問題一覧
1
嘆きつつ
ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものかとは知る
2
滝の音は
絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ
3
契りきな
かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは
4
君がため
惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
5
有馬山
猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする
6
あらざらむ
この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
7
逢ふことの
絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
8
由良のとを
渡る舟人 かぢを絶え 行方も知らぬ 恋の道かな
9
逢ひ見ての
後の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり
10
大江山
行く野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立
11
恋すてふ
わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひ初めしか
12
八重むぐら
しげれる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり
13
風をいたみ
岩打つ波の おのれのみ 砕けて物を 思ふころかな
14
あはれとも
いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
15
かくとだに
えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
16
明けぬれば
暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな
17
みかきもり
衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ
18
忘れじの
行く末までは 難ければ 今日を限りの 命ともがな
19
めぐり逢ひて
見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな
20
やすらはで
寝なましものを さ夜更けて 傾くまでの 月を見しかな