問題一覧
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症例】35歳の男性。 【現病歴】金曜日に急性に発症した歯痛に対してかかりつけ歯科医にジクロフェナック 25mg 3錠/日 5日分処方された。金曜日の服用開始後3日間は。歯痛のため、摂食が通常より1/3以下に減少。また水分摂取も著しく減少。月曜日になり全身倦怠感強く、尿量が著しく減少していることを主訴として、患者(検査 技師)の動めている病の留職内科受診し、入院となった。尿道カテーテルを留置し10mL/時の尿量が得られた。1か月前の健康診断では CrO.7mg/dL、BUN 16mg/dL、尿蛋白(-)であった。 【身体所見】身長170cm、体重 70kg。血圧120/70mmHg、脈拍104/分、整。心音、肺音に異常なし。浮腫なし。 腹部超音波検査で胃の萎縮や水症は無かった ①検査データから何が起こってる ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①高カリウム血症と急性腎障害 ②脱水とNSAIDsによる急性腎障害 ③ジクロフェナクの中止 慎重に生理的食塩水の負荷
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60歳男性 15年前の健診で尿糖陽性を指摘された。10年前から高血圧、5年前から蛋白尿を指摘されていたが、これまで精査を受けたことはない。本年1月、多尿を主訴に受診した。たばこ10本/日✕30年、アルコール日本酒1合/日✕30年。 【身体所見】身長170cm、体重85kg、BM1 29.1、体温 36.3°c。血圧160/90 mmHg、脈拍72分、整。意識清明。結膜に貧血・黄疸なし。口腔内は乾燥。頭部に甲状腺腫大なし、表在リンパ節を触知せず。胸・腹部に異常なし。下腿浮腫あり。神経学的所見では下肢の振動覚低下とアキレス腱反射の減弱を認める。 ①検査データから何が起こってる ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①腎機能障害、ネフローゼ症候群、正球性貧血、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症 ②糖尿病性腎症によるCKDとネフローゼ症候群 ③カナグリフロジン、ダパグリフロジン、 エンパグリフロジンの投与
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【症例】64歳の男性 【主訴】息切れ、下肢のむくみと 【現南限)2年前、他応で白内障の手術を受けたときに収縮期血圧170-180mmlgを指摘されたが、仕事上の多忙を理由に治療を受けていなかった。1ヵ月前から下肢のもくみに気付くようになった。徐々に息切れが出現し、階段を上るのがつらくなったため来院した。 【身体所見】身長108cm、体重72kg、体温35.8°C。呼吸数 20/分、脈拍 80/分、壁。血圧180/110mmHg(右 上肢)。意識は清明。胸部では、両側下肺野に水泡音を聴取する。腹部では肝腫大を認める。下腿から足背にかけて著明な浮腫を認める。 心電図付き ①検査データから何が起こってる ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①心不全、腎機能障害、正球性貧血 ②高血圧性心不全、慢性腎臓病 ③ループ利尿薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬投与し利尿を図る 高血圧と左室駆出率の低下した心不全に対して、降圧薬/心不全治療薬を投与する
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【症例】24歳の女性 【現糖盛】朝食はいつも振らず、医食も偏食がちで交食することも多かった。調色は悪く、血圧も低い方であった。特に薬の服用はない。最近階段を上ると息切れがするため、近医を受診した。 【身体所見】身長157 cm、体重48kg。血圧92/60mmHg、 脈拍 90/分、整。眼瞼結膜蒼白。心肺異常なし。 スプーン爪あり(右図)。 ①検査データからの何が起こってる?MCVを計算した上で答えよ ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①(30÷450)×1000=66.7fl 鉄欠乏性貧血 (Ht÷RBC)×1000= ②朝食の欠食、偏食、月経から鉄欠乏性貧血になった ③鉄の補充の為 クエン酸第一鉄ナトリウム錠投与
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症例:72歳、男性、農業。 主訴:全身倦怠感。 既往歴:胃癌で12年前に手術を受けた。 生活歴:喫煙 20本/日✕40年。飲酒日本酒1~2合/日。 家族歴:父親が脳卒中で死亡。 現病歴:約1ヵ月前から全身倦念感を自覚するようになった。1週間前に農作業中に動悸を感じた。しだいに全身倦怠感が強くなり、気分が落ち込みがちになり、手足がしびれるようになった。家族に顔色不良を指摘されたため受診した。 初診時身体所見:身長156cm、体重 48kg。体温36.4°C。血圧146/86mmHg、脈拍88/分・整。眼瞼結膜は貧血様であり、眼球結膜にわずかに黄楽を認める。口蓋扁桃の腫大を認めず、乳頭の萎縮を認める。心音、呼吸音ともに異常なし。腹部は平坦・軟で肝腎を触れず、腫瘤・圧痛も認めない。表在リンパ節を触知せず。四肢にチアノーゼ、浮腫を認めず。神経学的所見では深部知覚の低下が見られた。 ①検査データから何が起こってる?MCVを計算した上で答えよ ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①MCVは134 fLなので大球性貧血、汎血球減少、間接ビリルビンの上昇から巨赤芽球性貧血が疑われる (Ht÷RBC)×1000= (15÷112)×100=133.92 ②胃切除後の貧血はビタミンB₁₂欠乏による巨赤芽球性貧血 ③ビタミンB₁₂の筋肉内注射
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28 歳女性。 1ヶ月前ぐらい前から動悸。手指の震えがあり、発汗が多くなったため近医を受診したところ、パセドウ病と診断され、下記の薬剤が処方された。身長 155 cm、体重40kg。 (処方) プロピルチオウラシル錠 50mg 1回2錠(1日6錠) 1日3回 朝昼夕食後28日分 服薬を開始して2週間後に 38.5°Cの発熱と強い咽頭痛を認めたため受診した。血圧 102/72 mmHg、脈拍120/分。 ①検査データから何が起こってる?好中球数を計算した上で答えよ ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①好中球減少と炎症反応 1000×(0.01+0.34)=350 < 500 ②プロピルチオウラシルによる無顆粒球症 ③プロピルチオウラシルの投与中止 速やかに広域抗菌薬を開始
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【症例】32歳女性。 【主訴】皮膚の出血斑 【現病歴】6ヵ月前から誘因なく肩や膝に径2-3cmの皮下出血斑が出現するのに気付いた。2週前から歯磨きで血がにじんだり、入浴時に強くこすったりした部位に点状出血斑がでるようになった。常用楽はない。 【身体所見】身長163cm、体重56kg。血圧112/70mmHg、脈拍72/分。貧血、黄疸、リンパ節腫大および肝 脾腫を認めない。 ①検査データから何が起こってる ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①ピロリ菌関連ITP ②出血関連書き出して ③副腎皮質ステロイド投与
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【症例】35歳女性 【現病歴】生来健康であったが、2ヶ月前から気分が沈みがちになり、朝起きられず欠動が多くなった。食後も低下し、自殺をほのめかす言動も生じたので、心配した家族が病腕に連れていったところ、うつ病性障害と診断され、以後パキシル同能の投与を受けていた。治療開始約の週間後から徐々に抑うつ状題は改善したが、本日朝に腹痛と間吐を生じ、枚元にタイレノールAの薬箱が多数空けられており、自殺企図により大量の銀難を服用した疑いがもたれた。その後教急外来を受診した。 【既往歴】特になし 【家族歴】父が50代でうつ病発症 【生活歴】1男1女の長女、未婚、雑誌編集者 【身体所見】身長170cm、体重65kg、意識清明、呼気にアンモニア臭(一)、血圧125/80 mmHg、脈拍75/ 分・髪、頭部:結膜に黄疽あり、貧血なし、胸部:呼吸音正常・腹部:肝腫大(+)、腹水(一)、下肢:皮下に点 状出血(一) ①検査データから何が起こってる アセトアミノフェンの図あり ②どのような治療が必要と考えられる
①急性の肝細胞障害とそれに伴う胆汁のうっ滞。図の血中アセトアミノフェン濃度が約124μg/mL 急性アセトアミノフェン中毒による肝機能障害・腎機能障害 ②特異的解毒薬として、肝障害予防のためにN-アセチルシステインを投与する。NAPQIIグルタチオンによって解毒されるが、その湯が予想されるため、細胞内に吸収されにくいグルタチオンの代わりに、その前駆体である N-アセチルシステイン(経口、静注)を投与して肝障害の予防を行う.
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【症例】45歳男性。 【主香】検診での肝機能異常。 【現物医】毎年、会社様診にて肝機能異常を指摘されていたが放置していた。新聞やテレビの報道にて家人から肝炎ウイルス機診の必要性を指摘され、会社法くのクリニックを受診した。血液機査にてHCV抗体が開性と判明したため、精査加療目的にて当科を紹介された。飲酒はビール大ビン2本/日。 【既生歴】中学生のとき、虫垂炎のため手術。 【輸血歴)なし。 【身体所見】身長165cm、体重68kg、血圧 130/4mmHg、脈拍 65/分・茎。皮膚黄染はなく眼瞼結膜に食血は認めず。腹部では肝腫なし、右下腹部に手術創あり ①検査データから何が起こってる? ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①AST, ALT,LDHの上昇、HCV抗体(+)、HCV-RNA陽性よりC型慢性肝炎と考えられる。血小板、Albの低下から、肝臓の蛋白合成能の低下の兆候が見られ、肝硬変に移行しつつある。 ②C型慢性肝炎(感染経路不明) ③直接型抗ウイルス薬(DAA:direct acting antiviral)の内服により、95%以上(初回治療例では98%前後)の患者でウイルス排除が達成される. 【処方例】 ゲノタイプ1型(セロタイプ1型)では、下記の1)を12週間。もしくは2)を8週間(代償性肝硬変の場合は12週間)処方する。 1)ハーボニー配合錠(レジパスビル90mg・ソホスブビル400mg) 1回1錠1日1回食後(非代償性肝硬変は適応外) 2)マヴィレット配合錠(グレカプレビル水和物(無水物で)100mg ピブレンタスビル40mg) 1回3錠1日1回 食後(重度(Child- Pugh分類C)の肝機能障害のある患者は禁忌)
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【症例】65歳女性。 【備)20年前日製機性用と言われ、インターフェロン授与を受けたが、四度にしれが出現したため数日で中止し、以後放置していた。1か月前より、部膨満が目立つようになった。つじつまの合わない言動もみられ、近医受診。肝性認症を疑われ、当院を紹介されて緊急入となった。 タパコ(-)、アルコール(ー) 【既往歴】特記すべきことなし。 【家族歴】母方の親類に肝臓病多数。 【身体所見】身長150cm、体重55kg、血圧102/68mmHg、脈拍80/分・塾。体温36.8°c。意識状態は、開眼はしているが、問いに対する反応は鈍く、明らかな羽ばたき振戦を認めた。眼球結膜に黄染を認めた。腹部に大量の腹水を認めた。 ①検査データから何が起こってる。この患者のchild-Pugh分類は何? ②何が原因でこの病態が起こった。 ③どのような治療が必要と考えられる
①AST、ALT の上昇からは慢性肝炎~肝硬変に矛盾しない。血小板、Alb、T-Cholが低下、凝固能の低下も見られ、肝臓の蛋白合成能の低下が疑われる。HBS抗原(+)からB型慢性肝炎による肝硬変と考えられる。総ビリルビン、NHの上昇は肝の代謝能の低下を示 す。低Na血症、低血症、大球性貧血も肝硬変で説明可能 child Cに分類 ②型慢性肝炎による肝硬変により、黄疸、腹水、肝性脳症をきたしている。 感染経路は母子感染の可能性が高い。 ③1. HBVに対する抗ウイルス療法(テノホビル、エンテカビル) 2. 肝硬変への対症療法 ①肝性脳症に対して 初期治療:分岐鎖アミノ酸製剤の輸液 慢性期治療:分岐鎖アミノ酸製剤の内服、合成二糖類(ラクツロース、ラクチトール)、難吸収性抗菌薬リファミキシン、酢酸亜鉛水和物など ②腹水に対して 抗アルドステロン薬、ループ利尿薬、バンプレシンV2受容体抗薬その他、肝がん合併の有無、食道静脈瘤の有無などの精査も必要
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56 歳男性。心窩部痛を主訴に妻につきそわれて来院した。 【現病歴】夕食時に普段よりもたくさん飲酒した。夕食後に心窩部痛(みぞおちのあたりの痛み)と悪心(吐き 気)とを自覚した。心窩部痛は次第に増強し、背部痛も伴うようになった。飲酒は日本酒 3 合/日を 30 年間、 喫煙は 20 本/日を 36 年間。 【既往歴】30 歳代から肝機能異常を指摘されている。 家族歴:父親が胃がん、母親が高血圧。 【身体所見】意識はやや混濁、身長 168cm、体重 58kg、体温 37.8°C、呼吸数 40/分、脈拍 120/分、血圧 100/56mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。上腹部に圧痛(押さえると痛がる)と抵抗(腹壁が硬く感じ られる。腹膜炎の徴候)とを認める。肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。 腹部CT画像あり ①検査データから何が起こってる ②何が原因でこの病態が起こった ③どのような治療が必要と考えられる
①アミラーゼ上昇、WBC・CRP上昇から急性膵炎が疑われる。腎機能障害、肝機能障害、血小板減少、凝固能低下からは播種性血管内凝固による多臓器不全が疑われるが、アルコール性肝硬変によるものの可能性も否定できない。 ②過度の飲酒、心高部痛、背部痛、悪心、高アミラーゼ血症、識の腫大→急性障炎 脈拍>収縮期血圧、意識濁あり、腹膜炎の徴候あり→ショックの前兆あり、播種性血管内凝固による多臓器不全を第一に考える ③急性膵炎の治療 1.絶食 2. 経腸栄養:腸管粘膜上皮の非薄化を防止→腸内細菌の腸管外移行を阻止、感染性合併症の発生率を低下させる 2.輸液:全身の血管透過性の亢進から高度の血管内脱水が惹起され、末梢循環障害による臓器障害をきたす→4~8L/日 3.疼痛対策:NSAIDs、必要に応じて麻薬の使用もありうる 4.蛋白分解酵素阻害薬:ガベキサートメシル酸塩、ナファモスタットメ シル酸塩など 5. 予防的抗菌薬投与:カルバペネム系など 6. 持続的血液ろ過透析:重症例に適応
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【症例】55 歳男性 【主訴】全身倦怠感、頭痛。 【現病歴】3 ヵ月前から咳が出現した。1か月前から全身倦怠感があり、徐々に増悪してきた。最近、喀痰に 鮮血が混じることがある。食欲は良好。下痢と嘔吐とはない。ビール大瓶 2 本/日、喫煙 40 本/日を 35 年 間。 【身体所見】身長 162 cm、体重 58 kg、体温 36.1 °C。血圧 126/80 mmHg、脈拍 72/分・整。意識は清明。 心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。 ※肺の画像あり (10) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (11) 何が原因で(10)の病態が起こったと考えられるか? (12) この患者にはどのような治療が必要か
(10)SIADHにより低Na血症をきたしている。その原因は肺小細胞がんが疑われる。 肺がんによる慢性炎症により正球性貧血をきたしている。 (11)肺小細胞がんによる抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (12)1.肺小細胞がんに対する治療 進行度を精査したうえで、 【限局型】癌進展が片側胸腔にとどまる場合 化学療法[プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)+エトポシド(PE療法)]+放射線療法 【進展型】癌進展が片側胸腔を超える場合 化学療法[プラチナ製剤+イリノテカン(PI療法、IP療法ともいう)、PE療法+PD-L1阻害薬など] 2.SIADHに対する治療 頭痛あるが意識障害をきたすほどでない。水制限+トルバプ タンでよいと思われる。
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【症例】80 歳男性 【主訴】筋力低下、歩行困難 【現病歴】高血圧・糖尿病の診断を受けている。2 ヶ月前から背部貨幣状湿疹の発症により、グリチルリチン 75 mg/日を経口投与と、強力ネオミノファーゲン C 20 mL(グリチルリチン酸 40 mg 含有)の静注(2 回/週)が 開始された。投与後から 2 ヶ月後、下肢の筋力低下・口渴、上肢挙上困難、起立・歩行の困難を訴え入院し た。 【身体所見】身長 165 cm、体重 70 kg、血圧 164/78 mmHg、脈拍 68/分・整、両下肢に軽度浮腫、四肢に左 右差の無い近位優位の筋力低下(近位とは体幹部に近いということ。太ももや上腕の筋力低下が強いという意味)。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)偽アルドステロン症による低K血症による筋力低下と代謝性アルカローシス 以前からある糖尿病、脂質異常症 加齢による軽症正球性貧血 (12)グリチルリチン製剤による偽アルドステロン症 (13)1. グリチルリチン製剤中止 2. 抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)投与 3. カリウム製剤投与 単独で投与してもすぐに排泄されてしまうであまり効果 がない。
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【症例】75歳女性 【主訴】全身倦怠感、食欲不振 【現病歴】2カ月前より徐々に全身倦怠感、食欲不振が出現し、憎悪してきたため受診した。 【身体所見】身長 150 cm、体重 50 kg、血圧 147/64 mmHg、脈拍 60/分・整。眼瞼結膜蒼白。 ※画像付き
(10)多発性骨髄腫細胞が骨髄を占拠し、汎血球減少と高Ca血症をきたしていると考えられる。腎不全原因、高Ca血症による脱水による腎前性急性腎不全か、アミロイドーシスによる腎障害が考えられる。 (11)多発性骨髄腫による汎血球減少、高カルシウム血症、腎不全 (12)1.高Ca血症に対して 急性期治療 ・生理的食塩水点滴 ・ループ利尿薬(カルシウムを排泄させる)投与 ・カルシトニン製剤、静注ビスホスホネート製剤(慎重投与) 慢性期治療 ・ビスホスホネート*(静注、経口) 2.多発性骨髄腫に対して 75歳なで骨髄移植非適応である。 D-MPB療法(メルファラン+プレドニン+ボルテゾミブ+ダラツムマブ) D-Ld療法(レナリドミド水和物+デキサメタゾン+ダラツムマブ) など 3.腎不全に対して 輸液で改善すれよいが、改善しない場合、血液透析が必要になるかも。
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【症例】70 歳男性。 【主訴】咳、息切れ 【現病歴】1991 年から洞不全症候群、心房細動のため加療されていた。発作性心房細動をおこすたびに心 不全が悪化し入退院を繰り返すため、2003 年 3 月より難治性の発作性心房細動に対してアミオダロン 1 日 200 mg の内服を開始し、不整脈が減少していた。2004 年 3 月頃より乾性咳漱が出現し、鎮咳薬の内服を開 始されたが、咳漱は持続し、同年 9 月には労作時息切れも出現し、12 月下旬にはさらに増悪したため入院 した。日本酒 2 合/日、タバコ 20 本/日。 喫煙歴:30~60 歳まで 1 日 20 本×30 年。 【身体所見】:身長 169 cm、体重 66 kg、体温 37.1°C、脈拍 80/分・整、呼吸数 25/分・整、血圧 136/86 mmHg、 SpO2 93%(room air)、意識清明、貧血黄疸なし。胸部;心音異常なし。呼吸音:両側下肺野に捻髪音聴取。 【胸部X線写真】 CTR56%、入院11ヶ月前のレントゲンに比し、両中下肺野にスリガラス状陰影を認める。 【胸部 CT】(右) 両下肺野背側に蜂巣状変化とその周囲に濃度上昇あり、 両肺野気腫性変化著明。 (11)検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12)何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13)この患者にはどのような治療が必要か?
(11)間質性肺炎による拡散障害による呼吸不全。LDHは肺の逸脱酵素であり、間質性肺炎で上昇することあり。腎不全は慢性腎臓病と考えられる。高尿酸血症は腎不全に伴うものか、飲酒か? (12)アミオダロンによる薬剤性間質性肺炎 (13)ステロイド治療
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【症例】23 歳女性。 【主訴】四肢の脱力。 【現病歴】1週間前から全身の脱力感を自覚し、本日階段の昇降が困難となったため来院した。家人による と、足が太いことを気にして、ネット販売で何か薬を買っていたようだという。その薬を確認するとフロセミドで あった。 【身体所見】身長 155 cm、体重 55 kg。血圧 78/44 mmHg、脈拍 68/分・整。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼 球結膜に黄染を認めない。筋萎縮を認めない。徒手筋力テストは両側上下肢ともに 3 [筋力は 0-5 までの 6 段階で評価する。3 は運動範囲全体に渡って動かすことができるが、徒手抵抗(他人が運動を押さえつける 力)には抗することができない]である。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)レニン分泌亢進とそれに伴うアルドステロン上昇⇒二次性アルドステロン症 おそらくフロセミド投与とそれに伴う利尿、体液量減少、血圧低下によるもの (12)フロセミド乱用 (13)1.フロセミド中止 2.カリウム補充 • 高K血症が怖い⇒症状ない場合経口投与で補正 重症例(筋力低下、不整脈)⇒点滴による早期補正
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【症例】15 歳男性。 【主訴】意識低下 【現病歴】2 ヵ月前から全身倦怠感があり1ヵ月から多飲と多尿とが出現した。2 週前から悪心と嘔吐とを繰り 返し、今朝から意識混濁を来たし救急車で搬送されてきた。 【身体所見】身長 170cm、体重 55 kg、血圧 90/60 mmHg、脈拍 96/分、呼吸数 28/分、整。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)著しい高血糖があり、抗GAD抗体陽性から、1型糖尿病と考えられる。アニオンギャップ増加を伴う代謝性アシドーシス糖尿病性ケトアシドーシスと考える。 (12)1型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシス (13)• 生理的食塩水点滴とインスリン注射を行う。 • 糖尿病性ケトアシドーシスで体重5-10%水分欠乏量 があると推測されるで、最初2-3時間1,000mL/時間で 投与する。 • インスリン通常5-10単位/時間で開始する。そ後、血糖 値、血清Na濃度や血清K、P(グルコース細胞内へ流入 に伴いKやP細胞内に移行するで血清濃度低下する) を見ながら輸液内容を変更していく。
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【症例】22 歳男性。 【主訴】意識障害 【現病歴】意識障害で救急搬送された。家族によると、2 週間前に微熱と下痢とがあり 3 日で回復した。5 日 前に両手指尖部にしびれ感が出現した。3 日前には握力が低下し、下肢脱力感を覚えた。2 日前から起床 時に布団から立ち上がることが出来なくなった。救急室では、発語は無く、痛み刺激にも反応はない。呼吸 回数は 6 回/分で、経皮酸素飽和度(SpO2)は 75%であった。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)換気不全により低O2血症、高CO2血症をきたし、呼吸性アシドーシスをきたしている。 軽度脱水があるかもしれない。 (12)ギラン・バレー症候群 (13)次1もしく2 1.経静脈的免疫グロブリン療法 2.血漿浄化療法 3.対症療法 (1) 気管切開・人工呼吸 (2) 肺塞栓症予防:ヘパリンCa皮下注 1回5,000単位 1日2回 皮 下注 12時間ごと
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【症例】55 歳男性 【主訴】全身倦怠感、頭痛。 【現病歴】3 ヵ月前から咳が出現した。1か月前から全身倦怠感があり、徐々に増悪してきた。最近、喀痰に 鮮血が混じることがある。食欲は良好。下痢と嘔吐とはない。ビール大瓶 2 本/日、喫煙 40 本/日を 35 年 間。 【身体所見】身長 162 cm、体重 58 kg、体温 36.1 °C。血圧 126/80 mmHg、脈拍 72/分・整。意識は清明。 心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。 ※肺の画像あり (10) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (11) 何が原因で(10)の病態が起こったと考えられるか? (12) この患者にはどのような治療が必要か
(10)SIADHにより低Na血症をきたしている。その原因は肺小細胞がんが疑われる。 肺がんによる慢性炎症により正球性貧血をきたしている。 (11)肺小細胞がんによる抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (12)1.肺小細胞がんに対する治療 進行度を精査したうえで、 【限局型】癌進展が片側胸腔にとどまる場合 化学療法[プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)+エトポシド(PE療法)]+放射線療法 【進展型】癌進展が片側胸腔を超える場合 化学療法[プラチナ製剤+イリノテカン(PI療法、IP療法ともいう)、PE療法+PD-L1阻害薬など] 2.SIADHに対する治療 頭痛あるが意識障害をきたすほどでない。水制限+トルバプ タンでよいと思われる。
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【症例】80 歳男性 【主訴】筋力低下、歩行困難 【現病歴】高血圧・糖尿病の診断を受けている。2 ヶ月前から背部貨幣状湿疹の発症により、グリチルリチン 75 mg/日を経口投与と、強力ネオミノファーゲン C 20 mL(グリチルリチン酸 40 mg 含有)の静注(2 回/週)が 開始された。投与後から 2 ヶ月後、下肢の筋力低下・口渴、上肢挙上困難、起立・歩行の困難を訴え入院し た。 【身体所見】身長 165 cm、体重 70 kg、血圧 164/78 mmHg、脈拍 68/分・整、両下肢に軽度浮腫、四肢に左 右差の無い近位優位の筋力低下(近位とは体幹部に近いということ。太ももや上腕の筋力低下が強いという意味)。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)偽アルドステロン症による低K血症による筋力低下と代謝性アルカローシス 以前からある糖尿病、脂質異常症 加齢による軽症正球性貧血 (12)グリチルリチン製剤による偽アルドステロン症 (13)1. グリチルリチン製剤中止 2. 抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)投与 3. カリウム製剤投与 単独で投与してもすぐに排泄されてしまうであまり効果 がない。
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【症例】75歳女性 【主訴】全身倦怠感、食欲不振 【現病歴】2カ月前より徐々に全身倦怠感、食欲不振が出現し、憎悪してきたため受診した。 【身体所見】身長 150 cm、体重 50 kg、血圧 147/64 mmHg、脈拍 60/分・整。眼瞼結膜蒼白。 ※画像付き
(10)多発性骨髄腫細胞が骨髄を占拠し、汎血球減少と高Ca血症をきたしていると考えられる。腎不全原因、高Ca血症による脱水による腎前性急性腎不全か、アミロイドーシスによる腎障害が考えられる。 (11)多発性骨髄腫による汎血球減少、高カルシウム血症、腎不全 (12)1.高Ca血症に対して 急性期治療 ・生理的食塩水点滴 ・ループ利尿薬(カルシウムを排泄させる)投与 ・カルシトニン製剤、静注ビスホスホネート製剤(慎重投与) 慢性期治療 ・ビスホスホネート*(静注、経口) 2.多発性骨髄腫に対して 75歳なで骨髄移植非適応である。 D-MPB療法(メルファラン+プレドニン+ボルテゾミブ+ダラツムマブ) D-Ld療法(レナリドミド水和物+デキサメタゾン+ダラツムマブ) など 3.腎不全に対して 輸液で改善すれよいが、改善しない場合、血液透析が必要になるかも。
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【症例】70 歳男性。 【主訴】咳、息切れ 【現病歴】1991 年から洞不全症候群、心房細動のため加療されていた。発作性心房細動をおこすたびに心 不全が悪化し入退院を繰り返すため、2003 年 3 月より難治性の発作性心房細動に対してアミオダロン 1 日 200 mg の内服を開始し、不整脈が減少していた。2004 年 3 月頃より乾性咳漱が出現し、鎮咳薬の内服を開 始されたが、咳漱は持続し、同年 9 月には労作時息切れも出現し、12 月下旬にはさらに増悪したため入院 した。日本酒 2 合/日、タバコ 20 本/日。 喫煙歴:30~60 歳まで 1 日 20 本×30 年。 【身体所見】:身長 169 cm、体重 66 kg、体温 37.1°C、脈拍 80/分・整、呼吸数 25/分・整、血圧 136/86 mmHg、 SpO2 93%(room air)、意識清明、貧血黄疸なし。胸部;心音異常なし。呼吸音:両側下肺野に捻髪音聴取。 【胸部X線写真】 CTR56%、入院11ヶ月前のレントゲンに比し、両中下肺野にスリガラス状陰影を認める。 【胸部 CT】(右) 両下肺野背側に蜂巣状変化とその周囲に濃度上昇あり、 両肺野気腫性変化著明。 (11)検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12)何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13)この患者にはどのような治療が必要か?
(11)間質性肺炎による拡散障害による呼吸不全。LDHは肺の逸脱酵素であり、間質性肺炎で上昇することあり。腎不全は慢性腎臓病と考えられる。高尿酸血症は腎不全に伴うものか、飲酒か? (12)アミオダロンによる薬剤性間質性肺炎 (13)ステロイド治療
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【症例】23 歳女性。 【主訴】四肢の脱力。 【現病歴】1週間前から全身の脱力感を自覚し、本日階段の昇降が困難となったため来院した。家人による と、足が太いことを気にして、ネット販売で何か薬を買っていたようだという。その薬を確認するとフロセミドで あった。 【身体所見】身長 155 cm、体重 55 kg。血圧 78/44 mmHg、脈拍 68/分・整。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼 球結膜に黄染を認めない。筋萎縮を認めない。徒手筋力テストは両側上下肢ともに 3 [筋力は 0-5 までの 6 段階で評価する。3 は運動範囲全体に渡って動かすことができるが、徒手抵抗(他人が運動を押さえつける 力)には抗することができない]である。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)レニン分泌亢進とそれに伴うアルドステロン上昇⇒二次性アルドステロン症 おそらくフロセミド投与とそれに伴う利尿、体液量減少、血圧低下によるもの (12)フロセミド乱用 (13)1.フロセミド中止 2.カリウム補充 • 高K血症が怖い⇒症状ない場合経口投与で補正 重症例(筋力低下、不整脈)⇒点滴による早期補正
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【症例】15 歳男性。 【主訴】意識低下 【現病歴】2 ヵ月前から全身倦怠感があり1ヵ月から多飲と多尿とが出現した。2 週前から悪心と嘔吐とを繰り 返し、今朝から意識混濁を来たし救急車で搬送されてきた。 【身体所見】身長 170cm、体重 55 kg、血圧 90/60 mmHg、脈拍 96/分、呼吸数 28/分、整。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)著しい高血糖があり、抗GAD抗体陽性から、1型糖尿病と考えられる。アニオンギャップ増加を伴う代謝性アシドーシス糖尿病性ケトアシドーシスと考える。 (12)1型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシス (13)• 生理的食塩水点滴とインスリン注射を行う。 • 糖尿病性ケトアシドーシスで体重5-10%水分欠乏量 があると推測されるで、最初2-3時間1,000mL/時間で 投与する。 • インスリン通常5-10単位/時間で開始する。そ後、血糖 値、血清Na濃度や血清K、P(グルコース細胞内へ流入 に伴いKやP細胞内に移行するで血清濃度低下する) を見ながら輸液内容を変更していく。
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【症例】22 歳男性。 【主訴】意識障害 【現病歴】意識障害で救急搬送された。家族によると、2 週間前に微熱と下痢とがあり 3 日で回復した。5 日 前に両手指尖部にしびれ感が出現した。3 日前には握力が低下し、下肢脱力感を覚えた。2 日前から起床 時に布団から立ち上がることが出来なくなった。救急室では、発語は無く、痛み刺激にも反応はない。呼吸 回数は 6 回/分で、経皮酸素飽和度(SpO2)は 75%であった。 (11) 検査データからは何が起こっていると考えられるか? (12) 何が原因で(11)の病態が起こったと考えられるか? (13) この患者にはどのような治療が必要か?
(11)換気不全により低O2血症、高CO2血症をきたし、呼吸性アシドーシスをきたしている。 軽度脱水があるかもしれない。 (12)ギラン・バレー症候群 (13)次1もしく2 1.経静脈的免疫グロブリン療法 献血ベニロン-I®注* 1回 0.4 g/kg 1日1回 6時間以上かけて点滴 静注 5日間連続 *乾燥スルホ化人免疫グロブリン商品名 2.血漿浄化療法 単純血漿交換法 1回40 mL/kg 隔日で4回(免疫吸着法場合に 隔日で5回) 3.対症療法 (1) 気管切開・人工呼吸 (2) 肺塞栓症予防:ヘパリンCa皮下注 1回5,000単位 1日2回 皮 下注 12時間ごと