国全体や個別経済主体の財産管理のために会計帳簿の適正な作成を行うことが会計の主な目的である。

管理会計は、短期利益計画(予算)や長期利益計画を中心とした業績管理の領域と、経営者による経営意思決定に関する領域を取り扱う。

商法において、商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の基準に従うものとされている。

商人は正確な会計帳簿に基づいて損益計算書及び貸借対照表を作成しなければならない。

会社法は、債権者保護の見地から、その規定の中で株主の配当に関して規制を行なっている。

会社法においては、株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとされている。

資本金５億円超または負債総額200億円超の株式会社においては、会計監査人を設置しなければならない。

証券取引所に上場されている有価証券の発行会社が内閣総理大臣に提出する財務諸表には、その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。

証券取引所に上場されている有価証券を発行している会社は、四半期報告書または半期報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

法人税法では、総収入金額と必要経費との差額によって課税所得が算出される。

財務会計には環境に対する企業の取り組み方を問題とした環境会計があるが、我が国では制度化されていない。

上場会社等の経営者は、内部統制の有効性を評価した内部統制報告書も有価証券報告書と併せて提出する必要がある。

株式会社の会計においては、法人格が会計単位となる。

企業が解散せずに継続するという前提から会計期間が導かれ、そこから主観的な判断や見積、仮定を置く必要が生じる。

財務会計においては貨幣的測定という公準が存在し、専ら金額計算が行われるため物量計算は不要である。

財務会計における貨幣的測定において、測定尺度である貨幣自体の価値は一般に安定していると仮定されている。

所有主理論の中心課題は、所有主に属する財産の把握であるから貸借対照表等式が重視される。

企業主体理論においては、企業を社会的な制度と捉え、様々な利害関係者による利害調整としての役割を有すると解して、付加価値概念に基づく成果分配的側面が強調される。

代理人理論においては、所有者と企業が区分されていることから貸借対照表等式が重視される。

会計主体論は、主に会計上の資本と利益の区別を考える上で重要であるが、特定の資産評価を予定しているわけではない。

会社法における附属明細書は計算書類の一つである。

貸借対照表について財産概念を用いると、資金の調達源泉たる負債及び資本（純資産）は積極財産、資金の運用形態たる資産は消極財産となる。

キャッシュ・フロー計算書は、財務諸表等規則に基づく財務諸表の一つである。

損益計算書においては、すべての収益及び費用について総額で示される必要がある。

資産・負債・資本・収益・費用に変動をもたらす経済的事象を簿記上の取引という。

複式簿記においては、常に貸借が一致するが自己検証機能は有しない。

仕訳帳の元丁欄と元帳の仕丁欄とは、相互参照できるように同じ番号が記入される。

仕訳帳と元帳を主要簿という。

残高試算表の借方・貸方の合計額は、仕訳帳の合計額に一致する。

元帳の摘要欄には相手の勘定科目を記入し、それが複数あるときは諸口を用いる。

決算整理は棚卸表に基づいて行われる。

棚卸表には資産の種類ごとに内訳と金額を記入する。

損益計算書の様式については、金融商品取引法においては報告式が規定されており、会社法においては報告式が一般的である。

大陸式決算法の下で決算振替仕訳を元帳に転記すると、元帳上の各勘定は貸借の金額が一致する。

英米式決算法の下では精算表が必要であるから、精算表は我が国において簿記一巡の枠内に位置づけられる。

決算整理後残高試算表において当期純利益が計算表示される。

貸借対照表を誘導法によって作成する場合には帳簿記録が必要となるが、棚卸法によって作成する場合には不要である。

誘導法によって貸借対照表を作成する場合においても、特定の項目については実地棚卸が必要である。

貸借対照表の表示形式については、金融商品取引法会計による場合は報告式により、会社法会計による場合は勘定式によることが法定されている。

今日において貸借対照表における負債の分類については、金融商品取引法においても会社法においても同一である。

資産及び負債に関する流動・固定の区分において中心的基準となるのが正常営業循環基準である。

正常な一連の営業サイクルの外に位置づけられる資産については、すべて１年基準(ワン・イヤー・ルール)によって流動・固定の区分がなされる。

我が国における固定性配列法は、調達資本と運用資本の関係を通じて企業の財務構造の健全性を判定することを重視するため、貸借対照表の貸方については純資産、固定負債、流動負債の順に表示する。

流動資産から棚卸資産を除いたものを当座資産といい、企業の短期的支払能力の判定に有用である。

企業の継続を前提とする今日では静態論の考え方は完全に否定されている。

動態論において、現金と資本金については、収益費用計算と収入支出計算との期間的不一致に基づく未解決項目には相当しない。

資産に属する各項目の共通点を抽出すると、資産とは将来の経済的便益でキャッシュ・インフローを確実にもたらすものと定義できる。

資産を一元的に費用性を有するものと捉える見解があるが、これは現金の説明に難点がある。

資産をインプット・バリューによって評価する方法によると取得原価による評価がなじみ、これに対して時価による評価はなじまない。

資産の評価方法のうち割引キャッシュ・フローとは、将来に支出せねばならない金額を適当な利子率を用いて現時点に割り引いた金額であり、アウトプット・バリュー系統の評価方法である。

原価主義のうち測定対価主義によると、贈与により取得した資産はゼロで評価されることになる。

未履行契約、偶発債務に基づく法律上の債務は、権利と義務が等価である場合には会計上は負債とならない。

金銭債権債務のうち特定の条件を満たすものについては償却原価法によって評価する。

経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権については、債権全体又は同種・同類の債権ごとに、債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見積高を算定する。

貸倒引当金の簿記処理方法については、差額補充法による。

貸倒懸念債権とは、経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権をいう。

償却原価法における利息の配分方法は、定額法又は利息法のいずれかを選択し継続適用する。

船荷証券は会計上の有価証券には該当しないが商法上の有価証券に該当する。

譲渡性預金とは、定期預金であり有価証券ではないが、市場が存在するので会計上有価証券として取り扱う。

有価証券を時価評価することにより含み益を利用した利益捻出、いわゆる益出しを回避することができる。

販売目的でなくても短期的に消費される資産は棚卸資産に含まれる。

製造原価の原価差異(材料受入価格差異を除く)が多額でない場合には売上原価に賦課する。

棚卸計算法によると帳簿記録が不要になるので継続記録法に比べて簡便的な方法である。

棚卸計算法によると実地棚卸を行うので、目減りや盗難による減少分が正しく把握される。

総平均法では、算定期間が経過していないと、払い出された商品の単価を計算できない問題がある。

商品の仕入れ価格が上昇する場合、先入先出法によると棚卸資産利益を当期の利益から排除できる。

移動平均法を適用するためには継続記録法によることが必要である。

個別法によると棚卸資産の流れに関するある種の仮定を行わないので恣意性が介入し難い。

後入先出法は現行制度上は適用できない。

棚卸減耗損の原価性がない場合であっても金額が僅少である場合には売上原価に算入することができる。

棚卸資産の簿価切下げに用いる時価は正味売却価額による必要がある。

トレーディング目的で保有する棚卸資産については、時価をもって貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額(評価差額)は、当期の損益として処理する。