問題一覧
1
安静による改善が乏しい背部痛をきたすのはどれか.2つ選べ. a 脊柱側弯症 b 大動脈解離 c 転移性脊椎腫瘍 d 腰部脊柱管狭窄症 e 腰椎椎間板ヘルニア
bc
2
COPDでみられるのはどれか.2つ選べ. a 残気量増加 b 拡散能上昇 c A-aDO2開大 d 血清KL-6上昇 e fine crackles聴取
ac
3
地域包括支援センターに配置が義務付けられているのはどれか.3つ選べ. a 医師 b 保健師 c 社会福祉士 d 主任ケアマネジャー e 医療ソーシャルワーカー
bcd
4
22歳の男性.黄疸を主訴に来院した.家族に黄疸を指摘されたため受診した.自覚症状はない.血液所見:赤血球452万,Hb 14.3g/dL,白血球5,400,血小板18万.血液生化学所見:総ビリルビン3.8mg/dL,直接ビリルビン0.3mg/dL,AST 18U/L,ALT 19U/L,LD 210U/L(基準176〜353),ALP 220U/L(基準115〜359),γ-GTP 19U/L(基準8〜50),HBs抗原陰性,HCV抗体陰性.低カロリー食試験で血清ビリルビン値は2倍以上に上昇した. 対応として適切なのはどれか. a 肝生検 b 経過観察 c 直接Coombs試験 d 母子健康手帳記載の確認 e 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査〈ERCP〉
b
5
66歳の女性.左耳閉感を主訴に来院した.2週間前から左耳閉感を自覚するようになったため受診した.耳痛やめまいはない.鼻腔内および口腔内に異常を認めない.左上頸部に硬い腫瘤を複数触知する.左耳の鼓膜写真を次に示す. 病変の有無を確認すべき部位はどれか. a 耳下腺 b 上咽頭 c 中咽頭 d 下咽頭 e 喉頭
b
6
65歳の女性.2年前から物の名前や言葉が思い浮かばず,ろれつも回りづらくなり,会話がたどたどしくなってきた.1年前から徐々に右手の動きがぎこちなくなり,ボタン掛けや箸使いが困難になってきた.最近,右手が勝手に動き,自分の意志では制御できなくなってきたため受診した.意識は清明.身長153cm,体重43kg.体温36.1℃.脈拍72/分,整.血圧118/68mmHg.改訂長谷川式簡易知能評価スケール19点(30点満点),Mini-Mental State Examination〈MMSE〉22点(30点満点).発語は努力性で非流暢であり,発音も明瞭ではないが,言語理解は保たれている.右上肢には衣服をまさぐるような動きが断続的にみられ,制止を指示すると自らの左手で右手を抑制する.右上肢には高度の筋強剛がみられるが,左上下肢の筋緊張は正常である.筋萎縮や振戦は認めない.四肢の腱反射は正常で,Babinski徴候を認めない.歩行では右下肢の振り出しに遅れがみられる.頭部MRIのT1強調冠状断像を次に示す. 最も考えられるのはどれか. a Parkinson病 b 前頭側頭型認知症 c Alzheimer型認知症 d 特発性正常圧水頭症 e 大脳皮質基底核変性症
e
7
ループ利尿薬の短所は何か
低K血症の危険性
8
58歳の女性(2妊1産).不正出血を主訴に来院した.30歳の2回目妊娠時に,①(胞状奇胎)の診断で子宮内容除去術を受けた.42歳時に子宮頸部細胞診異常と②(ヒトパピローマウイルス〈HPV〉検査陽性)を指摘されたが,その後の通院を自己中断した.45歳時に子宮頸癌ⅡB期(扁平上皮癌)と診断され,③(薬物による抗癌治療)と④(根治的放射線治療)を受けている.治療後,48歳時から骨粗鬆症の診断で⑤(ビスホスホネート製剤)が投与されている.来院時の子宮内膜組織検査で癌肉腫と診断された.その後行った骨盤部単純MRIで子宮体部腫瘤が認められ,FDG-PETでは同部位にのみ異常集積を認めた. 下線部のうち,今回の子宮体部癌肉腫の発生と最も関連が深いのはどれか.
④
9
7歳の女児.時々,動作が止まったり,会話が途切れたりすることを主訴に両親に連れられて来院した.成長や発達に異常を認めない.既往歴に特記すべきことはない.身体所見に異常を認めない.過呼吸時の脳波を次に示す. この脳波所見が出現したときの症状はどれか. a 閉眼する. b 四肢を強直させる. c 顔色が蒼白になる. d 呼びかけに反応しない. e 頭部が前屈し両上肢が挙上する.
d
10
失神している患者の心電図モニターの波形を次に示す. 直ちに投与すべきなのはどれか. a アトロピン b アドレナリン c ジアゼパム d ベラパミル e リドカイン
a
11
Tリンパ球機能低下による日和見感染症でないのはどれか. a 粟粒結核 b 食道カンジダ症 c 肺炎球菌性肺炎 d ニューモシスチス肺炎 e サイトメガロウイルス感染症
c
12
中心性漿液性網脈絡膜症での視野異常は何か
中心暗点
13
副腎腺腫によるCushing症候群で認めないのはどれか. a 円形顔貌 b 眼瞼浮腫 c 骨粗鬆症 d 色素沈着 e 皮膚線条
d
14
末梢血好中球について正しいのはどれか.2つ選べ. a 減少症の原因として薬剤性が最も多い. b 副腎皮質ステロイドの投与で増加する. c 成人の末梢血多核白血球の約60%を占める. d 発熱性好中球減少症での基準は1,500/μL以下である. e 急性細菌感染症では桿状核に比し分葉核の割合が増加する.
ab
15
デルマドロームでないのはどれか. a Sweet病 b 皮膚筋炎 c 黒色表皮腫 d 日光角化症 e 壊疽性膿皮症
d
16
35歳の女性.急性骨髄性白血病のため入院中である.寛解導入療法開始後18日目に発熱を認めた.発熱以外の症状はない.体温38.2℃.脈拍112/分,整.血圧102/68mmHg.呼吸数20/分.眼瞼結膜は貧血様である.身体所見にその他の異常を認めない.血液所見:赤血球288万,Hb 8.8g/dL,Ht 26%,網赤血球0.1%,白血球500(好中球1%,好酸球0%,好塩基球0%,単球0%,リンパ球99%),血小板2.1万. この時点での抗菌薬選択に際し,最も考慮すべき微生物はどれか. a Clostridium perfringens b Enterococcus faecalis c Haemophilus influenzae d Moraxella catarrhalis e Pseudomonas aeruginosa
e
17
52歳の男性.労作時息切れと全身倦怠感を主訴に来院した.1ヵ月前から両下腿の浮腫が出現し,1週間前から労作時息切れと全身倦怠感も自覚するようになったため受診した.15年前から高血圧症と糖尿病で治療を受けていたが,10ヵ月前の転居を契機に受診を中断していた.身長176cm,体重85kg(2ヵ月前は78kg).脈拍92/分,整.血圧162/92mmHg.SpO2 95%(room air).両下腿に圧痕性浮腫を認める.尿所見:蛋白3+,糖2+,ケトン体(-),潜血(-).随時尿の尿蛋白480mg/dL,クレアチニン80mg/dL.血液所見:赤血球310万,Hb 8.6g/dL,Ht 28%,白血球8,600,血小板12万.血液生化学所見:総蛋白5.2g/dL,アルブミン2.2g/dL,尿素窒素30mg/dL,クレアチニン1.6mg/dL,尿酸7.6mg/dL,血糖230mg/dL,HbA1c 8.0%(基準4.6〜6.2),Na 136mEq/L,K 5.8mEq/L,Cl 98mEq/L,Ca 7.6mg/dL,P 5.2mg/dL.胸部X線写真で心拡大と肺うっ血を認める. この患者の治療で,まず投与すべきなのはどれか. a 新鮮凍結血漿 b 赤血球濃厚液 c ループ利尿薬 d アルブミン製剤 e 維持輸液(組成:Na+ 35mEq/L,K+ 20mEq/L,Cl- 35mEq/L,グルコース5.0%)
c
18
45歳の女性.日中のだるさを主訴に来院した.第1子の出産後から体重が増え,10年で10kg増加した.健診を受けたことはない.喫煙歴はない.飲酒は機会飲酒.就労はしておらず,運動習慣はない.身長152cm,体重65kg.血圧144/92mmHg.尿所見:蛋白(-),糖3+,ケトン体(-),潜血(-).血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL,アルブミン4.0g/dL,尿素窒素14mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,尿酸7.2mg/dL,血糖188mg/dL,HbA1c 8.2%(基準4.6〜6.2),総コレステロール252mg/dL,トリグリセリド220mg/dL,HDLコレステロール36mg/dL,Na 135mEq/L,K 4.6mEq/L,Cl 101mEq/L.12誘導心電図で異常を認めない. 食事療法の内容で正しいのはどれか. a 食塩摂取量を10g/日未満とする. b 蛋白質摂取量を35g/日未満とする. c 脂質は飽和脂肪酸を50g/日以上とする. d 総エネルギー摂取量を1,800kcal/日とする. e 総エネルギー摂取量の40〜60%を炭水化物由来とする.
e
19
慢性腎臓病を悪化させないために禁止すべきなのは酒とタバコどちらか
タバコ
20
40歳の女性.食後,数時間で起こる動悸,発汗および手の震えを主訴に来院した.症状は朝食後の外出時に経験することが多く,摂食で改善する.身長160cm,体重65kg.体温36.1℃.脈拍64/分,整.血圧128/84mmHg.甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.尿所見:蛋白(-),糖(-).血液生化学所見:総ビリルビン0.6mg/dL,AST 32U/L,ALT 48U/L,尿素窒素18mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,空腹時血糖112mg/dL,HbA1c 5.6%(基準4.6〜6.2). この患者の症状出現時に増加していることが予想されるホルモンはどれか.3つ選べ. a グルカゴン b アドレナリン c コルチゾール d サイロキシン e アルドステロン
abc
21
68歳の女性.体重減少と全身倦怠感を主訴に来院した.4年前から,農作業のあとに顔や手足などの日焼けが周囲の人より目立つことに気付いていた.昨年から食欲が低下し,体重減少と全身倦怠感を自覚し,改善しないため受診した.50歳以降,健診にて胸膜肥厚と肺野の石灰化病変を指摘されている.身長164cm,体重49kg.体温35.7℃.脈拍64/分,整.血圧98/54mmHg.顔面と四肢,関節伸側,口腔内に色素沈着を認める.血液所見:赤血球350万,Hb 10.8g/dL,Ht 32%,白血球4,200.血液生化学所見:尿素窒素17mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,血糖70mg/dL,Na 127mEq/L,K 5.3mEq/L,Cl 94mEq/L.結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陽性. この患者で予想される所見はどれか. a 好酸球減少 b 副腎の石灰化 c 血中ACTH低値 d 血漿レニン活性低下 e 尿中遊離コルチゾール高値
b
22
55歳の女性.右膝関節痛を主訴に来院した.5年前関節リウマチを発症し,最近は抗IL-6受容体抗体の投与により,関節リウマチのコントロールは良好であった.数日前から右膝関節痛が生じたため受診した.体温37.0℃.右膝に発赤,腫脹および熱感を認めるが,他の関節には腫脹,圧痛を認めない.血液所見:赤血球380万,Hb 10.1g/dL,Ht 31%,白血球9,800(桿状核球16%,分葉核好中球70%,単球4%,リンパ球10%),血小板23万.CRP 1.2mg/dL. 初期対応として適切なのはどれか. a 関節穿刺 b 抗菌薬の投与 c 抗核抗体の測定 d 関節MRIの撮像 e ステロイドパルス療法
a
23
67歳の男性.嚥下困難と体重減少を主訴に来院した.1ヵ月前から嚥下困難を自覚していた.自宅近くの医療機関で行った上部消化管内視鏡検査で異常を指摘されたため受診した.体重は1ヵ月で3kg減少している.既往歴に特記すべきことはない.喫煙は20本/日を40年間.飲酒は焼酎2合/日を42年間.身長171cm,体重67kg.脈拍68/分,整.血圧124/62mmHg.血液所見:赤血球318万,Hb 10.5g/dL,Ht 31%,白血球8,300,血小板16万.上部消化管造影像(A)及び上部消化管内視鏡像(B)を次に示す. 治療方針を決定するために有用でないのはどれか. a FDG-PET b 胸部造影CT c 食道内圧検査 d 腹部超音波検査 e 超音波内視鏡検査
c
24
56歳の男性.意識障害のため救急車で搬入された.午前7時30分に,頭痛,悪心および嘔吐が出現し,徐々に意識がもうろうとしてきたため,30分後に妻が救急車を要請した.40歳時に高血圧症を指摘されていたが,定期的な通院はしていなかった.喫煙は20歳から20本/日.飲酒はビール2L/日.意識状態はJCSⅠ-3.体温37.9℃.心拍数96/分,整.血圧226/136mmHg.呼吸数22/分.SpO2 96%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下).眼底にうっ血乳頭を認める.心音に異常を認めない.両側胸部にcoarse cracklesを聴取する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.血液所見:赤血球412万,Hb 13.9g/dL,白血球9,300,血小板21万.血液生化学所見:総蛋白6.3g/dL,アルブミン3.2g/dL,総ビリルビン0.9mg/dL,AST 25U/L,ALT 21U/L,LD 232U/L(基準176〜353),クレアチニン1.3mg/dL,血糖94mg/dL,Na 139mEq/L,K 3.8mEq/L,Cl 103mEq/L.CRP 1.6mg/dL.頭部CTで軽度の浮腫が疑われたが脳出血を認めない. 降圧治療の方針で適切なのはどれか. a 降圧を行わない. b 硝酸薬の舌下投与を行う. c 硝酸薬の経皮投与を行う. d カルシウム拮抗薬の舌下投与を行う. e カルシウム拮抗薬の経静脈投与を行う.
e
25
82歳の男性.頻回の嘔吐を主訴に救急車で搬入された.10年以上前から胆囊結石症と診断されていたが無症状のため経過観察となっていた.昨日の昼食時に食物残渣が混じった嘔吐が2回あり,夕食は摂取しなかった.深夜になっても嘔吐を3回繰り返したため救急車を要請した.体温36.8℃.心拍数100/分,整.血圧100/58mmHg.呼吸数20/分.腹部は膨満し,心窩部から臍周囲に圧痛を認めるが,筋性防御を認めない.聴診で金属音を聴取する.血液所見:赤血球395万,Hb 12.4g/dL,Ht 37%,白血球12,600,血小板18万.血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL,アルブミン3.3g/dL,総ビリルビン1.4mg/dL,AST 18U/L,ALT 8U/L,尿素窒素38mg/dL,クレアチニン1.8mg/dL.発症2年前の腹部単純CT(A)及び今回の腹部単純CT(B)を次に示す. 適切な治療はどれか. a 下剤の投与 b イレウス解除術 c 腹腔鏡下胆囊摘出術 d 経皮的胆囊ドレナージ e 内視鏡的胆管ドレナージ
b
26
47歳の女性.1ヵ月前からの不正性器出血と腰痛を主訴に来院した.月経周期は32日型.内診で子宮頸部から右側骨盤壁に連続する硬結を触知する.血液所見:赤血球385万,Hb 11.0g/dL,Ht 33%,白血球9,500,血小板45万.血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,アルブミン3.5g/dL,AST 30U/L,ALT 22U/L,尿素窒素28mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL.腟鏡診で子宮腟部に径4cmのカリフラワー状で易出血性の腫瘤を認めた.生検で扁平上皮癌と診断された.遠隔転移を認めない. 適切な治療はどれか. a 手術 b 放射線療法 c 抗癌化学療法 d 分子標的薬投与 e 化学放射線療法
e
27
63歳の男性.下腿の浮腫を主訴に来院した.12年前に糖尿病と診断され,自宅近くの診療所で経口糖尿病薬を処方されている.2年前から尿蛋白を指摘されている.1ヵ月前から夕方になると顔面および両下腿に浮腫が出現するのが気になり受診した.身長170cm,体重78kg.脈拍68/分,整.血圧168/92mmHg.顔面と両側脛骨前面に軽度の圧痕性浮腫を認める.尿所見:蛋白3+,糖(-),潜血(-).血液所見:赤血球425万,Hb 13.0g/dL,Ht 39%,白血球6,700,血小板24万.血液生化学所見:アルブミン3.8g/dL,尿素窒素28mg/dL,クレアチニン1.6mg/dL,eGFR 40mL/分/1.73m2.血糖114mg/dL,HbA1c 6.8%(基準4.6〜6.2).24時間蓄尿検査:尿量1,600mL/日,蛋白2.4g/日,クレアチニン1.24g/日,Na 5.6g/日,Cl 8.9g/日. この患者で正しいのはどれか. a 食塩摂取量は適正である. b G5期の慢性腎臓病である. c ネフローゼ症候群を呈している. d 副腎皮質ステロイドが有効である. e 今後の進行性腎機能低下が予想される.
e
28
57歳の男性.発熱と倦怠感を主訴に来院した.1ヵ月前に右頸部腫瘤に気付いた.2週間前から38℃台の発熱と倦怠感をきたし,軽快しないため受診した.右頸部に径1.5cmのリンパ節を3個触知する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.既往歴と家族歴に特記すべきことはない.意識は清明.身長170cm,体重68kg.体温37.4℃.脈拍100/分,整.血圧132/90mmHg.呼吸数24/分.SpO2 98%(room air).血液所見:赤血球210万,Hb 7.4g/dL,Ht 23%,白血球16,000(異常細胞60%),血小板5万.骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を次に示す.骨髄細胞の染色体分析では正常男性核型であった.異常細胞のペルオキシダーゼ反応は陰性.表面マーカー解析ではCD19陽性,CD20陰性,CD33陰性,TdT(terminal deoxynucleotidyl transferase)陽性であった. 診断はどれか. a 急性骨髄性白血病 b 急性リンパ性白血病 c 慢性骨髄性白血病 d 慢性リンパ性白血病 e 成人T細胞白血病
b
29
61歳の男性.発熱と皮疹を主訴に来院した.一昨日から発熱があり,昨日から体幹に紅斑が出現した.本日になり紅斑が四肢にも広がってきたため来院した.発熱は持続し,頭痛を伴っている.紅斑に痒みは伴っていない.腹痛や下痢を認めない.1週間前に山に入り,伐採作業をした.同様の症状を訴える家族はいない.意識は清明.身長162cm,体重62kg.体温38.8℃.脈拍96/分,整.血圧146/88mmHg.呼吸数20/分.SpO2 97%(room air).体幹,四肢に径2〜3cmの紅斑が散在する.右鼠径部に,周囲に発赤を伴った直径5mmの痂皮を認める.眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.咽頭の発赤や扁桃の腫大を認めない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.神経診察に異常を認めない.関節の腫脹を認めない.尿所見:蛋白(-),糖(-),潜血(-).血液所見:赤血球488万,Hb 14.1g/dL,Ht 42%,白血球4,300(桿状核好中球12%,分葉核好中球55%,好酸球1%,好塩基球1%,単球15%,リンパ球16%),血小板9万.血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL,アルブミン3.9g/dL,総ビリルビン0.9mg/dL, AST 76U/L,ALT 46U/L,LD 356U/L(基準176〜353),γ-GTP 45U/L(基準8〜50),CK 46U/L(基準30〜140),尿素窒素22mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL,血糖96mg/dL,Na 134mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 98mEq/L.CRP 7.4mg/dL. 適切な治療薬はどれか. a ペニシリン b アシクロビル c アミノグリコシド d アムホテリシンB e テトラサイクリン
e
30
52歳の男性.発熱を主訴に来院した.3日前に発熱と咳嗽および膿性痰が出現し,改善しないため来院した.5年前から糖尿病で内服治療中である.食事は普通に摂取でき,飲水もできている.意識は清明.体温39.1℃.脈拍112/分,整.血圧140/86mmHg.呼吸数18/分.SpO2 97%(room air).左下胸部でcoarse cracklesを聴取する.血液所見:白血球17,900(桿状核好中球4%,分葉核好中球84%,単球2%,リンパ球10%).血液生化学所見:AST 62U/L,ALT 54U/L,尿素窒素16mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,血糖150mg/dL.CRP 10.6mg/dL.喀痰Gram染色でGram陽性双球菌を認める.尿中肺炎球菌迅速抗原検査が陽性である.胸部X線写真を次に示す. 患者への説明として適切なのはどれか. a 「肺炎ですが重症ではないので外来で治療しましょう」 b 「炎症反応が高く重症化しやすいので入院して治療しましょう」 c 「肺炎球菌性肺炎は死亡率が高いので集中治療室に入室しましょう」 d 「肝機能障害があり,重症化しやすいので入院して治療しましょう」 e 「糖尿病を合併しており,重症化しやすいので入院して治療しましょう」
a
31
70歳の男性.下肢の皮疹を主訴に来院した.自宅近くの診療所で3ヵ月前に受けた血液検査で異常はなかった.3日前に両下肢の点状の皮疹に気付き,増加したため受診した.50歳から高血圧症で内服治療中である.市販薬は内服していない.体温36.4℃,脈拍72/分,整.血圧138/82mmHg.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.上肢の採血部位に紫斑を認める.両下肢に紫斑を多数認める.血液所見:赤血球463万,Hb 13.2g/dL,Ht 40%,白血球6,400(分葉核好中球55%,好酸球1%,好塩基球2%,単球6%,リンパ球36%),血小板0.8万.血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL,アルブミン4.5g/dL,AST 32U/L,ALT 25U/L,LD 186U/L(基準176〜353),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,血糖86mg/dL,Na 142mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 104mEq/L.骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本で巨核球を認める.造血細胞に形態異常は認めない. 治療方針の決定に有用な検査はどれか. a 尿素呼気試験 b 血小板機能検査 c 骨髄染色体検査 d 薬剤リンパ球刺激試験 e 組織適合抗原〈HLA〉検査
a
32
65歳の男性.大腸ポリープの治療のため入院した. 現病歴:1ヵ月前の大腸内視鏡検査でポリープを指摘され,内視鏡的ポリペクトミーが予定された. 既往歴:8年前から副鼻腔炎.5年前から心房細動,高血圧症および脂質異常症.3年前に2型糖尿病と診断され,インスリンを毎食前に自己注射している. 生活歴:妻と2人暮らし.喫煙歴はない.飲酒は機会飲酒. 家族歴:5歳年上の兄が55歳時に狭心症. 現症:身長173cm,体重68kg.体温36.1℃.脈拍80/分,不整.血圧140/74mmHg.呼吸数14/分.眼瞼結膜に貧血を認めない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない. 内視鏡的ポリペクトミーに際し,特に気を付けるべき内服薬はどれか. a 降圧薬 b 抗菌薬 c 抗凝固薬 d スタチン e 抗ヒスタミン薬 治療日に朝から絶食で腸管洗浄液を内服して頻回の排便を行っていた.その後,病棟の廊下でうずくまっているところを看護師に発見された. 現症:呼びかけには返答がある.体温36.2℃.脈拍96/分,不整.血圧146/84mmHg.呼吸数20/分.眼瞼結膜に貧血を認めない.顔面は蒼白で発汗を認める.頸静脈の怒張を認めない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟.血便を認めない.四肢に麻痺や弛緩を認めない.簡易測定した血糖値が45mg/dLであり,50%ブドウ糖20mLを静注した. 対応として適切でないのはどれか. a 緊急内視鏡 b 家族への説明 c 12誘導心電図 d 血糖値の再検査 e バイタルサインの再評価
c,a
33
70歳の男性.労作時の息切れを主訴に来院した. 現病歴:4年前に縦隔腫瘍に対し摘出手術が施行され,病理検査で軟部肉腫と診断された.2年前に肺転移に対して2ヵ月間アドリアマイシンが投与され,その後病変の増大はない.1ヵ月前から倦怠感があり,数日前から労作時の息切れを自覚するようになった.ここ3ヵ月で3kgの体重増加がある. 既往歴:45歳から高血圧症で内服加療. 生活歴:喫煙は20歳から33歳まで20本/日.飲酒は機会飲酒. 家族歴:母親は肺癌で死亡. 現症:意識は清明.身長172cm,体重63kg.体温36.5℃.脈拍80/分,整.血圧164/78mmHg.呼吸数18/分.眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.頸静脈の怒脹を認めない.胸骨正中切開の手術瘢痕を認める.Ⅲ音を聴取し,心雑音を認めない.呼吸音に異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.四肢末梢に冷感を認めない.両側下腿に浮腫を認める. 検査所見:血液所見:赤血球399万,Hb 11.6g/dL,Ht 38%,白血球4,000,血小板16万.血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL,アルブミン3.6g/dL,AST 62U/L,ALT 81U/L,LD 251U/L(基準176〜353),尿素窒素14mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,血糖97mg/dL,Na 142mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 108mEq/L,脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉696pg/mL(基準18.4以下),心筋トロポニンT 0.14(基準0.01以下),CK-MB 5U/L(基準20以下).CRP 0.3mg/dL.動脈血ガス分析(room air):pH 7.4,PaCO2 38Torr,PaO2 83Torr,HCO3- 24mEq/L.胸部X線写真で心胸郭比は3ヵ月前に53%,受診時58%.心電図で高電位とV5,V6の軽度ST低下を認める.1年前の心エコー検査は正常である.今回の来院時の心エコー検査で左室はびまん性に壁運動が低下しており,左室駆出率は35%. 症状の原因として最も考えられるのはどれか. a 心外膜炎 b 急性心筋梗塞 c 拡張型心筋症 d 感染性心内膜炎 e 薬剤性心筋障害 現時点での治療薬はどれか.3つ選べ. a β遮断薬 b ジギタリス c ループ利尿薬 d セフェム系抗菌薬 e アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬
e/ace
34
52歳の男性.眼瞼と頸部の腫脹を主訴に来院した.1年前から両側眼瞼の腫脹に気付いていた.半年前から両側の顎下部の腫脹も自覚していた.最近,眼瞼の腫脹が増大傾向であり,また鼻閉も伴ったため受診した.体温36.5℃.脈拍64/分,整.血圧110/76mmHg.両側眼瞼および顎下部の腫脹を認める.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.圧痛を認めない.血液所見:赤血球423万,Hb 12.9g/dL,Ht 37%,白血球6,400,血小板21万.血液生化学所見:尿素窒素13mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,総蛋白8.5g/dL,アルブミン3.9g/dL,IgG 3,305mg/dL(基準960〜1,960),IgA 159mg/dL(基準110〜410),IgM 67mg/dL(基準65〜350),IgE 350IU/mL(基準250以下),総ビリルビン0.9mg/dL,AST 22U/L,ALT 16U/L,γ-GTP 34U/L(基準8〜50),アミラーゼ122U/L(基準37〜160).免疫血清学所見:抗核抗体陰性,リウマトイド因子〈RF〉陰性.眼窩部単純CT(A)及び腹部造影CT(B,C)を次に示す. 診断に有用な検査はどれか.2つ選べ. a 肝生検 b 涙腺生検 c 血清IgG4測定 d 経静脈性胆道造影 e 血清MPO-ANCA測定
bc
35
70歳の男性.下腿の浮腫を主訴に来院した.30年前から健診で尿蛋白と尿潜血を指摘されていた.3年前から腎臓が悪いことを指摘されていたが医療機関を受診しなかった.3ヵ月前から下腿に浮腫を自覚するようになったため受診した.身長165cm,体重60kg.脈拍92/分,整.血圧186/100mmHg.両下腿に浮腫を認める.尿所見:蛋白3+,糖(-),潜血2+,沈渣に多彩な変形赤血球と顆粒円柱を認める.随時尿の尿蛋白/クレアチニン比は2.5g/gクレアチニン(基準0.15未満).血液所見:赤血球356万,Hb 10.8g/dL,Ht 32%,白血球7,800,血小板20万.血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL,アルブミン3.0g/dL,尿素窒素20mg/dL,クレアチニン1.6mg/dL,eGFR 34mL/分/1.73m2 ,Na 138mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 104mEq/L. 適切な食事指導はどれか. a 高蛋白食 b 多量の水分摂取 c カリウム摂取制限 d 1日10gの塩分制限 e 1日25〜35kcal/kgのエネルギー摂取
e
36
生後1ヵ月の乳児.1ヵ月健康診査のために両親に連れられて来院した.在胎38週,出生体重2,998gで出生した.Apgarスコアは8点(1分),9点(5分)であった.出生後は完全母乳栄養であり,本日の体重は4,050gである.四肢を活発に動かし,固視を認める.体幹や四肢に2〜3cmの皮疹を7個認める.体幹部の皮疹を次に示す.父親には,鼻の周囲に多数の血管線維腫を認める.母親には皮疹を認めない. 両親への対応として適切なのはどれか. a 「抗真菌薬を塗りましょう」 b 「心エコー検査を行いましょう」 c 「皮疹は自然に消失するでしょう」 d 「胸部X線写真を撮りましょう」 e 「皮疹が悪性化する可能性があります」
b
37
68歳の女性.全身倦怠感,皮疹および四肢の脱力を主訴に来院した.3ヵ月前から露光部皮膚に紅斑が出現した.3週間前から全身倦怠感が出現し,起床,起立および上肢挙上に困難を感じるようになった.1週間前から全身に皮疹が拡大し,食思不振も出現したため受診した.体温37.3℃.脈拍92/分,整.血圧122/88mmHg.呼吸数16/分.SpO2 98%(room air).上眼瞼および前額部に紅斑を認める.体幹など広範囲に鱗屑を伴った紅斑を認め,一部にびらんや痂皮を認める.口腔粘膜に異常を認めない.心音に異常を認めない.両側胸部にfine cracklesを聴取する.頸部屈筋,四肢近位筋は徒手筋カテストで4.尿所見に異常を認めない.血液所見:赤血球416万,Hb 13.9g/dL,Ht 39%,白血球7,400(好中球70%,好酸球2%,好塩基球1%,単球13%,リンパ球14%),血小板18万.血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL,AST 137U/L,ALT 55U/L,LD 421U/L(基準176〜353),尿素窒素17mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,CK 2,010U/L(基準30〜140).免疫血清学所見:CRP 1.1mg/dL,抗核抗体陰性,抗Mi-2抗体陰性,抗MDA5抗体陰性,抗TIF1-γ抗体陽性.胸部CTで両側肺底部背側胸膜直下に限局した軽度の線維化病変を認める.手指および下肢の皮疹(A,B)を次に示す. この患者で最も併発しやすいのはどれか. a 悪性腫瘍 b 指尖潰瘍 c 異所性石灰化 d 多発単神経炎 e びらん性関節炎
a
38
68歳の女性.5ヵ月前からしばしば眼痛,虹視および軽度の頭痛を自覚しており,精査を希望して来院した.視力は右0.3(1.0×+2.5D),左0.2(1.0×+3.0D).眼圧は右19mmHg,左24mmHg.左眼の細隙灯顕微鏡写真を次に示す. 適切な対応はどれか. a アトロピン点眼 b 副腎皮質ステロイド点眼 c 高浸透圧利尿薬点滴 d レーザー虹彩切開術 e 硝子体手術
d
39
52歳の男性.人間ドックの上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に2cmの胃癌を指摘され受診した. 治療方針の決定に有用なのはどれか.2つ選べ. a 拡大内視鏡 b 経鼻内視鏡 c 超音波内視鏡 d カプセル内視鏡 e バルーン内視鏡
ac
40
69歳の男性.発熱と下腹部の緊満感とを主訴に来院した.以前から排尿困難を自覚していた.数日前から頻尿と排尿時痛が出現し,今朝から38℃台の発熱と全身倦怠感および下腹部の緊満感を自覚したため受診した.腹部に肝・脾を触知しない.下腹部に緊満を認める.直腸指診で前立腺に圧痛を認める.尿所見:蛋白1+,糖(-),ケトン体(-),潜血1+,沈渣は赤血球5〜9個/HPF,白血球50〜99個/HPF.血液所見:赤血球435万,Hb 13.6g/dL,Ht 41%,白血球16,900,血小板16万.血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL,アルブミン4.1g/dL,総ビリルビン0.6mg/dL,AST 30U/L,ALT 21U/L,血糖175mg/dL,Na 141mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 105mEq/L.CRP 8.5mg/dL. この時点での治療として検討すべきなのはどれか.2つ選べ. a 腎瘻造設術 b 抗菌薬の投与 c 抗コリン薬の投与 d 尿道カテーテルの挿入 e LH-RHアゴニストの投与
bd
41
22歳の男性.交通外傷のため救急車で搬入された. 現病歴:高速道路で乗用車運転中にガードレールに衝突した.乗用車は前方部分が大破し,エアバッグが作動していた.救急隊の観察結果から,搬送先の医師により酸素投与,静脈路確保および大量輸液が指示され,病院へ搬送された. 生活歴:大学生.アレルギー歴はない. 現症:意識はJCSⅡ-10.身長172cm,体重62kg.体温35.1℃.心拍数112/分,整.血圧98/62mmHg.呼吸数28/分.SpO2 90%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下).前額部に挫創を認める.眼瞼結膜はやや貧血様である.口周囲に吐物が付着している.発声は可能で気道は開通している.頸静脈の怒張と頸部気管の右側偏位を認める.左胸部において,視診で胸郭膨隆,触診で握雪感,打診で鼓音および聴診で呼吸音の消失を認める.上肢に冷汗,手掌に湿潤を認める. 最も優先すべき処置はどれか. a 気管挿管 b 胸腔穿刺 c 昇圧薬投与 d 赤血球輸血 e 中心静脈カテーテル留置 呼吸状態と循環状態が安定したため全身CTを施行したところ,前頭蓋底骨折,外傷性クモ膜下出血,多発肋骨骨折および腸管の拡張を認めた. 胃内減圧を目的とした胃管挿入の手順で誤っているのはどれか. a 仰臥位のまま挿入する. b 鼻から挿入する. c 抵抗に注意しながら挿入する. d 吸引して胃内容物を確認する. e 胸部X線写真で位置を確認する.
b/b
42
63歳の男性.2ヵ月前から咳嗽が出現し,改善しないため来院した.身長167cm,体重65kg.体温36.2℃.脈拍62/分,整.血圧124/80mmHg.呼吸数14/分.SpO2 95%(room air).心音に異常を認めない.呼吸音は左上肺野で軽度減弱を認める.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.胸部X線写真で左上肺野に結節影を認めた.FDG-PET像を次に示す.精査により,肺扁平上皮癌,臨床病期ⅢA期と診断され,化学放射線療法の適応と判断された. この患者で,放射線療法単独と比べ薬物による抗癌治療を併用する意義はどれか. a 生命予後の改善 b 白血球減少の抑制 c 放射線肺炎の予防 d 放射線食道炎の予防 e 放射線皮膚炎の軽減
a
43
56歳の女性.強い頭痛後に,意識障害を生じたため救急車で搬入された. 現病歴:自宅で家事をしていたところ,突然強い頭痛を訴えた.その後まもなく反応が無くなったため,長女が救急車を要請した.2日前に頭痛で自宅近くの診療所を受診した際の検査結果を長女が持参している. 既往歴:12歳時に急性虫垂炎で手術.2日前に頭痛があり,自宅近くの診療所で処方された鎮痛薬を内服している. 生活歴:夫,長女および長男との4人暮らし.30年前に会社を退職した.喫煙歴はない.飲酒は機会飲酒. 家族歴:特記すべきことはない. 現症:意識レベルはJCSⅢ-100.身長152cm,体重56kg.体温37.2℃.心拍数56/分,整.血圧192/102mmHg.呼吸数24/分.SpO2 96%(マスク5L/分 酸素投与下).瞳孔径は両側3.0mm.対光反射は両側で遅延している.眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.頭部に外傷はない.口腔内と咽頭とに異常を認めない.頸静脈の怒張を認めない.甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.浮腫を認めない.腱反射に異常を認めない. 検査所見(持参したもの):尿所見:蛋白(-),糖(-).血液所見:赤血球453万,Hb 13.0g/dL,Ht 39%,白血球9,600(分葉核好中球52%,好酸球5%,好塩基球1%,単球5%,リンパ球36%),血小板26万.血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,アルブミン3.9g/dL,総ビリルビン0.9mg/dL,直接ビリルビン0.3mg/dL,AST 30U/L,ALT 26U/L,LD 130U/L(基準120〜245),尿素窒素15mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,血糖88mg/dL,Na 138mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 100mEq/L. まもなく,刺激に対する反応がなくなり,自発呼吸が停止した.頸動脈は触知できなかった.モニター心電図を次に示す. この時点での心電図診断で正しいのはどれか. a 心静止 b 心室細動 c 心房細動 d 無脈性心室頻拍 e 無脈性電気活動〈PEA〉 その後,直ちに胸骨圧迫およびバッグバルブマスク換気を開始し,静脈路確保を行った.アドレナリンを静脈投与した後に,自己心拍が再開し,心拍数90/分,整.血圧126/72mmHgとなった.自発呼吸は認めなかったため気管挿管を行い集中治療室へ入院となった.意識レベルはJCSⅢ-300からJCSⅢ-100となった.SpO2は98%(吸入酸素濃度60%)であった.自発呼吸は回復しなかった.入院後に撮影した頭部単純CTを次に示す. 行うべき治療で誤っているのはどれか. a 血圧管理 b 人工呼吸 c 体温管理療法 d 緊急ペーシング e 高浸透圧利尿薬投与
e/d
44
意識レベルはJCSⅡ-10.心拍数130/分,整.血圧152/82mmHg.呼吸数28/分.動脈血ガス分析(マスク5L/分 酸素投与下):pH 7.30,PaCO2 86Torr,PaO2 92Torr,HCO3− 36mEq/L. 適切な治療法はどれか. a 気管切開 b 気管挿管 c 高流量酸素 d 高気圧酸素治療 e 非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉
e
45
27歳の女性.胸痛と呼吸困難を主訴に来院した. 現病歴:昨日から右前胸部痛を自覚した.息を吸うと痛みが悪化するため,深呼吸ができなかった.本日は胸痛の悪化に加え,労作時の呼吸困難も出現したため救急外来を受診した. 既往歴:3ヵ月前から経口避妊薬を内服している. 生活歴:パートナーと2人暮らし.事務職.喫煙歴はない.飲酒は機会飲酒. 家族歴:母方の祖父が癌(詳細不明).母が糖尿病と高血圧症. 現症:意識は清明.身長163cm,体重60kg.体温38.0℃.脈拍120/分,整.血圧112/64mmHg.呼吸数32/分.SpO2 88%(room air).眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.頸静脈の怒張を認める.心音はⅡ音の亢進を認める.呼吸音はcracklesやwheezesはなく,胸膜摩擦音も聴取しないが,深呼吸ができていない.右下腿に浮腫を認める. 検査所見:血液所見:赤血球430万,Hb 13.1g/dL,Ht 38%,白血球10,100(桿状核好中球30%,分葉核好中球45%,好酸球1%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球17%),血小板23万.血液生化学所見:総ビリルビン0.9mg/dL,AST 25U/L,ALT 12U/L,LD 315U/L(基準120〜245).動脈血ガス分析(room air):pH 7.48,PaCO2 26Torr,PaO2 52Torr,HCO3− 19.0mEq/L.心電図は洞性頻脈,Ⅰ誘導で深いS波,Ⅲ誘導でQ波とT波の陰転化を認める. 診断に有用な検査はどれか. a KL-6 b Dダイマー c フェリチン d β-Dグルカン e プロカルシトニン 胸部造影CTを次に示す. 最も適切な治療薬はどれか. a ヘパリン b アスピリン c 血管拡張薬 d 殺細胞性抗癌薬 e 副腎皮質ステロイド
b/a
46
84歳の女性.意識障害のため救急車で搬入された.一人暮らしだが,訪れた家族が布団に横たわり呼びかけに応じないのに気付き,救急車を要請した.意識レベルはJCSⅡ-30.身長151cm,体重48kg.体温35.1℃.心拍数40/分,整.血圧88/40mmHg.呼吸数12/分.SpO2 92%(マスク5L/分 酸素投与下).顔面は浮腫状で眉毛の脱失がある.甲状腺腫を触知する.下腿に非圧痕性の浮腫を認める.尿所見:蛋白+,糖(-),潜血(-).血液所見:Hb 7.2g/dL.血液生化学所見:総ビリルビン2.0mg/dL,AST 98U/L,ALT 86U/L,γ-GT 60U/L(基準8〜50),尿素窒素20mg/dL,クレアチニン1.14mg/dL,Na 128mEq/L,K 4.8mEq/L,Cl 98mEq/L,TSH 197μU/mL(基準0.2〜4.0),FT4 0.02ng/dL(基準0.8〜2.2).心電図で徐脈と四肢誘導での低電位を認める.胸部X線写真を次に示す. この患者の検査所見として誤っているのはどれか. a 抗TPO抗体陽性 b 血清総コレステロール高値 c TSH刺激性受容体抗体陽性 d 抗サイログロブリン抗体陽性 e 脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉高値
c
47
10ヵ月の女児.呼吸困難を主訴に母親に連れられて来院した.3日前から鼻汁と咳嗽が続いていたが,発熱もなく機嫌が良かったので自宅で様子をみていた.夕方から咳嗽が悪化し,呼吸が苦しそうになったという.体温37.0℃.心拍数138/分,整.呼吸数60/分.SpO2 92%(room air).鼻翼呼吸,陥没呼吸および軽度の口唇チアノーゼを認める.呼吸音に左右差や減弱を認めない.両側肺でcoarse cracklesは聴取しないが,呼気性喘鳴を聴取する.鼻腔RSウイルス迅速検査は陽性だった. この患児に予測される検査所見として正しいのはどれか. a 血小板数減少 b 血清IgE高値 c 好中球核左方移動 d 高二酸化炭素血症 e 胸部X線写真の肺浸潤影
d
48
71歳の男性.呼吸困難のため救急車で搬入された.1週間前から発熱と痰の増加を認め,呼吸困難も出現したため救急車を要請した.COPDで自宅近くの診療所に通院中である.意識は清明.体温37.3℃.心拍数108/分,整.血圧110/74mmHg.呼吸数24/分.両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する.血液所見:白血球15,890(好中球91%,好酸球0%,単球5%,リンパ球4%).血液生化学所見:総蛋白7.8g/dL,アルブミン4.5g/dL,AST 14U/L,ALT 7U/L,尿素窒素19mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,Na 141mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 97mEq/L.CRP 13mg/dL.動脈血ガス分析(鼻カニューラ3L/分 酸素投与下):pH 7.42,PaCO2 41Torr,PaO2 63Torr,HCO3− 27mEq/L.胸部CTで両肺野に広がる浸潤陰影を認めた.喀痰Gram染色標本を次に示す. この患者に開始すべき抗菌薬はどれか. a セファゾリン b バンコマイシン c クリンダマイシン d セフトリアキソン e ベンジルペニシリン
d
49
12歳の女児.1週間前から断続的に生じる左側腹部痛を主訴に来院した.既往歴に特記すべきことはない.身長153cm,体重42kg.体温36.3℃.脈拍80/分,整.血圧112/72mmHg.呼吸数12/分.腹部は平坦で,反跳痛を認めない.左の肋骨脊柱角に叩打痛を認める.尿所見:蛋白(-),糖(-),ケトン体(-),潜血(-),沈渣に異常を認めない.血液所見:赤血球474万,Hb 13.0g/dL,Ht 40%,白血球6,500,血小板28万.血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL,アルブミン4.3g/dL,総ビリルビン0.3mg/dL,AST 14U/L,ALT 8U/L,LD 156U/L(基準120〜245),尿素窒素9mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,尿酸3.5mg/dL,血糖82mg/dL,Na 144mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 108mEq/L,Ca 8.8mg/dL.腹部単純CTで尿路に石灰化陰影や走行異常を認めない.腹部造影CT水平断像(A),造影CT後の腹部X線写真(B)及び利尿レノグラム(C)を次に示す. 治療として適切なのはどれか. a 体外衝撃波結石破砕術 b 膀胱尿管新吻合術 c 膀胱拡大術 d 腎盂形成術 e 自己導尿
d
50
尿道カテーテルの交換で正しいのはどれか. a 体位は座位で行う. b カテーテルを抜去する前に固定水を抜く. c 外尿道口をエタノールで消毒する. d 新しいカテーテルの内腔に潤滑剤を注入する. e 今後は毎日交換する
b
51
82歳の女性.食欲と活動性の低下を主訴に来院した.3日前から食欲が低下し,当日の朝はいつもの時間に起床できなかったため,心配した家族に連れられて受診した.お薬手帳によると,自宅近くの診療所で1年以上前からアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬,カルシウム拮抗薬,ビスホスホネート製剤およびNSAIDの処方を受けており,1週間前からベンゾジアゼピン系睡眠薬が追加されていた.意識レベルはJCSⅠ-1から2程度.体温36.0℃.脈拍64/分,整.血圧160/96mmHg.呼吸数16/分.血液所見:赤血球350万,Hb 10.2g/dL,Ht 32%,白血球6,200,血小板22万.血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL,アルブミン3.6g/dL,総ビリルビン0.6mg/dL,AST 30U/L,ALT 13U/L,LD 220U/L(基準120〜245),ALP 83U/L(基準38〜113),γ-GT 13U/L(基準8〜50),尿素窒素29mg/dL,クレアチニン2.1mg/dL,血糖102mg/dL,Na 132mEq/L,K 6.0mEq/L,Cl 93mEq/L,Ca 11.5mg/dL.精査のため入院することとなった. 入院後も継続可能な薬剤はどれか. a NSAID b カルシウム拮抗薬 c ビスホスホネート製剤 d ベンゾジアゼピン系睡眠薬 e アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬
b
52
11歳の男児.右下腹部痛を主訴に母親に連れられて来院した.朝からみぞおち付近の不快感を自覚していたが,学校に登校した.給食後に嘔吐し,腹痛が次第に増強したため受診した.体温38.5℃.脈拍108/分,整.血圧118/62mmHg.呼吸数22/分.SpO2 99%(room air).心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は右下腹部に限局した圧痛を認め,筋性防御を認める.血液所見:赤血球430万,Hb 12.6g/dL,Ht 40%,白血球13,500,血小板25万.血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,アルブミン4.0g/dL,AST 20U/L,ALT 10U/L,尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,Na 140mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 102mEq/L.CRP 8.2mg/dL.腹部超音波像を次に示す. この患者で予測される身体所見はどれか. a Dance徴候 b Murphy徴候 c Rosenstein徴候 d Courvoisier徴候 e Grey-Turner徴候
c
53
32歳の1回経産婦(2妊1産).妊娠39週6日,規則的な子宮収縮を主訴に来院した.これまでの妊娠経過に異常を認めない.午前1時,10分ごとの規則的な子宮収縮を自覚し,次第に増強したため午前4時に入院した.内診で子宮口は4cm開大,展退度は60%,硬度は中,児頭下降度はSP-2cmであった.午前8時に破水を認めた.その時点の内診で子宮口は6cm開大,下降度はSP-1cmであった.その後,陣痛周期は3分となった.午後1時の内診で子宮口は全開大,児頭下降度はSP+2cm,先進する小泉門を1時方向に触知し,矢状縫合はほぼ母体の骨盤縦径に一致していた.この時点の陣痛周期は3分で,持続時間は1分であった. この産婦の分娩経過で正しいのはどれか. a 遷延分娩 b 早期破水 c 微弱陣痛 d 分娩停止 e 後方後頭位
b
54
46歳の男性.右母趾基部の疼痛を主訴に来院した.昨年も同様の症状があり,その時は翌日軽快した.先月から高血圧症と脂質異常症に対して投薬治療を受けている.2日前に友人とゴルフに行き,飲酒した後に疼痛が出現した.今回は症状が改善しないため受診した.身長171cm,体重82kg.右第一中足趾節関節に発赤と疼痛を伴う腫脹を認める.明らかな結節はない. この患者の症状出現の誘因とならないのはどれか. a 飲酒 b 運動 c 脱水 d スタチンの開始 e 降圧利尿薬の開始
d
55
21歳の男性.意識障害のため救急車で搬入された.家族によると約2週間前から口渇,頻尿を訴えていたという.意識レベルはJCSⅡ-10.身長170cm,体重56kg.体温37.1℃.心拍数92/分,整.血圧96/64mmHg.呼吸数24/分.SpO2 98%(room air).皮膚は乾燥している.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.尿所見:糖4+,ケトン体3+.血液生化学所見:尿素窒素42mg/dL,クレアチニン2.1mg/dL,血糖564mg/dL,HbA1c 9.6%(基準4.6〜6.2),Na 144mEq/L,K 4.8mEq/L,Cl 104mEq/L. この患者に直ちに投与すべき輸液の組成はどれか.
e
56
高カリウム血症の原因となるのはどれか. a β刺激薬 b インスリン c ループ利尿薬 d グリチルリチン e レニン・アンジオテンシン系抑制薬
e
57
心不全で来院した患者において心サルコイドーシスの所見に合致しないのはどれか. a 房室ブロック b 持続性心室頻拍 c 左室駆出率の低下 d 心室中隔の非対称性肥大 e FDG-PETでの心筋への異常集積
d
58
急激な血圧上昇を認める患者で,高血圧緊急症の病態として考えにくいのはどれか. a 急性大動脈解離 b 褐色細胞腫クリーゼ c 乳頭浮腫を伴う脳浮腫 d 肺水腫を生じた急性心不全 e 肺動脈性肺高血圧症を伴う呼吸不全
e
59
急性腎障害の診断に用いられる指標はどれか.2つ選べ. a 尿蛋白量 b 腎の長径 c 時間尿量 d 尿潜血の程度 e 血清クレアチニン値の上昇速度
ce
60
73歳の男性.総胆管結石の加療目的で内視鏡的結石除去術を施行した.3時間後から持続性の心窩部痛と背部痛を訴えた.体温35.8℃.脈拍104/分,整.血圧84/56mmHg.呼吸数20/分.SpO2 93%(room air).顔面は蒼白である.腹部は平坦で,心窩部に圧痛と筋性防御を認める.血液所見:赤血球430万,Hb 15.3g/dL,Ht 44%,白血球11,000,血小板23万,PT-INR 1.0(基準0.9〜1.1).血液生化学所見:総ビリルビン1.2mg/dL,AST 20U/L,ALT 19U/L,LD 151U/L(基準120〜245),ALP 110U/L(基準38〜113),γ-GT 22U/L(基準8〜50),アミラーゼ1,495U/L(基準37〜160),クレアチニン1.0mg/dL.CRP 1.0mg/dL.腹部造影CTを次に示す.初期治療として,輸液に加えて行うべき治療で適切なのはどれか. a 血漿交換 b 緊急開腹手術 c 膵酵素阻害薬投与 d ステロイドパルス療法 e 内視鏡的胆道ドレナージ術
c
61
22歳の男性.健診で腎機能低下を指摘され心配になり来院した.母親と叔父が透析治療を受けている.血液生化学所見:尿素窒素28mg/dL,クレアチニン1.5mg/dL.腹部MRIを次に示す. この疾患で誤っているのはどれか. a 肝囊胞の合併が多い. b 常染色体顕性型(優性型)である. c 新生児期から発症する. d 脳動脈瘤の発生頻度が高い. e 治療薬にバソプレシンV2受容体拮抗薬がある.
c
62
81歳の男性.呼吸困難のため救急車で搬入された.自宅近くの診療所でCOPDと診断され,気管支拡張薬による治療を受けていた.本日午前2時頃から呼吸困難が出現し,鼻カニューラで0.5L/分の酸素を投与されながら午前8時に救急搬送された.意識は清明.体温38.3℃.心拍数72/分,整.血圧128/64mmHg.呼吸数16/分.聴診で両側呼吸音の減弱を認める.血液所見:白血球9,800(好中球91%,好酸球0%,単球5%,リンパ球4%).CRP 4.0mg/dL.動脈血ガス分析(鼻カニューラ0.5L/分 酸素投与下):pH 7.33,PaCO2 58Torr,PaO2 62Torr,HCO3- 30mEq/L.肺野条件の胸部CT(A)と喀痰Gram染色標本(B)とを次に示す. まず行うべきなのはどれか. a 原因菌のワクチンを接種する. b 非侵襲的陽圧換気を開始する. c 鼻カニューラの酸素流量を増やす. d 呼吸リハビリテーションを開始する. e アミノグリコシド系抗菌薬を投与する.
b
63
42歳の男性.下腹部痛と悪心を主訴に来院した.生来健康で,半年前の定期健診でも異常は指摘されなかった.朝食後に右側腹部に張る感じがあり,次第に痛みへと変わり,急速に激痛となった.うずくまってじっとしているうちに数分で痛みは一旦改善したが10分ほどで悪化し,悪心とともに嘔吐した.その後も数分から10数分の周期で痛みと悪心があり,タクシーで来院した.発熱は認めない.痛みは下方へと少しずつ移動しており来院時には右下腹部痛を認めるが,右側腹部から背部のこわばるような違和感も持続している. 予想される所見はどれか. a 尿潜血3+ b 両側水腎症 c 尿沈渣で赤血球円柱+ d 血清クレアチニン値10.2mg/dL e 尿蛋白/クレアチニン比5.5g/gCr
a
64
52歳の男性.全身倦怠感を主訴に来院した.6週間前に進行肺腺癌と診断され,3週間前に免疫チェックポイント阻害薬による初回治療を受けた.全身倦怠感が出現したため受診した.意識は清明であるが受け答えは緩慢である.体温36.8℃.脈拍108/分,整.血圧72/50mmHg.呼吸数20/分.SpO2 97%(room air).軽度腫大した甲状腺を触知する.血液所見:赤血球320万,Hb 12.0g/dL,Ht 38%.血液生化学所見:血糖104mg/dL,TSH 0.1μU/mL(基準0.2〜4.0),ACTH 2.0pg/mL(基準60以下),FT4 1.8ng/dL(基準0.8〜2.2),コルチゾール0.1μg/dL(基準5.2〜12.6)であった.胸部X線写真で原発巣の縮小を認める.甲状腺超音波検査では軽度の甲状腺腫大以外は異常を認めない. 治療として適切なのはどれか. a 赤血球輸血 b インスリン投与 c 殺細胞性抗癌薬投与 d 甲状腺ホルモン投与 e 副腎皮質ステロイド投与
e
65
62歳の男性.下行結腸癌と診断され,開腹による左半結腸切除を予定している.28歳時に虫垂炎による腹膜炎で1ヵ月の入院歴がある.この患者の周術期管理で適切なのはどれか. a 手術の2時間前まで固形物摂取を許可する. b ベッド上安静が術後3日間必要である. c 流動食は術後1週間から開始とする. d 手術中患者の体温を室温で管理する. e 持続硬膜外麻酔による鎮痛を行う.
e
66
36歳の女性(2妊0産).妊娠36週4日,腹痛を主訴に来院した.来院時,身長152cm,体重68kg.体温36.8℃.脈拍110/分,整.血圧162/108mmHg.腹部は硬く,子宮口は6cm開大,腟内には凝血塊が認められた.超音波検査で児の推定体重2,300g,胎盤の厚さは7cmであった.胎児心拍数陣痛図を次に示す. 適切な対応はどれか. a 緊急帝王切開 b 止血薬点滴静注 c 子宮収縮薬点滴静注 d 副腎皮質ステロイド筋注 e 硫酸マグネシウム点滴静注
a
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22歳の女性.無月経を主訴に来院した.初経は12歳.13歳から不規則月経となり14歳から無月経となった.特に困っていることはなかったが,職場の同僚にすすめられて産婦人科を受診した.家族歴,既往歴に特記すべきことはない.身長164cm,体重56kg.体温36.8℃.脈拍72/分,整.血圧106/76mmHg.甲状腺腫大は認めない.乳房発育は不良.乳頭の圧迫で乳汁分泌を両側に認める.外性器は女性型.陰毛と腋毛に異常を認めない.子宮長は3cm,子宮内膜は薄い.両側卵巣は正常大.基礎体温は1相性である. 高値が予想されるのはどれか. a GH b FSH c TSH d ACTH e プロラクチン
e
68
53歳の男性.家族からいびきを指摘されたことを主訴に来院した.10年ぶりに会った友人に鼻が大きくなって顔つきが変わったと言われた.最近靴が窮屈になってきている.2年前に手根管症候群で手術.身長173cm,体重72kg.体温36.4℃.脈拍56/分,整.血圧156/90mmHg.血液生化学検査:AST 38U/L,ALT 42U/L,ALP 256U/L(基準38〜113),空腹時血糖126mg/dL,総コレステロール254mg/dL,トリグリセリド216mg/dL,HDLコレステロール48mg/dL. この患者の確定診断に必要な内分泌検査はどれか. a GHRH負荷試験 b ブドウ糖負荷試験 c インスリン負荷試験 d グルカゴン負荷試験 e デキサメタゾン抑制試験
b
69
抗菌薬の適正使用について誤っているのはどれか. a 培養検査提出後に開始する. b 薬物動態に合わせて投与量を調整する. c 開始時のCRP値で投与期間を決定する. d 抗菌薬の臓器への移行性を考慮して選択する. e 感受性検査の結果に応じて適切な抗菌薬に変更する.
c
70
19歳の男性.交通外傷のため救急車で搬入された.河川沿いの堤防道路でオートバイ運転中に対向車と接触し転倒,崖下に転落した.問いかけに対して名前は言える.心拍数122/分.血圧72/50mmHg.呼吸数28/分.SpO2 96%(room air).右前胸部に圧痛があり,右呼吸音が減弱している.腹部は膨満している.右下肢は外旋位で右下腿の変形と開放創を認める.大量輸液を行っても血圧の上昇がみられなかった.出血の持続と凝固障害の合併が懸念されるため,血液型の確定を待たずに院内にある輸血製剤を用いて輸血療法を行うことにした. 投与が可能な濃厚赤血球液と新鮮凍結血漿の組合せはどれか. 濃厚赤血球液 - 新鮮凍結血漿 a O型Rh(+) - O型Rh(+) b O型Rh(+) - AB型Rh(+) c AB型Rh(+) - O型Rh(+) d AB型Rh(+) - AB型Rh(+) e AB型Rh(+) - AB型Rh(-)
b
71
28歳の初妊婦.妊娠23週4日,性器出血を主訴に来院した.妊娠初期から妊婦健康診査を受けていたが特に異常は認めなかった.昨夜から下腹部痛を自覚し,今朝性器出血を認めたため心配になり受診した.身長154cm,体重56kg(非妊時52kg).体温37.1℃.脈拍88/分,整.血圧126/74mmHg.呼吸数18/分.腹部は妊娠子宮で膨隆し,柔らかい.腟鏡診で分泌物は粘液性で少量の血液が混じっている.経腹超音波検査では正常脈で足位の児を認める.経腟超音波画像を次に示す. まず行うのはどれか. a 外回転術 b 緊急帝王切開 c 子宮頸管縫縮術 d β2刺激薬の点滴静注 e 副腎皮質ステロイドの筋注
d
72
低栄養が疑われる高齢者(BMI 18kg/m2,6ヵ月で3kgの体重減少)で腎障害がない場合の栄養管理として適切でないのはどれか. a 水分:30mL/kg/日 b 脂肪:総エネルギーの25% c 糖質:総エネルギーの55% d タンパク質:0.8g/kg/日 e 総エネルギー:30kcal/kg/日
d
73
滲出性胸水をきたす疾患に含まれないのはどれか. a 肺梗塞 b 肝硬変 c 急性膵炎 d 結核性胸膜炎 e 全身性エリテマトーデス
b
74
わが国における近年の疾病や疾病リスクについて正しいのはどれか. a 脳血管疾患の患者数は年々増加している. b 過剰飲酒の割合は男性低所得層で最も高い. c 悪性新生物(全部位)年齢階級別死亡率は60代で増加傾向が見られる. d 40歳未満女性の部位別悪性新生物では子宮頸がんが最も罹患率が高い. e 糖尿病罹患は遺伝や生活習慣が主な要因で,社会的環境の関与は少ない.
d
75
夜盲を訴える患者の診断に有用な検査はどれか.2つ選べ. a 隅角検査 b 視野検査 c 網膜電図 d 角膜知覚検査 e Hess赤緑試験
bc
76
大動脈瘤の原因にならないのはどれか. a 梅毒 b 動脈硬化 c Buerger病 d 高安動脈炎 e Marfan症候群
c
77
腎後性急性腎障害を,腎前性・腎性急性腎障害と鑑別する場合に最も有用な検査はどれか. a 腎生検 b 尿蛋白定量 c 尿比重測定 d 腹部エコー検査 e 血清クレアチニン値測定
d
78
妊娠高血圧症候群の病型分類に含まれないのはどれか. a 妊娠高血圧 b 妊娠蛋白尿 c 高血圧合併妊娠 d 妊娠高血圧腎症 e 加重型妊娠高血圧腎症
b
79
小児で痙性麻痺を生じる疾患はどれか. a 脳性麻痺 b ボツリヌス症 c 脊髄性筋萎縮症 d Prader-Willi症候群 e Guillain-Barré症候群
a
80
尿閉の原疾患として正しいのはどれか. a 尿道下裂 b 前立腺肥大 c 膀胱尿管逆流 d 間質性膀胱炎 e クラミジア性尿道炎
b
81
76歳の男性.失神を主訴に来院した.2年前に持続性心房細動と診断され,抗凝固薬が開始されている.その他の投薬はされていない.最近1ヵ月の間に2度失神して,顔面を強打するというエピソードがあった.Holter心電図を施行したところ,最大心拍数112/分であり,ふらつきを伴う最大6.4秒のR-R間隔を認めた. 適切な方針はどれか. a β遮断薬投与 b Holter心電図の再検 c イソプロテレノール投与 d 心臓ペースメーカー植込み e 植込み型除細動器〈ICD〉植込み
d
82
職場の自殺予防対策に関係しない職種・組織はどれか. a 産業医 b 衛生管理者 c 産業保健師 d 産業保健推進センター e 精神保健福祉センター
e
83
新生児期の基準値が成人期より高いのはどれか.2つ選べ. a IgM b 総蛋白 c 総ビリルビン d クレアチニン e アルカリフォスファターゼ
ce
84
2歳の男児.テレビの音が以前より大きいことを心配した母親に伴われて来院した.1週間前に両側の耳痛と鼻汁があり,2日でおさまった.それ以降,呼びかけに応答しないことがしばしばあった.身長90cm,体重13kg.体温36.5℃.耳介と外耳道に異常を認めない.左鼓膜所見を次に示す. 診断確定のために有用なのはどれか. a 語音聴力検査 b 純音聴力検査 c 聴性脳幹反応 d オルファクトメトリ e インピーダンスオージオメトリ
e
85
18歳の男子.全身倦怠感と発熱を主訴に来院した.2週間前から労作時の息切れを自覚していた.3日前から38℃台の発熱と全身倦怠感があり受診した.身長170cm,体重60kg.体温38.3℃.脈拍100/分,整.血圧118/64mmHg.両下肢に点状出血を認める.眼瞼結膜は貧血様であるが,眼球結膜に黄染を認めない.胸骨右縁第2肋間を最強点とするLevine 2/6の収縮期駆出性雑音を聴取する.呼吸音に異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.圧痛を認めない.血液所見:赤血球230万,Hb 6.8g/dL,Ht 20%,白血球1,400(分葉核好中球24%,単球2%,リンパ球74%),血小板1.2万.血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,アルブミン3.4g/dL,総ビリルビン0.7mg/dL,AST 56U/L,ALT 71U/L,LD 158U/L(基準120〜245),尿素窒素14mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,血糖98mg/dL.CRP 4.2mg/dL.骨髄生検では著明な低形成所見を認める. この患者で低下するのはどれか. a フェリチン b 網赤血球数 c ビタミンB12 d エリスロポエチン e 好中球アルカリフォスファターゼスコア
b
86
8歳の女児.著しい瘙痒を伴う皮疹を主訴に来院した.背部の所見を次に示す.同様の皮疹が背部以外にも顔面,腹部,肘窩,膝窩など全身に認められる.白血球8,600(好酸球12%).IgE 2,800IU/mL(基準250以下).抗原特異的IgEはハウスダスト,スギ花粉等吸入性抗原に強陽性を示すが,食物抗原は陰性であった. 注意すべき合併症はどれか. a 気胸 b 貧血 c 白内障 d 円錐角膜 e アナフィラキシー
c
87
A 64-year-old man was brought to the emergency department because of left hemiplegia with impaired consciousness.On physical examination, consciousness level was GCS E4V4M6, blood pressure 164/82 mmHg, pulse rate 96/min and irregular. Neurological examination was unremarkable except for left hemiplegia. No carotid bruit was heard on either side. Brain MRI is shown in the figure. Which of the following is the most likely ECG diagnosis? a Atrial fibrillation b Supraventricular tachycardia c Third-degree atrioventricular block d Ventricular fibrillation e Ventricular tachycardia
a
88
78歳の女性.1週間前から38℃台の発熱が持続し,全身倦怠感のため来院した.身長151cm,体重42kg.体温38.2℃.脈拍92/分,整.血圧84/50mmHg.胸腹部に異常所見を認めない.皮膚の乾燥や四肢に浮腫を認めない.血液生化学所見:尿素窒素24mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,空腹時血糖65mg/dL,Na 129mEq/L,K 5.1mEq/L,抗利尿ホルモン1.4pg/mL(基準0.5〜2.0).随時尿での尿中Naは16mEq/Lであった. この患者で認められる所見はどれか. a 低尿酸血症 b 低レニン血症 c 尿浸透圧低下 d 甲状腺機能低下症 e 低コルチゾール血症
e
89
35歳の経産婦(3妊2産).妊娠34週2日,妊婦健康診査のため受診した.妊娠初期から妊婦健康診査を受けていた.30歳時および32歳時に,それぞれ骨盤位および既往帝王切開の適応で選択的帝王切開の既往がある.身長157cm,体重55kg(非妊時46kg).体温36.8℃.脈拍80/分,整.血圧110/74mmHg.1日に数回の子宮収縮を自覚している.胎児心拍数陣痛図で異常を認めない.1週間前に施行した骨盤MRIのT2強調矢状断像を次に示す. 説明として適切なのはどれか.2つ選べ. a 「胎盤の後面に血腫をみとめます」 b 「胎盤が内子宮口を覆っています」 c 「臍帯血管が内子宮口上を走行しています」 d 「胎盤の一部が子宮壁から剝がれています」 e 「胎盤が子宮筋層を貫いている可能性があります」
be
90
44歳の女性.人間ドックで肝機能障害を指摘され来院した.輸血歴,飲酒歴,家族歴に特記すべきことはない.眼球結膜に黄染を認めない.血液所見:赤血球496万,Hb 14.8g/dL,Ht 44%,白血球5,200,血小板25万.血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL,アルブミン3.9g/dL,AST 26U/L,ALT 32U/L,ALP 238U/L(基準38〜113),γ-GT 266U/L(基準8〜50).免疫血清学所見:HBs抗原陰性,HCV抗体陰性.肝生検組織の門脈域のH-E染色標本を次に示す. 予想される血液検査値はどれか.2つ選べ. a IgM高値 b 胆汁酸低値 c 総コレステロール低値 d 抗ミトコンドリア抗体陽性 e α-フェトプロテイン〈AFP〉高値
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91
38歳の女性.腹痛のため来院した.1週間前から排便がなく,嘔吐や腹痛,腹部膨満感を自覚し徐々に増悪するため受診した.意識は清明.体温37.2℃.脈拍72/分,整.血圧118/62mmHg.呼吸数18/分.SpO2 97%(room air).腹部は膨隆し,腸雑音は亢進している.直腸指診で直腸子宮窩〈Douglas窩〉に硬結を認めた.腹部X線単純写真の仰臥位像でハウストラを伴う拡張した腸管と,立位像で液面形成〈niveau〉を認めた.腹部CT検査で回腸から直腸までの腸管拡張と骨盤部に少量の腹水を認めた.上部消化管内視鏡検査で4型胃癌を認めた.嘔吐により食事がとれないため入院とし,末梢輸液を開始した. 今後行う対応として適切なのはどれか.2つ選べ. a 胃全摘術 b 胃瘻造設 c 嚥下訓練 d 経鼻胃管留置 e 中心静脈栄養
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