株式とは、均一細分化された割合的単位の形をとった株式会社の社員(株主、出資者、所有者)たる地位のことである

株券とは、株式会社の株主の地位を表す有価証券である 株券の発行は任意であり、定款に定めれば上場、非上場問わず発行可能である

株券を発行する旨の記載のある定款を定める株式会社を株券発行会社とよぶ

公開会社、株式譲渡制限会社問わず、設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の1/2を下回ることができない

定款の変更によって、発行株式総数を減少することができない

定款の変更によって発行可能株式総数を増加する場合は、公開会社、株式譲渡制限会社ともに制限がない

株式譲渡制限会社では、募集株式の発行等は原則として株主総会(普通決議)によらなければならない

株式譲渡制限会社において、募集株式の発行を取締役に特別決議にて委任することができ、当該決議から2年間有効となる

公開会社での募集株式の発行は、原則として株主総会(特別決議)である

公開会社における募集株式の発行は、すべて取締役会決議となる

種類株式とは、ある事項についてことなる定めをした内容の異なる2以上の株式をいう

種類株式には9種類あり、 剰余金の配当、残余財産の分配が、 有利な内容　→　優先株 不利な内容　→　劣後株 基準となる内容　→　普通株 という

種類株式において議決権付制限株式があり、議決権を行使できる事項に制限がある株式のことである また議決権の全部に制限を設けることもでき、その場合も議決権制限株式とよばれる

株式譲渡制限会社では、議決権制限株式の数が発行済み株式総数の1/4を越えた場合、ただちに議決権制限株式の数を発行済み株式総数の1/4になるよう措置をとらなければならない

株式譲渡制限会社では、議決権制限株式を発行済み株式総数の1/2を越えて発行することができる

譲渡制限株式とは、株式の譲渡による取得について当該会社の承認を要する株式のことである 1株でも発行すると、株式譲渡制限会社となる

譲渡制限株式において、相続等の包括継承による取得も制限可能である

株式会社が、一定の事由が生じたことを条件として取得できる株式を、取得請求権付株式という

全部取得条項付種類株式とは、株式会社が、株主総会(普通決議)によって当該発行済み種類株式の全部を取得できる株式である

株主総会決議事項において、当該種類株主総会の決議も承認要件に加えた株式のことを承認付種類株式という

取締役、監査役、会計参与を当該種類株主総会において選任する権限を与えた株式のことを役員選任権付種類株式という

種類株主総会とは、種類株式を有する株主ごとに開催される株主総会である 役員選任権付種類株式を有する種類株主による選任総会など

自己株式とは、株式会社が有する自己の株式である

株主との合意で自己株式を有償取得する場合、原則として取締役会が必要である

自己株式の取得には株主総会(普通決議)での可決が必要であるが、例外がある ①特定株主からの取得は、株主総会の特別決議が必要となる ②取締役設置会社が子会社から取得するときは、株主総会の特別決議が必要となる ③市場取引または公開買付により自己株式を取得する場合、取締役会設置会社では取締役会決議にて取得できること旨を定款に定めることができる

特定の株主(自己株式の取得に株主総会の特別決議が必要な株主)以外の株主が、自己を特定の株主に追加するよう株式会社に請求することができる これを売主追加請求権とよぶ

売主追加請求権は定款によって排除することができない

株式の消却とは、株主の地位を消滅させることであり、発行済み株式総数を増やすことである

株式の消却において、取締役会設置会社において取締役会決議が必要とされるほかは特段の規定はない

株式会社は相続その他の一般継承により譲渡制限株式を取得したものに、当該株式会社の売り渡しを請求することができる旨を記載できる 継承後、2年を経過すると売り渡し請求権を行使することができない

自己株式には議決権はないが、剰余金の配当、残余財産の分配はされる

株式併合とは、数個の株式を合わせてその数よりも少ない数の株式に変更し、発行済み株式総数を減少させることである

株式併合は、どの種類の株式でも株主総会の普通決議での可決が必要となる

株式買取請求権は、株式会社が自己の有する株式の公正な価格での買取を株主に請求できる権利のことである

株式分割とは、発行済み株式を細分化して従来よりも株式の数を増やすことである 株式併合と同様、株主総会の特別決議にて可決されると可能となる

株式分割により、発行済み株式総数が発行可能株式総数を越えるときは、原則として株主総会普通決議により発行可能株式総数を変更する定款変更が可能である

株式無償割り当てとは、新規株主に対して、新たな振り込みをさせないで株式を割り当てることである

単元株とは、一定の数の株式をもって、株主が株主総会で議決権を行使できる株式のことである 単元株は、定款に定めることなく取締役会等の決定で制度を採用できる

単元未満株主は、株式会社に自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求できる また、株式会社は、定款に定めることで、単元未満株主に対して単元未満株式を売り渡すことを請求できる

単元株式数の増加、減少に関わる定款の変更は、株主総会の特別決議にて可決されることが必要である

新株予約権とは、株式会社に対して行使することで当該株式の交付を受ける権利のことである 発行会社は新規株式(自己株式不可)を発行する義務を負う

新株予約権は、通常株式、第三者による有利発行を問わず、株主総会の特別決議が必要である

新株予約権証券の発行は強制である

株式会社は、新株予約権発行後は新株予約権の内容の変更ができない

新株予約権の内容変更により新株予約権買取請求権を行使された場合、株式会社はそれを買い取る義務が生じる 買い取った自己新株予約権を行使することで自己株式を取得できる

社債とは、会社が行う割り当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であり、募集社債に関する事項の決定についての定めに従い償還されるものをいう 社債は株式会社のみ発行可能である

社債は会社にとっての自己資金である また、社債権は発行が必須となっている

取締役会設置会社は、取締役会決議にて社債を発行できる 社債発行に重要でない事項の取締役への委任などが可能である

取締役不設置会社では、株主総会の普通決議にて社債の発行が可能となる

新株予約権付社債では、必要に応じて新株予約権と社債を分離して譲渡することができる

新株予約権付社債では、社債の規定が適用される

社債管理者とは、社債を発行する会社から委託を受けて会社のために弁済の受領、債権の保全、その他の社債管理を行う機関である

会社が社債を発行する場合、原則として社債管理者を定め社債の管理を委託しなければならないが、一部例外がある ①各社債の金額が1億円以下 ②社債の総額を各社債の金額の最低額で除して得た数が50を下回る場合(50口未満の場合)は委託しないでよい

改正会社法において、社債管理者の設置が義務付けられる場合、社債管理補助者に社債の管理の補助を委託できる制度が創設された 社債管理補助者の設置は任意である

社債管理補助者には、社債管理者同様、銀行、信託会社、弁護士、弁護士法人がなることができる

社債管理補助者は、直接的な社債の管理は社債管理者に任せ、倒産手続きにおける債権届け出、情報伝達など、社債の管理の補助を行う

社債権者集会とは、社債権者の利益保護のために認められている社債権者からなる合議体である 社債の全部支払猶予など社債権者の利害に関わることしか決議できないが、可決した内容はすぐに効力を生じさせる

社債権者は、社債の種類に関係なく社債権者集会を組織する

株式会社の資本金の額は、原則として設立または株式の発行に際して株主となるものが当該会社に対して払込または給付した財産の額となる

株式会社は払込または給付された金額は全額資本金として計上する必要がある

会社法としての最低資本金は100万円以上である また、登記の必要はない

株式会社は、資本金の額を1円まで減資することも可能である

資本金の減少(減資)は、必ず株主総会の特別決議が必要である

減資を行う場合、株式会社は債権者保護手続きを行わなければならない 例外として、定時株主総会かつ分配可能額が生じない普通決議による減資は債権者保護手続きを行う必要がない

減資を行う場合、必ず債権者保護手続きを行う必要がある 債権者保護手続きとは、債権者の利害に重大な影響を及ぼす告知を行う際、官報に必要な事項を告知する義務のことである

債権者保護手続きに対して、債権者が1ヶ月以内に意義をのべなかった場合、当該事項について承認したものとみなされる

準備金(資本準備金または利益準備金)を減少する場合、減資の場合同様株主総会の特別決議にて可決されることが必要である

準備金の額を減少する場合も債権者保護手続きが必要である 例外として、 ①減少する準備金の一部を資本金に組み入れる場合 ②定時株主総会の決議によって、欠損てん補目的で行う場合 には債権者保護手続きは不要となる

資本金を減資し、資本準備金または利益準備金の額を増やすことができる

剰余金とは、貸借対照表の資産の額と自己株式の簿価の合計額から負債、資本金、準備金などを減じて得た額である

株式会社は、株主総会の普通決議により1事業年度中2度まで、剰余金の配当を行うことができる また、取締役会設置会社では、取締役会決議にて1事業年度中2回まで中間配当(金銭に限る)することができる旨を定款に定めることができる

金銭以外の配当を現物配当といい、株主総会特別決議が必要である 金銭分配請求権を株主に与える場合も該当する

現物配当において、当該会社の株式、社債、新株予約権を配当財産にすることはできない

株式会社は、純資産の額が300万円を下回る場合には配当を行うことができない

株式会社は、各事業年度に係わる計算書類および事業報告、これらの附属明細書(計算書類等とよぶ)を作成し、5年間の保存義務がある

計算書類等は、監査役その他の監査機関の監査を受けなければならない また、原則として定時株主総会で計算書類の承認を受ける必要があり、当該事業年度の計算書類のみを定時総会の日の一週間前(取締役会設置会社では2週間前)の日から本店、支店に備えおかなければならない

株式会社では、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表および損益計算書を公告しなければならない 公告手段としては電子広告のみであり、要旨は不可である

金融商品取引法における有価証券報告書の提出会社は、決算公告は不要である

期中の配当のために、配当の都度分配可能額を算出する場合、臨時計算書類が作成される 監査機関の監査や、取締役会、株主総会の承認は必要なく、公告の義務もない

役員等(取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人)が、任務を怠って株式会社に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任を負う この責任の一部を免除するため(すべて免除は不可)、株主の半数の同意が必要である

役員等が株式会社に損害を与えた場合、損害賠償責任を負うが、 善意かつ無重過失の場合、株主総会普通決議にて賠償責任額から年間報酬などの額に一定の数を差し引いた額を免除(全部免除も可能)できる

会社に損害を与えた役員に善意かつ無重過失の場合は、株主総会特別決議にて減免が可能であるが、最低責任限度額として年間報酬の6年間が全取締役に発生する金額である

取締役が自己の利益のための直接取引による損害賠償は無過失責任のため、株主総会特別決議による免除は認められず、総株主による同意の免除も不可である

株主代表訴訟制度とは、役員が株式会社に損害を与え、株式会社が当該役員に責任を追求しない場合、役員等に対する損害賠償請求を株主が行える制度である

株主代表訴訟制度を行う場合、 ①株式会社に当該役員への損害賠償責任を追求する訴えの提起を請求 ②60日以内に会社が訴えを提起しない場合 この場合、当該株主は株式会社のために損害賠償責任を追求する訴えを提起できる

株主代表訴訟制度を行える株主は、原則として以下の株主である ①株式譲渡制限会社　→　3か月前から保有している株主 ②公開会社　→　6か月前から引き続き株式を有する株主

役員等が悪意や過失の有無に関わらず、第三者に損害を与えた場合は、その第三者に損害賠償責任を負う