腫
24
パピローマウイルス感染 ノミなどの昆虫が媒介 首、肩、腹部などに乳頭腫、 扁平上皮癌 病理組織学的検査と蛍光抗体 でウイルス抗原を検出
ショープ乳頭腫
25
ロタウイルス感染症 他の動物のロタウイルス感染症 同様腸粘膜が障害され下痢 糞便の経口感染による
ウサギロタウイルス病
26
家伝法の届出伝染病 ・検疫対象の疾患 ・経口、経鼻、虫などの媒介 伝染性が強く、成獣でも致死的 沈鬱、発熱、 神経症状、呼吸器 症状、黄疸 ・壊死性肝炎、全身の点状出血
ウサギウイルス性出血熱
27
ICLASカテゴリーC ピコルナウイルス科カルジオウイルス属のTMEV感染症 宿主はマウスのみ 伝播力は強いが多くのケースでは不顕性 幼若マウスで後肢の萎縮、麻痺 SJマウスが高感受性:多発性硬化症モデル 経口感染.垂直感染 血清学的診断
マウス脳脊髄炎
28
ICLASカテゴリーC RNAウイルスであるアルテリウイルス科に属するLDHVの感染による。 経口、経皮、がん細胞の移植などで感染 宿主はマウスのみ 発症することはない。 マクロファージで増えるので脾臓、リンバ節、肝臓、胸腺に多い。 生涯にわたり血中のLDHレベルが高い。
乳酸脱水素酵素ウイルス病
29
ICLASカテゴリーC レオウイルス科(RNAウイルス)のマウスロタウイルス感染症 マウスのみ感染 糞便からの経口感染 哺乳マウスが感受性が高い。 水様性下痢
伝染性マウス幼子下痢症
30
ICLASカテゴリーB 国内で感染例の多いウイルス。 コロナウイルス科RNAウイルスMHVによる。 ・感受性動物はマウスのみ マウス系統によって感受性が異なる。 肝炎・脳炎を起こす多臓器親和性と、腸炎を主体とする腸管親和性 の株がある。 近年流行しているのは弱毒株が多く、成熟マウスは不顕性で、抗体 検査で見つかることが多い。
マウス肝炎
31
ICLASカテゴリーC・ コロナウイルス科RNAウイルスであるSDAV感染症 自然宿主はラットのみ。 鼻喉頭粘膜で増えたウイルスが顎下腺腫脹→涙腺腫大と広がる。 大半は1週間以内に治癒。 頸部が太くなる。ハーダー腺分泌液による紅涙、rednoseがみられる。 MHVと抗原性が交差するためMHV用キットで血清検査で診断。
唾液腺涙腺炎
32
ICLASカテゴリーB 天然痕と同じポックスウイルス科のDNAウイルス(マウス痘療) 伝播力・致死性が高い。 宿主はマウスのみ。 四肢、尾、耳などが脱落する。 結膜炎、肝臓・リンバ組織の壊死 感染組織の細胞の細胞質に封入体 肉眼所見、封入体の観察、抗体検査、発育鶏卵試験などで診断 感染個体が見つかった場合は全処分
エクトロメリア
33
ICLASカテゴリーB パラミクソウイルス科RNAウイルス HVJ (hemaggultinating virus of Japan)が病原体 宿主域は広い(マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、 フェレット、マーモセットなど) 感受性はマウスが高く。ラットではやや軽い。 高感受性系統*や幼若個体で重症化するが、成熟個体では耐化する。 鼻汁や唾液の飛沫感染、 接触感染 呼吸雑音、立毛、摂餌&摂水量の減少、妊娠率の低下、新生児の食殺 :移行抗体が低下したくらいの仔マウスが感染源となる。 病理所見:肺充血、肺の肝変化(赤色、灰色)、出血、瘢痕収縮 抗ウイルス抗体の抗体価を血清学的診断。 伝播力が強いので、一般にはコロニーの全処分。
センダイウイルス