問題一覧
1
いつしかこのこと隠れなく、入道も伝へ聞きて、いと[ものし]とおぼいたり。
不快だ
2
御台形となりて群選あまた出できなむどして目出たかりけり。人の心は[やさしかる]べきにこそ。
優雅である
3
この二人の僧都、ともに[やむごとなき人]にて、天皇、わきおぼしめすことなかりけり。
争い始めたらやめない人
4
この池より竜上らんずるなり、といふ札を立てけるを、行き来の者、若き老いたる、さるべき人々、[ゆかしきことかな]と、ささめき合ひたり。
見たいことだな
5
宰相君、御猟の御ついで、おのが草蘆に[ゆくりなく]入らせ給へる、ありがたしともいふはさらなり。
思いがけなく
6
下ざまの人の物語は、耳おどろく事のみあり。[よき人]は怪しき事を語らず。
身分教養のある人
7
いはむや、この命をみな仏にたてまつりて、この徳をささげて、うき世をいづる種とせむとねがはむは、[ゆゆしき]心ざしなるべし。
立派な
8
いかなるにか今年世の中騒がしう、春よりわづらふ人々多く、道大路にも[ゆゆしきものども多かり]。
病死体がたくさんある
9
海はなほいと[ゆゆし]と思ふに、まいて海士のかづきしに入るは、憂きわざなり。
そら恐ろしい
10
たとひ本意とげて楽しみ栄えありとも、暫くの夢なるべし。悦びありとも、また悲しびあるべし。[よしなし]。
無益だ
11
あはれを知らず、なさけ深からぬ者なれども、[らうたき]姿にめでて、かしづきうやまふこと、その国のいとなみにも過ぎたり。
いじらしい
12
前栽の草木まで心のままならず作りなせるは、見る目も苦しく、いと[わびし]。
つまらない
13
今宵ばかりを明かす心地、堪へがたく[わりなく]おぼゆれど、知られて尋ねわび、かかづらひまどはむも、いと音聞き軽々しう、便なかるべし。
どうしようもなくつらく
14
うへにさぶらふ御猫は、かうぶり賜ひて、命婦のおとどとて、いみじう[をかしければ]かしづかせ給ふが、
かわいかったので
15
「送れとこそはいはめ」と思ふも、[をこがましけれど]いひやる。
ばからしいけれど
16
[あからさまに]も参りて、宮たちをも見たてまつり、心もなぐさめはべらむと思ひたまふる。迎へにたまはせよ。
少しの間
17
やまと歌の道は、ただ、まこと少なく、[あだなるすさみ]ばかりと思ふ人もやあらむ。
はかない慰めごと
18
ただ文字一つに、あやしう、[あてに]もいやしうもなるは、いかなるにかあらむ。
上品に
19
「おほかたの、世にもてはやされぬ事は、そのわざのよからぬがゆゑなり」と[あながちに]おしきはめて、言はれたりけり。
強引に
20
のその容観の[優にやさしきに]見とれて、やや態に寄り、手を取りて
上品で優美である様子に
21
門は固くさして、[おぼろけにて]逃ぐべきゃうなし。
いい加減なことでは
22
ことさら「宮の御乳母子なり」とて、人も[おろかならず思ふさまなり]。
並一通りでなく思っている様子だ
23
君、聞こしめして笑はせ給ひて、[ことなる]沙なくてやみにけり
特別な
24
よき人の御ことは[さらなり]、
いうまでもない
25
倉の戸をさして立ち帰りぬるほどに、とばかりありてこの倉[すずろに]ゆさゆさとゆるぐ。
思いがけず
26
「百物語すればおそろしき事ありと言ふ。いざせん」と、[せちに]話すに、はや九十九におよぶ。
ひたすらに
27
[つれづれ慰みぬべき物語やさぶらふと]尋ね参らせ給へりけるに、
単調な生活を忘れさせるような物語がございますか。
28
この頼もし人と思ひつる宿守さへ、[とみのこととて]京へのぼりにしかば、すべて知る人もなし。
火急の用事があるので
29
書はことに、用なくなりて後も、[なほざりに]うち捨ておきて、久しくかへさぬ人の、よに多きものぞかし。
いい加減に
30
世の物語しめじめとしておはするけはひ、をさなしと人のあなづりき こゆるこそ悪しけれと、[恥づかしげに]見ゆ。
立派に
31
清輔判者にて、道因が哥を負かしたりければ、わざと判者の許へ向ひて[まめやかに]涙を流しつつ泣き恨みければ、
ほんとうに
32
いとむつかしかめれば、長やかにうちあくびて、[みそかに]と思ひて言ふらめど、
気づかれないだろう
33
急ぎ寄りて見れば、[むげに]弱くなりて、たのもしげもなし。
ひどく